長崎でワークショップやることになりました
タイトル:「話合いによるもめごと解決入門」
開催日:2007.7.7(土)
開演時間:13:30~17:00
主催:長崎伝習所、メディエーション研究塾
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/denshusho/boshu19_f.html
タイトル:「話合いによるもめごと解決入門」
開催日:2007.7.7(土)
開演時間:13:30~17:00
主催:長崎伝習所、メディエーション研究塾
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/denshusho/boshu19_f.html
http://www.pi-forum.org/act/training2007/index.html
講師をさせていただくことになりました。
よろしくおねがいいたします。
個人的には、松浦さん、篠田さんの部分が楽しみです。
労働政策研究・研修機構の研究会に呼んでいただいて、メディエーションやメディエーション・トレーニングの話をさせていただいた。
ありがとうございました。
申込期間が1ヶ月しかありませんが、告知が始まりました。
わたしも講師をします。
トレーニング教材作成に直接係わった関係者が講師として参加します。
昨年の基礎編に参加していない方でも、参加できるようになりました(参加資格の詳細は、案内をごらんください)。
愛媛和解支援センター(TEL089-915-8830、愛媛県松山市三番町5丁目2-12-1)で、9月16日、17日の2日間の調停トレーニングをさせていただきました。
センターでのボランティア調停人の他、現役の調停委員、消費生活相談員の方、当事者として問題を抱えている市民の方など約30名の熱心な参加がありました。
この愛媛和解支援センターは、有力な司法書士の方が私財を費やして市民活動として行なっているADR機関です。ここは、いろいろな意味で、すごいところですよ。
新潟県司法書士会で調停トレーニングの講師をさせていただきました。
9/22-24の3日間、朝から夕方まで、会長以下、40名弱の熱心な参加がありました。
ありがとうございました。
全国青年司法書士協議会で、10月6日~8日までの3日間、大阪で調停トレーニングの講師(共同講師)をさせていただきました。ありがとうございました。
11/1 PI-FORUM連続セミナー(東大山上会館、単独講師)
11/2 日本仲裁人協会(中級編、日弁連17階、共同講師)
11/4 対話シンポ2日目(長崎メディエーション塾・公開講座、共同講師)
と、連続で講師をしました。
疲れました。
が、いずれも参加者に恵まれ、充実していました。
11/3は、愛媛和解支援センターの活動報告を聞いたのですが、なんというか、胸が熱くなるような感動的な報告でした。
ぜひ聞かせたい人の顔が何人も思い浮かんだのだけれど・・
参考:過去のエントリー 日本で受講可能な調停トレーニングリスト
日本仲裁人協会/調停人養成講座・中級編
11月30日に、最終回(全6回)の開催が終わりました。
現役の調停委員、司法委員、法学部教授、土地家屋調査士、行政書士、企業の法務職、看護婦など多士済々の参加者が、回を重ねるごとに熱心さを増しての大団円で、心からやってよかったなぁと思えるものになりました。
次々に登場する講師側も熱心さに、自らも楽しむところが加わって、確かに充実していたのではないかと思います。
日本仲裁人協会の会員向けの研究会で、調停トレーニングについて、話をしてきました。
つい先日まで受講されていた方も多数参加いただいて、調停トレーニングが価値があると発言くださって、とてもうれしかったです。
参加されたことがない方に参加してみたいと思わせることは、わたしの腕ではちょっと足りなかったのかなと思いました。いろいろ反省点があります。
昨日(12・6)に、PIフォーラム・連続セミナーで、メディエーションを紹介するワークショップを行いました。
頭の回転の速い参加者が多く、ちょっと詰め込みすぎだったにもかかわらず、的確に実施しておられました。
ありがとうございました。
*
と、いよいよもって、研修屋のおっちゃん化。
今日(1月2日)から、米国への調査旅行へ行きます。無事でありますように。成果が出ますように。
1月19日、20日とI先生と共同講師でトレーニングをさせていただきました。
弁護士会相手は始めてでした。約30人の参加がありました。
1月26日・27日の2日間、調停トレーニングを実施させていただきました。(共同講師)
40人強の参加がありました。
講師と言いながら、いろいろ教えてもらってばかりいるような気がしますが。
早稲田総研・自主交渉援助型調停を学ぶ-プロセスメディエーションの実践-(4月18日、19日)
宣伝くさいブログで恐縮です。
東京司法書士会で調停トレーニングのトレーナーをさせていただきました。
(単独講師)
(2月16日、2月23日、3月8日の3日間18時間。)
皆さん、ノリノリになってくださってありがたかったです。
ありがとうございました。
東京司法書士会では、調停センターを運営し、実際に調停もされています。
Webでは案内していないようですが。
中級編のトレーニングに呼んでいただきました。
長崎からの参加もあり盛況でした。
(3月15日、16日。共同講師。)
サービス産業生産性協議会「SPRINGシンポジウム2008」で、話をしてきました。
そのうちプレゼン資料も公開されることでしょう。
静岡県司法書士会で、調停トレーニングをさせていただきました。
3月22日、23日。単独講師。
メディエーションの実践をスタートさせているグループが運営してくださったので、ひと味違う感じだったと思いました。
ありがとうございました。
年明けからずっと続いたトレーニングもようやく一息です。
さる方から家事調停のマニュアルをお借りして読む。
その本に、
「軽々しく家庭裁判所の内情を口外しないこと。複雑多岐な家庭裁判所の活動が単純化されて一般に伝わり、思わぬ誤解を受けることがないとは言えないからである。」
軽々しく口外してはいけないくらいだからブログに書くなんてもってのほかだろう。
だから、そのマニュアルのタイトルをここに書くのは控えることにする。
しかし、調停委員が、「軽々しく口外しない」だけで、誤解を受けぬことが広がる時代だとは思えない。
むしろ、積極的に、その価値を世の中にアピールすべきだろうと思う。
調停委員による相談会や模擬調停会などの形で、世の中に対してアピールをする動きもあるが、こうしたことはとても良いことだと思う。
民間ADRとの比較で見れば、裁判所での調停は贅沢(もしくは恵まれている)側面がある。
イコールフッティングにするべきと言って現状の裁判所でのサービスを切り捨てるべきではないと思うが、健全な競争がはぐくまれるためのあり方はもう少し議論されても良いように思う。
ADR法のスキームだけで、裁判所と民間ADRが競争できる環境ができたとはとても言えないからである。
早稲田総研・調停トレーニング:4月18日(金)、4月19日(土)
4月18日、19日とトレーニングを実施しました。
参加者は、社会保険労務士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、カウンセラー、大学の先生など、いろいろな”先生”に参加していただきました。
裁判所の調停委員を兼ねている方も何人もおられたようです。
わざわざ調べて申し込んでくださっただけあって熱心な参加をいただいてありがたかったです。
社労士会では、裁断型の紛争解決のイメージで議論が進んでいると聞いていたのですが、案外好意的に受け取ってもらえたような感触を持ちました。
対話型調停に以前から取り組んでおられる方に手伝ってもらえたのもよかったです。お世話になりました。
社会資本整備における合意形成円滑化のための手引き(案) ~紛争アセスメント及びメディエーション~(pdf)
国土技術政策総合研究所。(2008年4月)
わたしも検討会の委員になっているものです。
やや淡々としていますが、社会資本整備の事業にメディエーション手法が本当の意味で使われると、社会的インパクトは相当大きいだろうと思います。
仲裁ADR法学会の学術誌である、『仲裁とADR』の新刊が出ました。
『仲裁とADR 第3号』(商事法務)
海外文献紹介コーナーで、ペパダインのトレーニングについての原稿を書きました。
興味のある方にはコピーを送りますので、メールをください。
全国青年司法書士協議会の調停トレーニング(フォローアップ、1日)を行いました。共同講師。会場は愛知県司法書士会。
岡山弁護士会・仲裁センターで、仲裁人、仲裁人候補者に調停トレーニング(中級編)を実施してきました。6/21,22(共同講師)
弁護士会の「仲裁」は、和解あっせんと呼ばれる事実上の調停活動が実務的には中心です。
講師として学んだというだけでなく、前後の時間などに、いろいろ教えてもらいました。
以前のエントリー:
1月の基礎編実施
(社)日本技術士会北海道支部・青年技術士交流委員会「合意形成の技法-メディエーション」
PI-Forumからの派遣で、札幌でワークショップをしてきました。
4時間。参加は33名。
土木とか農業土木の人がたくさん参加してくださって、昔、大学にいたときのことを思い出しました。
最近、公共事業の文脈で、住民参加やらワークショップやらは当たり前になったとは言え、まだまだそんなに変わっていないのではないかとおっしゃる方がいたり・・おもしろかったです。
調停ロールプレイも体験してもらったのですが、面白さも難しさもちゃんと感じていただけたようで、そこはなにより。
兵庫県司法書士会で、「紛争と対話」という題目で7/16に講演をしてきました。
2時間で話をするのは難しいですね。
今回は、いろいろなデータを提供しようとしすぎて、面白さとか雰囲気とかが十分に感じていただけなかったかもと反省。
まだまだだなぁと。
「次回の工夫」を考えたので、今度どこかで機会を頂いたら試してみるつもり。
PIフォーラム連続セミナー2008(PDF)
PIフォーラム
昨年好評だったので今年も続くことになりました。
わたしが多くやっている士業団体のメディエーショントレーニングとは異なり、土木分野での合意形成の話題が中心です。
わたしは6回中2回だけメディエーションの話をします。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構/研究成果/労働政策研究報告書 No.98「企業内紛争処理システムの整備支援に関する調査研究」
労働政策研究・研修機構による企業内紛争処理システムに関する調査研究の報告書です。
年度末にシコシコ書いていましたが、公開されました。
報告書の全文が公開されているのでどうぞ。
座長は慶応大学・山川隆一教授です。
労働分野は、裁判所における労働審判手続や、行政型の個別労働関係紛争対策などの制度が、近年整備されており、利用もされている。(その割には報道が少ない気がするが・・)
こうした公的な手続を踏む前に、企業の中で解決できた方がよいというのは当然誰しも思うことだが、企業内の苦情処理制度は一般的に利用されていないし、組合というチャンネルもこうした個別の問題を解決する方向には脱皮できていない。その結果、上司に相談という”ラインを通じた解決”しか残されていないが、しばしば、その上司との関係こそが問題だったりする。
メディエーションの考え方を踏まえた手続と、スキルを身につけて考え方を理解している人を企業の中に置くことは、従業員にとっても会社にとっても望ましいのではないかという意図が込められている(とわたしは思っている)。
わたしが書いたのは「第5章 紛争解決のための人材養成トレーニング」というパート。
9月5日、6日の10:00-18:00まで調停トレーニングを行いました。
参加者には、司法書士で家事調停員の方、弁護士で弁護士会紛争解決センターの委員の方、土地家屋調査士、病院職員、行政書士、社労士、市民団体のリーダーがおられました。
わたし自身、とても楽しく実施できました。ありがとうございました。
愛知県社会保険労務士会で、調停トレーニングを実施しました。(単独講師)
同会の記念すべき第1回の研修だったようです。
10:00-18:00で、24名の参加者でした。
トレーニングを見て、制度設計上の問題に気づいたとおっしゃっていただいた方もいて、やってよかったなと思いました。
わたしがトレーナーをする場合に心がけていることを紹介。
何かのご参考になれば。
1.上手な人のサルマネをしないこと
ネタで使えるものは使わせていただくことにして(なるべく出典を言及して)、しかし、自分の言葉で説明できないことはあきらめて、自分なりの方法を試みること。(南山大・山口真人先生の教え)
2.配付資料などの準備を丁寧に行うこと
対話的にクラスを仕切るのは大変である。特に、参加者に何らかの活動をしてもらう場合、「活動の手順」と「活動の意図」を明確にしないと混乱するし、意味がわからないイライラがつのる。(自由にふりかえり、などという言い訳はしない)口頭の説明で済みそうな活動でも、なるべく配付資料にして、それを参照しながら説明することで、混乱を最小限にする。
3.相手の意見の確認と、自分の意見の提示を区別すること
これはいまだに時々失敗するが、意見を確認することと、それにどういう意見を自分が持っているかを提示することをはっきり区別して話をすること。(これはトレーニングだけでなく、メディエーションにおいても非常に重要。)
4.反省をすること
講座を実施したら、よかったことと改善点を反省すること。反省点が多すぎるときにも、重要な具体的な改善点を少しだけにしぼって、次の機会に備えること。(自分に対する寛容の精神で)
昨日(2008年9月16日)、東京弁護士会紛争解決センターで、2007年に受講したPepperdine大学の調停トレーニングの紹介について、大村扶美枝弁護士と講演をしてきました。
ADR法の認証をめざしている神奈川県行政書士会で、9月20日21日の二日間、調停トレーニングをさせていただきました。
大村扶美枝弁護士と二人でのトレーニングで、こちらは息が合っているつもりだったのですが、参加者から見てどうだったでしょう?
愛媛では、基調講演をしなければならなくなった。
現在の予定としては、「穂積重遠と大正期の調停」(仮題)である。
はじめて話す内容なのでうまくいくかどうかわからないのだが、調べてみると案外面白いことがいろいろ見つかった。
穂積重遠のお父さんは穂積陳重という学者で、民法起草者の筆頭。この穂積陳重と弟の穂積八束(民法出でて、忠孝滅ぶと言った人)は、愛媛の宇和島出身ということから、愛媛での話には向いていないこともなかろうと。
穂積重遠は、戦後に最高裁判事として尊属殺人違憲の少数意見を書いたリベラリストなのだが、借地借家調停では、東大法学部の教授であるとともに、みずから調停委員として活動している。
戦前の調停と言えば、封建主義一色かと思いきや、大正デモクラシーの雰囲気もあって、案外みずみずしいのだ。
・・といったことを、話す予定です。
早いもので今年で3年目です。
全7日間(42時間)のトレーニングのうち、3日間の基礎編が終了(10月11日、12日、13日)。
これまでの修了者から実践者が現れているし、その実践の教訓が研修にも反映できていて、良い流れができていると思っています。
今回は新潟の司法書士さんが作ったオリジナル案件で調停ロールプレイをしてもらった結果、「わたしも似たような相談を受けた経験があって、ついそのモードになってしまいました」などというコメントがあり、よかったかなと。新潟のIさん、Oさんありがとうございました。
楽しく実施させていただきました。
今回は25日について、午前の基調講演と、午後の事例報告の司会者(コーディネーター)を務めた。
2日目(26日)の進行もまかされた。
運営側だったので、公平に評価することはできない。
少なくとも主観的にはとてもおもしろい内容だったし、盛況だった。
もともと内々のイベントにするはずが、140人以上の参加者があり、翌日の愛媛新聞にも写真付きで大きく取りあげてもらった。
個人的には25日の午後の事例報告の内容が興味深かった。調停当事者の方もフロアから発言して下さった。
また、全国各地から気合いの入った人が集まっていた。26日は相互交流の機会づくりを心がけて話し合いの場を設定したつもりだ。様子を見に来た人たちは面食らったに違いない。
基調講演の内容に興味を持って下さった方もいたのでホッとした。
家族も連れて行って、愛媛の皆さんとの一体感が深まったのが、自分としては何より良かった。
*
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20081026/news20081026333.html
民間調停の周知図る 和解支援センター報告会裁判でなく第三者が当事者の話し合いを促して民事紛争を解決する民間調停(ADR)の周知に向けた「愛媛和解支援センター開設5周年報告会」(同センター主催)が25日、松山市湊町7丁目の市総合コミュニティセンターであり、県内外から約140人が参加してADRへの理解を深めた。
県内のADR経験者ら5人が工事請負代金請求や土地境界のトラブル、男女交際のもつれによる慰謝料などの調停事例を紹介。住宅リフォーム工事の下請け業者が、期日を過ぎても元請け業者から工事代金が支払われないため工事を中止して同センターに調停を申し入れた事例で、調停者は「マンションでの仮住まいを強いられた施主や早く代金を回収したい下請け業者の気持ちをくみ、迅速な調停を目指した結果、最初の調停から15日間、3回の調停で和解できた」と成果を語った。
愛知県青年司法書士協議会(青司協、昭和会)主催の調停トレーニングの講師をさせていただきました。
(単独講師、2008/11/1-2の二日間、26名)
名古屋だけに濃いというか、個性的な参加者が多く、楽しかったです。
この講座も三年目。教材作成委員会のメンバーみんなで作るプログラムという点と、わざわざ申し込んで下さる方の参加があるということで、他とは少し違う雰囲気。
今年は参加者の弁護士率高し。
2008年11月22日、23日の二日間、岡山弁護士会仲裁センターとしては二期生になる方への調停技法トレーニングを実施。(共同講師)
元裁判官の法科大学院教授も参加して下さり、懇親会などでも話を聞くことができた。
その方が着任した頃の調停は問題があったが、まず法的にしっかりとするようにという動きがあり、次に当事者の主体性を重視する動きが出た。近年の考え方は、メディエーショントレーニングの考え方は共通していると思うとおっしゃっていた。
また、企画を担当して下さっている方が、自治体職員に民法の講義をする際、グループワークの手法を取り入れてみたら好評だったという話をおしえてくださった。
中京大学の企画で、Mediator's Handbookの著者、Jenny Beerによるワークショップを実施。
結構がんばって準備した甲斐があった。
一人の聴講者としてもとても満足できた内容だった。
午前中は、フィラデルフィアのコミュニティ調停の状況を率直に教えて下さり、午後は、トレーニングの方法で扱いづらいポイントの考え方を紹介して下さった。
例えば、「トレーナーはデモを前でやった方がいい。トレーナーも失敗するが、それがよい。参加者にとって気が楽になるからだ」という説明があった。
単にレトリックとしてこういうことをおっしゃっているのではなく、それがスタンスとして徹底している。
自分というリソースを当事者に対して開放するのが調停であり、それをトレーニングの場で行うのが調停トレーナーの役割なのだ。
準備(ロジ)では不行き届きがあったが(サラリーマンとしてのセンスがますます失われている・・)、参加者のリアクションも良かったし、満足している。ありがたかった。
愛知県弁護士会から渡邊一平弁護士が参加され、昨年の対話シンポジウムとは、かなり違った雰囲気での話だった。
わたしが、少し話をさせていただいたのは、ADR機関の「機能サイクル論」。
①受付/応諾要請、②あっせん/調停、③合意/不合意、④社会への波及、⑤認知度向上のための努力という五段階での機能が連鎖し、それがうまく回転することでADRが発展するのではないかという仮説を話した。
まだまだ、自分の中でも十分にこなれていないのだが、考えとしても育てていきたいと思っている。
他には、静岡県司法書士会・芝知美さん、日本行政書士連合会から梅枝眞一郎さん、愛媛和解支援センターから松下純一さんが登壇。
医療メディエーションを考えるというものだった。
遺族・医療被害者の立場から豊田郁子さん、患者側弁護人の立場から加藤良夫教授・弁護士、厚労省役人の立場から佐原康之さんの報告。
会場には和田仁孝教授も。
昨日、ようやく終了した。
いくつか欠席したが、だいたい出席した。
参加型の活動が全くない講義だったけれど、独力で考え出した様々な説明や、現実の経験からのメッセージは、やはりインパクトがあった。
調停トレーニングについて、これは何をしようとしているのだという、考え方の整理、あるいは、体系としての充実は不可避だとおもうが、それと同時に、単なる道具ということではなく本物の現実を扱わなければならない者への教育という側面での充実も考えないといけない。
医療分野で言えば、現実の医療被害者の声を聞くといったこともあるかもしれない。
調停人が、「本物」でなければならないというのはどういうことなのか?
それを考えるべきだなというのが強い印象。
12/12で、5回ものの講座は終了。
弁護士は複数参加。お医者さんも参加。会社員の方も参加。大分去年とは雰囲気が違っていた。
今年に入って、弁護士さんにとっても面白いと積極的に言ってもらえる場面が増えた。
そこはかなり大きな進歩だとおもう。しかしまだまだ好意的な人が応援してくださっている段階に留まっているので、進化しつづけるようにしたい。
メディエーショントレーニングは、参加者の多様性が高いほうが、また、強制参加の色彩が弱いほうが、質が高くなる。
団体内でのトレーニングによく出ておられる方は、団体内で共通言語で話せるようになるといった固有のよさがあるけれど、たまには他流試合に出て欲しいなと思う。(わたしたちのやつでなくていいので。)
そうすると自分たちの良さを再発見することもあるのではないかとおもう。
懇親会では、「仲裁人協会(JAA)」におけるトレーニングの課題という話がでた。
どこから手をつけるのがいいのかなぁ・・
O弁護士と協働で三日間、基礎編。(12/14,21,23)
行政書士会は、たとえば、司法書士会が実施するという意味とは大分違う難しさを抱えている。
「メディエーションなら誰でもできます」ではなくて、「難しいけれどあえて取り組む意義はあるのではないか」というスタンスで話したつもり。
メディエーションは子どもでもできるし、無資格な人でもできる「方法」だ。
しかし、たとえ、弁護士法の問題を抜きにしても、士業団体は資格があるからこそ難しい。
そこを理解して取り組まないとニセ物になると思う。
11月の基礎編二日間に続き、1月10日、11日の二日間実施。
参加者は少し減って16名。
公益活動を熱心に取り組んでいる方が何人かおられた。
今回のトレーニングは種まきという位置づけだけれど、芽が出ると良いな。
「PIフォーラム連続セミナー2008」の担当分(2008/12/11,2009/1/15)は昨日で終了。
今年はファシリテーターの実務家やトレーナーも参加いただいたし、ファシリテーションに接点のない普通のサラリーマンの方も参加いただいた。
法律家・法律職相手とは反応が違っておもしろい。
昨年よりもさらにワーク重視にしていくつか組み替えた結果、自分としては大分やりやすくなった。
2時間ずつ合計4時間という短時間ワークショップでもある程度できるという感触が持てたのも収穫。
楽しそうに参加して下さると、なにより、よかったとおもう。
静岡県司法書士会のメンバーが講師となり、新潟県司法書士会で実施したケースマネージャ研修に、受講生として参加させていただいた。
調停を開始するまでの調整活動をどうするかを考えるもの。
これら調整業務は、「柔軟にやっている」というのは良いのだが、その「柔軟さ」が単なる言い訳に使われがちだというのが問題だ。
つまり、調停の場の設定という本来は調停セッション以上に大変な仕事が、コストが掛かるなどの現状のために、大変おざなりな状態に置かれていることが少なくない。
崇高な理念と立派な規則の裏側の、おそまつな調整実務をなんとか改善しようと一歩踏み出さない限りは、調停手続が普通の当事者、あるいは当の士業団体の法律専門職にとって魅力ある手続にならないだろう。
そこを正面から考えようというものでとても興味深かった。
新潟県司法書士会のメンバーもまさに取り組みつつある問題で、真剣そのものだった。
場違いな参加者を暖かく迎えて下さり、とても感謝している。
週末の、ケースマネージャ研修が面白かった。よくよく考えると、相手方呼出のテクニックというより、ADR機関が何をするかというシステムデザインの問題を扱わざるを得ない。さらに考えると、そのADR機関が何のために存在するかという根本的な問題が出てくる。
限られた資源の中で何ができて何ができないか、当事者を支援するとはどういうことなのかを具体的な場面に即して考えるというのは、とても面白い。面白いが、難しい。
共同講師は、權田光洋弁護士、大村扶美枝弁護士。
3月21日、22日の2日間、9時~18時までのスケジュール。
さて・・
日司連主催のシンポジウムが、3月19日に静岡であります。
パネリストとして呼ばれました。
日司連市民公開シンポジウム 静岡県司法書士会調停センター「ふらっと」開設記念『対話のチカラ』~納得・解決・話し合い~|日本司法書士会連合会
大田区・産業プラザPIOで、全国青年司法書士協議会のADRトレーニングを実施中。(共同講師)
プロボノ活動など、様々な方面で熱心な人たちがたくさん集まってくることもあって、いつも楽しみなトレーニング。
多重会務者(会務をいろいろ引き受けている人のことを、そういう場合があるらしい)など、人が良いというだけではなかなか勤まらない、良心的な仕事をされているひとがたくさんいる。
そういう人がメディエーションを学ぶというのは意義が大きいと思っている。
今回は、代理人交渉、応諾要請など新しい企画を試みている。
新企画の代理人交渉、応諾要請ともに、面白いセッションになった。
時間をもう少しゆったり取らないと、消化しづらいだろうという反省点があるが。
自分で言ってりゃ世話がないのだけれど、とてもおもしろい三日間だった。
しかし、同時に、トレーナーとして、もう一皮むけたいなぁという感覚を持った。
いつまでも修行中と甘えてはいけない。
しかし、いつまでも修行中。
東京司法書士会の認証記念シンポジウムに行ってきた。
金原亭馬生師匠の落語が見事だった。
これだけの人数を相手にしてもぶれることがない。
演題は、井戸の茶碗。
互いに正直すぎてお金を押しつけ合うという、一種の紛争について、くず屋がおろおろとあっちへ行き、こっちへ行き、大家にも出てきてもらって解決するという話が含まれている。
後のパネルディスカッションでは、メディエーションとの関係も議論されて、しゃれた構成になった。
懇親会にも参加させていただいて、金原亭馬生師匠の前の席でいろいろ話を伺った。
馬生語録:
・なんでも10年は無給で修行
・自分で、無口な噺家と言っている
・「間」は「魔物」-いつも同じ「間」がいちばんよくない
・落語では、観客と情景を共有できるかどうかが鍵だ
・しかし、説明しすぎはよくない
・4年前から俳句を習い始めた
・俳句は想像力を呼ぶところがおもしろい
・舞台に上がったとき、無にしてまず感じる
その後、少し気を発して、それが返ってくるのを感じる
強い気をぶつければよいというものではない
・日本語は、誰が、誰に話しているかで決まる
たとえば、清兵衛さんになって、お侍さんに話しかけるようにして話す
このような練習を入門したら最初に行う
http://www.h4.dion.ne.jp/~bashyo11/
http://11kingente-bashyo.de-blog.jp/blog/
2/21-22(2日間)・12時間の調停トレーニング。単独講師。
年齢も色々、経験も色々、でございました。
近畿の司法書士会は2000年代の前半から精力的に活動していたのに、ちょっとけちがついたりしていたので、再起動してくださるといいなぁとおもう。
NTTユーザ協会・もしもし検定で、メディエーションについて講義を一部担当してきた。(2/25)
午前中は、アサーティブジャパンの森田代表の三時間のセッションを傍聴させていただいた。
トレーニングを15年やっているそうだが、それはそれは完成度が高かった。
また、理念的にメディエーショントレーニングと通じるところが大きいということを改めて感じた。
アサーションは自分の意見をはっきり伝えるだけで終わらず、相手の権利をしっかり認め、対話するということが大事と強調しておられた。
フォーマットを使って話すことのメリットと危険を一緒に話しておられたのも印象的だった。
勉強になった。
わたしがファシリテータを務めたのはITセッションだった。
高知工科大学の菊池豊さんから趣旨説明があり、日立コンサルティングの田熊伸好さんからシステム開発におけるステークホルダごとのニーズの違いと、プロジェクト失敗要因の分析についてのプレゼンがあった。具体的な失敗事例に対する言及もあって、興味深いものであった。
その後、PIフォーラム事務局であり、モデルビレッジの社長である小松一之さんが、建設会社で行ったITシステム導入のためのステークホルダ分析調査(社内ヒアリング調査)の事例を詳しく報告した。
ヒアリングで聞いた内容は、たとえ社長から聞かれても開示しないという守秘義務契約を結んだ上で、なぜ、前回のシステム開発が失敗したのか、それぞれどんなことを望んでいるのかといった話があった。
このプロジェクトは、結果的には大成功だったようで、システムベンダからも感謝され、報酬の上積みさえあったという。
そのあと、わたしが参加者にふせんに「!」(興味を引いたこと)と、「?」(疑問、質問)を書いてもらうという参加型ワークのさわりみたいなことをした。
こういう参加者いじりについても、新鮮に受け取って下さった人もいたようだ。
ITの合意形成の議論は、観念的な議論(プロジェクトマネージャのミッションがなんたらかんたら)になるか、プログラミング時の命名規則みたいなやけに具体的な(かつ局所的な)議論の両極端に陥りがちだけれど、なんとなく、両方をつながなければならないし、そのための方法論も少しずつ整理されてきているという話を感じることができたのではないか。
*
参加された方の感想:
3月14日、15日の二日間、12時間の基礎編研修。昨年に続いて2回目。継続は力なりということで。
弁護士のOさんと共同講師。
静岡駅から5分位のところにある静岡銀行のビルのイベント会場でシンポジウムが行われた。
これは、静岡で行った日司連の企画である。
法務省、法テラスからも後援が得られていた。
シンポジウムでのパネリストだった、ピア・サポートをされている高校教師の山口さんの話もおもしろかったし、労金に勤めながら長年にわたって多重債務者支援を続けておられる勝又さんの存在も改めてすごいとおもった。
居るところには人は居るのだなぁと感じる。本物の人とつながっていくことが大切だと感じる。
*
静岡県の司法書士会というのは、他県と違う「温度」を持っておられる。
ADRでも熱心で司法書士会として、神奈川、東京に次いで法務省の認証をとったということなのだが、それ以上に、消費者運動の草分けとして献身的な活動を続けておられる。
静岡県は消費生活相談分野でも有名なところだが、消費生活センターと司法書士会の連携もあるらしい。
こういうところだから、単に書類を作るのがうまくて申請が早く通ったということでなく、そのスタンスが評価されているのだろう。
ふらっとで、申立てに5万円かかるというのは、庶民にとってはハードルが高く見えると思うが、静岡市民に愛されるものに育って欲しいとこころから思う。
(ふらっとのWebサイトでは、20分の動画で、調停手続を紹介している。)
過去のエントリー:
静岡県司法書士会のシンポ、報道される
静岡のシンポジウム
正確には、東京三弁護士会実務研究会主催だったのだが、東弁の方しか出席されなかった。
3月21日、22日の二日間。両日9:00-18:00までの16時間。15人の出席。
共同講師は、弁護士のGさん、Oさん。
コワモテの論客も少々混じり、プレッシャーのかかる状況だったが、結果的にはかなり好評だった。
さる方から、岡山弁護士会のときみたいにはうまく行かないよなどと警告されていたので、心配していたが。
弁護士の優秀さがでる項目と、弁護士でも難しいところの両方が少し見えた気がする。
前者は、分配型交渉(リスク評価ができる、価格のダンスの性質を知って使いこなせる)についてや、評価型調停の限界をよく理解している点など。
後者は、基礎的な傾聴、課題設定と統合型交渉への転換など。
トレーニングに出ていただけると、弁護士相手でも伝わるという実感が持てたのはなにより。
経験豊富な方々が、謙虚にとりくんでくださった、という運の良さに助けられたのは事実なのだけれど。
去年に引き続き、静岡県司法書士会で二日間の調停トレーニングを担当させていただいた。
3/28,29 10:00-17:00。参加者20名。
1人講師で行ったが、事務局の名波さんと芝さんとの事実上の共同講師という体制で進めることができ、おもしろかった。
冒頭は小澤さんが挨拶していただけたし、帰る間際には登山さんがかけつけてくださり、贅沢な陣容。
静岡では、新人を主な対象者としてこのトレーニングを年中行事化しようとしている。
年齢は様々な「新人」に参加いただき、また、ベテランも何人か混じっての参加だった。
認証を取った程度で達成感を味わっていないで、これから攻めていこうという姿勢があってすばらしいとおもう。こういうところに呼んでいただいて本当に光栄。
早稲田総研で、メディエーショントレーニング二日間を行った。今回は3回目。
市ヶ尾小町さんにも手伝っていただいて。士業団体で頼まれる場合一日6時間のことが多いが、早稲田総研では一日7時間(合計14時間)行う。その分少し丁寧に進めることが出来る気がする。
公開講座としては新しく準備する実践中級編にも沢山申し込みをいただけるといいなとおもう。
今回は、社労士の方が多かった。また、司法書士の方にも、アナウンサーの方も参加いただいた。
また、東洋英和大学の名嘉憲夫さんも参加くださった。
名嘉憲夫(2002)『紛争解決のモードとは何か―協働的問題解決へむけて』(世界思想社)
イーゼルパッドテープルトップ(模造紙にふせんのりがついているもので、卓上に自立させられるタイプのもの)を使うことができて、参加者は興味津々だったようだ。
早稲田総研事務局では、ASKULから買っているそうだ。
楽天でも見つかる。
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Amazonでは今在庫がないようだ。
社団法人仲裁人協会(JAA)・研修部会の幹事を引き受けることになった。
調停トレーニングの企画などとともに、調停トレーニングプログラムの改善についても活動できればなと考えている。
少し前から準備していた、新しいWebサイトを公開します。
このサイトを作るに当たって考えていたことは、以下の通り。
1.メディエーショントレーニングの品質向上
言い訳せずに品質向上に取り組む。
自分のトレーニングを向上するとともに、一緒にトレーニングをする仲間の品質も高められる機会をつくる。
2.複数トレーナーで行うトレーニング機会の確保
様々な組合せでトレーニングを実施していきたい。そして、そのプロセスで、様々な知見や経験を取り込んでいき、よりよいプログラムにつなげる。
3.メディエーショントレーニングの提供範囲を企業その他に拡げる
これまで口コミ中心、士業団体中心に広がってきたトレーニングの提供範囲を見直し、企業向けに拡げる。
*
当然ながら、研究者として実務研究は引き続き続けます。
また、メディエーション活動家として、これはと思う相手の支援も続けます。
といっているわたしのほうが、サーバイブできるかな?
(社)日本技術士会北海道支部 コンサルタンツ北海道 116号
テクニカルスクール合意形成の技法 (PDF)
2008年7月14日の活動記録。(PI-Forumとして実施したもの)
対話のチカラ・ドットコムというURLがすてき。
FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会 - 2009年5月23日(土)~24日(日)“ファシリテーションフォーラム2009”@お台場
「ペア・ファシリテーション~インプロでつながるワークショップ~(村野秀二氏)」と、「ファシリテーション "私のルーツ"(松尾公博氏)」に出た。
私にとって、インプロは初体験。村野氏は、キヌガワユリさんといっしょに活動をされている方らしい。もう一人、たかこさんとおっしゃる方が、ペアファシリテーターとして参加されていた。
営業研修や、チームビルディング、リーダーシップ研修などに加えて、「仕事への関わり方を考える」ための研修という文脈でも行われているようだ。失敗してもOK、とりあえず体から入ってみるという発想を学ばせる、体を動かすと感じることも変わる・・こういうシンプルなメッセージだけを伝える。
動かないこともOK、動きたくない自分もOKということはかなり強調されていて、そのあたりはなるほどと思った。一つ間違えると、駅前で大声で歌ってみよう的なモーレツ研修に誘導できるという危険があるので、身体系のワークショップこそモラルが大事だ。
もう一つの、「私のルーツ」という方は、2人や3人で話す小グループ活動が中心だった。メインテーマの「ファシリテーションを知る前に、ファシリテーター的役割を果たした経験」を考え、話し合うのはなかなか楽しかった。同じグループに入った人がたまたま新潟の方で、関川さんの話でひとしきりもりあがることができた。いろいろ縁があっておもしろい。
参加者も、芸のある人が多い感じ。
スタッフに聞いてみると800人位の参加だったそうだ。専従スタッフもなしによくこれだけのイベントを回している。ローソンのチケットシステムを使ったのも省力化の一環だったそうだが、確かにノウハウを持った人たちが集まっている。理事を5年で完全に入れ替えるという方針を持っているらしい。
二日目は午前は、「NPO運営とファシリテーション(徳田太郎氏)」、午後は「人間関係ファシリテーションへの誘(いざな)い(人間関係ファシリテーション 横浜勉強会)」に参加した。
午前は、NPOや市民団体そのものの内部での話し合いが難しいというテーマで、グループディスカッションが中心の進行。
徳田氏のファシリテーションがあまりに見事だったので、彼の本(ブックレット)も買ってみた。
「運動は事務なり」というのは、市川房枝の言葉だそうだ。
セネカの言葉「困難だからやろうとしないのではない。やろうとしないから困難なのだ」という言葉も紹介していた。
どうやら、決めぜりふコレクターのようだ。おもしろい。
徳田氏は、JMCのトレーニングにも参加経験があるらしい。
メディエーションにも関心があるようだ。
午後のセッションは、2時間で完結するように工夫されたグループプロセスアプローチだった。
アイスブレークの仕方や、「問い」のつなぎ方みたいなことに関心を持って参加していた。
必然性のある構成にするためには理知的に考えを詰めることがやはり大事、それとともに、参加者と自分自身を信じた「いい意味での開き直り」みたいなこともやはり大事と、改めて感じた。
わたしは、異業種交流会的なアグレッシブさがどうも苦手で、そういう雰囲気を全体としてかなり強く感じたのだけれど、小さめのセッションを選んだこともあり、参加して良かったと思っている。
6月6日の愛媛和解支援センターの親睦研修会に参加し、6月7日にはセンターでミニトレーニングの講師を務めてきた。
親睦研修会では、しまなみ海道の、村上水軍博物館と大三島・大山祇神社に行ってきた。
行ってみて、海の民・伊予の拠点というべきところだということがよくわかった。
大山祇神社は、「日本総鎮守」ともされるだけある荘厳さがあった。
国宝の刀や鎧もすごいが、楠の大木の存在感がすごかった。
時宗の一遍も、愛媛出身で、河野水軍の一族の出身らしい。
伊予のアジールというのが、なかなかの壮大さを備えているらしいということが感じられて、興味深かった。
村上氏は、豊臣秀吉の海賊禁止令等を経て、最終的に周防大島に引き上げたらしい。
6/13は、全国青年司法書士協議会の調停人養成講座、全7日間のうちの最終日。
明日14日は、芝さん達によるケースマネージャ研修1日が予定されている。
神奈川県司法書士会調停センターで、調停トレーニングを2日間実施した。
参加者は21人で、事務局職員の方1名を除くと全員が認定司法書士だった。
神奈川県司法書士会は、司法書士会として最初にADR法上の認証を取っていたが、調停人候補者の数が少ないという課題があったようだ。
神奈川会では、稲村厚さんをはじめ、講師ができる人が複数いるところだが、同じ会の参加者に講義をするのはやりづらいのかもしれない。
認証後初めてのトレーニングだったようだ。
途中で、神奈川会の手続の説明をしてもらったりできて、現場感のあるやりとりができたのが、とてもよかった。事務局職員の方がこういうトレーニングに参加するというのも、ありそうで、非常に少ないが、大事な取り組みだったと思っている。職員の方にとっては、やりづらい面もあったと思うけれど、勇気を出して参加して下さった。トレーナーの立場ではとてもありがたかった。
一人での14時間のトレーニングだった。・・とても疲れた。
でも、手作りで考えながら進んでいこうと気合いが入っている人たちと一緒に仕事ができるのは、とても光栄。
6/27(土)、早稲田総研で交渉力養成講座を開催した。
遠くからの参加者も多かった。参加は11名。
参加者は、調停に関心がある方が意外と多かったが、もちろんそうでないかたもおられた。
もともと知り合いの方以外は、ネットを見て参加ということだったようだ。
いつも、交渉前に自分と相手の主張と利害を分析することで準備とするというワークをやることにしているのだが、いまいち、このワークの意義をうまく伝えきれない感じがしている。
言い換えの練習などのようないかにもスキルスキルした活動とちがって、交渉に役立つという実感を持ちにくいのかもしれない。
2つの二者交渉ロールプレイと、1つの代理人交渉ロールプレイ(四者交渉)を行った。
交渉トレーニングというタイトルは流行らないと言われたのが気になっていたのだが、参加いただいた方からの反応は悪くなかったように思う。もちろん反省点はいくつかあるが。
2009年8月10日(月) 17:00-20:00
場所 日弁連1703(仲裁人協会主催)
参加費 無料(ただし、9月以降の勉強会では1回あたり500円~1000円程度になる見込み)
内容 9月以降1ヶ月に1度のペースで行う勉強会の進め方を話し合う。現時点では『調停のプロセス』の輪読会と調停ロールプレイの組み合わせを想定。
想定している参加者は、何らかの調停トレーニング受講経験者。
正式な案内はまた追って。
ゼミみたいな感じで、和気藹々とやりたいなとおもいます。
出席してきた。
Folberg先生(サンフランシスコ大学、JAMS)の話。
・35年間教えてきた。
・35年前にはメディエーションと、メディテーション(瞑想)と違いをだれもわかっていなかった。
・以前は、弁護士は、メディエーションを拒否していたが、法文化が変化してきており、現在は、多くの法律家がメディエーションを歓迎している。
・メディエーションは当事者が自発的に選択する手続であることが重要。メディエーションは、競争市場になっている。メディエーションは、ADRのなかでもっとも歓迎されている。
・米国の経験を日本にするように助言するつもりはない。
・米国でメディエーションは、大陸の西と東でさかん。大陸の中央部は盛んでない。
・普通は、弁護士が代理人についている。
・調停人は弁護士が多い。
・JAMSで働いている。JAMSは、全米で23オフィス。240フルタイムメディエーターがいる。
・大きな収入を得られている状況である。
・バンカメとチェースマンハッタンのケースや、マイクロソフトとクラスアクションのケースも扱っている。
・評判や経験で選んでいる。弁護士が調停人の評判を見て選んでいるのでうまく機能している。深刻な問題はない。
・裁判所では、リストが必要になるので、大事になる。リストアップされる調停人については条件が問題になる。カリフォルニアの場合にも、メディーターになるには、弁護士である必要はない。
・サーティフィケーション(認証)とライセンス(資格)は違う。サーティフィケーションは、表示義務だけがある。
・カリフォルニア弁護士会のチェアーだった。サーティフィケーション(認証)を1年半検討したが、結局やめた。
・サーティフィケーション(認証)などの専門家の活動は、利用者や素人に対する共謀になりかねない。
・日本では、法律家が代理しない場合が多い。その意味で、認証のニーズが高いかもしれない。
・JAMSでは、350ドルから1000ドル以上のタイムチャージ。経験、認知度による。
・自分は、1時間 600ドル。1日6000ドルが標準。JAMSの中でまん中あたり。
・平均的には、8時間のフルデイ、2時間の準備くらいの長さ。
・早ければ、半日で終わるものもある。長いものは、2,3日かかるものもある。
・裁判所からの回付のものでは、25%を受け取る。
・自分もまったく無料のものもやったことがある
Boulle先生(オーストラリア)の話。
・20年以上調停にたずさわっている。その前は、法律家としての仕事。
・メディエータとして活動するのは、簡単なキャリアパスではない。学生にメディエータになりたいと言われると、メディエータ以外の経験が必要だと言っている。
・2008年度から国内調停者許可制度が稼働。促進型モデルによるもの。
・この許可制度では、祖父母規定(grandparenting provision)がある。継続研修は必要。
・2009年4月の実態調査では、規範を疑問視する結果。利用者の半分近くが不満足。利用者の7割が強制されていると感じた。評価型の実務になっている。
去年は傍聴していただけだったが、今年は前で話をさせていただいた。
タイトルは、「ADR機関活性化に向けて ~民間紛争解決機関の機能と課題~」。
話した内容は、司法調停が充実している社会的環境の中で、民間調停をいかに位置づけることが可能かというものだった。
士業団体のADRは、あっせん人・調停人の自己満足だとかかなり厳しい状況認識を話した上で、しかし、具体的な事例レベルで見ると、民間調停ならではの価値を生み出しているものがあるという話をした。
同業者に対して、本当かどうかが怪しい「やすい、うまい」と漠然とした話をしても信用されない。
しかし、例えば、不倫事件の不倫の側からの申立なら、家裁で受けるわけにも行かないが、民間調停なら受けることもできるといった話を知っているかどうかが大事だとおもう。しかもその申立人が例えば妊娠していたら、1ヶ月に1回の手続では負担が大きくなりすぎる。こういうものをしっかり受けとめられる場があると知っていれば、会務といった義務感などではなく、むしろ代理人としてのプロの責任感で事件を持ち込むようになるだろう。
こういうレベルで、事例を約30個列挙した資料を作って話をした。
もっとこうした具体的なストーリーの共有をもっと進めることが大切なのではないか。
認知度を漠然と上げようといった話よりも、一つ一つの事件への取り組みを丁寧に行い、当事者や代理人の信頼の獲得に向けて努力を重ね、そこからの教訓を抽出して、ADR運動につなげることが大切ではないかという趣旨で話をしたつもり。
論文に仕立てて、どこかに投稿せねば。
全体の詳しい進行は、芝さんのサイトを参照。
ところで、弁護士会の講堂の半分を仕切って、大きなロの字状に机を配置してある。
座席も組織単位での指定で、とても話しづらい。
言ってみれば、ファシリテーションという概念などと真逆の会議スタイルである。
とはいえ、こういう課題はあるにしても、他士業も呼ぶという姿勢自身はまったく正しいし、実務家として、具体的な現実に対する真剣さにおいては、弁護士独特の迫力があり、勉強にもなったし刺激も受けた。
そのうえ、懇親会の食事まで招待していただけてありがたい。ごちそうさまでした。
懇親会で、ある方に、「ADRのことをしていて楽しいですか?」と真顔で聞かれた。
楽しいですよ、はい。
8月10日17:00~ (場所)弁護士会館1703 です。
みなさまの参加をお待ちしています。
7/29 9:00-17:00の7時間の研修をさせていただいた。
参加者42人。
佐賀県は、人材育成に力を入れていて、かなり意欲的な活動をされている。
ここを見ていただければ、かなり普通の自治体と違うところがお分かりかとおもう。
研修プログラムが充実した組織で講師をするのも緊張するところがあるが、ホワイトボードなどもたくさんあって、やりやすかった。
交渉のデモをやったり、傾聴ワークをやったりと、6月の交渉トレーニングの反省を反映させたところはよかったとおもう。
県庁向けのプログラムとしてアレンジしたのだけれど、最後のロールプレイなどは、設定が複雑すぎてわかりにくかったなど、やっぱり課題は出て来た。
管理職の人が多かったのだけれど、研修ずれして、破壊的な活動をする人などひとりもおらず、前向きに取り組んでいただけてよかった。
先日でた「仲裁・ADRフォーラム」第二号の原稿をWebに上げて良いという出版社の許可が出たようですので、自分の原稿だけ公開します。
感想などをお聞かせいただければ幸いです。
8/10(月)の調停技法勉強会ですが、人数が想定よりもかなり上回りましたので、募集を締め切りました。
FAXまたはメールで申し込みをされた方は問題なく参加いただけますが、受け付けられたか不安がある方など、緊急の連絡が必要な方はお手数ですが入江(070-6965-8055)まで電話いただければと存じます。
8/8 13:00-17:00
全青司が主宰したADR情報交換会に出席させていただいた。
司法書士会以外の参加者も認めるというスタンスの情報交換会だった。
22機関の参加だったのだが、なぜかわたしも”一機関”の扱い。
不思議な立場だが参加させていただいた。
若い実務担当者が中心の情報交換会だったが、1回目としては大成功だったのではないか。
愛媛から松下さんもかけつけ、激励をされていた。
まずトレーニングを受けてみるとか、まず機関をたちあげてみるということはとても大事なこと。
ただ、その次にやるべきことというのが案外難しい。
もっと刺激の強いトレーニングを受けるというのもいいし、認証に向けて努力するのもいい。
でも、「社会に対して踏み出していくこと」なしに、内向きの議論に埋没してしまうと、活力はすぐになくなる。
わたしは、外に向かって働きかけをしていくのが何より大事だと思うし、外に向かっての働きかけを絶えず反省し、修正していきながら継続するのが大事だと思う。
現にそうやり始めているところも出てきている。司法書士会全体としてそういう動きを大切にして育てて欲しいと心から思うのだ。
昨日(8/10)、仲裁人協会で調停技法勉強会(準備会)を実施した。
開催直前に申し込みが増え、最後は締切せざるを得ない状態だった。
(お断りさせていただいた方、すいません。)
様々な士業、カウンセラー、医者、企業の方などさまざまな参加をいただけ、多様性に富んだ会になりそうだ。
準備会そのものもグループワーク主体で構成してみた。
配付資料を極力少なくして、ふせんとマーカー、A3・A4の白紙くらいしかない状況下での進行にした。
普段のトレーニングでは配付資料過多なので。
かなり詳しい方と、そうでもない方が混じっているが、それもまた良いのではないかと思っている。
ただ、昨日の段階では、やはり戸惑っておられた方もいたので、これからゆっくりやっていきたい。
会そのものは非常に熱気のある雰囲気で進んだ。
やや強引に参加者に役割を割り振らせてもらったのだが、楽しんでいただけるとありがたいとおもうし、わたしも楽しむ意識でやっていきたいとおもう。
参加頂いたみなさま、これからよろしくお願い致します。
電話応対研修の一部として、メディエーション研修が取り入れられている。
愛媛和解支援センターには、プロのアナウンサーでマナーやカウンセリングの講師もされている方が活躍しているが、話をする、話を聴くプロはメディエータとして向いている人も多いかもしれない。
8月22日に長野県行政書士会で、調停技法トレーニングで講師をさせていただいた。(1日、6時間、参加者24名)
長野県行政書士会では、単に研修を受けるだけでなく、試験をして適性があるもの、理解しているものだけを手続候補者にしているそうだ。(東京都行政書士会もそうだが・・)
すでに昨年、調停技法トレーニングを受け、試験に合格したものを対象とする講座だった。
目的意識確認
調停ロールプレイ1
調停デモ(フィッシュボール)
傾聴ワーク
調停ロールプレイ2
という構成。
昨年に引き続き、I先生と二人で2日間12時間の講座を担当。
参加者は35人。司法書士以外からの参加あり(参加したのは1名だったが)。
近畿司法書士会連合会は、同席の対話支援型調停のさきがけ。
今回は、調停トレーニングについて予備知識がない方が多かったようだ。
若い方から高齢の方まで(77歳の方に参加していただいた)だったが、参加意欲が高く、やりやすかった。
近畿の司法書士のADR活動がもう一度もりあがってくれるといいなと願っている。
今回から、「ADRの概論」のプレゼンの内容を見直した。
いままで話していた裁判と調停の比較や米国の事情などでなく、司法調停と民間調停の比較の議論を紹介した。
コーチングでトレーナーをされているHさんが、前半に傾聴のワークをしてくださった。
世間話などでのふつうの聞き方と傾聴技法がどう違うかをワークを中心に考えるという手法。
この内容を無料で勉強できたというのは、とてもよかったのではないだろうか。
わたし自身も勉強になった。
特に、テープレコーダーバックという手法で、30秒間話した内容を、語順も変えずに、情報を省略せずに相手に伝え返すという練習手法を紹介して下さった。
調停技法を勉強している人でも、このレベルの傾聴技術が、身についている人はほとんどいないとおもう。わたしも自信がない。
それ以前に、このレベルの練習が必要ということの自覚がない人が多いのではないかと思うので、その意味でとても良い練習かも知れないと感じた。
河合隼雄さんは著書のなかで、カウンセラーは、ノートを取らずに1時間位のセッションを、事後に正確に再現できるようになる訓練をする--それくらいできなければ「話にならない」とさえ言っている。
「なんとなく傾聴っぽい」のと、プロの技法として水準に達している聴き方には、大きなギャップがあるのだろう。それを意識できるというだけでも、この練習技法は有用そうだ。どこかで取り入れてみるつもり。
ロールプレイでは、3組だけが実演し、後は観察するという企画だった。
不倫をされた奥さんが、不倫相手に慰謝料を請求する事案だった。
1組だけ、女性同士が当事者役になったところがあったが、盛り上がりすぎて、調停人が困るというリアルな展開になった。
飯田邦男家裁調査官にも見学に来ていただき、評価していただけたようだ。
非常に熱心に準備いただいたみなさん、また、負けずに熱心に参加して下さったみなさん、ありがとうございました。
ある参加者から、この勉強会の手法を参考に、別の勉強会を立ち上げようと思うという話を伺った。
ぜひ、どんどんパクって下さい。
福島県土地家屋調査士会
ADR研修会 2009/9/19-20。
調査士会での研修は今回が初めて。参加は30人弱。
新潟の関川さんに手伝ってもらって一日終わった。明日もう一日。
今回、「第15回ADR研修会」だということだ。すごい回数・・しかも、ほぼ皆勤賞の人も居るらしい。
盛況のうちに無事終了した。
福島民報という地元の新聞社が、研修会の様子を写真入りで記事にしてくれた。
福島調査士会のように、ADR研修会を、内向きのスキルトレーニングと見なすだけでなく、広報の機会と考えて様々に声をかけていくということはもう少しされてもよいように思う。
調査士の仕事は、依頼主のお隣さんから、承諾のハンコをもらう必要がある。この日常業務に調停技法研修が直接的に役に立つのだそうだ。
岩手と山形からも参加いただいたが、遠くから来てよかったと言っていただいて、ホッとしている。
福島県弁護士会示談あっせんセンターのセンター長の佐藤初美弁護士が2日間終日参加してくださった。おだやかで支援的ですばらしい方だった。
二日間の研修会のパターンとしてはだいたい固まってきているが、今回は、針混入事件ではなく、行列植木鉢事件をメインの素材として取りあげてみた。針混入DVDは使えないが、トレーニングとしてはなりたつことがはっきりしたとおもう。
二日間の研修会で、課題の特定と選択肢の創造までカバーするプログラムだったが、特に12時間しかないと後半に慌ただしい感じになる。思い切ってその前のところまでを丁寧に進める方がよかったのかなということも考えるが、わたしとしては、課題の特定部分が、この調停スタイルの核心部分とも思っているので、できればこれを扱いたい。なかなか答えが出ないところだ。
Oさんと共同講師で実施。9/26-27の二日間、12時間。参加者21名。
二日目に、当初の予定を変更して、共同調停のデモを行った。
当事者役が名演技で、つい、1時間半も前で実演し続けた。
見ている方も大変だったに違いないが、少なくとも気合いだけは伝わったという面はあるとおもう。
主調停人役をされたOさんも体力がある。
その後の雰囲気が引き締まり、盛り上がってきた。
自主的な勉強会を立ち上げたいという声も出て来て、こういうのは本当に嬉しい。
正直言って、行政書士会の単位会のトレーニングは大変なのだ。
トレーナーとしても、どういう動きに育つのかについて、期待も心配もしている。
棚瀬孝雄/豊田博昭/山城崇夫/大澤恒夫 編(2009)『小島武司先生古稀祝賀<続>権利実効化のための法政策と司法改革』(商事法務)
3年越しくらいかもしれないが、ようやく出た。ともかく無事出て良かった。
サービス産業ADRと金融ADRについての報告。
サービス産業ADRについては、無事プロジェクトとしては続いているようだ。よかった。
金融ADRについて、来年施行の法律について分析していただいた。
これまでちゃんと勉強していなかったので、良く頭に入った。
金融ADRについては、片面的な拘束力がある「特別調停案」が出せるというスキームになっているという点などが話し合われた。
大岡裁き的な性質を持つともいう「特別調停案」がどういう形で使われるようになるのか。
中村先生は、「特別調停案」を出すということが、実体規範性を強調するのか、手続規範性のなかでの活用を追求するのかによって、そのADR機関の性質が変わるだろうとおっしゃっていた。
中村先生は、いつものとおり、①個社の相談、②ADRの相談、③調停の連携が大事で、特に、①と②の規律が大事という立場で話されていた。わたしもこれが大事だと思う。
ただ、①、②を大切にするというのは、業界の<態度>の問題である。銀行その他の金融機関は、ちょっとやそっとで心を入れ替えるようなタマではないという印象がある。
「特別調停案」が消費者寄りなら、金融機関は片っ端から、訴訟を提起して、調停を無効にするのではないかという懸念がある。その場合に、ADR機関が何ができるのか、そこが見えなかった。今回見送られた「自主規制機関化」、あるいは、行政処分そのものとの連携の設計が必要だろう。
紛争や問題そのものは山ほどあるはずだが、金融行政は伝統的に問題を顕在化させない方向でやってきた。
大蔵省から金融庁が独立して、護送船団からの脱却という方向に舵が切られているとはいうが、まだまだやるべきことは多いだろう。
ところで、業界団体ADRの設計では、担い手を誰にするかがいつも問題になる。
話が通じ、公正性を追求でき、バランス感覚もあり、コストがあまりかからず、誠実で、粘り強く・・と、とても高い能力と意欲を持った人が欲しいということになる。
士業ADRが業界ADRの人材供給源になるという可能性も現実的にもあり得る話だとおもう。
このあたりは大事なのに、まだまだ充分に検討されていない。
*
仲裁人協会・調停人養成講座中級編の実施延期が決まった。
申し込み人数が集まらず、開催が見送られた。
わたしにとっては、このような開催見送りは、初体験。
日弁連の会議室を使ったトレーニングで、独特な良さがある研修会だっただけに残念。
もう少し参加ニーズを謙虚に聴き取っていく姿勢が必要だということだろうと思う。
少ないとはいえ、申し込んで下さった方には非常に迷惑をかけたので、お詫びしなければならない。
何らかの形で面識がある方に参加していただいての実施だった。参加者は15人。
人柄がよい参加者ばかりで、なんとなく、終えるのがもったいないようなまとまり感がある良い雰囲気だった。
飯田邦男さんもフルに参加して下さった。
扱った内容は以下の通り。
傾聴スキル(3人での演習)
倫理
調停ロールプレイ(近隣関係:行列植木鉢)
調停フィッシュボウル
合意文書作成
応諾要請(消費者関係:リラックスワン)
同席・別席
調停ロールプレイ(労働関係:Yシステム)
まとめ
10月10日-12日までの3日間は、全青司のトレーニング。
早いもので第4期。
今回は32名の参加。今年は、司法書士会外からも2名の参加があった。
あと1日。
10月10日は体育の日で、子どもの運動会だったのだが、仕事を優先した。来年は運動会を優先しようとおもう。
早いもので今回は第4期だったのだが、全青司の会員以外の司法書士も多かったようで、多重会務者中心の初期とは様相が異なってきている。その意味で、運営者側と参加者に距離が広がってきている。
単位会から支援を受けて参加していただいたかたもおられたようだ。
今回はフィッシュボールで実演した点や、司法調停と民間調停の違いについて考えたところなどが前回までと変えた点としてある。
この全青司の7日間40時間のプログラムはかなり構成を考え、毎年試行錯誤を重ねている。
そろそろベース事案のバリエーションを増やしたいと思っているのだが。
研修会の企画は2日間のものが多いのだが、近司連では昨年に続き、4日間の企画。
全体としては、3日目と4日目にあたるのが中級編の位置づけになる。
中級編が実施できると、倫理や合意文書作成のパートを扱えるし、基礎編の傾聴や課題の特定の復習もできるので、ひととおり学習した感じになる。
*
自主的な勉強会を重ねると、マンネリ化して、活動が雑になるという問題がある。
特に内輪だけでロールプレイを繰り返すと、ロールプレイで緊張することはなくなるのだが、技術が上達せず、変なベテラン意識だけが肥大化するという問題がある。
最近、外部からトレーナーとして呼ばれるということは、そういうものの掃除という意味もあるのかなという気がしてきている。
そういう状況になるのを防ぐには、外に向かってエネルギーを向けることが大事なのではないかと思う。例えば、部外者を勉強会に招くのも1つだろうし、外向けのイベントを準備するのもよいとおもう。
また、ひとりでしっかり文献を読んだりして、勉強を深めるのも大事だと思う。
非常に常識的な結論だが、それが、難しい。
参加者に恵まれて濃い内容の二日間だった。
近畿のADRに関わる司法書士も、再活性化ができそうな予感がした。
やはり、司法書士以外の参加者を認めていただいたことが良かったようにおもう。
また、少数だが実践をしている方の参加もあり、そういう発言が貴重だった。
しかし、一番は、9月の基礎編に初心者として参加して下さった方が、自分の問題として誠実に情熱的に向き合って下さったことかもしれない。こうした参加があると、トレーナー側としては達成感が大きい。
わたしとしては、まだまだ課題はある。
例えば、応諾要請についてのトレーニングは、センターの運営に関わっている方と、そうでない方の意味づけが違う。そうした配慮はもっとすべきだったように思う。
1日目
目的意識確認
傾聴復習-仕事をやめる友人の相談
倫理
課題の特定復習-二宮さんと藤沢さん
調停ロールプレイ(行列植木鉢)
2日目
調停フィッシュボウル
合意文書作成
応諾要請
調停ロールプレイ(不動産の持ち分がほしい)共同調停での実施
昨日の午前は、仲裁人協会の実務上の諸問題研究会。
「当事者に守秘義務はあるか」「当事者による調停人への不信(苦情相談、忌避)」などがテーマ。
実務論あり、法律論ありで、とても面白い。
スキル論だけでも、解釈論だけでも調停はできない。
しかし、大事なはずの問題なのに、十分に検討されていないものが実は多い。
少なくとも、実務家があまり意識せずに通り過ぎてしまっている論点を丁寧に掘り起こし、整理したい。
こうした地道な活動が民間調停の品質を上げ、司法調停にも影響を与えると思う。
夕方は、やはり仲裁人協会の調停技法勉強会。
こちらのテーマは、「イシューとアジェンダ」及び、公益施設建設をめぐる調停ロールプレイ。
扱いづらいテーマだったが、担当班の方が、かなり一生懸命準備していただいた。
参加者が多様なのと、かなり勉強されている方も参加されているので、ぜいたくな盛り上がりがある。
この勉強会を企画する前は、東京ではかえって勉強会がしづらいのではないかと思っていたが、やはり東京ならではの企画というものもありえるのだとわかった。
10/31-11/1の二日間。10:00-17:30。26名の参加。
年配の方が多く、女性が少ないという人数性別構成だった。
それでというわけでもないが、ゆっくりと進めるという方針でさせていただいた。
最後まで熱心に参加いただけてよかった。
最近は、当初予定の計画にこだわらず、様子を見て進めるようにしている。
千葉司法書士会の研修担当の方は、さまざまな調停トレーニングを体験して知っておられる方だけに、依頼があったこと自体、光栄だと思っている。
ところで、調停技法トレーニングを特に士業の単位会で行うような場合に、トレーナーとしては二日間は少なすぎる。そんなに簡単に人は変化しない。
しかし、団体内では二日間13時間というのは他の研修などに比べると突出して多く、拘束が長すぎると捉えられるようだ。
このあたりのギャップ感がある。
昨日は、調停技法勉強会で、「ピア・メディエーション」についての報告だった。
臨床心理の勉強をして中学校で相談員をしているOさんの話を中心に議論をした。
学校現場で生徒同士が喧嘩した後の一般的な「処理」の流れを寸劇でやっていただいた。
「謝罪指導」という言葉もあるらしく、問題の本質の深さまで入っていくというよりは、表面的に両方に謝らせるという行動をとりやすいということがよくわかる。しかも、教師は忙しく、いちいち入り込めないし、入り込みすぎて責任を追及されるよりはそのほうがよいという意識もある。この教師の意識と、裁判所の調停委員の意識が、もしかしたら近いのかもとおもった。
社会心理には紛争・葛藤という概念はあるが、臨床心理にはその概念自体がなく、個人の内的世界しかないという話もあり興味深かった。認知行動療法における問題解決とか、コミュニティ心理学や家族療法におけるシステムへの働きかけという概念と、メディエーションの問題解決の関係については、もっと議論を深めたい気がした。
士業は元より、臨床心理士、医者などもいて、まさに多士済々だ。わたし自身がとても勉強になる。士業団体でも内部でのリーダー格の方が多く参加している。とてもぜいたくな環境だ。
その後は、Oさんの相談事例を元に、メディエーション可能性についてグループで話し合った。難しい事例が多く、メディエーションに向く場面を見つけづらい。しかし、メディエーションが有用でないという話でなく、メディエーションマインドは有効だとおもえる。メディエーションマインドの結果として、メディエーションという手続を選ばないということもあっていい。
発表者ご本人はえらく反省していらっしゃったようだが、非常に面白い内容の報告だった。
*
ところで、本日、わたしは、40歳になった。
セミドキュメンタリー方式で調停ビデオを撮影した。
当事者役は役者さんにして、調停人は、有志を募って行った。
調停人役は司法書士二人と行政書士一人(それぞれ有名人)で三回撮影をした。
当事者役は役者さんだけあって、感情表現がリアルで、迫力がある。
大きな声を上げるような場面もあり、調停人として、逃げ出したくなるような状況の連続なのだが、三人とも見事に、各1時間半を演じきっていた。
架空の状況とは言え、技術と覚悟の両方が必要とされる場面で、それをしっかり出せていたのだからすごいことだとおもう。
3人とも調停技法を勉強しているのだが、展開がそれぞれ異なっていった点もおもしろかった。
調停人の発話、特に質問の仕方によって、展開が大きく変わる。どれが良いどれが悪いというよりも、もう少し細かいレベルでそれぞれ良さも課題もあり、その違いを考える素材としてよいものができたように感じる。
できれば同じ設定で、調停技法を学んでいないが経験を積んでいる方による「良い調停」のビデオも撮れると、比較できてさらによいと思う。
評価型調停がダメで、対話型が良いみたいな矮小な価値判断ではなく議論できる素材を作りたい。対話型といってもバリエーションもあるし、評価型といっても上手な調停人なら何も話の最初から決めつけたりはしないだろう。
この企画は、法政大学法科大学院教授の中村芳彦先生の授業を手伝うという話の中で出てきたものだ。これから、4回ほどの講義も手伝うことになっているので、不安もあるが、楽しみ。
アサーティブジャパン | 勝間和代&アン・ディクソン ジョイント講演会
アン・ディクソンさんと勝間和代さんのジョイント講演会があり、招待券をもらって聴いてきた。
アン・ディクソンさんの話は、以前買ったブックレットにあった話とかなり重なっていた。
70年代頃からスタートして、80年代にブームとして拡がり、90年代には組織内の研修などに組み込まれるようになったという。
負の側面として、対等性の理念などが後退し、一部のスキルセットとして矮小化されてしまったという歴史的な話をしていた。
このあたりはメディエーションの歴史ともパラレルで面白い。
静かだけれど情熱的で、ディグニティを持って話をされていた。
座ったままの話だったのと、抽象度が高かったので、眠くなっているひとも多かったようだ。
しかし、じっと観察していたら、表情豊かに話しておられる。やはり講演の人ではなく、トレーニングの人なのだろうとおもう。
勝間さんは、サクサク作ったパワーポイントを使って、歩き回りながら話をしておられた。エネルギッシュな話し方で、笑い声もところどころで起きていた。話の進め方が、具体的なものと、構造的なところの両面があり、わかりやすい。(ただ、足を拡げて立つ立ち方が妙に気になってしまった。)
アン・ディクソンさんが、アサーティブスキルというのが、競争至上主義的な社会の風潮の中で矮小されているという話をされた。
勝間さんは、自分を競争社会のなかで、いかに生かすか、自分を高く売るために、いかにその他の仕事を断るか、その断り方としてアサーティブスキルがいかに有用かというストーリーだった。
つまり、お二人の話は、アサーティブスキルの位置づけについて、根本的なところで大きな対立がある。
つまり、勝間さんは、まず稼げるようになって、その上で社会的活動をしなさい、そうすればもっとはしごを上に上がれるよ、というストーリーを話していた。それはそれで筋は通っている。
アン・ディクソンさんは、みながはしごを上にという意識だけれど、アサーティブスキルの前提は、そういうはしごの上下ではない対等性を根源的に考えようとすることだと言っている。ただ、はしごの存在を認めないのではなく、横も縦も両方あるのだという話だった。
アン・ディクソンさんもそうだし、米国でメディエーション運動に関わっているひともそうだが、横の関係性や対等性を主張するのだが、非常にロジカルかつ、構造を持った話のされ方をする。権力性の否定みたいな話を情緒的にしかできないのでないところがおもしろいとおもっている。
今回で4回目の岡山弁護士会の調停人養成講座。
参加は17人。
O先生と。I先生は2日目のみ。
ほとんどが3年目までという、若い弁護士が中心で、昨年の基礎編に参加していない方が多かったので、基礎編の内容も丁寧目に扱って実施した。
弁護士相手のトレーニングって、意外なほど楽しいと今回も思った。
今年は例年の明治大学でではなく、神泉の行政書士会館だった。渋谷から歩くと遠い。
34人の参加だったが、応募はもう少し多かったらしく、事前に文献を読んでレポートを提出したり、面接を行ったりしている。
研修会の人数集めに四苦八苦している団体が多いが、東京都行政書士会はそうではないらしい。
6日間のプログラムなので、丁寧に進めることができ、やりやすい。
中村芳彦先生が担当されているロイヤリング講義のうち、11/23から12/14までの4回分を一緒に担当させていただいた。
12/14は、日弁連のロイヤリング研究会から、ロースクールの教官の見学があった。
「課題の特定」を扱うということで企画した。
中村先生に講義をしていただいて、わたしは役者さん相手にデモをした。
学生さん達には4回掛かりでやっているので、多少は伝わるものもあったとおもう。
とっさのふるまいが難しいという実感や、そうは言っても学習すべき型があるといったコメントがあった。
見学の先生方にはどうかなぁ・・
ロースクールでのADR教育にもう少しまともに取り組んでいただけるようになるきっかけになればよいと思っているのだけれど。
12/15は、調停技法勉強会があり、テーマは「自主的紛争解決」という大きなもの。
具体的には、工事の音がうるさいという近隣紛争についての応諾要請のロールプレイと、兄と妹の相続争いの調停ロールプレイが中心に扱われたが、『調停のプロセス』からの文献のレビューもあり、なかなか盛りだくさんだった。
二つの事案は設定がよく作り込まれていて、実際の紛争の難しさをうまく表現している。
早稲田総研インターナショナル・コンフリクト・マネジメントセミナー:2010年度開講スケジュール|Quonb
わたしが担当するのは
■法律コース
【実践入門編】 ● 2010年5月14日(金)、15日(土)
【実践中級編】 ● 2010年6月25日(金)、26日(土)
です。
法律家でなくても参加できます。
info-conflict@w-int.jp
に連絡しておくと、申し込み開始時に教えていただけるようだ。
熊本大学・吉田勇教授の論文。
和田仁孝先生とレビン小林久子先生の考え方を比較し論じている。
吉田先生は、裁判所での対話促進型調停の研修に取り組むべきだと考えられておられるようだ。
Kumamoto University Repository System: 日本社会に対話促進型調停を定着させる二つの試み(一)
Kumamoto University Repository System: 日本社会に対話促進型調停を定着させる二つの試み(二・完)
山梨県司法書士会で3月(21日22日)と4月(3日4日)、の合計4日間で研修講師をさせていただいた。
3月は伊藤文秀さんに、4月は芝知美さんに手伝っていただいた。
芝さんのコメントがいちいち面白かった。ある程度経験を聞いているので、引き出しに「何かある」くらいはわかるのだが、実際に重みのある話が出て来る。
「同じ話が三回位出て来たら、ホワイトボードに論点を整理しても良い(課題の特定をする)」みたいな話を芝さんがして、「同じ話がグルグルまわってもいいんですね」と参加者がコメントしていたり、おもしろかった。
「現実はこんなものではない、もっとたいへんだ」ということは事実として存在するとしても、「現実はこんなものではない、もっとたいへんだ」というコメントしかできない人は、経験から学べていないのではないかとおもう。とりあえずこういうところをチェックポイントにしているという点を、言葉にして、具体的に話せるかどうかというのが、本質的に重要だと感じる。
芝さんの良さは、厳しめのつっこみを入れたときにも出て来るように感じた。
ということで、今後ともよろしくお願い致します。>芝さん
*
山梨は、これから、これから・・という状態が続いていたようだけれど、そろそろ少し本当に動き出すんじゃないだろうか・・と、希望を込めて思う。
でも、やりたくないんだったら、やらないと決めるのも大事ですよ、と、来ていた会のえらい方に言ったら、すこしびっくりしていたようだ。
少なくとも短期的に見たらお金にならないし、責任は重いし、学ぶべきことも多いし、やらなくてもいいです・・と、最近は言い切るようにしている。楽しいし、やりがいがあるし、自分としては将来性も信じているしということも言うけれど、「その気にさせて欲しい」なんていう甘えには水をかけることにしています・・と。
5/14-15の2日間のセミナーの参加者は8人だった。(市ヶ尾小町さんにヘルプをしていただいた。)
どうも告知・広報があまりうまくいかない。
「コンフリクトマネジメント・セミナー」というタイトルがわかりにくく、「法律コース」という名前でメディエーショントレーニングをやっているので、さらにわかりにくくなっているようだ。
いろいろ経緯があり、すぐにタイトルを変えられないようだが。
どうしたものか。
北は秋田から西は広島まで、全国から参加いただいた。単一士業に限らないことと、また、わざわざ自分で申し込まれる方ばかりであり、とてもやりやすく、楽しかった。今回は、NTTユーザ協会の「もしもし検定」の関係の方が3人申し込んで下さった。研修講師をされている方は、調停ロールプレイなどでも、場と参加者の気持ちを掌握する能力にすぐれている。資格がないひとがうまく調停をするのを見て驚いていた法律専門職種の方もいた。
6月は実践中級編。
7月は仲裁人協会の3日間のセミナーもある。
似たようなことばかりやりすぎだろうか?
入江 秀晃 (2010) "民間調停機関のスタンスをどのように定めるか (新しいADR論 3)", 月刊日本行政, 451, 22-27.
しばらくPDFファイルを置いておきます。↓
毒にも薬にもならない話とは違うとはおもいます。
毒にしかならないと、いやだなぁ、とはおもいます。
日程 平成22年6月27日(日)午後1時30分から午後4時20分
場所 松山市堀の内 愛媛県美術館(1階)講堂
講演 ADR新しい魅力 講師 稲葉一人 (中京大学法科大学院教授 元裁判官)
調停運営と枠組み(仮題)→利用者にとっての民間調停 講師 入江秀晃
問合せ先 愛媛和解支援センター(TEL 089-915-8830 FAX 089-915-8831)
*
気合いを入れて話をしてこようと思っています。
行政機関、裁判所、弁護士の方々にもぜひ来ていただけるとうれしいなと。
ようやく出たようだ。
わたしは、3ページの短いオピニオンを投稿した。
興味深い座談会のやりとりが掲載されている。
山本和彦先生が、「日本ADR協会」という団体の設立準備中という話をしていた。私は、全然知らなかった。
座談会では、町村先生とNACS青山氏のやりとりが面白かった。
青山氏は国センADRを民業圧迫と思っているそうだ。
認証ADR機関11のアンケート結果が掲載されている。
年間予算ゼロ、50万円などといった衝撃的なデータも悪びれることなく掲載されている。
手持ちのネタで消化試合をするつもりはないという意欲を持って、全部新作のプログラム構成で臨んだ。
メディエーショントレーニングに参加するもののマンネリ感が、よりエンターテイメント性の強い、刺激の強いトレーニングへの期待に変わってしまっては、メディエーションに関わるものが孤立するばかりだ。あいつらは単なる趣味でやっていると思われてしまうだけだ。
メディエーション運動に関わるものが、真にメディエイティブに振る舞っていれば、メディエーショントレーニングに参加していないものにも感化できたり、少なくとも味方を増やせるかもしれない。
それが問われていると思う。
とはいえ、教材の進め方などはやはり反省材料も多かった。
どのプログラムもそれぞれ極めて大事な問題を扱ったので、その扱い方を見直したいと思う。
プログラムは以下の通り。
導入 自分の売りと苦手を考える
質問の仕方を考える
模擬事例検討会
役割交換エクササイズ
調停フィッシュボウル(当事者役はプロの役者さん)
ビデオを使ったふりかえり
全体ふりかえり
役者さんに出ていただくこともあって、事務局の負担がいつにも増して大きかったとおもう。
ありがとうございました。>事務局のご担当のみなさま
すでに活動実績の長い参加者も多かったが、講師側がそちらに気を取られすぎて、久しぶりの参加者とか、まだ活動が浅い参加者に配慮しきれていないということもないようにという点も気にしていたのだが、その辺も実際の参加者の反応を聞いて見たいと思う。
正直なところ、負荷をかけ過ぎてしまった、という懸念はある。
そのあたりは講師の未熟さだとおもう。
ご参加いただきましてありがとうございました。>参加者のみなさま
法社会学会関東支部の活動で、ダニエル・フット先生から、ハーバードロースクールの改革の話を聞いた。
ハーバードでは、後者の試みとして、Problem Solving Workshopという新しいプログラムが導入されたらしい。3週間ぶっ続けで、実務家が直面するような様々なシミュレーション事例を体験する。
教える方もかなり過酷なのではないかという感想が出ていた。
入江 秀晃 (2010). 調停人の資質と民間調停支援についての異論-専門性と素人性をめぐって-. 仲裁とADR, 5, 158-160. (PDF)
3000字程度の短いものです。
雑誌をアマゾンで買う場合は、こちら↓からどうぞ。
愛媛和解支援センターで、ことしの2月にあった企画が原稿化されて、印刷物を送っていただいた。
約30頁分の特集で、読み応えがある。何度か読み返しても、愛媛の松下さんや中野さんの独特の話し方もうまく生かして原稿化されているので、とてもおもしろい。
泉 いやぁ、驚きましたよ。今日の事例検討会に参加させていただいて。
松下 そうですか。
泉 何がいちばん驚いたって、皆さん非常に生き生きされてますよね。
江原 入ってきたとき、みんななんだか楽しそうでしたね。
茂木 質問もあれだけ出るし。・・
P65*
松下 ・・ADRをやり出してから相談者がすごく増えたんです。ADRでやるような手法で相談を受けますから。われわれは司法書士という職業で物を見てますから、相談にきた人を全部その中へ引き込んで、その範囲で処理ができるように話をもっていこうとするような聴き方をしてしまうんです。ですから、「そうじゃないんよ、もうちょっと違うところなんよ」と思いながら相談者が帰っていくようなことが多いんじゃないかと思うんです。でも今は全部聴きますから。ほんとに聴くんです。やたらと聴いて。事務所の人に怒られるんですよ、長いいうて(笑)。だけどそれをやり出してからすごく増えましたよね、4~5年前から。だから、私は普通、午後は全部相談。多いときは30分おきに来ますし、少なくとも1時間に1人は来ます。
遠賀 ・・僕も一緒やから、多分そうじゃないかなぁという気がする。・・
松下 ・・ADRにかかわり続けとったらやっぱり儲かったんです。じわりじわりといろんなことがわかって、どういう業種の人でも相談を少し受けるようになったら、その相談を受けたことで信頼を受けるようになって、その相談に来た人がまた紹介してくるんですね。不動産登記だったり会社の登記だったり。そうすると、司法書士業も相談を通じて非常に安定してくるんですね。単発的な仕事だけども、そういうことで信頼ができたら、それが次々と伝播していく。
P63-64松下, 純一, 江原, 崇人, 泉, 純平, 茂木, 光男, 他 (2010) "松下純一代表インタビュー&ADR大放談会", 群馬司法書士会・執務現場から, 42, 56-77.
意外とといっては失礼かもしれないが、おもしろい報告が多かった。
公害等調整委員会の活動について、ぼんやりとしか知らなかったのだが、元委員長で現在も顧問をされている加藤和夫先生の話は、情熱的で、問題の所在もよくわかった。
利用者満足度のアンケートデータも取っているそうで、それを示していたが、2008年(H20)現在は41%の満足度まで下がっている。
裁判所から人(裁判官と書記官)も出して、職権調査の権限まで広範に認められている制度にしては、満足度がいかにも低い。処理件数も少ない。ということでは、存立が危ぶまれるということで、近年、中央でてこ入れされているのだそうだ。
カラオケ騒音のような身近な紛争まで、「公害」として扱えるということだが、どういう機関がこのような問題を扱うのに向いているのかという意味の研究も必要だと感じた。
*
金融ADRについては、全銀協がこの2年くらい急に取り組みを変えだしたという話を聞いて驚いた。
2008年(H20)は30件、2009年は88件のあっせんをやったのだそうだ。
全銀協といえば、ゼロワンADR機関の典型だったので、ずいぶんと大きな変化だ。
銀行とりひき相談所の職員の属性はどうか、出向者か、という質問をしたが、出向者はおらずプロパー職員のみだという回答だった。いくらプロパーでも、銀行OBしかいなければしょうがないじゃないかとおもったが、質問の仕方がうまくなかったようで、それで終えられてしまった。これは残念。
業界型ADRも、件数が少ないのが問題のない証拠であるというレトリックは通用しなくなりつつあるということを改めて感じた。
報告がわかりやすかったのは、全銀協の辻松雄氏と、消費者側の弁護士として上柳敏郎氏の両方の立場からのものがあったからだとおもう。
業界が自浄能力を発揮できないと、貸金業と同じようになるかもしれないよ、と、上柳先生がボソっといっておられた。
東弁のADRセンターの方に誘っていただいて、午前は、ADR分科会に出席してきた。
岡山弁護士会仲裁センターについて、鷹取司弁護士のプレゼン。
ADRの手法を使って、紛争に至っていない事案も扱う「遺言・相続センター」を準備中であるそうだ。
これなら、ビジネスモデルが成り立つかもしれない。というか、成り立って欲しい。一つ成功例が出るということが大事だが、岡山弁護士会仲裁センターの熱心さ、誠実さ、能力があれば、なんとかなるかもしれない。
もう一人のプレゼンターは、京大元教授で中央大教授の棚瀬孝雄先生。面接交渉に特化した、家事ADRの構想を提案されていた。棚瀬先生は、共同親権についての運動にも関わっておられる。これもまた本気の提案である。
この企画は、9月のシンポの、プレシンポという位置づけだったが、大変おもしろかった。
午後は全体会で、労働審判について、寸劇と、コメンテーターによるコメントという構成のイベントも見てきた。コメンテーターのひとりが、東京地裁の労働部の白石哲裁判官という、まさに労働審判の担当責任者であった。かなり率直にコメントされていて、とてもわかりやすかった。
寸劇は、棒読み的であったが、わかりやすく実務を見せようという意欲に満ちていて、勉強になった。
労働審判という、裁定型の裁判所内ADRが整備されたことで、対話型ないし交渉支援型の裁判所外ADRも必要とされるように感じた。
労働審判は、もしかしたら、司法制度改革関連制度のなかで、最も成功したものかもしれない。
しかし、課題はいくつかあるように思った。
もうちょっと研究したい。
7月17日から19日の3連休は、仲裁人協会で調停人養成講座だった。
アンケートをちらっと見たら、「参加者に恵まれて楽しく学べた」という意見があった。
まさにそういう感じで、こういう研修はまったく初めてという方も、かなり勉強も実務もやっている方も、とても楽しそうに参加されていて、よかった。
裁判所で調停委員をされている方(その方は、同席調停もしばしば行っておられる)が、調停は、調停人がうまいかどうかというより、当事者がうまく動くどうかでよい結果に至る、という話をされた。
調停トレーニングも同じように、トレーナーがうまいかどうかというより、参加者が楽しくかつ真剣に学ぶという関わり方をしていただけると、よいセッションになるし、そうでないといくら努力しようとしても限界もある。
もうひとつ大事なのが、参加者の多様性である。
今回は、社労士、行政書士、土地家屋調査士、弁護士、調停委員、看護婦、マナー研修講師の参加があった。
15人の参加で、人数的にはとてもやりやすい。
多様な中で活動すると、自分が普段話をしている言葉の選び方一つが、目の前の相手に伝わらないという現実に直面せざるをえない。
そのことが、調停トレーニングにとっては、とても良い効果をもたらすようだ。
今回の新しい企画としては、「事例ワークショップ」と呼ぶものを入れた。また、「開かれた質問」のスキルトレーニングの活動を見直したこと。
弁護士会の「自由と正義」の6月号は、各会が年度総括を1頁ずつ書いている。
その中で見つけた記事。
当会(※第二東京弁護士会)の1999年の苦情件数はわずか82件に過ぎなかった。それが2009年には1062件に達している。この増加は、弁護士の質の低下と見るよりも依頼者層の意識の変化ととらえるべきである。「先生にお願い」する依頼者から「良質なサービスを買う」顧客への変化とでも言うべきだろうか。櫻井, 光政 (2010) "回顧と展望 弁護士会・弁護士会連合会2009年度 第二東京弁護士会 会員サービスと弁護士会", 自由と正義, 61(6), 65.
顧客側が変化しているのに、サービス提供者側が変化できているのかという課題がある。
仲裁人協会の研究部会で、調停実務上の諸問題研究会の活動報告。
谷口安平先生と道垣内正人先生も聞きに来ていただいておりました。
「当事者に守秘義務があるか、義務づけるべきか」という問題がいちばんの盛り上がり。
7/31-8/1の二日間、千葉司法書士会で、中級編トレーニングを実施してきた。
4月に基礎編をやったので3か月ほど空いたのだが、単位会で中級編までやれるのは比較的珍しい。
課題の特定、選択肢の開発、合意文書作成などの調停の後半のスキルなので、現実的にはかなり大事なところだとおもうのだが。応諾要請に加えて、「ADR機関選択理由」という新しいワークもやってみた。
千葉会で苦労しているという話も聞いた。苦労を悲壮感につなげず、危機感を楽しむような感じになるといいなと思う。
千葉会は試行してから手続規則を作っているが、このパターンは、組織内の信頼関係が十分醸成されていない段階で試行せざるを得ないので、その過程で疲れてしまうリスクがある。一方、現実の手続を進めることがないまま、他会の規則だけを見て規則だけを作ってしまうと、いざ実施しようとしたときに自分たちが作った規則が足かせになっていることに始めて気づくという流れになっているようにおもう。
いずれにしても、現実の紛争を扱いはじめて、軌道に乗るまでの期間というのは、離陸の時期だから、いちばん大変だと思う。
わたしは、そこのところをやろうとしている人たちをとても尊敬している。少しでもお役に立てたらと思っている。
(追記)
「千葉会は試行してから手続規則を作っている」というのは、事実と異なっているという指摘をうけました。
「手続規則を作ってから、試行し、さらに規則を見直している」というのが実態ということです。
ちょっと記載がラフすぎ、関係者のかたに不快な印象を与えたかもしれません。
申し訳ないと思っています。
削除が必要と思われた方はご連絡をいただければと思います。
入江, 秀晃 (2010) "コスト面から見たADR利用推進のために求められる政策", 自由と正義, 61(8), 78-86.
掲載号が送られてきた。
PDF版がいる方はご連絡ください。
日米ADRシンポジウムに出席してきた。
その前に九大の円卓会議にも出てきたので、Lela Love先生とDan Weitz先生の話は二度聞いたことになる。
円卓会議のほうは英語だけだったが、その分アメリカについては、突っ込んだ話が聞けた。
両方出た意味はあったかなとおもう。
東京では、大盛況であったことは確かだ。その実行力はすごい。
議論の熟度は・・、わたし自身のコメントも含めて、課題があったと思う。
個人的には、静岡の調査士の宮沢さんに初めてお会いできたのと、萩原金美先生にごあいさつできたのと、權田先生に久しぶりにお会いできたのがよかった。
鷹取先生が、対話型か評価型かみたいな議論よりも、対話型でやっていこうとしているもの同士で議論を深めたいとおっしゃっていたのが印象的だった。
棚瀬先生が、労働審判の成功に習った手続を弁護士会で作ってはという提案もさすがだとおもった。
そういう手続の方が、普通の弁護士の感覚には合うかもしれない。
それにそういう別の新しい手続を作る方向に、評価型好きの方のエネルギーが集まれば、変に対話型でやりたい人の足を引っ張ることがなくなるかもしれない。
*
ところで、わたしの隣に座っておられた、日弁連ADRセンター長の渡部晃先生の発言は、規制改革会議の議事録で読める。
2008(平成20)年8月22日(金)(PDF)
月刊 法律のひろば 2010年9月号 特集:ADRの拡充・活性化の軌跡と展望 - 762円 : ぎょうせいオンライン
まだ手元に届いていないのですが、出たようです。
今年は沢山かいているなぁと。論文とか、恥とか。
愛媛和解支援センターの紹介もちょっとだけ入れています。
R Cafeしずおかについてもちょっと紹介しています。
またしつこく「宿泊客が現れると驚くホテル」というフレーズも。
手元に届けば、またPDFにするつもりです。
入江, 秀晃 (2010) "米国における調停論:<情報を得た同意>をめぐって", ソフトロー, 16, 65-95.
東京大学グローバルCOEプログラム 国家と市場の相互関係におけるソフトロー:ソフトロー研究
*
おかげさまで、つぎつぎ刊行されて、ありがたいかぎりです。
いちばん大きなものは出し終えたあと、9月末締め切りのもう2本も、遅れてすいませんと謝りつつ、一応出し終えた。スケジューリングには、反省が残る。
昨日は、新潟県司法書士会の事例検討会に参加させたいただいた。
弁護士会の事例検討会とはまた違う雰囲気で勉強になる。
司法書士会側にとっても、わたしのような変な存在がいることで、議論が変化するはずである。
そういうものとして使っていただければありがたいとおもっている。
予定を入れたときには、論文を出し終えて一息ついているので、気分転換にもなるかなとか考えていたが、単に休めていない日が続いている気がしなくもない。
まあ、そうは言っても、少しずつ落ち着いてきている。
三連休を利用しての研修会。稲葉先生との共同講師。
初日は参加せず、三日目は一人で実施させていただいた。
岩手から沖縄まで、全国各地の熱心な参加者が20名おられた。
早いもので今年で5年目だが、この講座もひとつのきっかけとして実務が始まった地域もいくつかあり、わたし自身も重要な機会だと考えている。
毎年、少しずつ実験的な試みもさせていただいている。
休憩時間に、富士山と言えば山梨県か、静岡県かというディベートをしている人たちがいて、おかしかった。
弁護士会での調停トレーニングはいつも緊張するが、参加いただいた方が温厚でまじめな方ばかりで、とてもよい雰囲気で実施できた。
大村扶美枝弁護士と二人での講師。参加者は7人と少なめ。
4時間というのは中途半端な長さでどうかなとおもっていたが、そこそこ伝わった実感がある。
民間調停機関の運営について、少し話をして欲しいということだったので、半分は座学的な進行で進め、もう半分はみんなで話をするやり方で進めた。
愛媛和解支援センターでは、今年の申立件数22件、調停実施件数12件。
また、3つの委員会を作り、運営の発展と改善にも取り組んでいる。
英語で、日本の(民間型)ADRの概況をごく簡単に紹介した文章を書いた。
THE JAPAN COMMERCIAL ARBITRATION ASSOCIATION Arbitration JCAA Newsletter
Irie, Hideaki (2010) "An Overview on the Current Status of Japanese Private Dispute Resolution - Small impact of the ADR Act and it's still at the early stage", JCAA Newsletter, 25, 1-3.
英語だからかえって率直に書けたところはあるとおもう。
中堀仁四郎先生率いる第9回沖縄HILに参加してきた。
修道院でシスターの手作りの料理を食べ、鍵のない部屋で眠る4泊5日の研修会である。
内容については、ブログで詳しく紹介するつもりはないが、ラボラトリーとしては4年ぶりで、このタイミングで参加できてとてもよかった。
「本物の活動」だとおもう。
何人かには、個別に勧めようと思ったということと、わたし自身もHILに関わりを持っていこうと思ったということだけ書いておきたい。
過去のエントリー:
Tグループ参加体験
60年代のTグループ
昨日(12/20)、開催された。
1/8の午前に事例報告会(1時間半)
1/8午後と1/9終日の1日半をかけて受付担当研修を開催させていただいた。
これだけ時間をとって受付担当研修を行うのは、わたしにとって初めてで、お正月の間も準備していたのだが、その甲斐もあった充実した内容になってホッとした。
Hさん、Sさんなど、中の人と一緒に作れたおかげだとおもう。
受付担当は、技術(How to do)よりも、あり方(How to be)が、調停人以上に重要なのではないかという問題意識のもとに進めた。
プログラムの構成は以下の通り。
●事例報告会
民間調停の位置づけと事例を考える意義
ワーク:民間調停に向く事案
千葉司法書士会の事例紹介
利用の勧めと、持込方法
●受付担当研修
傾聴スキルプレイ(3人)
フィードバックの意義と方法
ワーク:無言で感じる
ワーク:調停センターへの疑問
ワーク:調停センターを紹介する
受付担当(ケースマネージャー)の役割
申立人の受付ロールプレイ
ワーク:申込書の作成
模擬事例検討会
相手方の受付ロールプレイ
1/21は、日本ADR協会のシンポジウムと、会員向けの実務情報交換会が開催された。
実務情報交換会のパネルディスカッションのコーディネーターを引き受けて実施。
当日までいろいろ心配事があったのだが、ふたを開けると盛況で、また、パネリストの方のコメントも興味深く、何人かの参加者からもお褒めを頂いた。パネリストの方々のおかげだとおもう。
事務局の商事法務の方々にも大変お世話になっている。
なかなか難しい団体の活動だと思っているが、やれることを少しずつやろうとおもう。
*
シンポジウムでは、谷口安平先生が踏み込んだ内容の講演をされていて、大変興味深かった。
たとえば、日本では、訴訟自身が調停的だという分析をされている。
「日本では訴訟はもともとそれほど一刀両断的ではない。あくまで「スワリ」の良さを求めて延々と行われるプロセスであった。」
1/28・29と、愛知県社会保険労務士会であっせん人の養成研修を行ってきた。
ずいぶん多くの参加申込みがあったらしく、参加者は27人だったが、参加を断った人もいたようだった。
社労士会用に調整したことも功を奏して、反応は良かったように感じた。
参加者は、ぐったり疲れておられたような感じもあるが・・
家事調停委員も、労働局のあっせん委員も参加していただいた。
わたしの側が、労働分野の勉強も全然足りないし、十分だったとは思わないが、民間調停を拡げる分野としては、労働分野は重要だろうと考えている。
愛知の社労士会は、社労士会ADRの中でも元気の良いものの一つだそうで、今後活躍・発展して、また実情を教えていただきたいと思っている。
ところで、Yahooのサイトで、社労士の年収が高いという話が出ているが、こういう情報は、少しミスリーディングな気がするが・・
静岡県司法書士会館で、R-Cafeしずおかに参加した。
弁護士の權田光洋さんプレゼンツ。
テーマは「いま、なにができるか」のワールド・カフェの方式での話し合いだった。
今回の、Rは、復興を意味するReviveだったのかなとおもう。
そして、芝さん達は、全青司の活動として、気仙沼に旅立っていった。
3/26-27の二日間、調停トレーニング基礎編を行ってきた。
新人と一般会員の合同研修だったが、ほとんどが新人さん。
数日後の引越を控え、わたしにとっても特別だったが、震災復興のために静岡からは、調停センターの中心人物数名が有志として寝袋を持って乗り込んでいったという時期だったという意味でも特別だった。
持ち場を果たすことで、ささやかながら、動ける人が動きやすくなる支援になるといいなと願っていた。
*
人というのは、バランスを崩しては、バランスを回復しようとして、生きているのだなぁとおもう。
野口三千三の身体観では、人が動くというのは、そういうことだと位置づけられている。
テレビを見たりネットの情報に接してショックを受けて、自分にできることはまずは節電だと考えることも、バランス回復を目指した、(利己的)行動であるようにおもう。
危機に際して、パッと動けてパッと役に立てている人を見ると、あぁすばらしいとおもうとともに、そう動けない自分の“鍛えられていなさ”に傷つくこともある。
そうしたときに、そのすばらしい行動に難癖をつけてバランスを回復しようとする卑しさを排除するには、バランスが崩れている自分を自覚することと、“鍛えられておらず役に立たない自分”を許す寛容性を持てるかどうかにかかっている。
そこが乗り越えられたら、“既に役に立っている自分”に気づくかもしれない。そうすれば、遅ればせながらでも動き出せる。フォロワーシップとは、そういうものだとおもう。
神戸大学で、7/9(土)に開催される仲裁ADR法学会で報告します。
第7回仲裁ADR法学会開催案内 - Japan Association of the Law of Arbitration and Alternative Dispute Resolution
なお、わたしの報告タイトルが間違って表記されております。
誤 「民事調停の実証的研究」
正 「民間調停の実証的研究」
→ 修正いただきました。
越智啓太, 渡邉和美, 藤田政博 (編) 『法と心理学の事典』(朝倉書店)
2項目だけ執筆させていただいた本。
「ADR」と「民事的交渉」。
高い・・けど、672頁の厚さのある意欲的な事典ということで・・
週末は、全青司のフォローアップだった。役者さんに当事者役をお願いしたフィッシュボールを2本など。調停ロールプレイと、グループダイナミックス研修のPOPOを組み合わせた、調停POPOという研修もさせていただいた。手順がやや複雑だが、好評でよかった。参加者に恵まれた研修で、やらせていただいていてとても楽しい。
*
今後の予定
6月25日(土) 講演 「ADR(民間調停)の検証と将来展望」
主催:愛媛和解支援センター
場所:愛媛県松山市 愛知県美術館講堂 13:00-16:00
問合せ先: 089-915-8830
7月9日(土) 個別報告「民間調停の実証的研究」
場所:神戸大学
http://sites.google.com/site/arbitrationadrlaw/dai-7kai-chuusai-adrhou-gakkai-kaisai-an-nai
特急しおかぜにはじめて乗った。
岡山から松山まで3時間かかる。2時間ほどは寝ていたのだが、目がさめると海沿いのきれいな光景が拡がっていた。
*
岡山弁護士会で「波多野二三彦先生の二度目の送別会」に呼んでいただいて出席してきた。
全体で300人強の弁護士会だがそのうちの100人以上が出席する盛況ぶりだった。
波多野先生はお元気そう。
波多野先生が牧野英一の弟子であった話など、わたしにとってははじめての話も多く興味深かった。
新見ひまわりの大山知康弁護士も出席されていた。
*
愛媛和解支援センターでは、第2回総会と、第5回公開講座(設立8周年)が開催された。
総会は会員34名中25名が出席、公開講座は96名の出席だったそうだ。
公開講座では、わたしがプレゼンをしたが、後半は会場との模擬事例検討会方式での“対話の実践”企画をやってみた。
対話が大切などといいながら、講演するだけというのはいかにももの足りないといつも思っていたのだが、参加者と一緒になって話を進めるという試みができて満足している。
和解支援センターの企画だったからうまくいったという気もするが。当てた人がよかったという運の良さも大きかったが。
愛媛大学の小田敬美先生も出席していただいた。
大阪の上野さん、東京の岡野内さん、香川の森脇さんもこられた。
懇親会では、念願のダニーさんのギターを聴いた。
予想通りというより、予想を超えてうまい演奏だった。
第7回仲裁ADR法学会大会で報告した。
自分の発表に関して、率直に言って、できがわるかったな、というのが感想。
せっかくの機会と思って、気持ちは入っていたのだが・・
精進しよう。
*
菅野先生の仕切りで、労働局の相談とあっせん、労働委員会、労働審判などを話し合うシンポジウムが行われた。
すばらしい充実度。
労働分野は公的な手続が充実していて、民間の活動は未発達。
また、労働局ではいじめへの相談なども増えているが、雇用継続を前提とした問題深刻化を防ぐための手続は未発達。
*
前で話すときは、少なくとも座って話をするのはやめようとおもった。
菅野先生を見習って。
*
しかし、再会や新しい出会いなどもあり、よい一日であった。
出席してきた。
ADR検討会座長だった青山先生がこられて、改正に向けての発言をフロアからされていた。
基礎編 2011年9月17日(土)-9月19日(月・祝)
中級編 2011年10月8日(土)-10月10日(月・祝)
*
今年は、ゲストスピーカーとして、伊藤知加子さん(司法書士)(基礎編)、遠藤昭さん(弁護士)(中級編)の実務家としての経験をお話いただく企画を行います。
団体内の研修も良いですが、他流試合として、外に出るのは大事だと思います。
宣伝ですいません。
九州地区国立大学 島原共同研修センター
に来ています。
1日半の講座を実施してきた。
大阪府立大学の社会人向け大学院で、いわゆる日本版MBAというものらしい。
なんばの大阪球場跡のビルでの授業だった。
税理士事務所の方とか、一般企業(大手が多い)の方とか、勉強熱心な方の相手はとても楽しかった。
台風のために近畿で警報が出ている中、ご参加いただきありがとうございました。
調停と調停トレーニングについての話をしてきた。
少人数の研究会だったこともあり、ホストの先生のお気づかいもあり、話慣れている内容でもあり、楽しんで話せた。
名古屋日帰りは疲れたけど。
http://blog.livedoor.jp/koichaaisu/archives/1642272.html
日程 10月14日(金)~16日(日)
場所 司法書士会館(東京都新宿区本塩町9-3)
*2日目のみ上智大学になります。
初日のみ11時スタート。以降10時スタート。3日とも17時まで。
司法書士以外も参加可能。
問合せは、上記URL参照。(静岡の芝さんまで)
九大のプログラムで、「英語による教授法ワークショップ」なるものに参加している。
Ateneo Language Learning Center
というところから、講師の先生がいらっしゃって、英語での講義の練習機会を与えてくださる。
3日間終日ワークショップの受講者の気持ちがちょっとわかる。
今年も沖縄HILに参加することにした。
今年はオブザーバとしての参加。
沖縄HIL第10回 沖縄ヒューマンインターラクションラボラトリー
■■■と き:2011年11月19日(土)午後3時より (受付は午後2時から)11月23日(水)午後3時まで
◎4泊5日の合宿研修です。全期間参加の研修となります。自宅からの通いや途中での出入りはご遠慮下さい。
■■■ところ:与那原 聖クララ修道院 祈りの家
〒901−1303 沖縄県与那原町与那原3090−4 098−945−8649
■■■参加費:70,000円(研修費・滞在費・食費を含む)
■■■定 員:18名
■■■締 切:2011年11月1日(月)
主催:北海道ヒューマン・インターラクションラボラトリー研究会責任者 中堀仁四朗
で、東京に来ています。
日本家族<社会と法>学会学術大会が、鹿児島大学で開催されたので、出席してきた。
九州新幹線に乗ったのは初めて。行きは800系さくらで、たしかに快適。
事例集 「こんなときに利用したい」 | 千葉司法書士会調停センターのご案内
6つの事例と、それぞれに対応した申込書の記載例が示されている。
親切。
どういう事例を挙げるかがセンスの見せ所だとおもう。
また、それぞれの事例に対応して、なぜ民間機関で手続きすることにメリットがあるかを一応説明できるようにもなっているところもとても重要。
千葉司法書士会は、利用料金も申立時の5250円のみ。(期日手数料、成立手数料なし)
東日本大震災に起因する紛争については、事務手数料は無料。
これから、沖縄HILに参加します。
過去のエントリー:沖縄でのTグループ
行っていたのは沖縄の「聖なる道場」という感じの場。今回は初めてのスタッフワークで、ハードだった。自分の欠点の多さ、力不足も感じた。けれど、参加していた方々(メンバー、スタッフ)に恵まれ、精一杯取り組めたという実感はある。
*
中堀仁四郎先生から、教えていただいた詩:
君の人生の主人公は誰か?一歩踏み出すのさえ
容易なことではない
ちがった一言を言うのさえ
この社会ではむずかしいのだ
でも私はゆこう八木重吉
日本ADR協会
のシンポジウムに行ってきた。
東京日帰りは疲れる。
ADR法の改正要望をADRの業界団体としてまとめるという趣旨のワーキンググループのレポートができているので、それについて。
中村芳彦先生が、「利用者視点が入っていない議論で法改正を言うのはいかがか、私的自治を言っておきながら、利用者が少ないのを他人のせいにするのはいかがか」など、もっともなご指摘をされていた。ADR士について反対ということも。
シンポジウムの最後に、青山善充先生が、「促進法を基本法にして、5カ年計画みたいなものを作って実施するようにすべきという点と、執行力は時期尚早だけれど、法律扶助の対象化は可能ではないか」という発言をされていた。
いろいろおもいはあるが、おもうように動けない。
パブリックコメントを募集するそうなので、書いてみようかとも思うが・・
今頃になって初めて行くというのも気が引けたし、交通費なども出してもらえる条件で行くというのも申し訳ない感じだったが、行って良かったと思う。
現地入りする人、現地入りしない人、のことを考えたい。
現地で、相談に来る人、来ない人、のことを考えたい。
と、おもった。
自分よりもシンポジストとして適任者は何人もいるはずだけれど、3/4、中京大学で、登壇して話します。
以下の、芝さんのページを参照してください。
http://blog.livedoor.jp/koichaaisu/archives/1696640.html
*
帰りに駅で買ったのは、地元の新聞社が作った記録集。
当日、同じ名古屋で、第1回 中部エネルギー市民会議というイベントがあるようだ。PI-Forumでごいっしょした水谷香織さんが関わっておられる。
昨日、法社会学会九州支部会で報告しました。
わたしにとっては、半分顔見世興行的な感じでしたが、小佐井さんの末弘厳太郎についての報告も、兼重さんの報告も興味深く。
懇親会で熊大名誉教授の吉田勇先生とゆっくり話せたのが特に良かったなと。
*
関係者の方々が最近出した本:
江口 厚仁編(2012)『圏外に立つ法/理論-法の領分を考える-』ナカニシヤ書店
第8回仲裁ADR法学会大会案内 - Japan Association of the Law of Arbitration and Alternative Dispute Resolution
今年のシンポジウムのテーマは民事調停になるようです。
手元に届きました。
わたしの個別報告も掲載されています。
「個別化プロジェクトしての調停」というタイトルです。
書籍・単行本 | 株式会社 商事法務 [仲裁とADR Vol.7]
仙台弁護士会の阿部弘樹弁護士の震災ADRという論考があります。
大分在住の弁護士の中村多美子さんに、全学講義(伊都)のゲストレクチャラーとして手伝っていただいた。
渉外家事紛争というか、国際結婚の破綻をめぐる様々な問題について、関連データを示したり、事例を引いたりしながら、大変わかりやすい話をしていただいた。
はじめての企画で手探りだったが、好評で良かった。
講義内で触れたドキュメンタリー映画:
実の親が子を連れ去り、囲い込む日本の現状を告発したドキュメンタリー作品: From the Shadow
※この映画はひとつの米国側からの見方であって、これがすなわち正義のすべてであるとはわたしもおもいませんし、中村さんのメッセージでもありません。
わたしは司会者として登壇。
翌日は、仲裁ADR法学会大会@東京大学。
第8回仲裁ADR法学会大会案内 - Japan Association of the Law of Arbitration and Alternative Dispute Resolution
原告ご本人の著書を読むと、一審において弁護士と裁判所が強引に和解させようとし、本人が拒否するやりとりを赤裸々に描かれている。
一審の弁護団はその時点で辞任するが、裁判官は「どうなっても知りませんからね」という捨て台詞を吐いている。
町村先生ブログでの紹介:
arret:内部告発者の左遷を違法とした高裁判決が確定: Matimulog
原告ご本人のブログ:
オリンパス内部通報告発漏れ・制裁人事・人権侵害事件~最高裁「オリンパス上告棄却、社員勝訴確定」|オリンパス現役社員のブログ 「公益通報者が守られる社会を!ネットワーク」
原告ご本人による手記:
浜田正晴『オリンパスの闇と闘い続けて』(光文社・2012年)
控訴審での弁護団を務められた中村雅人弁護士らによる著作:
東京弁護士会 公益通報者保護特別委員会『失敗例に学ぶ『内部告発』―公益通報制度を知り、守り、活かす』(法律情報出版・2011年)
過去のエントリー:
オリンパス内部通報事件についての東京弁護士会からの警告書 (私的自治の時代)
第一部では、電話応対研修。講師は、角脇さつき先生@プロフェッショナルアカデミー。
第二部の打合せのため少ししか聴けなかったけれど、迫力満点で盛り上がっていた模様。
角脇さんは、以前、もしもし検定指導者級研修でお目にかかっていた方で、いろいろ縁がある。
第二部は、司会者だった。
FPIC大阪、FINMAC、齊藤友嘉弁護士、原田杏子さんのお話しだったが、それぞれ奥行きのある話で、わたし自身大変興味深かった。
FPICは、家裁OBが中心だが、同席調停の実践をされている。数は少ないと謙遜されるが、大阪だけで年間10件近くコンスタントに実績を挙げておられる。スピーカーの千田氏は、家裁の書記官など、裁判所の職員として長いキャリアのある方。
FINMACは、以前からの金融ADRの優等生であった証券ADRの発展系だが、さすがにしっかりした方のそつないプレゼンだった。齊藤弁護士は、一弁がつくった都市型公設弁護士事務所の所長を務められていた方で、現実の相談事例、受任した事例を紹介いただいた。かけ込み寺としての事例だけに、なかなかハードで、民間ADRの利用者としても現れるようなタイプの方の事例を紹介くださった。ビジネスモデルが成り立たない中で、しかし、赤字は出してはならないという矛盾した要請の中での事務所の運営という話は、ADRの経営にも通じる話でもある。原田杏子さんは、臨床心理の背景を持ち、法律相談研究で博士論文を完成された方で、非常にわかりやすいプレゼンをしてくださった。ある先生が、原田さんは超優秀だと絶賛されていた。
プレゼン資料は公開されているので、ご覧いただければ。
仲裁ADR法学会では、東大の太田勝造先生が法科大学院での交渉・ADR教育について紹介。
シンポジウムとしては、「民事調停の機能強化」がテーマ。
質疑応答でわたしは4つ質問したが2つしか取り上げてもらえなかった。やっぱり3つまでにしたほうがいいのかもしれない。
東京簡裁では、土日期日はないが、夜間は水曜日に行われている(ただし活用は少ない)ということらしい。
標準的手続は1時間、例外的に2時間。
東京地裁22部の部総括の植垣判事のプレゼンもとても興味深いものだった。
現地調停を積極的に行うように運営しておられるという話を、事例を交えて紹介いただいた。
活動の実態についてもっと正しく知ってもらいたいというおもいを持っておられるということが良く伝わる。
その後の、調停委員としての経験も長く、日本調停協会連合会でも要職を務められた安藤武久弁護士のお話し、裁判官としてのキャリアもある京都大学笠井正俊教授のお話しもあったが、それぞれ同席対話促進型調停手続への強い共感を持っておられる内容だったように感じた。
「その1」から、ずいぶん間が開いてしまった。
もうひとつ、興味深かった報告が、Kennesaw State Universityの教授で、Conflict Resolution JournalのチーフエディターをされているSusan Rains教授の実証的な研究報告だった。
調停人へのインタビューを実施して、その中から、調停の困難トップ10というものを報告していた。具体的には以下の通り。
このリストを見てどのような感想をもたれるかは人によるとは思うが、わたしは、つくづく日本人もアメリカ人も同じようなものだなぁと、感じた。
日本とアメリカでは、制度面では非常に大きく異なっており、対照的といってもよい点が多々あるが、トラブルにあった当事者の反応というものは意外なほど似ている。
その研究は、書籍として出版を準備中とのこと。
*
という活動をさせていただいた。
社長の広石さんは高校のひとつ先輩。同じ東大理Ⅱから、民間シンクタンクに入り、会社を辞めているところまで共通している。大学時代に同じ教養ゼミに出ていたり、コンサート会場でばったり会ったり、等となにかと共通点もある方。
広石さんの会社は、現在、従業員3人、非常勤スタッフ4人を抱える大所帯に成長している。
*
入門講座で少しだけ見ていただいたビデオは、こちら。
メリーランド州裁判所ADRプログラム:MACRO Video
(リンク先の中の、Resolutionary People。)
このビデオの特徴は、当事者の了解を得て作ったドキュメンタリーであるということ。現実の調停の場面を見ることができる。
後半は、模擬事例検討会形式で進めたが、興味深く実施できた。参加者に恵まれた感があるが。
広石さんから、進め方に対する助言をいただくこともできた。
*
入門講座の次の日の午前中にエンパブリックの方々と話をさせていただいていたのだが、法律専門職と違って、話が早いなと。やっぱりこういう方と仕事をしていかないと、物事を進められないなという感想を新たにした。
いただいた書籍、
広石拓司『共に考える講座のつくり方~あなたの経験をみんなの学びに』
を、さっそく読ませていただいたが、大変共感した。
自社で出版されているのに、ISBNの番号もとっておられる。
今週末は、仲裁人協会(JAA)の: 調停人(メディエーター)養成講座
参加いただく方々の顔ぶれが変わってきているかも。重々しい方々だけに気を取られずにやりきりたいなと。
来月(11/3-4)は、全青司の第7期トレーニング。
静岡の司法書士芝知美 ”対話のチカラ”:トレーニングのお知らせ
こちらは今年は、全6日間(2日ずつ3回)で予定しているが、そのうちの最初に当たる。
司法書士以外も参加できます。
伊都キャンパスでの法学(紛争管理入門)の1回目終了。今回は、ゲスト講師を3回呼ぶ予定。
いつも講義は難しいなぁと思う。最近やっと、その難しさに向き合えるようになってきた感じ。まだまだですが。
学生さんから最後の10分でコメントを書いてもらっているが、それがたいへん勉強になる。
Second Generation-Rethinking Negotiation Teaching
Venturing Beyond the Classroom
Assessing Our Students, Assessing Ourselves
*
国際戦略の一環として、市販書籍の内容をまるごとPDFで無償提供しているのだそうだ。
先週末は、全青司のトレーニング基礎編7期だった。
去年は3日(基礎編)+3日(中級編)+2日(上級編)だったが、今年はすべて2日ずつの全6日。
参加しやすくなったせいか、あるいは司法書士会本会での広報が功を奏したのかわからないが、28人の申込みがあり、27人の参加があった。
北は盛岡から西は熊本まで。年齢差も広かった。
何度やっても反省が出るのが調停トレーニングだが、初日の稲葉先生の調停デモについて、ご本人としての感想はともかくとして、わたしにとっては、このデモを見ることができてよかったと強く強く思えるものだった。
対話型調停を誤解して安易に決めつけている人というのが意外なほど多い。しかも、やっかいなことに、アンチだけでなくシンパにも存在している。
簡単に言うと、対話型調停=コミュニケーションスキル+(自分の)常識 (→だから法律を無視して良い)と思い込んでいる人と、対話型調停=コミュニケーションスキル+法律 (→だから法律を振り回しても良い)と思い込んでいる人が多すぎる。
そのどちらでもなく、両当事者の常識も、両当事者の権利に関わる主張も全部テーブルに載せて話し合いをするというのが、わたしが考える対話型調停である。
調停トレーニングというのは、調停では法律を無視していいのですか、逆に振り回していいのですか、どっちですか、と聞きに来ている参加者に、あなたは自分が当事者だったら、法律を無視したり、逆に振り回すような調停人に調停されたいですか、と、聞き返す仕事であるのだが、同時に、不快にさせずに楽しく、かつ、確かに別のやり方が存在するなぁと実感してもらわなければならない。
これが難しいのだが。
今年も、Tグループ(人間関係トレーニング)に参加。一応スタッフ側としてだが。
沖縄には3年連続で行くことになり、通算でも4回目だが、この筋では初心者と言える。
自分にとってはとても大切にしている活動なので、とても楽しみ。
はじめて、Tグループのトレーナー(ファシリテータ)を経験させていただきました。
感謝しております。という言葉の軽さに耐えられないほど、感謝しております。
わたしにとって、昨日は授業が最後だった。
明日(12/22)の滋賀での司法書士会と土地家屋調査士会の合同イベントが、外向けのものとしては最後。
研修講師は以前ほどはやっていないが、そこそこお声がかかるのはありがたい限り。
自分の能力的にはあんまり引き受けすぎては迷惑をかけるだけだとおもうが。
*
福岡に来てから重視しているのは、授業に力を入れること・・なかなか上手くならないが、エネルギーをかけると伝わるものもあるという感じはしてきた。
*
今年の活動の中では、8月に渡米したことと、先日経験したTグループのトレーナーが、自分の中では大きなものだった。
年明けに出る本の他に、事例検討会について書いた論文も出る。他の学者からどのくらい相手にされるのかよくわからないところがあるが、自分が大事だと思ったテーマを育てる努力は引き続きやっていきたい。
加えていただいている労働審判利用者調査も、アウトプットする予定(メンバーで分担執筆した報告書)。いろいろあって、なかなかしんどいが、こうやって仕事ができることに感謝しつつ、なんとかかんとか取り組みたい。さらに、もう一本原稿締切もある。
*
震災関連では結局ほとんどなにもできず。仲裁ADR法学会の連続公開シンポジウムも全く出席せず。
いろいろ心残りもあるが、気負いは捨てて、気合いは入れて、引き続きやっていきたいなと。
滋賀での土地家屋調査士会と司法書士会の合同イベントに参加させていただいた。
メインのイベントは、金魚鉢方式(フィッシュボール)の事例検討会。
事例提供者の方、金魚鉢の中の方、お疲れ様でした。
*
主催者側なので自分に甘い評価なのかもしれないが、アイデアと準備のおかげで好企画のものになったのではないかと感じている。
福岡県弁護士会 福岡県弁護士会 新着情報:医療ADRシンポジウムのご案内
■テーマ:『医療ADRに期待される役割』~より信頼される制度を目指して~
■日時:平成25年1月25日(金) 午後3時~6時
■会場:あいれふホール 10階
福岡県福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号
■問い合わせ先:福岡県弁護士会 担当事務局 大西
電話 092-741-6416
(1)全国の医療ADRの状況について
渡邊洋祐弁護士(福岡県弁護士会紛争解決センター運営委員会事務局長)
(2)基調報告
「愛知の医療ADRの状況 ~活発な利用の背景について~」
中村勝己弁護士(愛知県弁護士会紛争解決センター)
(3)パネルディスカッション
パネリスト
・ 野田健一医師(福岡県医師会・副会長)
・ 医療ADR利用経験がある元患者さんご本人
・ 入江秀晃准教授(九州大学大学院・法学研究院)
・ 中村勝己弁護士(愛知県弁護士会紛争解決センター)
・ 植松功弁護士(福岡県弁護士会紛争解決センター運営委員会委員長)
コーディネーター
大神昌憲弁護士(福岡県弁護士会紛争解決センター運営委員会副委員長・日弁連ADRセンター医療ADR特別部会委員)
今度出してもらう本の宣伝を。
定価も高くて、そうそう売れないでしょうから。
尊敬申し上げている方、好きな方には、献本致しますので、お待ちいただければ。
尊敬申し上げている方、好きな方の全員に献本するわけにも行かないので、届かなくってもご容赦をください。
どんな本かは、あとがきだけでも眺めていただければと思い、掲載します。
毎度のことながら、えらそーな文体ですいません。
現代調停論 あとがき大阪の蛙と京都の蛙という昔話がある。
京都見物をしようと思いたった大阪の蛙と、大阪見物をしようと思いたった京都の蛙が、間にある天王山の山頂で出逢う。そこで、大阪の蛙は京都の蛙に向かって大阪なんかつまらないから行くのはおよしなさいと言い、京都の蛙は大阪の蛙に向かって京都なんかつまらないからおよしなさいと言う。では、ということで、行き先の街を見下ろしたつもりが、地元の街を見て、なんだ同じようなところだという感想を持ってそれぞれ元の街に帰ることに決める。蛙の目は頭の上に付いているので、立ち上がると後ろの方を見てしまうから、大阪の蛙は京都を見ているつもりで大阪の街を見ていたし、京都の蛙は大阪を見ているつもりで京都を見ていたというオチである。わたしは、米国型調停に関する議論を聞いていると、しばしばこの昔話を思い出す。
米国で近年発展している新しいタイプの調停は、お金のかかる裁判とは異なり、柔軟で実情に即した解決ができるこれからの解決手続だというよくある宣伝がある。しかし、わたしならこの話を聞いても、日本では昔から分かっていたし、やってきたことだと感じてしまう……。 調停の研究において、このような既視感に囚われずに探求の旅を続けることは可能だろうか。
本書が取り組んだのはこの問題である。高いところからの眺めで見たつもりにならずに、できるだけ近くまで足を運び、直接見えたものを大切にしながら、それぞれの全体像を明らかにしようとしたのである。全ての姿を見尽くした、書き尽くしたとはとても言えないが、これまで取り組んできたものに一応の形を与えられたことに、喜びを感じている。* 本書は、研究者、実務家、政策担当者、そして一般の方々に読んでいただきたいと思って書いた。
研究者の方々には、批判を賜りたいと考えている。本書のアプローチは、少なくとも近年の日本ではめずらしいはずである。率直に申し上げれば、高踏的な議論に留まりがちな従来の研究への批判を含んでいる。具体的な調停現場で起きている事実関係に基づいた議論のための素材と共に、わたしなりの見方を提示したつもりである。わたしの議論には様々な甘さがあろう。批判を期待している。
実務家の方々とは、理念に立ち返った議論ができればと考えている。本書は、調停の理念、制度、運用実態についての研究書であって、実践のためのハウツーを示したものではない。(良き実践を具体的に行うための方法についても、いずれ書いていきたいと望んでいる。)しかし、本書は良き実務家の導きで出来たと言って過言ではない。技法は所詮手段に過ぎない。現在及び未来の良き実務家と、調停の実践が意味する理念を語り合いたいと望んでいる。
政策担当者(ADR法及び司法調停、行政型ADR機関等)が、わたしの議論を相手にしてくださるかどうかは定かではない。しかし、アリバイづくりとしての調停政策・ADR政策でよしとしない方にとっては、いくつかの問題提起を読み取っていただけるものと期待している。国民性が違う、認知度が低い、執行力の問題であるといったこれまでありがちだった議論の延長線上には展望がないことははっきりしている。さらに、弁護士と隣接法律専門職の業際問題として矮小化しないことを切に願う。角を矯めて牛を殺すことがないように考えるべき要素を明確にしたつもりである。
そして、すべての読者に申し上げたいことは、プレモダン(話し合いによる紛争解決という近代社会以前の古くから存在する活動)ともポストモダン(近代の裁判システムの成熟後に制度化された活動)とも理解できる調停手続と格闘することを通じて、現代のこの社会について、共に考えたいということである。子どもが2人いれば親として調停せざるを得ない。友人グループの中で、あるいは職場で、葛藤と関わりなしに社会生活を営むことは不可能であり、小さな調停活動は至るところにある。調停を考えるということは、われわれの住む社会を考えることである。* わたしが調停の研究をはじめたのは、当時働いていた民間シンクタンク(三菱総合研究所)での調査研究がきっかけであった。2002年に小さな文献調査を行い、2003年に米国の調停機関11箇所へのインタビュー調査を行った。このときに会った方々から受けた印象が、わたしにとっての調停研究の原点にある。しっとりとしたやさしさ・親切さという印象とともに、芯の強さ・自信・ある種の厳しさも併せ持った魅力を感じたのである。昔の日本人はこういう人たちだったのではないだろうかと感じたことを今でも思い出す。(これもある種の既視感である。)
その後、調停トレーニング教材の試行作成というプロジェクトや、調停トレーニングの受講、調停トレーニングのトレーナーとしての経験を重ねる中で、現代の調停とはどのような営みを指すのか、どのような意味を持った活動なのかを考え続けてきた。
そして、2006年から東京大学大学院法学政治学研究科の博士課程に入学し、会社を辞め、調停の研究に専念することにした。本書は、その博士論文原稿を修正してとりまとめたものである。* 未熟な本書ではあるが、多数かつ錚々たる方々の指導と協力を得た。
全員の名前を挙げることはできないが、博士論文のご指導をいただいたダニエル・フット先生には第一にお礼を述べたい。自分が教員の立場ならここまでつきあえただろうかと思えるほど、多くの時間を割き、粘り強く指導していただいた。まがりなりにも形作ることができたのはフット先生の懇切さのたまものである。日本における現代調停を文字通り切り開いたレビン小林久子先生には、執筆中から励ましていただき、光栄にも九州大学へ誘っていただいた。調停トレーニングの師匠である稲葉一人先生には、常にメンターとして相談に乗っていただいた。東京大学の太田勝造先生、佐藤岩夫先生、石川雄章先生、早稲田大学の和田仁孝先生にも格別のご指導をいただけた。さらに、本書を特徴付ける実務研究への道筋をつけてくださった中村芳彦先生、鷹取司先生、松下純一先生には特にお礼を申し上げたい。様々な団体にもお世話になったが、とりわけ全国青年司法書士協議会の関係者の方々にお礼と同志としてのエールをお伝えしたい。そして、調停トレーニングに参加してくださった方々を含め、わたしの調停に関する考察を深めてくださったすべての方々に感謝を申し上げる。本書の編集は、東京大学出版会の斉藤美潮さんにご担当いただいた。斉藤さんの的確な導きを得て、世の中に出せる幸せを強く感じている。なお、本書の出版に当たって平成24年度科学研究費助成(科学研究費補助金(研究成果公開促進費))を受けている。
最後に、この旅につきあってくれている家族にお礼を述べたい。ありがとう。
大学のプログラムで、「英語による教授法ワークショップ」なるものがあり、いまマニラ近郊の大学に来て勉強している。
いま二日終わったところだが、よい勉強にはなりそう。
仲裁人協会 編『仲裁・ADRフォーラム Vol.4』(信山社, 2013年)
「福祉的機能再考」という論考を書きました。
家裁の初期の議論を掘り起こそうというものです。
*
「調停のための事例検討会」 : Kyushu University Institutional Repository (QIR)
こちらは、法政研究に書いたものがPDFで公開されたようです。
させていただくことになりました。
調停技法誌上講義というタイトル。
4月号は、「調停技法を学習する意味」。
在外研究期間が迫ってきた。8月半ばから1年間。
アクシスアトランタ - AXIS ATLANTA アトランタ生活情報
いろいろ不安だが、行かせて下さる大学と受け入れて下さる大学、家族に感謝。
自宅も近所だが引越するので、非常に落ち着かない。(家族は福岡に残していきます。)
著書の概要を話して、その後質疑とディスカッションという内容だった。
お目にかかりたかった方に初めてお会いできて良かった。
自分としては、反省点の多い内容になってしまった。
井上治典先生の、信念と謙虚さのバランスと両立が大切という話を思い出して、がんばろうとおもう。
樫村志郎先生が、MD研時代の話をして下さったり、米国の調停の発展史を考える上で20世紀初頭からあるLabour Conciliationの団体を視野に入れるのも大事という指摘を下さったり、親切にして下さったことは、よく覚えておきたい。
*
詳しくは、福井康太先生のブログをご参照下さい。
2013年8月6日(火)日本法社会学会関西研究支部研究会概要: 法理論を語る
Reflective Debriefのセッションが興味深かった。
調停人のふりかえりをDebrieferが援助するというもの。
セッションの中で、コーチングに似ていると言っている人がいたが、まさにそんな感じ。
プレゼンターのSusanne Terryは、「良いコーチング」と同じだと言っていた。
(共同プレゼンターとして予定されていたMichael Langは欠席だった)
わたしがやっていた事例検討会とは発想は似ているのに、やり方はずいぶん違うと思った。
事例検討会では、みんなで話し合うことを重視するが、このReflective Debriefは1対1で行う。
*
このセッションでは、アイスブレーク替わりに調停人としてどんな価値を中心にしているか「コアバリュー」を質問していた。このセッションに限らず、割と抽象的な質問を投げかけて、全員に話させるみたいなことが多い。よく聞くと関係ない話をしている人もいるが、結構みんな真剣に答えている。
ACRのセッションだから経験の長いものとかトレーナーが多いというのもあるだろうが、日本で参加者にいきなり抽象的なことを皆の前で話させようとすると、どうだろう・・叱られることもあるし、などということも考えながら、参加していた。
ABA Dispute Resolutionセクションの年次カンファレンスに出席するため、マイアミ入り。
プログラムがiPhone/iPad用のアプリで提供されている。
自分用のスケジュールを組み立てられるし、レジュメまで添付されていて、なかなか便利。
iTunes の App Store で配信中の iPhone、iPod touch、iPad 用 ABA DR Spring 2014
Parenting coodinatorの連想から派生したEldercaring coodinatorなる仕事ができているのだそうだ。
Parenting coodinatorの役割について、「親の面倒を見るベビーシッターのようなもの」と冗談めかして言っていた人がいた。(フロアの発言)
Parenting coodinatorと調停人とのいちばん大きな違いはタイムフレームで、通常2年程度の期間を担当するという。
New Options for Elders And Their Families: Resolution for High Conflict Cases
Linda Fieldstone, Sue Bronson
植民地時代のアメリカにおける仲裁の歴史。
Margo Todd教授(University of Pennsylvania、歴史学)は、仲裁人はピースメーカーの役割を果たしたという。
Carli Conklin准教授(University of Missouri School of Law)は、クエーカーにおける仲裁の歴史を研究。
クリニカルエデュケーションに力を入れているそうだ。
日系の教員もいる。
UC Hastings | Center for Negotiation and Dispute Resolution
スタンフォード大学とともに、オンライン紛争解決についてのカンファレンス・ODR2014を主催。
ODR 2014 | The 13th Annual Online Dispute Resolution Conference
ABAのカンファレンスで、「今読んでいる本(What I'm reading)」という題されたセッションがあった。
パネリストが、本一冊を持ってきて順番に10分程度ずつ話していくというもの。
ゆるい・・
が、その人の知的生活としての現役性が問われているという、まったく反対の方向からの評価も可能かもしれない。
Andrew Schneider教授が、"Join the club: How Peer Pressure Can Transform the World"を勧めていた。クール革命という邦題で訳されているようだ。
KSUの交渉をテーマにしたカンファレンスがあり、「日本における交渉と紛争解決」という題でプレゼンをした。
日本語でも話したことがないテーマだったのでこなれていなかったとおもうが、聞いてもらえたので、まあよしとしたい。
交渉カンファレンスでは、Georgia State UniversityのCharity Scott教授と、Tim Hedeen教授による、インプロビゼーションのワークショップも開催。
体を動かして楽しめるのは万国共通。
輪になって1人1語ずつ話して文を作るというゲームでは、意味が分からなくなるのではとドキドキする。
Cherise Hairston氏(Dayton Mediation Center)によるトランスフォーマティブアプローチの説明。
原則立脚型交渉等の個人主義に基づく第一世代の交渉観との対比で、関係主義に基づく第二世代の交渉観を持つものとして解説されていた。
同じDaytonにある、Institute for the Study of Conflict Transformationの運営にも関わっておられるようだ。
JoAnne Donner, Tim Hedeen "Preparing for Effective Negotiation: Insights from Mediators"
調停手続への理解の乏しさ、手続への準備の不十分さなどを、調停人へのサーベイ調査で明らかにしている。
Year of Japanで、日本の小学校における数学教育についての報告があった。
日本の数学教育の成功の秘密を分析するというスタンスで、日本人として聞いているとすこし気恥ずかしい感じ。
日本ではカリキュラムのモデルそのものは多様性が乏しいけれど、具体的な授業の研究の裾野が広いので改善の方向性が安定しているのに対し、アメリカではモデルばかり増え現場での取り組みの蓄積が足りないということをおっしゃっていた。
たとえば、「授業研究」として、生徒が授業の中でどのように考え、理解していくかのプロセスを教員同士が真剣に話し合っている様子がビデオで紹介された。
確かにわたしが自分の子どもの授業参観なんかで感じた、わたしの経験した範囲の小学校の先生方のほとんどが誠実に真剣に準備しているという実感とも合致している。
フロアからは、日本の数学教育が成り立つのは、「日本のお母さん」がいるからじゃないか、といった指摘もあった。
ちょっと風邪気味だったようで頭痛がしていて、日曜日の午後はずっと寝ていた。おかげで今は回復した。
せっかくのイースターで、ホームパーティーに誘っていただいていたのだが、残念ながらキャンセル。
午前中には、寮の同室の面々と、マーティン・ルーサー・キングに関する博物館に行ってきた。
Martin Luther King Jr National Historic Site (U.S. National Park Service)
この中で、キング牧師が高校生向け講演したものがハンドアウトとして持って帰ってよかったので一部もらってきたのだが、興味深かった。
自分の人生の青写真を作るときに、自分自身の尊厳や、価値、そしてsomebodinessの中にある深い信念に基づくものであれということを言っている。
somebodinessという言葉をこう受け取ってよいのかはよくわからないが、誰もが持っている価値みたいなことか。「ひとかどの人物」のなかにあるものというのがそのニュアンスに近いかもしれない。
その上で、神が与えた仕事として、歴史の中で特別な瞬間だというように仕事を開始しなさいと言っている。
そして、たとえば掃き掃除をする仕事なら、ベートーベンが作曲するくらいに心を込めてやりなさいと。
どんな仕事でも心を込めて誠心誠意せよという仕事観は、意外と、日本社会にある禅的なそれに近いのかもしれないが、最初のところの、somebodinessの中にある信念の発見に努力せよというメッセージがとても大事だなとおもった。
息子たちをほったらかしにしている不良親としてですが。
The Seattle Times | Martin Luther King Jr.| What Is Your Life's Blueprint?
館内で見たミニムービーでエンディングに使われていたのは"We shall overcome"。
Pete Seeger - We shall overcome - YouTube
Tグループと呼ばれる人間関係トレーニングの案内です。
呼んでいただければスタッフとして、呼ばれなければ一般参加者として参加させていただこうかと考えているところです。
わたし自身は、この場は、自分の感情や思考の癖みたいなことを見直す機会として貴重なものだと考えています。
Tグループに関しては南山大学での活動が有名で、このHILの活動も南山とスタッフがある程度オーバーラップしていますが、独立したものです。
人間関係トレーニングを含めて人間の感情を取り扱う研修は、洗脳やカルトにも通じるところがあるため、信頼できる団体で研修を受けることが極めて重要だと考えます。
またMiles Mediation Centerでオブザベーションをさせていただいた。
今日も朝から4件の調停が入っている。
代表のJohn Milesさん自身が、いつでも来てくれと言って下さる。
前回いただいた本はKindle版でも発売されているようだ。
Amazon.co.jp: A New Day In Court 電子書籍: John K. Miles Jr.: Kindleストア
調停の主な利用動機は、①お金、②恐怖、③怒り、④正義の4つあるという分析をしている。
また、自分たちの調停センターでのサーベイデータを使った分析もしている。
The Atlanta Friends Meeting (Quakers): Homepage
ケネソーの大学の教員に教えていただいて、日曜日にアトランタのDecaturにあるクエーカーミーティングハウスの礼拝集会(と訳して良いのかな)に出てきた。
ひな壇のように高くなっている場所はなく、椅子が放射線状に8角形の角度で並べられている場所に着席する。
毎週日曜日の10時からで、誰でも参加できる。
独特の進め方であり、1回の参加で必ずしもよくわかったわけではないが、参加者がそれぞれ瞑想し、沈黙がちに進むが、独白的に少し話すところもあるという感じである。
この日は母の日だったため、少しそういう話題を話す時間があった。
礼拝集会が終わるとコーヒーなどを飲んで少し話せるような時間もある。
わたしはライブラリーを見せてもらっていた。
仏教関係の本も割とあり、ティクナットハンの本は複数あった。
静寂主義(quietism)とも言われるそうだが、わたし自身はしっくりくる感じがあったし、また行ってみたいと思った。
日本のクエーカー
Tokyo Quakers Monthly Meeting - Religious Society of Friends
社会的問題への活動を行う団体
American Friends Service Committee | Quaker values in action
月曜から、2週間連続の学部講義に参加させていただいている。
大学院の授業と内容は重なっているが、担当教員が変わると教え方も違うので参考になる。
テキストは、"Interpersonal Conflict"と"Mediator's Handbook"の2冊。
kangaroo courtというのは、いかさま裁判やリンチ式の人民裁判のことを言うのだそうだ。
2007年に出た247ページからなる非弁と調停の関係を論じた論文。
Young, Paula M (2007) "Connecticut Mediator in a Kangaroo Court: Successfully Communicating the Authorized Practice of Mediation Paradigm to Unauthorized Practice of Law Disciplinary Bodies, A", S. Tex. L. Rev., 49, 1047-1293.
論文と言うより本の厚さだな・・
調停に関係する研究テーマで、本格的に取り組めばおもしろそうなテーマはずいぶんたくさんあるように思っている。
とっかかりやすそうで、形にするのが難しいのが調停研究の特徴だと思うが。
朝8時から昼12:30までが2週間・10回連続で続くという調停についての集中講義が金曜日に終わった。
担当はTim Hedeen教授。
内容的には修士の方で聞いていたものともかなり重なっていたし既に知っている話もかなりあったが、教え方に様々な工夫があり(例えば、トランプのカードを使ってグループをシャッフルするとか)、また、大変博識なのでプレゼンやコメントもやはり非常に面白かった。
初めて選挙に行くとか言っている若い学部生たちにまじって、グループワークやロールプレイをたくさんした。
特に2週目に入ってからはロールプレイに次ぐロールプレイでかなり疲れてしまったが、知らないシナリオをたくさん仕入れられたので、帰国後のトレーニングに反映できると思った。
若い人たちにまじっている英語の下手な変な黄色いおっさんにすぎなかったところ、テキストとして使ったメディエーターハンドブックの裏表紙に名前が載っていることが知られて、学生たちからの扱いが変わった気がする。Jennyさんに感謝。
リーディングのアサインメントの出し方なども参考になった。
2週間で本2冊に加えて、グループ発表用の論文課題も与えていたが、学生に聞くと課題の重さは普通なのだそうだ。
学生の取り組みはもちろん人それぞれだが、全体的によく勉強しているし積極的に取り組んでいる印象を受けた。
あとでTim先生に聞くと、今回のクラスはやはり姿勢がよかったほうらしいが。
最終日は10人近くのコーチが参加した。コーチの属性は様々だが、他でトレーニングをしている人も複数あり、Tim先生の人望の厚さを改めて実感した。
贅沢な内容だった。
金曜日から紛争解決システムデザイン(Dispute Systems Design、DSD)と呼ばれる分野の講義が始まった。
裁判所付設型であったり、企業内であったり文脈は様々だが、制度設計をどのように行うべきかという議論である。
ステークホルダを特定して、きちんと手順を踏んで意味のある手続を設計しようという方法論だが、ある程度確立しつつある分野である。
Designing Systems and Processes for Managing Disputes (Aspen Coursebook Series)
手続規定を作ったけれど誰も使いませんとかいう話は、手続の作り方が間違っているのである。
楽しかったケネソーの生活は終わり。
家族に迎えられる幸せも味わい、新たに日本での生活が始まる。
全青司で報告会を企画して下さったので、16日に早速実施してきた。
話を聞いて下さる方がいるというのは、しみじみありがたい。
考えを整理するためのよい機会になった。
実務家に向けて米国の話をするのは難しい。私の中で変化したものもあるし、変化していないものもある。
わかりやすい話ができたとは思わないが、何か印象に残るところがあればよかったかなとおもう。
もったいぶった話は嫌いだが、抽象的にしか言えない話というのもあると思うようになってきた。
参加者は、各地ですでに講師や組織の役職を担っている人が多く、全青司のトレーニングが始まったころとはずいぶん状況が変わっている。
ふたりの院生と一緒に。
なにより自分が勉強になった。
学ぶというのは手作りな営みだなぁとおもう。
ありがとうございました。
2日間の研修会だが、受講者として参加させていただいた。
講師はイギリスRenuniteのAnne-Marie Hutchinson、Alison Shalaby、Sandra Fenn、大谷美紀子さん。
受講者は、弁護士、調停委員、外務省の担当グループだった。
風邪を引いてしまってなかなか抜けない。
木曜日に東京大学・石崎雅人教授の招きで、調停に関する入門的な講演をさせていただいた。
もう少し基礎的な話を中心に組み立てるべきだったかなと反省の残るプレゼン内容になってしまったが、参加者の面々も興味深い方々で、こちらがもっと詳しく話を聴かせて欲しいという感じだった。
金曜日には、日本司法書士会連合会の企画で、家事調停に関する座談会に参加させていただいた。司会は細川眞二先生、司法書士としては広島から清水佐智子先生が参加。梶村太市先生、杉井静子先生と家族法分野の大御所な方々を前にどうしようという感じだったが、率直な(あるいは率直すぎる)コメントをいくつかさせていただいた。本の一部に収録して下さるそう。参加者は面白い話し合いだったと皆おっしゃっていた。名司会ということかも。
事例研究会の開催。ひとつの事例については、申立人本人が研究会に参加。
非常に充実していた。
ラボラトリー方式(Tグループ)の4泊5日の研修会に今年もスタッフとして2年ぶりに参加。
千葉司法書士会調停センター研修 構成
1/11 事例検討会
導入 「この頃の私」
小講義 事例検討
千葉司法書士会の手続の流れ及び現状
昼食
事例検討1 自転車事故 受付相談で終了した事例 (事前準備)
事例検討2 不動産賃貸借に関する調停 合意事例 (事前準備)
事例検討3 遺産分割について割合を決めて欲しいという顧客 (即興)
1/12 受付担当研修
導入 自分のねらいづくり
傾聴ワーク 決めかねている計画 (二人)
小講義 「聴く」
民間調停機関の立ち位置を考える 申立を受け付けるかどうか
昼食
ロールプレイ 申立人相談 不動産賃貸借滞納
ロールプレイ 相手方相談
(若干の説明 民間調停のメリット)
*
参加者は多くなかったが(8人)、千葉会は申込相談も多く忙しいセンターで、実際的な話題も多く出た。
現場での仕事のやる気につながるものになったとしたらよかったとおもう。
私自身のトレーニング観が変化してきているけれど、受付相談研修の部分に出ている。
また機会がいただけたら、さらに改善したいなと。
1/31にモンゴル裁判所と愛媛和解支援センターの交流会及びシンポジウムがあった。
モンゴルの法整備支援として、JICAプロジェクトが10年来動いている。
今回は、モンゴル裁判所から裁判官や公務員調停人たちが日本での2週間の研修という位置づけで来日しており、その1日のプログラムとして、愛媛和解支援センターを見学・交流するという運びになったという次第。
ADR法の取得はおろか社団法人にすらなっていない任意団体である愛媛和解支援センターを見学先に選んだという話もすごいと思ったが、実際にその交流の場に立ち会ってみると、愛媛和解支援センターのプレゼン資料がモンゴル語訳されていたりしたこともあり(一人のメンバーの息子さんの奥さんが、モンゴル語に堪能ということだったらしい)、不思議なほどかみあった交流がなされていた。
プロジェクトを動かしているJICAと日弁連国際交流委員会の弁護士の方々とも親しくなれたのもよかった。彼らからも和解支援センターの活動に感銘を受けたり、関心を持ったりという感想を聞けた。私は彼らの経験談を、ロースクールの学生さんたちに聞かせたいとも思った。
3/26-27の二日間、岡山弁護士会での調停トレーニングを実施しました。
(稲葉一人先生との共同実施)
岡山弁護士会では通算6回目のトレーニングでしたが、好評裏に終えられてよかったです。
広島からも参加があり。
法社会学会学術大会に参加。
9日の午前は、立教大学濱野亮教授、東京大学佐藤岩夫教授、桐蔭横浜大学吉岡すずか教授、大阪大学仁木恒夫教授らによる法テラススタッフ弁護士による司法ソーシャルワークの研究。
佐藤先生がケア論を参照して、司法ソーシャルワークの活動を理論的に見ることができるという指摘をされていた。山口絢さんのホットラインに関するインタビュー調査も興味深かった。仁木先生は、成年後見の事例にみる具体的活動について報告されていた。太田晃弘弁護士が最後にコメンテーターとして登壇された。長谷川貴陽史教授(首都大)が、佐藤先生に、当事者のニーズというのは外部である専門家から把握可能なものとして考えるのか、という質問をされていた。
午後は、遠藤直哉弁護士、太田勝造教授、久保利英明弁護士、久保山力也講師による法科大学院に関するセッションに参加した。遠藤弁護士は、隣接士業の再編を含んだ提言をされていた。
基本的に、ロースクールの役割についての積極的な見方が多く話し合われていた。フロアには、萩原金美教授もおられ、コメントされていた。
10日の午前は、ADRの利用者調査に関する中間的報告についてのセッションで、太田勝造教授、垣内秀介教授、前田智彦教授と共に登壇した。草野芳郎教授や林真貴子教授からもフロアからコメント・質問されるなど、活発な議論となった。
午後の全体シンポでは、ジェンダーと法に関して、角田由紀子弁護士、船越資晶教授らから報告があった。
***
ところで、法社会学会大会からは、依然として、「アウェイ」な感じを受けるのだが、何故なんだろうか。
Law and Society Association | Seattle 2015
初めてのLSA大会だったが大変楽しく参加できた。
5/28朝から6/1昼までのプログラム全部に参加できた。
自分自身の報告は、民間ADRの質的研究。
まあ、なんとか。
聞いたなかでは、
Menkel-Meadow:多文化の環境下での調停への抵抗
Colin Jones:牧野英一を中心とした戦前戦中期の法社会学
Yedan Li:中国における調停手続の実証研究
Hualing Fu:中国における調停手続の歴史的変遷
といったあたりが私にとって特に興味深かったところ。
Tania Sourdin、Alexandra Crampton、Dongsheng Zangといった方と知り合えたのもよかった。
何より、日本の法社会学会に比べて、ずいぶん開放感を感じたのだが、この感じは何なんだろうかと。
6月27日(土)の午前10時から愛媛和解支援センターで第6回総会があった。
団体としては12年目。
昨年は申し立て23件(不応諾9件、応諾後不出頭2件、合意6件、一部合意1件、不調3件、継続2件)ということのようだ。
和解支援センターに来ているときには、楽しそうにしていると言っていただいた。確かにそうだとおもう。
7/4 13:00-17:00で、「対話型調停技法を考える」と題して、半日もののワークショップ型トレーニングを実施させていただいた。
全然内容を知らずに先輩弁護士に言われるがまま参加したが、「新しい世界が広がった」という感想を言って下さった方がいた。普段は、当事者の話をゆっくり聴くというより、見立てたことをすぐに口にするタイプだったのだが、今回は試みに長めに待つ形で進めてみたら、同じグループの中の先輩から褒められたりして、まんざらでもない感じがしたということらしい。
他にも、弁護士会ADRの中でも対話型調停モデルにもう少し真剣に取り組んでもよいとおもうといった考えは何人かの方から聞くことができた。今は岡山くらいだけれど、もう少し真剣が動きが広がればとは思う。他の方向性の運動もあってもよいとおもうけれど。
わたしの考え方に抵抗感を覚えている方ももちろんそれなりにおられたとおもうが、ロールプレイには意外と楽しそうに皆で取り組んでいただけたので、そういう意味でもよかった。
参加者はベテランから若手まで様々。
仲裁センター合宿の緊張感を楽しめたと自分では思ったが、懇親会の席で上原裕之先生から、昔の合宿では、もっとキツい議論の応酬だった、ゆるくなっているというご指摘があった。
7/10は日本ADR協会のシンポジウム・実務情報交換会。テーマは、「ADRの手続実施者を対象とする研修の実状と課題」。私は、パネリストとして、トレーナーの立場からというコメント。団体としては、参加申込も多く、実施して良かったという評価のようだ。わざわざ足を運んで下さった方の評価はどうだろうかとおもうが。
7/11は、仲裁ADR法学会学術大会。個別報告は、廣田尚久先生、石崎雅人先生。パネルディスカッションは倒産ADRについて。
個別報告はおふたりともメディエーションについてであった。
倒産ADRについては、中小企業再生支援協議会によるスキームの話は知らなかったので、興味深かった。
中小機構:経営力の強化: 中小企業再生支援全国本部
一見専門的でビジネスライクな話に聞こえるけれども、自営業者経営者とその家族の命を守るためにとても重要な手続である。
専門家だけでなく、「常識」としてもある程度知っておくべき動きであるようにおもった。
2015年8月4日~6日まで、第4回東アジア法社会学会議が開催された。
8月3日に企画された府中刑務所見学という企画にも参加できた。
刑務所の見学自身ももちろん興味深かったが、見学に参加している外国人研究者の反応も興味深かった。刑事法学者に聞くと外国でも刑務所見学は開かれており、日本よりも開放的で、たとえば収監されている人と話をすることもできることが多いようだ。
しかし、日本の刑務所もそれなりに社会に向けて開いていく努力をされている。
8月4日はキーノートスピーチが延々と続く、やや不思議なプログラム構成だった。
個人的には、佐藤岩夫先生の報告に加えて、伊藤和子弁護士のヒューマンライツ・ナウの活動に関する話、髙木喜孝弁護士の戦後補償と国際人道法をめぐる話題が興味深かった。
ただ、やや人選が偏っている印象はぬぐえなかった。
8月5日の朝から、ADR利用者調査についての報告者としてのおつとめがあった。
聴講できたセッションとしては、福島県浪江町の馬場町長の報告を含む原発ADRについてのものが興味深かった。宮内博史弁護士(東京パブリック法律事務所)が弁護団としての集団的ADR申立、和解案の成立、東京電力の支払拒否といった経緯の説明があった。
ADR集団申立て・要求活動 - 震災・復興関連情報 - 浪江町ホームページ
原子力発電は経済的であるという説明がいまだになされるけれども、これだけ広域な地域社会に対して破滅的な影響を与えた補償が「見合っているか」という問題と併せて考えなければならないはずだ。
8/6は、池原毅和弁護士の障害者人権審査機関創設プロジェクトの活動も少し伺えた。
Disability Rights Tribunal in Asia & Pacific
薬物依存回復支援活動のDARC、アパリに関する石塚伸一教授、加藤武士氏らのセッションも見ることができた。
***
記念すべき10年目のJAA調停人養成講座が無事開催された。
高い(3日間で非会委員5万円、会員4万円)といった声もあったが、講師以外に手伝って下さるグループが充実しており、なんとかかんとか続けられている。
参加者も変わってはきている。
今年は伊藤知加子さんに話題提供をしていただいた。
プログラムは毎年見直しているが、より飛躍させるためにも様々な仕掛けをしていければとおもう。
飯田橋のレインボービルで、仲裁人協会の中級編、初日が終わる。
29人の参加があり。
*
ブログ更新を怠っているとお叱りをうけたので書いています。
ぼちぼち書くことにします。
今年ももうすぐ沖縄HILに参加させていただく予定。
ラボラトリートレーニングは、すごい発明だ。
最近ずっと考えているのは、トレーニングの「本物性」とは何かということ。
洗練された偽物もある。本物性と完全性とはまた違う概念である。
自分自身に偽物というラベルを貼るべきではない。本物性の薄さがあるとしたら、その厚みに向けて精進すればよいのだ、と考えるようになった。
今後の予定をこそっと書いておこう。
参加資格は、今のところ仲裁人協会会員限定。
聴講料払って誰でも聞けるようになると良いと思うのだが。
2016/2/29 18:00-20:00 日弁連1703 岡英男弁護士 モンゴル調停制度強化プロジェクト等について
2016/6/14 18:00-20:00 日弁連1701C 和田仁孝教授 医療ADRについて
仲裁人協会事務局 (電話番号:03-3580-9870 FAX番号:03-3580-9899 e-mail:jaa-info@nichibenren.or.jp)
茨田高校のピアメディエーション部OBと池田真茶さんが中心となって進行されたピアメディエーションの勉強会に参加させていただいた。
4回連続講義の形式での4回目で、総まとめにあたる内容。
13:30-16:30までの3時間だった。
その後ピザとソフトドリンクのノンアルコール懇親会が1時間ほど。
こういう外向けの企画自身は今年が初めてだったそう。
前回までは著名な講師(水野修次郎先生、井上孝代先生、仁木恒夫先生)を招いての講演を目玉にしていたのに対して、今回は普段のクラブ活動の内容を元に、OBが中心に実施。
参加していたのは、シヴィルの関係者よりもむしろ学校関係者が多かったようだ。
「本物性」を感じる体験だった。
これを縁にもう少し勉強を深めたいと思った。
福岡でも公開型の勉強会を始めたいと思っていたが、やはりやらねばという思いを強くした。
福岡でも勉強会を行います。
4月以降さらに忙しくなりそうなので、このタイミングで。
日時:2/13(土) 14:00-17:00
場所:九州大学箱崎キャンパス 法学部講義等棟207教室
詳しくは、↓で。
https://www.facebook.com/events/895863683868541/895863907201852/
茨城県土地家屋調査士会のADRセンターからの講演依頼をうけて、話をさせていただいた。
スキルトレーニング以前のADRセンターの位置づけをもっと考えましょうよという呼びかけで、私は結構以前から言っている話だが、新鮮に感じていただいたひともいたようだ。
弁護士会との共催的な形での研修会になっており、弁護士出席者と調査士出席者の比率が4:6くらいだった。こういう企画はいいなとおもう。
懇親会の時に声をかけてくださったのは弁護士の方ばかりで、調査士の方からはあまりなかった。
調査士に響く話はできなかったということかなぁ・・
福岡空港-茨城空港の直行便の飛行機があることを調べておらず、羽田空港経由で行ったが、品川-水戸の常磐線特急が快適で驚いた。
新幹線的な乗り心地で、揺れも少ないし、座席も広くコンセントもある。
JR東日本E657系電車 - Wikipedia
せっかくの水戸だったが、観光せずにすぐに福岡に戻りました。
九州大学法科大学院「実務家を対象とした九州大学法科大学院弁護士等リカレント・プログラム 聴講生の募集について」
わたしの4月からの「紛争管理と調停技法1,2」の講義も募集対象になっています。(出願資格は、調停・ADR等の実務経験を有するものまたは関わる可能性のあるものでかつ担当教員の認める者(出願期間前にメールで連絡して出願資格の有無を確認すること)というもので、弁護士には限りません。)
有料で、出願手続も必要ですが、よろしければ案内をご覧ください。
2/27-28と、絹川友梨さんのインプロのワークショップに参加させていただいた。
絹川さんとは2014年の11月に東大で直接お目にかかったが、ワークショップは初めて。
とにかく楽しいワークショップだった。
さすが第一人者のものは違うとおもった。
ネタとして直接なにが取り入れられそうかについてはちょっと検討が必要になりそうだが、それ以上に、進行の仕方や、合間合間に挟まれる絹川さんの考え方の解説が興味深かった。
Yes, And... の考え方がすべてにおいて貫かれているかどうかを自己吟味しながら、プログラムを即興的に提供されている。
なので、即興的ではあるのだが、浅薄でないという、まことに不思議というか、素晴らしいワークショップだった。
場数も相当積まれているのだろうが、それ以上に真摯なリフレクションを積み重ねられた結果だと感じた。
メディエーショントレーニングとの関係で言えば、インプロのワークショップは「考えずに反応する」方向での練習に偏りがちなので、メディエーショントレーニングについては「反応を保留して考える」「反応を保留して受け止める」方向での練習も同じくらい大事だという気がしている。
「いまここ」への集中という意味で、意外とラボラトリートレーニングとの相性がよいかもしれない。ワークのテンポの問題はありそうだが。
参加者も多士済々で興味深かった。
上野学園大学|ワークショップ|ファシリテーションにおける即興性を問う――イエスアンドで始めるインプロ入門 | Peatix
清泉寮で開催された、HIL研究会に参加してきた。
ラボラトリートレーニングのスタッフが集まっての研究会だが、非常に充実したときを過ごすことができた。
もう少し来てほしい何人かがおられたが。
中堀先生のお元気な姿を見られたのが何より。
HILのラボラトリートレーニングは、純度が高い形でファシリテーション、人と人との関わり方を学ぶことができる。
世の中には、「コミュニケーションスキル」の学習機会は多いけれど、スキル学習はすぐに自己目的化しがちである。
むしろ、自分自身のあり方を検証した方が、テクニックを増やすよりもずっと大事なことだと思っている。
そういう学びの場として、HILは非常に貴重であるとおもう。
「仙台弁護士会 ADR10周年記念座談会 これまでの10年とこれからの10年」2016年、
仙台弁護士会会報、474号別冊。
座談会参加者は、私のほかは、ADRセンター委員と広報委員関係の弁護士の先生方。
具体的には、小野寺信一、斉藤睦男、豊田耕史、阿部弘樹、米谷康、塩谷久仁子、三瓶淳の各先生。
自由と正義2016年3月号の特集1は震災から5年(渡辺淑彦弁護士らが執筆)、特集2は「紛争解決の新たな潮流」ということで対話型調停を取り上げて下さった。執筆者は、廣田尚久、大澤恒夫、稲葉一人、レビン小林久子の各先生と私。
私が書いたタイトルは、「調停人の態度のトレーニング」。
文末は、「トレーニングだけで紛争解決システムが完成するわけではないが、必須要素であることは明白である。弁護士会ADR、続いて、裁判所調停に調停トレーニングが本格的に組みこまれるべきであると、私は信じる。」
3/19に東京の日本・精神技術研究所(九段下)であったPCAGIPセミナーに参加してきた。
講師は村山正治先生(九州大学名誉教授、東亜大学教授)。
著書も興味深かったが、やはり実際のセミナーに参加できて良かった。
グループアプローチのファシリテーターとしてのあり方が、進行に大きく影響するように思えた。
間違いなく一回一回のセッションで違う内容になるはずだが、それ以上にファシリテータの役割は大きいという印象。
また、事例提供者は、ファシリテータに守られるが、それでもその方の力量によって会の充実度は違うだろうとも感じた。今回の事例を出して下さった方の誠実さにはとても感銘を受けた。
ピカ支援ネット図については、板書係に任せることにしてあえてルール化しないということのようだった。などなど、やはりあえて、決めていないところなどを知ることで、その哲学を感じることもできる。方法論の創設者なので、今後もどんどんやり方を進化させて行かれるだろうが、そういう自由さも感じられ、1日のセミナー自身があたたかく、楽しいものとして体験できた。
私が取り組んでいる事例検討会の方法とも共通性が高いということが改めて感じられた。相違点としては、私がやっているやり方の方がやや問題解決指向が強いのだろうとおもう。
半日のプログラムとして実施させていただいた。
傾聴についての簡単なワークと事例検討会を行った。
テクニックだけでなく、理念にさかのぼって考えるとともに、個別的にどう関われるのかを具体的に問い直すための方法、考え方があるということを伝えようとしたのだけれど、どうだっただろう。
せっかくの長崎だったのだが、日帰りの出張でちょっと残念。
3/25に大学の卒業式があり、また、記念パーティーがあり参加してきた。
ゼミの卒業生が出たし、高年次の紛争管理論の授業の履修者もいた。
紛争管理論の講義は後輩に勧めておきましたっ、みたいなことも言って下さる方もいて、ありがたかった。
巣立った人たちがどう過ごしているかも教えてほしいなと思っている。
3/30-31は岡山仲裁センターでの調停トレーニングを実施させて頂いた。
今回は7回目だったようだ。
36人の参加。今回初めて弁護士以外の専門職の方が多数参加された。
確実に「味方」というか、理解者が増えている。という一方で、浸透については、岡山仲裁センターですら未だしの状況というのが率直なところだろう。
大事な役割を与えて下さっているのに十分に応えられているだろうかと、いつも思ってしまう。
来年は岡山仲裁センターの20周年になるそう。
この4月から会長は水田美由紀さんになり、仲裁センターの飛躍も期待されるところ。
福岡県司法書士会の調停センターで実施している調停の事例勉強会に参加させて頂いた。
勉強会への準備が充実していて、とてもありがたい機会になった。
ここは事務手数料3000円のみで手続ができる利用促進キャンペーンをしており、相談は増え、実施もいくつか出てきているという状況。
1年目は5人だったので、やや増えた。
手作りでやっていくつもり。研究指導に焦点を当てたいなと。
論文執筆能力は、役に立つよと。
留学生向けの大学院のクラスがやっと終了した。
英語で授業しなければならないということで、嫌だったのだけれど、がんばって一応終えられて、ホッとしている。
受講者は32人で、アメリカ、カナダ、フランス、スイス、ニュージーランド、タイ、中国、韓国、バングラデシュ、カンボジア、ベトナム、インド、マレーシア、台湾からの参加があった。
のど元過ぎればなんとやらで、やって良かったと思っている。
グループ発表を中心に進めたが、結構ノリノリでビデオを作ったりしてくれたりした。
最終日は小テストと調停ロールプレイをしたのだが、これらにもちゃんと取り組んでもらえた。
まあ、自分で自分に、よくやったと言っておこう。
しょぼい英語力でも、今後も頑張ろうと思った。
私は、弁護士会ADRの利用者調査データの分析についての報告。
事件類型ごとの満足度の違いについての分析結果を報告。借地借家について満足度が高い。
熊本の震災でも、この種の問題が多く出ているようなので、利用につながると良いと思う。
くま弁ニュース Vol.2
建物に被害が出て、借家人が追い出されるという話だけれど、大家さんも被災者なのだ。
どちらが悪いという話よりも、どうやって具体的にそれぞれの状況を立て直すかという話し合いができるといい。
また、同席手続の効果と影響について、なかなか面白い結果が出てきている。
同席中心と同席中心以外では、同席中心の方が手続全体への満足度が高い結果なのだが、手続実施者自身への評価は同席中心の方が低い。
また、手続終了後の当事者間関係との関係で見ると、そもそも「手続を経て関係が改善した」という割合は同席中心であれ、その他であれ高くない。むしろ「手続を経て関係が悪化した」という割合が改善よりも多いという現実がある。
しかしながら、「手続を経て関係が悪化した」場合に、同席中心なら手続満足度は肯定的な場合が多いのに対して、同席中心でなければ手続満足度は低い。
つまり、しっかり「相手に愛想が尽きて」、次に行こうという決意ができるという意味で、同席手続は意味があるという結果が出ている。
なんというか、身もふたもない話なのかもしれないけれど。
しかし、一部でも関係が改善する人たちはいるということもやはり大事な話である。
また、仲直りなどしなくても、手続にしっかり取り組めたと当事者が思ってもらえるような場を提供できているというのも貴重な話である。
いずれにしても、日本でも同席手続は十分提供する価値があることが分かるし、しかもその手続提供者には相応のスキルと覚悟が必要ということが、データに基づいて言えるようになったのはとても大きな成果であるように感じている。
無事終了。
やはり続けようとおもう。
今回は、スキルや道具を試すという色合いが強くなってしまった嫌いもあるので、もっとしっぽりと話をしてみたい気持ちも出てきた。
事務局を手伝ってくれる人がいるとありがたいんだけど。
7/8は、日本ADR協会のシンポジウムに出席し、7/9は仲裁ADR法学会に出席し、7/10は、平田オリザ作・青年団のニッポン・サポート・センターを見てきた。
日本ADR協会のシンポでは、ADR利用者調査の結果をどう生かすかというテーマで話し合われた。
垣内秀介先生の学者としての誠実さ、きちんと対象に向き合う姿からは、いつもながら、すごいなぁと感じる。同じプロジェクトに属していながら、こうしたちゃんとした報告ができていない自分が恥ずかしくなるが。
全銀協、愛知県弁護士会、新潟県司法書士会からの取り組みの報告もあった。
仲裁ADR法学会については、やはりADR利用者調査プロジェクトでご一緒している今在慶一朗先生の社会的公正の心理学、手続き的公正に関するお話があった。今在先生にはこの分野の教科書を書いていただきたいと思った。
「平等に関わらない中立から、平等に関わる中立へ」というお話が今在先生の結論としてあったが、私が考えるメディエーションの最重要事項だと思っている。Mediators Handbookにも書かれてあるその話こそ、と、おもいながら伺った。
黒田愛弁護士によるハーグ調停の報告についても興味深かった。日本の家裁は条約の額面通りに6週間で裁判しようとしすぎているといった話も聞けた。
事例についての情報開示がないので、外国から不信の視線は続いているというお話もあった。
他方、こんな父親のもとに返すのが本当に正義かという話もあるということは、司会の小原望弁護士がおっしゃっていた。動き出してはいるが、課題山積感満載。
仲裁人の倫理規定についての話題も意外と参考になりそうだとおもった。
IBAの規定の説明に対し、調停人の行動規範について同様なものがあるか質問があったが、それに対しての答えは「ない」だった。
IBAは調停についての倫理規定を持たないのかもしれないが、ABAにはアメリカの国内調停向けの規定がある。調停人の倫理規定についての勉強もしないとなぁとおもいながら聞いていた。
ニッポン・サポート・センターは、すばらしい作品だった。当日チケットはキャンセル待ちだったが、その人気もうなずける。
「そういうときは、すみませんではなく、ありがとうと言うんだ」というセリフが出てくる。すみませんと言いまくる支援を受ける人に、すみませんではなく、ありがとうと言ってもらいたいですと、言えるといいのかなとおもった。
みんなそれぞれ大変。いま、たまたま助ける側にまわっている人も、たまたま助けられる側にまわっている人も。
第3回 対話調停カフェ (テーマ:場を開くこと) 参加者募集中
日時 2016年7月31日(日) 13:30 - 16:30 場所:九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)
第4回 対話調停カフェ (テーマ:ふりかえること(仮題))
2016年10月15日(土) 14:00-17:00 場所:九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)
https://www.facebook.com/events/1758233207780492/
****
第3回は無事終了しました。
やっぱり続けていくと、少しずつリズムができてくるかなという感じがしました。
ちょっと準備していたことと参加していただいた方の関心のズレみたいなものがあって、一部話しづらかったところがあったようです。そのあたりは反省。
でも、まぁ、全体として、和気あいあいとした雰囲気でいい感じだったのではないかと。
http://qdaicms.jimdo.com/震災adr/震災adrシンポ/
6月末頃から関わってきた熊本県弁護士会が中心として行っている震災ADRのシンポジウムを、8/27午後に熊本大学で実施する。
200人入れる部屋なのだが、どのくらい来て頂けるか。
内容的には非常に充実していると思う。
***
私が震災ADRに入れ込んでいるのはいくつか理由がある。
ひとつは、震災ADRが、穂積重遠以来、原後山治以来の日本型の市民的ADRの正統だと思うからだ。
よく、弁護士会ADR対隣接専門職ADRの構図での議論がされるが、私は、そういうアングルの議論にあまり関心がない。
評価型調停と対話促進型調停の対立の議論をしているようで、実は、弁護士会ADR対隣接専門職ADRの議論をしたいだけという場面にはさんざん出会ってきた。どちらのサイドも利用者目線が不在の、おおむねあほらしい内容だった。
そうした政治的動機に基づくトップダウン型ADR=上意下達動員型ADRと、利用者ニーズから出発する市民的ADRの対立こそ、よほど本質的だとおもう。
それは当然、弁護士会ADRの内部にもあるし、司法書士会ADR、行政書士会ADRの内部にもある。
市民的ADRは、運営が難しい。しかし、その難しさは、追及する価値があるものだと思っている。
あっせん人の倫理に関わる問題をテーマにした勉強会が行われた。
出井直樹先生が基調報告をされ、室谷和弘先生が、今回のために実施したアンケートの結果分析を報告された。
中村芳彦先生、上原裕之先生、山崎司平先生らも参加。
倫理上の問題を経験から集積、分析するアプローチは重要だと思う。
単純集計的な報告だったのだが、もう少し深めて研究したいテーマだと思った。
この勉強会が良いのは、弁護士会以外からの参加も認めているところ。
来年は合宿になる予定。
*
面白い議論としては、あっせん人が現地を見に行くことの妥当性についてであった。
現地調停を行うこと自身を考えていないという機関の発言もあったが、難しい話として、あっせん人がひとりで現地を見に行くことはいかがなものかという問題提起もあった。
たとえば、交通事故の事案で、交通量の問題や、死角の存在などで状況を把握したくなるという場合に、あっせん人が単独で現地を見てきました、みたいな話である。
そんなことなんでわざわざするのかという話だが、では、そうした行為が禁止の対象か、処罰に値するかといえば難しい。
おおかたはいつもの話だったかもしれないが、他にも、少し新しい話が出てきている。研究しなきゃとおもった。
8月19日福岡県土地家屋調査士会研修。
8月22日、23日Brad Heckman氏(New York Peace Institute)によるMediation Training受講。
8月26日、熊本県弁護士会・震災ADR・事例研修会。8月27日午前、熊本県弁護士会・震災ADR・技法研修会。午後、震災ADRシンポ。
8月28日 PCAGIPネットワーク設立会へ参加。
8月31日、広島弁護士会、交渉・相談トレーニング。
と、忙しかった。
中でも、震災ADRシンポのコーディネートでとても疲れたが、関係された先生方に「よかった」と言って頂けて、ホッとした。
Brad Heckmanさんは、Ted Talkでメディエーションについて語っている方。
サンフランシスココミュニティボードの設立者のショーンホルツの下で働いていた経験をお持ち。
これまでのメディエーション運動とは違うアプローチで行動(マーケティングその他)するのだと言っておられたのが印象的だった。
*
震災ADRシンポについては、関係者に恵まれた。
仙台の斉藤睦男先生、阿部弘樹先生のADRへのコミットメントには本物性がある。事前準備の打合せなどでも、ハッとすることがいくつかあった。私にとっても学ぶことが多いイベントになった。
シンポ当日は、パネルディスカッションの司会もしたが、時間進行が押せ押せになっていて、ゆったり議論するという感じにできなかったというきらいはあったとか、熊本の弁護士や、熊本の司法書士にももっと来て欲しかったという反省もあったが、しかし多くは遠くから約100名来て下さって、本当にありがたかった。
9/10-11は、長崎県土地家屋調査士会の調停技法研修を行ってきた。
最近、2日間のトレーニングを団体から依頼されるケースが減っているが、私だけではなく、トレーニング実施そのものも減っているような感じだ。
長崎での土地家屋調査士会での研修も久々の企画だったそうだ。
調査士の境界立ち会い業務と、調停は一見似ていそうに見えるけれど、目的も方法も違うところが多いのではないか、ごっちゃにしてもどちらも妥協要請型的にならざるを得ないのではないかなどということも話した。
前の行政書士会での研修にも出て下さった方がおられたり、五島列島からの参加者もおられたりして、和気あいあいとできたのはよかったと思っている。
*
JRのかもめで行ったのだが、行きと帰りでずいぶん乗り心地が違った気がする。
どちらも黒い車両だったのだが。
今度長崎に行くときは白いかもめを選んで乗ろうとおもう。
去年は糸島のRISE UP KEYAというところに行ったが、今年は、津屋崎での合宿だった。(9/12-13)
JRで博多から福間まで行き、そこからバスで。
思ったほど遠くない。福岡の中心部とは空気感が全く違う。また、農業地域の糸島とはまた違った方向で、海と歴史の場所という感じだった。
「福岡の葉山」と呼ばれたこともあったらしいが、個人的には大磯を思い出した。
外から来た人にやさしい土地柄だということをおっしゃっていた人がいた。
見た目は漁村的でも、住んでいる人の感覚が都市的なのではないかなとも感じた。
宿泊は、夏場に海の家として経営されている民宿まさごで。バーベキューにはさざえもあり、大量の肉もあったが、学生さんたちは追加注文をしていた。リーズナブルというか、お安くしていただけて、ありがたかった。
この合宿のために下見に行って企画してくれた幹事の学生二人、また、何かと相談に乗ってくださった津屋崎ブランチの福井さんのおかげで、とても充実した2日間となった。
久しぶりに新潟県司法書士会での研修を担当させていただいた。
以前は、いろいろな司法書士会で研修させていただいていたが、最近めっきり減っている。
今回は、土地家屋調査士会、社会保険労務士会、行政書士会からの参加もあり、多様性のある研修会として、トレーナーとしても楽しくさせていただいた。
参加メンバーが多様な方が、参加型の研修、グループ討議などは充実すると思う。
新潟県司法書士会は、2007年に研修に呼んでいただいたが、ソロトレーナーとしてのデビューだったので、思い出深い。
もう10年近くやっていると思うと、なかなか感慨深いものがある。
今回は、東海大学の北村隆憲教授が、トレーニングやロールプレイの様子をビデオ撮影して分析してくださるという初めての試みとなった。今後の展開が楽しみ。
10月15日に予定している対話調停カフェですが、愛媛和解支援センターから10名も参加して下さるということになりました。
当日の内容としては、「ふりかえること」をテーマとして、以下の構成にしたいと思います。
1.ミニ講義(対話型調停とふりかえりについて) 入江 40分程度
2.ペアワーク:人生曲線 40分程度
3.模擬事例検討会 90分程度
2016年10月15日(土) 14:00-17:00 場所:九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)
模擬事例検討会については、事前に話題となる情報を提出してもらうことにしました。
(事例提出は義務ではなく、任意)
様式は、
模擬事例検討会事例提供について
模擬事例検討会事例提供ワークシート
です。
懇親会も行うことに致しますので、参加希望者は連絡下さい。
対話調停カフェは、参加費無料。懇親会は実費(おそらく4000円から5000円程度になると思います。学生は多少安くなるかも。)
下記に、記載して、入江(hideaki@hirie.sakura.ne.jp)までメールしてください。
--------------参加申込----------------
第4回 対話調停カフェ参加希望
氏名:
メール:
電話:
1.対話調停カフェへの参加する しない の区別
2.懇親会への参加する しない の区別
--------------------------------------
すでに参加表明されている方も改めて連絡頂けば助かります。
今年最後の対話調停カフェは12月17日に行う予定です。
テーマはまだ未定です。
*
先日の第4回対話調停カフェは無事に終了しました。
模擬事例検討会を行いました。また、懇親会を梅嘉 さんで行いました。
10/22 10:00-17:00で調停トレーニングをさせていただいた。
今回の特徴としては、
・センターの関係者の先生方と事前の打ち合わせを重ね、一部の講義を担当していただいたりしながら、一緒に作ることができた。
・交渉理論と、課題の特定を扱った。
・調停デモ、調停ロールプレイも実施した。
・北村隆憲先生がビデオ撮影をして下さった。
といったところ。
アンケートをざっと見た中には、「考える研修になっていてよかった」という記述や、「考え方が一貫した研修になっていた」という評価もいただけた。ただ、「ちょっと長かった」という評価も複数あり、これはもっと長くやりたかったという声が圧倒的に多かった広島県弁護士会のときとは違う反省すべき点になっている。
半日ものとか、1日ものというのは、正直なところ、中途半端な長さだと言わざるを得ないけれど、現実的には、この規模の研修で評価してもらわなければ、次が続かない。
若い人も、実力者も、両方参加して下さった中で、和気あいあいと楽しくできたので、まずはよしとしたい。
第5回対話調停カフェは、「模擬調停を見る」ということで、設例を用いた、しかし、即興の調停のデモンストレーションを参加者の方に見ていただき、考え合うという企画を行いたいと思います。
対話型調停の様子を見てみたい方、知らない方などにも、見て・感じていただけるイベントとします。
構成(予定)
・対話型調停とは 20~30分程度 (入江からの小講義)
・対話型調停デモ 60分程度 (入江が調停人を演じ、見ていただく)
・グループ及び全体での話し合い 60分程度
日時:2016年12月17日(土) 14:00-17:00
場所:九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)
*
申込は、メールでお知らせいただくか、facebookのイベント参加登録でお願いいたします。
https://www.facebook.com/events/150179575443763/
生活保護受給者の就職支援に関する、PCAGIPを用いた事例検討会に参加させていただいた。
キャリアカウンセラーが働く職場で、その悩みの検討を行った。
ファシリテーターの方が、ケースの検討、クライアントの問題解決よりもむしろ、事例提供者(ケース提出者)への支援ということを忘れないで進めましょうと最初から呼びかけて進めておられることが大切だと思った。
また、メンバーに対する呼びかけとして、我々はリサーチパートナーだという話も大事だと思った。これは、以前の村山正治先生の研修会でも話されていたとは思ったが、今回自分の中に入ってきた感じ。
二つのケースを扱ったが、それぞれの事例提供者が、ホッとしたような安心感と自信を持った表情をして終えられていたのがよかった。それぞれ、もとより難しい状況で、きれいな解決策が見つかったわけではないが。
ケースワーカーとクライアントの間に入ることもあるようで(もちろん逆に、ケースワーカーがキャリアカウンセラーとクライアントの間に入ることもあるのだろう)、このあたりの機微についても、初めて知った。
PCAGIPは有効そうだが、能力を持ったファシリテーターをどう育成するかが問題になるだろうという話も出た。
調停は、人生の節目を迎えている当事者への支援であると考えると、キャリアカウンセラーのお仕事への近さを感じる。
今年のゼミでは、学生さんを連れて、外の人の話を伺う活動を重視している。
先日の自立支援に関するPCAGIPにも学生さんと一緒に行ったが、少し前に福岡市こども総合相談センターにもインタビューをさせていただけた。
児童養護政策では、日本はいろいろ課題のある国だが、福岡市の児童相談所であるこども総合相談センターでは、NPO(子どもNPOセンター福岡)との協働を重視しながら、先駆的な活動を行っておられるという話が伺えた。
一緒に行った学生さんが、文献を読んで考えていたことから見方が変わったという話をしていたのが印象的だった。
11/12は愛媛和解支援センターでの事例検討会に進行役として参加してきた。
院生の参加も認めて頂き、とてもありがたかった。
事例検討会ほど、組織及び各メンバーの実力や姿勢が現れるものもないように思える。
和解支援センターらしい、真摯なふりかえりができたのではないかと感じている。
2016年11月26日から11月30日までの第15回沖縄HILが終了。
今年は昨年に続きトレーナーとしての参加。
中堀先生とご一緒できて、すばらしかった。
来年は、2017年(平成29年)12月2日(土)~12月6日(水)の予定。
細々としたゼミではありますが、2年目もなかなかユニークなメンバーです。
来年度も、良い人が入ってくれるといいのですが。
2017年3月18日(土)に開催します。
会場がいつもと異なるのでご注意ください。
1/7 阪大・仁木恒夫先生のゼミとの合同ゼミを箱崎キャンパスで。とても盛り上がった。ゼミ生達も、ぜひこれを続けて欲しいと言っていた。
1/9、28、29 熊本大学大学院社会科学研究科非常勤講師。4人の社会人大学院生を対象とした紛争管理論の講義。29日は、1日もののメディエーショントレーニングで、教員の方、松村尚美弁護士も来てくださった。
1/17 学部高年次紛争管理論最終回。男子学生ばかり10数人の講義になった。
1/24 大阪・なにわ橋法律事務所でのADR研究会。津田尚廣弁護士を中心として、認証ADRセンターの立ち上げに向けて。
1/25 福岡県土地家屋調査士会、半日もののメディエーショントレーニング。
1/31 陳誌泓さんの修士論文最終口頭面接。
2/1 二弁仲裁センター、研修のふりかえり。東海大学・北村隆憲先生とともに。
2/3 岡山仲裁センター20周年シンポジウム。
2/7 西田聡志さんの21世紀プログラム卒業論文発表会。
2/11 立命館大学・家事調停シンポ。二宮周平先生の科研プロジェクト。私はコメント役。
兄が勤めている岡山県立大学で、ゲストの授業として、多職種連携のための事例検討会と題して講義をさせていただいた。
栄養学科、看護学科、保険福祉学科という医療に隣接する複数の専攻で、職種の垣根を越えて連携するにはという特別授業があり、その一コマとして。
関係する先生方も見守る中の実施だったが、学生さんたちがあんなにいい話し合いをするのか、という印象を持ってくださったようで、なにより。
90分で実施するにはちょっと忙しすぎ、数分延長してしまったのは良くなかったが。
今年、2回目の英語での大学院の授業を終えた。
前年に最終日だけ調停ロールプレイをしてもらったら、感想にもっとやりたかったというのがあったので、今年は交渉ロールプレイや、技法のスキルプレイなどの活動もしてもらった。
グループプレゼンテーションでは、ビデオを自作するチームも多く、結構ノリノリでやってくれた。
BeerさんのMediator's handbookと、Handbook of Dispute Resolution (Moffitt&Bordone)のいくつかの論考などを使って授業を組み立てたのだが、改めて、とても勉強になる。
もう少し改善したいところもあるが、ひとつには、自分の英語能力がボトルネックになっている。
感想を読んでいたら、先生はゆっくり話すのでわかりやすいですと書いてあった。ゆっくりしか話せないんですけど……変な英語でゆっくりしか。
英語を使うと、英語の勉強をしなければなと思う。細々とは続けているが、一生うまくなれる気がしない。
飯孝行先生のコーディネートによる東日本大震災関係の津波訴訟についてのシンポジウムが大変興味深かった。
当事者や代理人も参加されており、学者だけのセッションとは少し違う雰囲気のなか進められた。
大川小学校の事件とともに、七十七銀行女川支店、私立日和幼稚園事件についても詳しく報告された。
ほとんど知らない内容だったのだが、とても考えさせられた。
先日の対話調停カフェでは、ライフストーリー・レビューという方法を試した。
過去のあまり話したことがない話題を取り上げて、聴き手に話をし、次の区切りでは語り手と聴き手が一緒にふりかえるというやり方。
何のことはない世間話にも似た、だらだらとした話をしているようにも見えながら、本人にとっては、それ自体が重要な活動であるように感じた。
私自身が語り手も聴き手も試した印象からの感想としては、何か新しい解決が生まれたりということは起こりにくいが、なんとなく漂っている過去の経験に、場所が与えられる感じだった。その経験に場所が与えられたことで、語り手自身も安心する。
聴き手としては、語り手が探り探り話していることに同伴する感じで、自然に応援したくなる気持ちが出てくる。ゴシップ好きに興味本位で聞きたくなるような欲求は出てこなかったが、これが常にそうなのかはよくわからない。
聴き手の役割として、語り手の語りを邪魔しないようにはするが、無私な傾聴というやり方とは異なり、当事者性を持った聴き手として関わるところが、このやり方のミソだとおもった。
支援者自身が当事者性を持ちつつ支援をするやり方を学ぶためにも、よい手法であるようにも思えたし、今後も続けたいと思った。
頭で考えれば、事例検討会にも似ているように思われるが、実際の体験としては相当異なる。
PCAGIPも、ライフストーリー・レビューもベースがエンカウンターグループにあるだろうと思うが。
3年間連続で、LSAに参加してきた。今年は、熊本の地震ADRについての簡単な報告をしただけ。
興味深い話をいろいろ伺ったが、シンガポールのDorcas Quek Andersonさんとお話ができたのがよかった。
[ssrn] Dorcas Quek Anderson
メディエーションに関してのセッションは必ずいくつかある。イタリアの実証調査の話や、トルコのメディエーション法施行の話なども聞いた。
Responsive Judgeという言葉が使われるようになってきているらしい。石のように無反応な中立性ということでなく、血の通った人間として裁判官がふるまうことが望ましいという考え方のようだが、具体的にどんなふるまいをするのがResponsive Judgeなのかは、解釈が分かれる。貧困者に住宅シェルターの提供を決めるといった福祉的な活動を指す場合もあれば、当事者本人に話をさせるとか、うなづいたり応答するといったレベルのことも含まれるという考えもあるようだ。
イギリスの法のコモディティ化(Commoditization of Law)の議論(Annette Morris先生, Cardiff University)も興味深かった。この言葉は、具体的には、personal injuryのケースで、手続の標準化が進み、「ソーセージ工場」のように流れ作業で問題が解決されているという現状を言っている。ディスカッタントのRob Leflar先生が、日本の交通事故処理の「赤い本」を思い出した、とおっしゃっていた。が、ソーセージ工場方式の何が問題なんだとい風に思う日本の裁判官や弁護士も多いだろうなと思いながら聞いていた。
米国の書面作成支援(ghost writing)の議論も面白かった。ABAによる書面作成支援の規制があったのだが、報告者であるJona Goldschmidt教授の論文などが影響して、書面作成支援が自由にできるようになってきたらしい。それでも、連邦レベルでは問題視される問題が残っているらしい。
2006年から開催している仲裁人協会の調停人養成講座だが、2年ぶりに、7月1日、2日の2日間に実施できた。
多彩なバックグラウンドを持った26名の参加があり、充実したやり取りがあったと思う。
中級編は、10月14日、15日に開催予定だけれど、実施できるだろうか。
二年前に引き続いて、二弁仲裁センターの夏季合宿に参加させていただいた。
二弁仲裁の原点を考えるということで、原後山治弁護士の人となりや考え方を再訪しようという企画だった。
当初、今回は一参加者というつもりだったが、いろいろ出番は与えられた感じになった。
1日目は、山崎司平先生(日弁連ADRセンター委員長で、二弁仲裁センター開始時の仲裁人のひとり)からの基調講演があり、その後、中村芳彦先生のコーディネートによるパネルディスカッションがあった。パネリストは、太田勝造先生(東京大学教授)、斉藤睦男先生(仙台弁護士会)、農端康輔先生(二弁仲裁センター嘱託)と山崎司平先生。
山崎司平先生は、原後先生から、「オレの若い頃に君は似ているそうだね。大いにやってくれ」と言われたといった昔話も紹介されていた。
山崎先生は、誰がどんなことを言ったといったことを実に詳しく記憶しておられる。
太田先生が原後先生について話されていたことにも知らなかったことも含まれていた。原後先生の奥さんは元女優で大恋愛だったとか、学生運動での逮捕歴があって、司法試験合格後の司法修習の許可がすぐに認められなかったとか。
二日目には、太田先生が、ADRの利用者調査の結果報告の基調講演をされ、そのあと、自分も話をした。その後、やはり中村芳彦先生のコーディネートでのパネルディスカッションが続けられたが、山崎先生が初日で急遽帰られたので、私もパネリストに加わることになった。
同席別席の話題になったときに、上原裕之先生が、「当事者は同席時と別席時では違う表情を見せる。両方の顔を見ないで調停するなどというのは無責任とさえ言える」と発言されていた。
最後は、各会からの活動報告で、東京弁護士会では、面会交流ADR、学校教育ADRの取り組みを行っていること、愛知県弁護士会ではハーグADRで、Reuniteとの合同プロジェクトを始まっていることなどが紹介された。東京都行政書士会での自治体の相談現場にリーフレットを持って回るという「営業活動」が功を奏し、相談や申立が少しずつ増えてきているという取り組みも紹介されていた。
司法書士の方もこの合宿に参加したら良かったのにと思った。
8/14-15の2日間の、松川絵里さんの進行によるNSD(ネオ・ソクラティック・ダイアローグ)セミナー(@岡山)参加してきた。
参加者6人限定で、朝10:30-16:30から両日というスケジュールだったが、二日目はやや延長戦ありで。
内容について細かく話すことはできないが、そのやや苦い経験を含めて、すばらしい体験だった。
はじめてのNSDセミナーが、松川さんの進行での経験となって、とてもよかったとおもう。
共同による真理の探究として、哲学対話を進めていく。
抽象度のある一般的な問いを立て、その上で、時間をかけて具体的な例を選び、吟味し、描写し、再び一般的な問いに対する答えを探す。
私自身が行っている対話による紛争解決の考え方、実践との共通点も非常に多く見つけることができた。また、こうした進行のためには、ラボラトリートレーニングで大事にされている方法や構造についての知見も役に立ちそうだと思えた。
例の記述というナラティブを大切にするという意味で社会構成主義的だとも思ったし、自分の実体験を例に挙げるという意味で、つまり、体験に根ざした言葉に限定して思考しようとするラディカリズムを感じた。
なかなかディープだったのだけれど、さしあたりは、この程度の記録にて。
日時: 2017年9月9日 14:00 - 17:00
場所: 九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)
例を使って考える - ガマンって何?
対話型調停では、それぞれの当事者が互いに要求し合っている状況で、どちらの言い分がもっともらしいかと考えるのでく、背景の事情を語り合うように促すべきと考えます。
ある言い分の背景には、何か具体的なできごとがあったのか、何か思いこんでいたのかという言い分を確かめるのです。
今回は、哲学対話(ネオ・ソクラティック・ダイアローグ)の方法論を参考に、「例を使って考える」という話し合い方を試したいと思います。
予定している話題は、「ガマンって何?」をです。(話題は変えるかもしれません。)
メールでお申し込みください。(hideaki@hirie.sakura.ne.jp)
以前参加させて頂いたNSD(ネオ・ソクラティック・ダイアローグ)の方法を参考にして、「例を使って考える」という試みとして、「ガマンって何」を考える試みを行った。
「カフェ」らしく、軽さと真剣さのある場にはなっていたとは思う。
ガマンとは他への配慮であると言った人もいれば、ガマンとは結局自分を守ることであると言った人もいたり。はたまた、ガマンとはヤセガマンであるといった禅問答のような考えも出たりと、興味深いやり取りが深まりつつあった。
*
次回の日程も11/4に決めました。調停デモをやります。
Mark Umbreit教授による3時間ほどのワークショップ。
仏教から、
Cultivate virtue. (徳を積む)
Do no harm. (悪をなさない)
Tame the mind. (Tame your ego.) (マインド、エゴをなだめる)
の3つを学んだ、といった話をおっしゃっていた。
本当のゆるし(Authentic forgiveness)は、奇跡として起きるが、その奇跡を待つための本物の活動というものがあるはずで、それを追求している迫力のあるワークショップだった。
会場に来られていた参加者も興味深い実践者や学習者ばかりという印象を受けた。
9/22-23の2日間、調停人養成講座の基礎編研修を実施。
全道から参加頂き、また、助言弁護士のお二人、また東京の伊藤浩さんも参加してくださった。
参加者は25名。
行政書士会単位会で、まとまった時間を取った研修は、とても久しぶりのように思う。
今回は、阿蘇青少年交流の家で二泊三日。
初日には、國弘正樹弁護士に講演をしていただき、二日目は、学生の進行でのワークショップで、多数ステークホルダーの合意形成などを含めて勉強三昧、三日目はそば打ち体験なども行うという充実した企画になった。
國弘先生、ありがとうございました。
記録を見ると、2015年1月以来なので2年半ぶりの千葉司法書士会での研修ということになる。
参加申込者が少なく、各11人の参加者で進めることになった。
プログラム構成は以下の通り。
1日目 (13時~15時30分) 手続概要編
導入
アイスブレーク 私の好きな時間・場所
千葉司法書士会の手続き紹介
事例検討会
(15時40分~18時) 調停技法概要
目的意識確認 期待と不安
交渉ロールプレイ
調停デモを見る
2日目(10時~16時)
初日の復習 !と?
申立人と相手方の温度差
はじめての出会いを演じる
「聴く」PPT、言い換えワーク
調停ロールプレイ
*
千葉司法書士会調停センターは、申立5400円(税込み)のみという安さもあり、問合せも多いらしい。
申立は今年8件あるそう。応諾率は高くないようだが。
*
懇親会で、司法書士の簡裁代理が減っている件について少し話を伺った。
埼玉県司法書士会では、新人が簡裁代理を受ける際に、ベテランが共同受任して一緒に手続を進めていく制度があるそうだ。
座学の研修だけでは、代理の仕事をやる勇気が出ないということであれば、埼玉のやり方は有効かも知れないと思った。
今週からはじまった。
本業、重要。
神戸大学の齋藤彰教授のご厚意で、CEDRのDanny McFaddenさんの2日間のメディエーショントレーニングに参加させていただいた。
McFadden氏は、CEDRのアジア部門の代表で、国連と世銀でも要職で働いている重鎮の方。
元々オーストラリア人だが、現在は、香港に拠点を置いておられるようだ。
実に楽しそうにトレーニングをされる方で、こういう余裕というか、雰囲気は大事だなぁと思った。
20代の頃はブルーカラーの仕事を色々していて、履歴書には書けないけれど、という話もされていた。
奥さんは中国人で、中国語が上手なそうで、時々中国語混じりで話をする。
台湾で4歳児に英語を教えたこともあるとおっしゃっていたが、道理で分かりやすい英語を話す。
調停モデルは、準備でそれぞれにコンタクトはとるが、基本的に、朝から晩までの1日での調停実施(ビジネス調停)ということのようだ。
タイムチャージは600USドルで準備を含めて15時間分請求するのだという。つまり、ざっと、100万円。
最後に参考にいただいたCEDRのレポートでは、イギリスのビジネス調停のマーケットは拡大中であるという。調停人はファシリティティブを自認する割合が高いが、利用者はエヴァリュエイティブを望む割合が高いなどという結果をわざわざ示している。
CEDRの実務モデルは、別席をよく使うようだが、McFadden氏は、ほとんど同席で進める場合もあるとおっしゃっておられた。
CEDR news :: Mediation Market grows by 5%: The 2016 Mediation Audit
トレーニングは、ファシリティティブの内容だったが、別席を使う前提にしているのと、分配型交渉への対応説明もなされていて、このあたりはペパダインのスタンスにも似ていた。
2006年度からスタートしているので今年で12年目。2016年度は開催ができなかったが、今年はおかげさまで、中級編まで実施できた。
最後まで参加いただいた方は19人だった。
参加者に多様性があってとても面白い。
今回は、市役所の行政職の方の参加があった。
プログラムとしては、以下の構成。
1日目
・ 導入
・ 相談を考える
・ 調停ロールプレイ (新作シナリオ)
2日目
・ 課題の特定
・ 合意文書の作成
・ 選択肢の開発
・ 調停ロールプレイ
第9回 対話調停カフェ (テーマ:模擬調停を見る)
2017年11月4日(土) 14:00-17:00 場所:九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)
参加希望の方は、メールで下記フォーマットを参考に、参加者の氏名をお知らせください。宛先は、入江(hideaki@hirie.sakura.ne.jp)まで。
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氏名:
第9回対話調停カフェの参加申込をします。
懇親会に参加します。 懇親会には参加しません。 (いずれか)
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今回は申込が少ないようです。少人数でゆったりと進めるのもよいかもと思っていますが、連絡がまだのかたは、ぜひお申し込みください。
対話調停カフェは無料、懇親会は実費です。
10月18日に定例の、熊本県弁護士会ADR委員会に参加してきた。
震災ADRだけで申立100件を超え、着々と実績を積み重ねている。
仙台であった申立サポートに加えて、相手方向けに弁護士が手続支援をする応諾サポートの手続も開始され、早速運用実績が出ているようだ。
建築士が専門家として立ち会って成立に結びついたケースも複数出てきているようだ。
坂本秀德先生は、同席手続での成立を体験されたともおっしゃっていた。
地方都市でのADRセンターの運営は、近くで見るとなかなか大変だけれど、実力のある方が本気を出したときというのは、すごいものが出るということだろう。
11月22日に手続紹介型の研修会が企画されており、手伝うことになっているが、活動が発展できるとよいなと思う。
10月21日は、鹿児島大学で、経営法友会と九州の法科大学院、法学部との意見交換会があり出席してきた。
米田憲市教授の長年の経営法友会との関係から企画されたイベントだったが、企業法務部の方のお話を伺えて、興味深かった。経営法友会は、商事法務が事務局をされていて、その意味では日本ADR協会の活動ともつながってくる面がある。
法学部出身の社長は多いが、法務部出身の社長は全くといっていいほどいないのではないとか、法務部で働いていると転職は比較的容易とか。
経営法友会でも、いろいろなセミナーをされている。
ある大企業の法務部長の方が、最近の東京の大手弁護士事務所は、安価で魅力的なセミナーをたくさん企画実施しているという話もされていた。
*
10月25日は、九州大学法科大学院六本松移転記念シンポがあった。
櫻井龍子元最高裁判所判事の記念講演があった。
元々労働省の官僚として仕事をされていたため、その職場との比較という意味でもエピソードを話されていた。
この20年、10年で、官僚主導の行政中心の日本社会の運営のやり方に変化が見られ、司法が果たす役割は明らかに大きくなっており、その中での司法の努力を正当に見るべきだという、まっとうなメッセージを言っておられた。長官によって、多少の差はあるが、とも留保をされていたが。
また、労働省に比べても最高裁は、国際性を意識して仕事をしている割合が少ない、裁判官は大量に留学させているのに、という話もチラッとされていて、あぁ、なるほどなぁ、とも思った。
10月28日(土)は、愛媛和解支援センターでの15周年シンポ。
「対話調停への招待 気合いと遊び心」というタイトルで、記念講演をさせていただいた。
委員会からの活動報告の後、ADR劇場という寸劇があり、会場との質疑も行われた。
100名の参加があったそうで、盛況だった。
大人数だったが、温かい親密な雰囲気があったとおもう。
「気合いと遊び心」の話を充分にできず、遊び心は足りなかったという反省はあるけれど、自分としてもイベントを成り立たせるための役割は果たせたとおもっている。
いままでのご恩に報いられているとは思っていないけれど。
29日は、ADR機関の交流会が行われた。こちらも30名強の参加があった。
各地のADRのネットワークの構想は、活動を紹介し合う簡単なニュースレター的なものを年に1、2回でも行おうという話になった。
15年続けたということは、皆、15年、歳をとったということだというのは、ダニーさんの発言。
それにしても、才能のある人たちが、その能力をうまく発揮して、しかもそれぞれ献身的に関わっておられる。これ自身が、一種の奇跡であり、魔法である。
11/18は、京都弁護士会ADRセンターのシンポで基調報告をさせて頂いた。
約70名の参加があったそうだ。
テーマがあっせんの質の向上で、おめでたい席のはずが、いろいろネガティブな情報も出てくる内容だったが、ぬえのような吉田薫先生のキャラのおかげか、不思議と明るく楽しい雰囲気だった。
司会は、タレント兼弁護士である三輪記子さんと、小林美和弁護士の、ダブル・みわさんだった。
11/22、18:30-20:30まで、パレアで。
応諾サポート(相手方当事者が、手続の前にサポート弁護士と電話等で話をして、手続的な不安を解消する無料の制度)が6月からはじまり、運用も軌道に乗っているという報告のほか、5つの事例が簡単に紹介された。
行政の制度を使うために年度末に間に合うように1ヶ月に3回期日を入れた例であるとか、第1回期日から建築士とあっせん人弁護士が現地手続をして1回で解決した例なども紹介された。
消費生活センター相談員、土地家屋調査士、司法書士、税理士などが来られた。
私は、ADR入門と題したミニレクチャーと、ミニグループワークのファシリテーションを担当。
坂本秀德先生が、どうせ和解で決着するような事件に、2ヶ月も3ヶ月もかけて争点整理表を代理人弁護士に作らせるようなやり方をとる裁判所のやり方は時代遅れだと思うとおっしゃっていて、共感。
成立手数料についてのわかりにくさが、会場から指摘されたりして、和気あいあいながらも、真剣なやり取りがあったと思う。
2017年12月2日から6日まで。
今年もスタッフとして参加させていただいてきた。
ヒューマンインタラクションラボラトリー
紹介した司法書士の方が一人参加してくださった。
この期間は、いろいろなイベントがあったのだが、HILは自分にとって特別なので。
このプロジェクトは、本物性の開発(Authenticity Development)とでも言うべき、とほうもないことを目指しているのではないかと思っている。
わたし自身も、レビン先生と稲葉先生のコピーではない、わたしなりの調停トレーニングをつくっていくにあたって、ここでの活動がとても頼りになっている。「軸」がないと、あるいは、ブレブレになると、スキルはかえって混乱を大きくする。そういう意味で、アンチスキルトレーニングが必要になる。
このトレーニングは、必要とする人が必要とするタイミングで受けることに意味がある。
来年も関わりたいと思っている。
もう大分前になってしまったけれど、一応記録。
台湾は興味深い国だなぁと気に入った。また遊びにも行きたい。
学会発表としては、ある程度同じ話を手替え品替え続けていくというのが大事なのかなぁと今更思ったりした。
ゲーテ大学(Goethe University)のベルツ教授(Prof. Moritz Hermann Balz)の福島の原発賠償のガイドラインについての報告などが興味深かった。
日本の医療(過誤)についての研究を続けておられるレフラー教授(Prof. Robert Leflar)など、日本法に詳しい、いわば常連的な研究者がおられるが、貴重な存在だなと思う。
学内のこともいろいろあったのだけど、学外の活動もいくつか呼んでいただけて、興味深い経験ができていると思っている。消化して次の成果につなげないととは思うが、同時に焦らないようにしてやっていきたいとも思う。
1/6 熊本大学(非常勤)
1/27 埼玉司法書士会・調停トレーニング
2/8 弁理士会・交渉とADRの研修
2/17 熊本大学(非常勤)
2/19-20 岡山弁護士会・調停トレーニング
2/24 東海大(代々木)模擬調停ビデオ撮影
3/1 東京弁護士会・調停トレーニング
3/2-4 HIL研究会
3/10 広島司法書士会・調停センター認証記念シンポ講演
3/16 東海大(代々木)研究会
3/31 第二東京弁護士会・調停トレーニング
太田勝造・垣内秀介編 ADR調査研究会著「利用者から見たADRの現状と課題」収録。
入江秀晃「単位弁護士会系センターにおける手続利用者」
昨日(2020/4/11)は、対話調停カフェ・オンラインという名称で16名の方に参加頂き、Zoomを使ったワークショップを実施しました。
参加頂いた皆さんにフォローして頂き、有意義な経験を持つことができました。
が、同時に、なかなか大変だなこれはという実感も持ちました。
最も困ったのが、準備していたアカウントでのブレイクアウトセッションの利用ができなかったところですが、参加者のひとりであった大澤恒夫先生が急きょホストを代替してくださり、ブレイクアウトセッションを使っての体験を実施することができました。
しかし、ブレイクアウトセッションから全体に戻る過程で、連絡をもらっていたのに私が気づかず復旧に関してフォローできなかったというトラブルなどもあり、イベントとしては成功したとは言えないものだったと、個人的には総括しています。
今回は調停トレーニングの関係で親しい方が多く、やる気もあっておもいやりも深い、ある種、理想的な参加者ばかりだったので、用意していたグループワークや、調停ロールプレイも無事実施できました。普通の調停ロールプレイとオンラインでの調停ロールプレイの違いについての議論などもできて、その意味ではとても有意義な経験ができたと思います。
しかし、今回はいませんでしたが、参加者にモチベーションが低かったりする人が、ブレイクアウトセッションなどで小グループ内にいたりした場合の不満感などは、リアルなワークショップ以上ののもになりそうだという風にも感じました。
また緊急時の連絡方法を事前に確立しておくことの重要性を改めて感じました。
参加のためのスムーズさというのは、かなり機器的な環境面への配慮によっても変わってくることが実感されました。通信の安定度もそうですが、他にはたとえば、照明の位置によって顔の表情が見えやすいとか、カメラに対しての体の姿勢によって、ちゃんと向き合って話し合おうとしてくれるように感じるとか、そうした配慮の意味でのリテラシーがあるかないかによっても、話し合いの質的実感が変わってくるといった気づきがありました。
ロールプレイ後のふりかえりで、オンラインだからこそ同席者のプレッシャーによらずに伸び伸び話せるという指摘もあり、当事者にとっては同席調停と別席調停の中間的な雰囲気の中で実施できるかも知れないという可能性を感じることもできました。
チャットの利用、同じファイルを同時に編集しながら話し合うといった機能の活用など、オンラインならではの可能性を研究する余地もありそうです。
消費生活相談員をされている宮園さんからは、最近は、結婚式のキャンセル料問題などの相談で困っていることが多いという紹介などもありました。オンラインでは、限界があると言いつつも、集い、ともに考えていく工夫を重ねていくことは必要なのかなとも感じます。
(本当はもっと参加者にたくさんの話をしていただくような進行にすべきだったのかもしれないとも感じました。)
開催案内時には書いていなかった録音許可を取ろうとして結局は録音はしなかった(ブレイクアウトセッションを録音する機能がそもそもない)みたいなやりとりはすべきでなかった(目的が異なるので、別企画として準備すべきだったところ優柔不断にふるまってしまった)なども反省です。
とりあえず、ドッと疲れましたが、一晩寝ての、以上のようなふりかえりです。
ゼミOBのお二人を含め参加頂いた皆さん、本当にありがとうございました。
5月11日からロースクールの「紛争管理と調停技法Ⅰ、Ⅱ」という講義をZoomで行っています。この授業は、いわゆるアクティブラーニングの手法で、学生の参加型のスタイルで従来から行っており、グループ討議、交渉ロールプレイ、調停ロールプレイ、学生によるプレゼンテーションなどを行います。いわゆる座学部分もあり、組み合わせた反転授業のスタイルで進行しています。
4単位もので、1日に90分を二コマ連続で行いますが、これを15回実施するというのが例年の活動です。今年は、スタートが遅れたので、12回実施し、残りの3回分に相当する内容をオンデマンド講義として提供するという考え方で進めています。
現時点で3週分(6コマ分+αオンデマンド講義分)終わりましたが、参加登録は当初20名、実施内容を詳しくオリエンテーションで話した結果二人が登録取りやめし(労力がかかりすぎると思われたのかもしれません)、18人になっています。
実施内容としては、以下のとおりです。
・ロースクールで使っているLMS(TKC社のもの)を活用して、オンデマンド講義のURL、参考資料を配付。
・アクティビティの手順については、ワーク1つ毎にA4で1枚程度の詳細な説明資料を従来から活用していたので、それに手を加えて活用。予めPDF化しておいて、Googleドライブに設置し、アクセスできるようにURLを準備しておく。講義が進むにつれて、一つずつ見るべき資料を示し、その活動に集中する形で進行する。(後述、Scrapboxで表示していく。)
・Zoomのブレークアウトルーム機能を多用し、2~5人くらいに分かれて活動していただいて、その後ふりかえりを全体で行う。
・クローズドのScrapboxのサイトを準備し、ブレークアウトルームで話し合った内容はScrapboxのページを使って報告頂く。
・オンデマンド講義については、10~15分程度ずつで作った講義動画(3月上旬頃に大学の教材開発センターで撮影して頂いたもの)を主として活用。追加の動画は自宅で撮影。
・授業の終了時に、ふりかえりコメント(ミニッツペーパー)をGoogleフォームを使って提出していただく。その際に、オンデマンド講義の理解チェックのための正誤クイズ(非常に簡単な内容)を準備。(Googleフォームの自動採点機能活用)
・最終回の近くで、教員が提供した資料などを参考に、ADRについての緒制度(テーマは具体的に4つの中から選択)をプレゼンテーションする機会を設ける。
学生さんのとまどいの表情はもちろん見ていますが、今までのところ概ね、教室での参加型のスタイルに準じる形で、学生同士のやりとりを中心に進められていると思います。グループ活動の司会者役を、7月1日を起点に誕生日が一番早い人みたいな形で、具体的に指示すると、活動がスムーズにいくようです。(リアルに比べて、お互いの様子が分かりにくいので、察する能力を要求するタスクはなるべく減らした方がよさそうです。なお、この誕生日を使うやり方は中原淳先生(立教大学)が紹介されていました。)
もちろん、私自身の工夫・努力というだけでなく、私の前任者の方が築き上げた蓄積を含め、様々な環境面で恵まれているので、たまたま実施できているということだろうと思っています。ルーターの貸し出しその他、学生さんの通信環境の確保のための施策も取られています。ですので、当然ながら他の(ロースクールの)講義が、この授業のように進めなければならないといった考えは全くありません。また、使っているツールの選択も含め、いろいろ議論があるだろうとは思います。たとえば、Scrapboxのようなあまり使っているひとが多くないツールの使い方を学生さんに覚えさせるのは余計な負荷なのではないかといった意見が考えられますが、私自身は現時点で、Scrapboxを活用したのは非常に良かったと、肯定的に捉えています。というのは、教室ではグループ毎の活動を教員が見て回れますが、ブレークアウトルームではあまりスムーズに出来ません。Scrapboxで、グループ内で複数で同時に編集しながら話し合いをしてもらって、それを全体に戻ったときのふりかえりで行うので、非常に使いやすいというのが実感です。学生さんにとっても、他のグループの活動をScrapbox上で何となく感じながら活動を進められるので、やりやすさがありそうです。(Scrapboxを使わない場合は、Googleドキュメントの共同編集機能を使うやり方もありそうです。)活動を重ね、学生さんが慣れてくるに従って、活動へのコミットメントが少しずつ深まって来ている印象を持っています。
今のところ、調停技法トレーニングは、この方法でもかなりの程度実施できるだろうと思います。もちろん限界もあり、たとえば、ボディランゲージの使い方や、机やホワイトボードなど備品の活用の仕方など、リアルにやってみないとわからないところは残ります。ロールプレイにしても、リアルな場と、オンラインの場では気持ちの動き方が変わってきます。しかし、その違いを考えること自身が重要な学びの対象でもあり、むしろリアルとオンラインの両方のトレーニング経験が必要であるというようにすら考えはじめました。
とりあえず、活動報告ということで。
2020/6/13 14:00-16:00 オンライン
参加者10人。
長田誠治さんと二人で企画して話し合う企画をした。
当初予定とは異なる進行になったが、いろいろな話題で興味深く、話し合えたとは思う。
面白そうな方が参加して下ったので、もう少し化学変化ができるような仕掛けがあったのかもしれない。
まずは、第一弾の企画としては無事実施できたことを喜びたい。
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