私は、弁護士会ADRの利用者調査データの分析についての報告。
事件類型ごとの満足度の違いについての分析結果を報告。借地借家について満足度が高い。
熊本の震災でも、この種の問題が多く出ているようなので、利用につながると良いと思う。
くま弁ニュース Vol.2
建物に被害が出て、借家人が追い出されるという話だけれど、大家さんも被災者なのだ。
どちらが悪いという話よりも、どうやって具体的にそれぞれの状況を立て直すかという話し合いができるといい。
また、同席手続の効果と影響について、なかなか面白い結果が出てきている。
同席中心と同席中心以外では、同席中心の方が手続全体への満足度が高い結果なのだが、手続実施者自身への評価は同席中心の方が低い。
また、手続終了後の当事者間関係との関係で見ると、そもそも「手続を経て関係が改善した」という割合は同席中心であれ、その他であれ高くない。むしろ「手続を経て関係が悪化した」という割合が改善よりも多いという現実がある。
しかしながら、「手続を経て関係が悪化した」場合に、同席中心なら手続満足度は肯定的な場合が多いのに対して、同席中心でなければ手続満足度は低い。
つまり、しっかり「相手に愛想が尽きて」、次に行こうという決意ができるという意味で、同席手続は意味があるという結果が出ている。
なんというか、身もふたもない話なのかもしれないけれど。
しかし、一部でも関係が改善する人たちはいるということもやはり大事な話である。
また、仲直りなどしなくても、手続にしっかり取り組めたと当事者が思ってもらえるような場を提供できているというのも貴重な話である。
いずれにしても、日本でも同席手続は十分提供する価値があることが分かるし、しかもその手続提供者には相応のスキルと覚悟が必要ということが、データに基づいて言えるようになったのはとても大きな成果であるように感じている。