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オンライン授業でロールプレイやグループ討議を含めて進行しています

5月11日からロースクールの「紛争管理と調停技法Ⅰ、Ⅱ」という講義をZoomで行っています。この授業は、いわゆるアクティブラーニングの手法で、学生の参加型のスタイルで従来から行っており、グループ討議、交渉ロールプレイ、調停ロールプレイ、学生によるプレゼンテーションなどを行います。いわゆる座学部分もあり、組み合わせた反転授業のスタイルで進行しています。
4単位もので、1日に90分を二コマ連続で行いますが、これを15回実施するというのが例年の活動です。今年は、スタートが遅れたので、12回実施し、残りの3回分に相当する内容をオンデマンド講義として提供するという考え方で進めています。
現時点で3週分(6コマ分+αオンデマンド講義分)終わりましたが、参加登録は当初20名、実施内容を詳しくオリエンテーションで話した結果二人が登録取りやめし(労力がかかりすぎると思われたのかもしれません)、18人になっています。

実施内容としては、以下のとおりです。
・ロースクールで使っているLMS(TKC社のもの)を活用して、オンデマンド講義のURL、参考資料を配付。
・アクティビティの手順については、ワーク1つ毎にA4で1枚程度の詳細な説明資料を従来から活用していたので、それに手を加えて活用。予めPDF化しておいて、Googleドライブに設置し、アクセスできるようにURLを準備しておく。講義が進むにつれて、一つずつ見るべき資料を示し、その活動に集中する形で進行する。(後述、Scrapboxで表示していく。)
・Zoomのブレークアウトルーム機能を多用し、2~5人くらいに分かれて活動していただいて、その後ふりかえりを全体で行う。
・クローズドのScrapboxのサイトを準備し、ブレークアウトルームで話し合った内容はScrapboxのページを使って報告頂く。
・オンデマンド講義については、10~15分程度ずつで作った講義動画(3月上旬頃に大学の教材開発センターで撮影して頂いたもの)を主として活用。追加の動画は自宅で撮影。
・授業の終了時に、ふりかえりコメント(ミニッツペーパー)をGoogleフォームを使って提出していただく。その際に、オンデマンド講義の理解チェックのための正誤クイズ(非常に簡単な内容)を準備。(Googleフォームの自動採点機能活用)
・最終回の近くで、教員が提供した資料などを参考に、ADRについての緒制度(テーマは具体的に4つの中から選択)をプレゼンテーションする機会を設ける。

学生さんのとまどいの表情はもちろん見ていますが、今までのところ概ね、教室での参加型のスタイルに準じる形で、学生同士のやりとりを中心に進められていると思います。グループ活動の司会者役を、7月1日を起点に誕生日が一番早い人みたいな形で、具体的に指示すると、活動がスムーズにいくようです。(リアルに比べて、お互いの様子が分かりにくいので、察する能力を要求するタスクはなるべく減らした方がよさそうです。なお、この誕生日を使うやり方は中原淳先生(立教大学)が紹介されていました。)
もちろん、私自身の工夫・努力というだけでなく、私の前任者の方が築き上げた蓄積を含め、様々な環境面で恵まれているので、たまたま実施できているということだろうと思っています。ルーターの貸し出しその他、学生さんの通信環境の確保のための施策も取られています。ですので、当然ながら他の(ロースクールの)講義が、この授業のように進めなければならないといった考えは全くありません。また、使っているツールの選択も含め、いろいろ議論があるだろうとは思います。たとえば、Scrapboxのようなあまり使っているひとが多くないツールの使い方を学生さんに覚えさせるのは余計な負荷なのではないかといった意見が考えられますが、私自身は現時点で、Scrapboxを活用したのは非常に良かったと、肯定的に捉えています。というのは、教室ではグループ毎の活動を教員が見て回れますが、ブレークアウトルームではあまりスムーズに出来ません。Scrapboxで、グループ内で複数で同時に編集しながら話し合いをしてもらって、それを全体に戻ったときのふりかえりで行うので、非常に使いやすいというのが実感です。学生さんにとっても、他のグループの活動をScrapbox上で何となく感じながら活動を進められるので、やりやすさがありそうです。(Scrapboxを使わない場合は、Googleドキュメントの共同編集機能を使うやり方もありそうです。)活動を重ね、学生さんが慣れてくるに従って、活動へのコミットメントが少しずつ深まって来ている印象を持っています。

今のところ、調停技法トレーニングは、この方法でもかなりの程度実施できるだろうと思います。もちろん限界もあり、たとえば、ボディランゲージの使い方や、机やホワイトボードなど備品の活用の仕方など、リアルにやってみないとわからないところは残ります。ロールプレイにしても、リアルな場と、オンラインの場では気持ちの動き方が変わってきます。しかし、その違いを考えること自身が重要な学びの対象でもあり、むしろリアルとオンラインの両方のトレーニング経験が必要であるというようにすら考えはじめました。

とりあえず、活動報告ということで。

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2020年05月26日 22:44に投稿されたエントリーのページです。

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