2017年01月10日

本:矢原隆行『リフレクティング』

矢原隆行(2016)『リフレクティング: 会話についての会話という方法』ナカニシヤ出版

ナラティブ・アプローチ、あるいは、オープンダイアログの源流の思想として知られるトム・アンデルセンの考え方の紹介を中心に、筆者自身の実践的思索を加えてまとめられた本。

矢原先生は、九州大学大学院文学研究科の社会学の博士課程におられた方で、現在、広島国際大学の教授。
チャイルドラインびんごという子ども向けの電話相談活動のスーパーバイズも続けておられるらしい。

リフレクティングの手順を画一化したいというようなことではなく、むしろ、伸び伸びと様々な現場で使われるように、スーパービジョンや、事例検討会、職種間連携などでの活用方法を具体的な現場の事例と共に紹介されている。介護職と看護職の職種間連携の活用などもなるほどと感じさせられる。
同時に、「リフレクティング」という流行のキーワードを消費するような「ためにする」活動に対しては、冷淡ないし警戒的で、そのあたり静かな怒りがこもっているところにも、この本の魅力があると思う。

リフレクティングの基本的意義を考えるとき、この最小構成としての「三人」という数には、とても大切な意味が含まれています。 P30

あらためていえば、そこではリニアな二者間の会話に比べ、じっくりと内的会話を行うための「間」と、内的会話を次なる外的会話に新たにうつし込んでいくための「間」、そして、それらを各々の参加者がダイナミックに立場を転換させながら折り重ねていくダイナミックな「場」が創出されているのです。 P31
とあるように、著者のリフレクティングへの理解は、三者関係を基本構造として、一般的な二者間の話し合いとは違う動きをつくるところにみている。

私の立場では、上記は、メディエーションへの記述そのもののように見えてくる。

ADRは、Alternative Dispute Resolutionというより、Authentic Dialogue and Reflectionの略であるべきではないかと、半ばは、思いつきと言葉遊びだが、半ば真剣に考えているのだけれど、そういう方向での理論化にあたって、大変参考になりそうだと思った。
ラボラトリートレーニングやPCAGIPとの関係でも考えてみたい。

2017年01月02日

山下英三郎教授による修復的対話のショートビデオ

正月の読書として、

山下英三郎 (2012) 『修復的アプローチとソーシャルワーク : 調和的な関係構築への手がかり』 明石書店.

を読んでいる。

山下英三郎教授は、スクールソーシャルワーカーとしての草分けの方らしい。
特に、いじめ問題への修復的アプローチの活用を唱えておられるが、とても共感できる。

具体的に言えば、日本では、被害者加害者調停について、被害者の手続参加の側面に注目されすぎ、殺人などの大きな被害が出た事件での適用に注目が集まりがちであることへの違和感であるとか、ファシリテーター(メディエーター)の能力やスタンスを重視する点であるとかの点に、共感した。


修復的対話(コンファレンス編)

高校の演劇部の協力を得たビデオで、とても丁寧に作られている。

2017年01月01日

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いします。

今年で、福岡に来て7年目になります。相変わらず、いろいろ不慣れですが。

年末にKindleの専用端末を買って、Kindle Unlimitedのお試しをして楽しんでいます。

2016年12月24日

次回の対話調停カフェ

2017年3月18日(土)に開催します。
会場がいつもと異なるのでご注意ください。

紛争管理研究センターWebサイト:対話調停カフェの案内
facebookイベントページ

第6回対話調停カフェのご案内 (Word-docx)

第6回対話調停カフェのご案内 (PDF)

2016年12月21日

増川ねてる『WRAPを始める!』

増川ねてる & 藤田茂治 (2016) 『WRAPを始める! : 精神科看護師とのWRAP入門 : リカバリーストーリーとダイアログ』 精神看護出版.

WRAPについては、岡山・津山の高木成和弁護士に教えて頂いた。

この本は、精神障害当事者が、「自分取扱説明書」を作ってリカバリーを果たすという方法論が紹介されている。

べてるの活動、特に当事者研究、SSTにも似ているが、WRAPはもう少し理念からスタートする個人主義的な感じがした。私もまず自分でもやってみようと思っている。

この本では、コモンくんと呼ばれる看護師の藤田茂治さんが裏方を務めて、精神障害当事者だった増川ねてるさんが表に出て作られている。ゲストを招いての対談コーナーや、別の執筆者による寄稿コラムのコーナーもあり、盛りだくさんな内容。

特に、支援者自身が自らの当事者性に向き合わないとこのWRAPを行ったり伝えたりすることができないという問題が、繰り返し扱われていて、とても興味深かった。

MEDプレゼン2014 増川ねてる WRAPファシリテーター(アドバンスレベル)/地域活動支援センターはるえ野センター長 - YouTube

WRAPの道具箱

2016年12月07日

九大法学部ではオープンゼミ・ウィーク

細々としたゼミではありますが、2年目もなかなかユニークなメンバーです。
来年度も、良い人が入ってくれるといいのですが。

シラバス:紛争管理論ゼミ

2016年12月03日

沖縄HIL終了

2016年11月26日から11月30日までの第15回沖縄HILが終了。
今年は昨年に続きトレーナーとしての参加。

中堀先生とご一緒できて、すばらしかった。

来年は、2017年(平成29年)12月2日(土)~12月6日(水)の予定。

2016年11月18日

医療メディエーションの取材

福岡市内の院内メディエーションの取り組みを取材させて頂いた。

平成24年(2012年)の診療報酬制度改正により、いわゆる患者サポート充実加算ができて、院内メディエーターの設置コストが、医療保険から充当される仕組みになったが、それよりも前からの取り組みをされている病院の話を伺えた。

この方法論は、組織内の紛争システムデザインに応用できそう。

いままで、医療ADRについてはあまり手を出してこなかったが、日本の中でこれだけ動いて成果も出ている手続でもあり、勉強する必要があると思う。

2016年11月17日

愛媛和解支援センター事例検討会

11/12は愛媛和解支援センターでの事例検討会に進行役として参加してきた。
院生の参加も認めて頂き、とてもありがたかった。

事例検討会ほど、組織及び各メンバーの実力や姿勢が現れるものもないように思える。
和解支援センターらしい、真摯なふりかえりができたのではないかと感じている。

2016年11月16日

本人訴訟支援センター構想

遠藤, 賢治. (2016). 本人訴訟における審理手続と本人への支援のあり方. 判例時報(2287), 3-13.

静岡の司法書士の小澤吉徳さん経由で知った。

この論考は重要だと思う。本人訴訟を理論的、現実的に考察し、その上で、本人訴訟支援センターを立ち上げる必要性について書いておられる。

弁護士がこれだけ増えたのに本人訴訟の割合が減らないのはなぜかという疑問を出発点に、本人訴訟を単に敵視したりバカにしたりせずに、適切な支援を後方から行う社会的な機能の必要性について検討し、具体的なセンター構想が提唱される。いわば、マニフェストである。



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