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仲裁ADR法学会大会

意外とといっては失礼かもしれないが、おもしろい報告が多かった。

公害等調整委員会の活動について、ぼんやりとしか知らなかったのだが、元委員長で現在も顧問をされている加藤和夫先生の話は、情熱的で、問題の所在もよくわかった。
利用者満足度のアンケートデータも取っているそうで、それを示していたが、2008年(H20)現在は41%の満足度まで下がっている。
裁判所から人(裁判官と書記官)も出して、職権調査の権限まで広範に認められている制度にしては、満足度がいかにも低い。処理件数も少ない。ということでは、存立が危ぶまれるということで、近年、中央でてこ入れされているのだそうだ。
カラオケ騒音のような身近な紛争まで、「公害」として扱えるということだが、どういう機関がこのような問題を扱うのに向いているのかという意味の研究も必要だと感じた。

金融ADRについては、全銀協がこの2年くらい急に取り組みを変えだしたという話を聞いて驚いた。
2008年(H20)は30件、2009年は88件のあっせんをやったのだそうだ。
全銀協といえば、ゼロワンADR機関の典型だったので、ずいぶんと大きな変化だ。

銀行とりひき相談所の職員の属性はどうか、出向者か、という質問をしたが、出向者はおらずプロパー職員のみだという回答だった。いくらプロパーでも、銀行OBしかいなければしょうがないじゃないかとおもったが、質問の仕方がうまくなかったようで、それで終えられてしまった。これは残念。
業界型ADRも、件数が少ないのが問題のない証拠であるというレトリックは通用しなくなりつつあるということを改めて感じた。

報告がわかりやすかったのは、全銀協の辻松雄氏と、消費者側の弁護士として上柳敏郎氏の両方の立場からのものがあったからだとおもう。

業界が自浄能力を発揮できないと、貸金業と同じようになるかもしれないよ、と、上柳先生がボソっといっておられた。

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2010年07月12日 10:06に投稿されたエントリーのページです。

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