3年間連続で、LSAに参加してきた。今年は、熊本の地震ADRについての簡単な報告をしただけ。
興味深い話をいろいろ伺ったが、シンガポールのDorcas Quek Andersonさんとお話ができたのがよかった。
[ssrn] Dorcas Quek Anderson
メディエーションに関してのセッションは必ずいくつかある。イタリアの実証調査の話や、トルコのメディエーション法施行の話なども聞いた。
Responsive Judgeという言葉が使われるようになってきているらしい。石のように無反応な中立性ということでなく、血の通った人間として裁判官がふるまうことが望ましいという考え方のようだが、具体的にどんなふるまいをするのがResponsive Judgeなのかは、解釈が分かれる。貧困者に住宅シェルターの提供を決めるといった福祉的な活動を指す場合もあれば、当事者本人に話をさせるとか、うなづいたり応答するといったレベルのことも含まれるという考えもあるようだ。
イギリスの法のコモディティ化(Commoditization of Law)の議論(Annette Morris先生, Cardiff University)も興味深かった。この言葉は、具体的には、personal injuryのケースで、手続の標準化が進み、「ソーセージ工場」のように流れ作業で問題が解決されているという現状を言っている。ディスカッタントのRob Leflar先生が、日本の交通事故処理の「赤い本」を思い出した、とおっしゃっていた。が、ソーセージ工場方式の何が問題なんだとい風に思う日本の裁判官や弁護士も多いだろうなと思いながら聞いていた。
米国の書面作成支援(ghost writing)の議論も面白かった。ABAによる書面作成支援の規制があったのだが、報告者であるJona Goldschmidt教授の論文などが影響して、書面作成支援が自由にできるようになってきたらしい。それでも、連邦レベルでは問題視される問題が残っているらしい。