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2009年02月 アーカイブ

2009年02月01日

ケースマネージャ研修

静岡県司法書士会のメンバーが講師となり、新潟県司法書士会で実施したケースマネージャ研修に、受講生として参加させていただいた。

調停を開始するまでの調整活動をどうするかを考えるもの。

これら調整業務は、「柔軟にやっている」というのは良いのだが、その「柔軟さ」が単なる言い訳に使われがちだというのが問題だ。
つまり、調停の場の設定という本来は調停セッション以上に大変な仕事が、コストが掛かるなどの現状のために、大変おざなりな状態に置かれていることが少なくない。
崇高な理念と立派な規則の裏側の、おそまつな調整実務をなんとか改善しようと一歩踏み出さない限りは、調停手続が普通の当事者、あるいは当の士業団体の法律専門職にとって魅力ある手続にならないだろう。

そこを正面から考えようというものでとても興味深かった。
新潟県司法書士会のメンバーもまさに取り組みつつある問題で、真剣そのものだった。

場違いな参加者を暖かく迎えて下さり、とても感謝している。

2009年02月03日

ケースマネージャ研修感想 (続き)

週末の、ケースマネージャ研修が面白かった。よくよく考えると、相手方呼出のテクニックというより、ADR機関が何をするかというシステムデザインの問題を扱わざるを得ない。さらに考えると、そのADR機関が何のために存在するかという根本的な問題が出てくる。

限られた資源の中で何ができて何ができないか、当事者を支援するとはどういうことなのかを具体的な場面に即して考えるというのは、とても面白い。面白いが、難しい。

2009年02月04日

書記官事務を中心とした和解条項に関する実証研究

裁判所書記官研修所編(1982)『書記官事務を中心とした和解条項に関する実証研究』(法曹会)

和解文書を書くための方法については、決定版的な文献だとおもう。

法曹会に問い合わせると、通信販売もしてくれるようだ。

裁判所がADR機関をトレーニングするということもあってもよいなとおもうが、裁判所のマネばかりするADR機関では、単なる民営化になる。利用者にとっては値段が上がるだけだ。
ADR機関側のイニシアチブで裁判所から学ぶことができるというパートナーシップができるとよいのにとおもう。

2009年02月05日

ゆうちょ銀行の振込用口座番号検索

ゆうちょ銀行の口座に、銀行から振り込むことができるようになった。

ゆうちょの番号体系でなく、銀行口座の番号体系である店番号と口座番号を調べる必要があるが、Web上で調べられるようになっていることがわかった。
「〇一八支店」などという不思議な支店名が出てくる。

口座の記号・番号を入力(振込用の店名・預金種目・口座番号のご案内)-ゆうちょ銀行

2009年02月06日

家事審判法見直しへ

「裁判所ごとに手続きに違いがないよう、共通ルールを求める声が高まっていた。」
ということも大切なのだけど、家族・夫婦ごとに違いがあると、ちゃんと認めた手続に変えていくということをしないと、現代の家族問題を解決できないんじゃないのかな、とおもう。

いくら、名もない顔もない司法といっても。
マスメディアが司法を扱うロジック、レトリックにもバリエーションが必要だなぁと感じる。

60年ぶり「家事審判法」見直し 手続き透明化 - MSN産経ニュース

60年ぶり「家事審判法」見直し 手続き透明化
2009.2.4 20:32

 森英介法相は4日、家庭裁判所が扱う審判と調停の手続きを定めた家事審判法の見直しを法制審議会に諮問した。当事者の意見聴取や事件関係書類の閲覧など、これまでは家裁の裁量に委ねられていた審判と調停の進め方を明確にし透明化する。昭和22年の成立以来約60年ぶりの抜本改正で、法務省は平成23年の通常国会提出を目指している。

 同法の対象は、家裁が扱う事件のうち、少年事件などを除く家事審判と家事調停。遺産相続や離婚後の養育費の請求など、感情的な対立が背景にあることが多い家庭内の紛争を、非公開の手続きで解決を図る。事案にきめ細かく対応するため、進行方法を法律で規定せず、幅広い運用を認めていた。

 ところが最高裁は昨年5月、婚姻費用の分担に関する抗告審で妻が抗告したことを夫に知らせずに不利な決定を行ったことについて「できる限り攻撃防御の機会を与えるべきだ。手続きに問題があった」と批判。裁判所ごとに手続きに違いがないよう、共通ルールを求める声が高まっていた。

2008年7月17日付けで、日弁連の意見書が出ていたようだ。

日弁連-家事審判法の見直しに関する意見書

家事調停を、手続保証の考え方に基づいて見直そうというもののようだ。
裁定的にやるならやるでしっかり透明な手続にすべき、当事者合意を調達するならその方向で透明な手続にすべきということになる、とすれば、当事者にとって望ましいだろう。
書かれたルールとして手続を整備するというだけでなくて、調停委員等への研修にも資源を配分するなどの、実体としての手続改善を行うという議論になれば、もっとよいだろうとおもう。

2009年02月07日

本:実践家事調停学

飯田邦男(2008)『こころを読む 実践家事調停学―当事者の納得にむけての戦略的調停 〔改訂増補版〕』(民事法研究会)

東京家裁の主任調査官によるもの。
非常に多くの文献を参照している。

小山昇に代表される古典的な調停の文献はもちろんとして、レビン小林久子、鷲田清一やら南山の人間関係トレーニングに至るまで、非常に目配せの効いた文献リストになっている。

また、申立書、申立時の付票などの実際的な資料や、現代の夫婦関係を示す豊富なデータも紹介されていて、非常に有用だと思う。

しかし、にもかかわらず、わたしは強烈に違和感を持ちながら読んだ。

冒頭の「夫婦の基本形を知る」という記述では、「普通の夫婦」を正方形で表し、家事調停に登場する当事者をその「普通の夫婦」からの逸脱として認識するところから始まる。
この「判断=同意モデル」のツールとして、さまざまなスキルや知識が動員される構造になっている。

「普通の夫婦」が実在するか、また、「普通の夫婦」からの逸脱を指摘することがそれぞれの家族の問題解決に有効か。
家裁でのケースワーク思想とは、個別性尊重の追求ではなかったのか。

考えさせられる。

2009年02月08日

説得調停の問題

2009-02-02 - 弁護士ラベンダー読書日記:調停考、説得考


調停などの場で、手続主宰者から当事者に、ある理念(たとえば。子供には母親が必要、だから親権者は母親に…/子供には父親も必要、だから面接交渉を…など)を説いたときに、当事者が「わかりました」と言ったとして、それはたいてい、その理念を「心からわかった」というわけではないのです。このことは手続主宰者側からは見えづらくて、自分の説く理念が受け入れられた、とおめでたく受け止めてしまうかもしれません。しかし、多くは、当事者の言う「わかりました」の真意は、「(裁判所ではそういうことになっていることは/私の言い分が聞き入れられないことは)わかりました」というところにあって、「同意」ではなく「反論を諦める」というにすぎないのです。

裁判所ではそういうことになっているということをきちんと情報公開していけば、あるいは、そういうことになっているということが情報として拡がっていけば、情報提供による紛争解決のモデルは成立するのが難しくなる。
まして、調停委員自身の考えだけがそういうことになっているとしたら、その手続に対する信頼は著しく損なわれる危険がある。
そうならないように、当事者と調停委員の情報の格差を前提としないでも手続を主宰できるだけのモデルが必要になってくるのではないか、ということなのだが。

2009年02月09日

東京高裁でのセクハラ判決に対する弁護士による批判

言葉の暴力で働けなくなって、170万円の賠償というのを高いと見るか、安いと見るか。

わたしの感覚では安すぎる・・だなぁ。

夜明け前の独り言 水口洋介: 「風月堂」セクハラ事件判決と裁判官の「セクハラ感覚」

東京風月堂セクハラ事件 ウェール法律事務所石井逸郎

弁護士ラベンダー読書日記 判例時報2023号 セクハラ 東京高裁平成20年9月10日判決

2009年02月10日

東京の弁護士会(三会)で講師

共同講師は、權田光洋弁護士、大村扶美枝弁護士。

3月21日、22日の2日間、9時~18時までのスケジュール。

さて・・

2009年02月11日

静岡のシンポジウム

日司連主催のシンポジウムが、3月19日に静岡であります。

パネリストとして呼ばれました。

日司連市民公開シンポジウム 静岡県司法書士会調停センター「ふらっと」開設記念『対話のチカラ』~納得・解決・話し合い~|日本司法書士会連合会

芝知美さんのブログ「対話のチカラ」

2009年02月12日

ADRは遅さが売り

昨日に続き、静岡県司法書士会の話。

静岡県司法書士会の”ふらっと”のマスコットキャラクター、Win-Winくんのぬいぐるみをいただいた。

もうすぐ6歳の次男大喜び。ということは、さておき。
このキャラクターはかたつむりが元になっているが、かたつむりという「遅さ」が売りになっているものをマスコットにしたというのはもしかしたら画期的かもしれない。

ADRの長所として、「早い、安い、うまい(満足度が高い)」などと言われることが多いが、実態はあまりさだかではない。
日本の場合、裁判所の調停が「安い」ので、士業団体のADRはどうしても「高く」見える。
期日を詰めて入れられるから早いという意味では、ある程度件数のある弁護士会ADRなどではそのとおりだ。
しかし、業界団体のADR手続なんかでは、開店休業が続いていることが少なくないから、申し立てて本当に「早く」期日を入れてもらえるかというと、それもかなり疑問だ。
むしろ団体から示談金の提示が「早く」出てきたりして・・それはそれで「早い」解決かもしれないが。

「早さ」と言ったときに、何日、あるいは何ヶ月で解決できるかという「早さ」の問題の他に、調停期日そのものを何時間位かけるかという意味の「早さ」の問題がある。

根本的な話として、紛争を抱えている当事者が、機械的な処理で「早く」答えを出して欲しいと思っているかどうかを考えなければならない。
二度と会いたくもない相手とであれば、客観的事実だけを提出して、自動的に答えが出てくる仕組みになればよい。保険会社がなにもかもやってくれる交通事故の示談あっせんはこれに近い。

しかし、いろいろ言いたいことがある、ごく普通の紛争では、むしろしっかり話し合いたいと思うのが普通だろう。相手の言い分など聞きたくないかもしれないが、自分の言い分は思う存分話したい、あるいは、相手を問い詰めたいとおもうのは自然な感情だろう。

うちは3分診療です、と、宣伝する医者がいないのと同様に、うちは流れ作業で紛争を処理しますと言って、お客さんが納得するとはあまり思えない。

2009年02月13日

近隣トラブルは警察に持ち込まれるが、扱いにくいという報道

8年間通報たびたび、警察介入に限界…隣人刺殺事件(読売新聞) - Yahoo!ニュース


元警視庁捜査1課長の田宮栄一さんは「近隣トラブルは、警察が一番扱いにくい問題。介入しすぎては、国家権力の乱用、警察国家になってしまう危険がある」と警察の難しい立場を代弁する。

 一方、近隣住民間のトラブルに詳しい橋本典久・八戸工業大学教授(音環境工学)は「警察も自治体も解決できない近隣トラブルに対応する、新しい社会システムを作る必要がある」と主張。橋本教授によると、米国では、警察が「当事者同士で話し合った方がいい」と判断した場合、各地にある「近隣司法センター」に持ち込んでいるという。同センターでは、調停の理論と技法を身に着けたボランティア調停員が無料の調停で成果を上げており、橋本教授は、日本でも県や市が管理・運営する「近隣トラブル解決センター」を設けることが必要だと訴えている。

2009年02月14日

全青司・中級編(三期)

大田区・産業プラザPIOで、全国青年司法書士協議会のADRトレーニングを実施中。(共同講師)

プロボノ活動など、様々な方面で熱心な人たちがたくさん集まってくることもあって、いつも楽しみなトレーニング。

多重会務者(会務をいろいろ引き受けている人のことを、そういう場合があるらしい)など、人が良いというだけではなかなか勤まらない、良心的な仕事をされているひとがたくさんいる。
そういう人がメディエーションを学ぶというのは意義が大きいと思っている。

今回は、代理人交渉、応諾要請など新しい企画を試みている。

2009年02月15日

全青司・調停トレーニング・中級編(続き)

新企画の代理人交渉、応諾要請ともに、面白いセッションになった。
時間をもう少しゆったり取らないと、消化しづらいだろうという反省点があるが。

自分で言ってりゃ世話がないのだけれど、とてもおもしろい三日間だった。
しかし、同時に、トレーナーとして、もう一皮むけたいなぁという感覚を持った。

いつまでも修行中と甘えてはいけない。
しかし、いつまでも修行中。

2009年02月16日

即独立する弁護士

弁護士が、司法修習修了後にすぐに独立するのを「ソクドク」というのだそうだ。(ほんとか)

Matimulog: lawyerソクドクマニュアル

経験談集が興味深かった。

2009年02月17日

オープン・スペース・テクノロジー

ハリソン・オーエン(著), ヒューマンバリュー (訳)(2007)『オープン・スペース・テクノロジー ~5人から1000人が輪になって考えるファシリテーションから』(ヒューマンバリュー)

嘉村賢州さんが紹介していた本。

わたしは、手法としては、3つポイントがあるように思った。

第一には、副題にあるように、人数が増えても実施可能なファシリテーション手法。
対話環境の整備に工夫をしているところがミソなのだろう。
長年の近隣紛争とか、怨念の親族紛争なんかは想定していないようだ。
ローコンテキストな話題を選んでいるような気がする。

第二には、「人と問題を切り離さない」ところ。
自分にとって情熱をもって実行できることを課題として話し合う。
課題を提案するか、他の人が提案している課題の所に足を運ぶかのいずれかを選ばなければならない。

第三には、成果をパソコンでまとめているところ。
ファシリテーション手法は発散系が多いが、成果物の作り方までガイドされている。

ファシリテーターのあり方としては、率直で正直で、自分自身であるというところが大事ということで、対話環境とか手続をいかに整備したとしても最後はやはり同じような話がでてくるのだなという感じもした。

過去のエントリー:ワールド・カフェ
kogolab:オープン・スペース・テクノロジー

2009年02月18日

国センADR準備室、非常勤職員募集

ADR準備室 非常勤職員の募集について(国民生活センターの概要)_国民生活センター

わたしは、応募資格がないなぁ・・

2009年02月19日

調停のマジックの背景にあるロジック

自分のなかの最良のところも最悪のところも、調停に出てくる当事者の中に必ず見てしまう。 P19 Albie M. Davis "The Logic Behind the Magic of Mediation" Negotiation Journal, 1989, Vol.5(1), pp.17-24

Albie Davisの書く文章は、内省とユーモアとリズムがあって、良いなと思う。
率直さと親しみやすさに加えて、威厳もある。

2009年02月20日

東大GCOEシンポ

「国家と市場の相互関係におけるソフトロー」シンポジウム・第4回「紛争解決におけるソフトとハードの交錯」 2009年3月3日(火)

京都大学山田文先生、首都大学東京長谷川貴陽史先生も登場。

ソフトローとは、「国家が形成するルールではなかったり、最終的に国家によるエンフォースメントが保証されていなかったりするにもかかわらず、現実の経済社会において国や企業が何らかの拘束感を持ちながら従っている諸規範」だそうです。

2009年02月21日

東京司法書士会認証記念シンポジウム

東京司法書士会の認証記念シンポジウムに行ってきた。

金原亭馬生師匠の落語が見事だった。
これだけの人数を相手にしてもぶれることがない。

演題は、井戸の茶碗。
互いに正直すぎてお金を押しつけ合うという、一種の紛争について、くず屋がおろおろとあっちへ行き、こっちへ行き、大家にも出てきてもらって解決するという話が含まれている。
後のパネルディスカッションでは、メディエーションとの関係も議論されて、しゃれた構成になった。

懇親会にも参加させていただいて、金原亭馬生師匠の前の席でいろいろ話を伺った。

馬生語録:
・なんでも10年は無給で修行
・自分で、無口な噺家と言っている
・「間」は「魔物」-いつも同じ「間」がいちばんよくない
・落語では、観客と情景を共有できるかどうかが鍵だ
・しかし、説明しすぎはよくない
・4年前から俳句を習い始めた
・俳句は想像力を呼ぶところがおもしろい
・舞台に上がったとき、無にしてまず感じる
 その後、少し気を発して、それが返ってくるのを感じる
 強い気をぶつければよいというものではない
・日本語は、誰が、誰に話しているかで決まる
 たとえば、清兵衛さんになって、お侍さんに話しかけるようにして話す
 このような練習を入門したら最初に行う

http://www.h4.dion.ne.jp/~bashyo11/

http://11kingente-bashyo.de-blog.jp/blog/

2009年02月22日

静岡県司法書士会のシンポ、報道される

県司法書士会:調停センター開設 少額の民事紛争を解決--県内初 /静岡(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

2月21日12時1分配信 毎日新聞

 勝ち負けではなく「合意」の形成へ――。県司法書士会(早川清人会長)はこのほど、少額の民事紛争を解決するための調停センター「ふらっと」を、県司法書士会館(静岡市駿河区稲川1)内に開設した。07年に施行された「ADR(裁判外紛争処理)促進法」に基づく認証機関で、開設は県内で初めて。
 不動産や労働賃金などを巡る民事トラブルを裁判で争うと、当事者間の関係が悪化して、勝ち負けが決まっても互いに不満な結果に終わる場合がある。このことを踏まえ、ADRでは訴訟で勝ち負けをつける前に、話し合いで双方が満足のいく合意を探る。同センターでは、当事者が直接顔を合わせ、双方の言い分を整理する調停人(司法書士)が立ち会って和解を目指す。
 相続などの家事事件以外で紛争額が140万円以下の事案が対象。申し込みに2万1000円、調停1回ごとに1万500円かかる。同会の研究会で07年以降に試行した6件の調停では、1件が合意、1件が裁判に移行、2件が継続中で、2件は相手方が調停に応じなかった。
 名波直紀・副センター長(41)は「裁判だと負けた側が判決を無視する懸念もあるが、この調停では約束がすぐ履行される可能性が高い。まずは当事者同士が話し合いの場に出るのが大事で、両者の人間関係を元に戻したい」と話している。
 3月19日午後1時から、日本司法書士会連合会が開く開設記念シンポジウム「対話のチカラ」が静岡市葵区のしずぎんホールで開かれる。問い合わせは同センター(054・282・8741)。【竹地広憲】

2月21日朝刊

簡潔に対話型調停のメリットを示した良い記事だとおもう。
「人間関係を元に戻す」ということだけが強調されると、そんなの求めていないという当事者にそっぽを向かれる危険はある。しかし、その微妙なニュアンスを記事にしてもらうのは難しいとおもう。
理念だけでなく、実績は必ず報道されるという点も、大切なところ。

2009年02月23日

兵庫県司法書士会・初級編トレーニング

2/21-22(2日間)・12時間の調停トレーニング。単独講師。

年齢も色々、経験も色々、でございました。

近畿の司法書士会は2000年代の前半から精力的に活動していたのに、ちょっとけちがついたりしていたので、再起動してくださるといいなぁとおもう。

2009年02月24日

大阪弁護士会の士業団体連携型ADR構想:総合紛争解決センター

法的トラブルに民間の「調停所」 各分野から専門家、大阪で来月開業(産経新聞) - Yahoo!ニュース

法的トラブルに民間の「調停所」 各分野から専門家、大阪で来月開業

2月21日15時40分配信 産経新聞

 司法制度改革の一環として、平成19年4月に「裁判外紛争解決手続(ADR)促進法」が施行され、国は法的なトラブルを解決するため、調停などを行う民間団体を一定の条件を付けて認証するようになった。すでに弁護士会や司法書士会など26機関が認証を受けている。

 今回、開業する総合紛争解決センターには、大阪弁護士会を含む19団体が参加し、金銭貸借▽事故▽福祉・医療▽建築▽労働▽知的財産-などの法的トラブルに対応できる専門家約300人が登録。申立人から1万500円の手数料で仲裁や和解斡旋(あつせん)の依頼を受けると、専門家3人を調停斡旋人として選び、当事者双方に通知する。月1回の計3回程度の調停で決着させるという。

 通知した時点で相手方の合意が得られなければ、終了となる。解決した場合、追加して1万5750~5万2500円の支払いが必要となる。

 年間200件以上の申請を見込んでいるといい、川口冨男理事長は「実情に即した迅速な解決を目指す」とアピールしている。問い合わせは平日午前9時~午後5時、同センター(TEL06・6364・7644)。

わたしはこの動きの良いところは、弁護士会が音頭を取って、公益的な活動として実施しようとしているところだと思っている。

このモデルが難しくなる場合とは、士業団体が連携するというだけで、供給者側の論理に終始してしまうときではないかと思っている。
参加する弁護士会以外の団体がお客さん的、あるいは二番手的な態度に終始してしまうのか、利用者のために新しいものを作り出す一歩踏み出した姿勢を持つことができるのかどうかが問われているとおもう。

しかし、そこをうまく乗り越えられたら、弁護士会でのこれまでの実績や、弁護士が持っている様々な能力が、参加する他の団体にも良い影響を与えるように思える。
そして、日本にいままでなかったようなインパクトのある手続が生まれる可能性もあるとおもう。

過去のエントリー:
大阪弁護士会・ADR促進法上の認証を受ける
大弁のADR認証申請
岡山大学専門家ネットワーク

2009年02月25日

もしもし検定指導者級研修

NTTユーザ協会・もしもし検定で、メディエーションについて講義を一部担当してきた。(2/25)

午前中は、アサーティブジャパンの森田代表の三時間のセッションを傍聴させていただいた。
トレーニングを15年やっているそうだが、それはそれは完成度が高かった。
また、理念的にメディエーショントレーニングと通じるところが大きいということを改めて感じた。

アサーションは自分の意見をはっきり伝えるだけで終わらず、相手の権利をしっかり認め、対話するということが大事と強調しておられた。
フォーマットを使って話すことのメリットと危険を一緒に話しておられたのも印象的だった。
勉強になった。

2009年02月26日

アサーションとメディエーション

以下は、アサーティブジャパンの森田さんのトレーニングを受けて考えたこと。

アサーションは、はっきりと考えを伝える技術である。

浅薄なアサーショントレーニングだとそれだけになってしまうのかもしれない。

しかし、まともなアサーショントレーニングでは、自分の迷いにちゃんと向き合うことを重視する。
認知行動療法をルーツに持つのだから当然とは言える。

また、「権利」の考え方を重視する。
それ以上説明する必要がない出発点を設定するのは、原理的にだけでなく、実際的に有効な方法だと思った。

従って、まともなアサーションの議論では、相手がアサーティブであることを尊重する。
ここがアサーショントレーニングのなかでのまともさを見分ける鍵だとおもう。

ところで、このような理念や思考方法は、メディエーションとほとんど共通しているように思える。

また、アサーションも人と人の対等性を目指した一種の社会運動ということだが、そこもメディエーションと共通している。

違いとしては、①アサーションが二人の対面コミュニケーションを前提としているが、メディエーションの基本前提は三人以上で行う対面コミュニケーションを前提としていること、②制度とか手続的としての側面をメディエーションは持っているが、アサーションは持っていないところ。

2009年02月27日

知財分野の行政型ADRと民間ADR

よく知らなかったのだが、知財の分野では、行政型ADRである「特許庁の判定制度」と民間ADRの日本知的財産仲裁センターの関係が議論されているようだ。


産業構造審議会知的財産政策部会(2006)『特許制度のあり方について』(PDF)

特許庁:特許庁の判定制度について
日本知的財産仲裁センター
商標ナビ:商標侵害判定制度
塚原国際特許事務所:判定請求解説

特許庁判定は、4万円の印紙代。
知的財産仲裁センターのセンター判定(双方判定)は、申立42万円、口頭審理期日手数料10万5000円/1回(各々、両当事者では倍の21万円)。

こういう拘束力のない専門家の判定というのも、ADRではとても重要なメニューである。
そして、それは、話し合いによる合意を目指す調停とも補い合う関係にある。

2009年02月28日

StulbergとLoveの新作

Joseph B. Stulberg, Lela P. Love(2009)"The Middle Voice: Mediating Conflict Successfully"(Carolina Academic Press)

裏表紙にはNancy RogersとSharon PressとBaruch Bushが推薦の言葉を書いている。
Bushは、この2人の著者は、誰よりもfaciliative mediationをよく知っていると言っている。

Stulbergは、ADRムーブメント初期の、下記の論文が有名。
"Theory and Practice of Mediation - A Reply to Professor Susskind"(Vermont Law Review Volume:6 Issue:1 Dated:(Spring 1981) Pages:85-117

Loveは、調停でなぜ評価すべきでないかを書いた以下の論文が有名。
"The Top Ten Reasons Why Mediators Should Not Evaluate"
http://www.law.fsu.edu/Journals/lawreview/downloads/244/love.pdf

Stulbergは、1973年から調停トレーニングをしているのだそうだ。
つまり、今年で36年目。

この本は160ページと比較的薄い、また、文献リストも絞り込んである。
トレーニングで話している内容をぎゅっと圧縮して出版したような本だと思う。

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