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2015年01月 アーカイブ

2015年01月01日

新年おめでとうございます

旧年中はいろいろな人にお世話になりました。
ありがとうございました。
なんとなく焦りがあって、空回り勝ちになってしまっていたかもしれません。

旧年は、米国での在外研究がありました。
自分のこれからの調停研究の土台作りをしていくために、大事な経験ができたと思っています。
日本社会について考えはじめる機会にもなりました。

JCAジャーナルでの調停技法についての連載ももうすぐ2年で完結できそうです。
まだ出版社とは話ができていませんが、できれば本にしたいなとは思っています。

今年は、九大での教育では、学部の紛争管理論講義と紛争管理ゼミを開講します。
自分にとって中心的な仕事にしたいと思っています。気合いを入れて、しかし、気負わずに取り組めたらなと思っています。

ロースクールでの講義は引き続き改善に取り組みたいと思っています。

5月にはシアトルLaw and Societyでのプレゼンも予定されています。
研究についても成果を少しずつでもまとめていきます。

調停トレーニング、ラボラトリー(Tグループ)についても引き続き機会を生かして、精一杯やっていければなとおもっています。

そして、九大の紛争管理研究センターの活動についても、そろそろはじめて行くつもりです。

ご縁を大事にしながら、丁寧に進めていきたいと思っています。

今年もよろしくお願いいたします。

2015年01月06日

渡辺尚志『近世百姓の底力』

渡辺 尚志 (2013) 『近世百姓の底力―村からみた江戸時代 (日本歴史私の最新講義)』敬文舎

以前、『百姓の主張』が面白かったので。
この本は、一橋大学での講義をそのまま本にしたものらしい。

江戸時代の農村のイメージの書き換えを意図した講義だとおっしゃっている。
ユートピアではないが、それほど暗い世界ではなかったし、案外したたかだった庶民の社会を描いている。

2015年01月07日

網野善彦『宮本常一『忘れられた日本人』を読む』

網野善彦(2013)『宮本常一『忘れられた日本人』を読む』 (岩波現代文庫)

こちらは講演録。

網野善彦は『忘れられた日本人』を短大のゼミで10年間使っていたらしい。

東日本は家父長制的な上下の結びつき、西日本はフラットな横の関係を結び合うのが特徴(P117)。

 学問の本来のあり方だと思いますが、宮本さんご自身、決して完成した存在ではないことをよく自覚しておられました。実際、新しいことを知ると、どしどし意見を変えていかれています。ですから、最晩年の講義をまとめた『日本文化の形成』(前掲)を読みますと、宮本さんが最近の新しい学問の進展に、ほんとうに興奮しておられることがよくわかります。例えば、国立民族学博物館のシンポジウムに出席されて、稲作の起源についてのいろいろな議論を聞いて、学問が新しくなっていることに、宮本さんは若者のように興奮しておられたということを書いている方がいますが、学問をする人は、まさしくそうでなくてはならないと思います。常に新鮮な疑問を持ちつづけ新しい分野を開拓する。誤りははっきり認めて正しい見方に従う、学問とはそういうものだと私は考えます。
 ですから、宮本さんでさえ超えられなかった壁を乗り越え、これから新しい世界を開くことは十分にできますし、後進はそれをやらなくてはならないと思います。しかし宮本さんの仕事は、まさしくそういう意欲に私どもを駆り立ててくれる内容をもった仕事で、日本の学者のなかでは、数少ないすぐれた研究者だということを最後に強調しておきたいと思います。 P228-229

2015年01月08日

渡辺京二『日本近世の起源』

渡辺 京二『日本近世の起源 : 戦国乱世から徳川の平和 (パックス トクガワーナ) へ』(洋泉社・2011年)

歴史家というより思想家としての著作なのだと思う。
古い時代に外国人が見た日本についての文献からの引用が多くあったが、興味深かった。

2015年01月09日

OKI C301dn

研究室のプリンター新調。
OKI C301dn

両面印刷できるカラーレーザープリンターだが、1万5千円ちょっとだった。
amazon

無線LAN対応していないのが欠点か。また、けっこうかさばるが。

純正トナー使用で5年のメンテナンス保証がある。
安くなっているなぁ。

2015年01月13日

千葉司法書士会調停センター研修 

千葉司法書士会調停センター研修 構成 

1/11 事例検討会
 導入 「この頃の私」
 小講義 事例検討
 千葉司法書士会の手続の流れ及び現状
 昼食
 事例検討1 自転車事故 受付相談で終了した事例 (事前準備)
 事例検討2 不動産賃貸借に関する調停 合意事例 (事前準備)
 事例検討3 遺産分割について割合を決めて欲しいという顧客 (即興)

1/12 受付担当研修
 導入 自分のねらいづくり
 傾聴ワーク 決めかねている計画 (二人)
 小講義 「聴く」
 民間調停機関の立ち位置を考える 申立を受け付けるかどうか
 昼食
 ロールプレイ 申立人相談 不動産賃貸借滞納
 ロールプレイ 相手方相談
 (若干の説明 民間調停のメリット)

*

参加者は多くなかったが(8人)、千葉会は申込相談も多く忙しいセンターで、実際的な話題も多く出た。
現場での仕事のやる気につながるものになったとしたらよかったとおもう。
私自身のトレーニング観が変化してきているけれど、受付相談研修の部分に出ている。

また機会がいただけたら、さらに改善したいなと。

2015年01月14日

癒やしとマチズモ

中野民夫(2014)『みんなの楽しい修行: より納得できる人生と社会のために』(春秋社)

私は、「意識高い系w」みたいな揶揄の仕方が嫌いで、実力が伴わない高い志を冷笑するみたいな風潮がどれだけ社会に害悪を与えているのだろうかという怒りに似た気持ちがある。

一方、そうは言っても、長期戦をたたかうには、それなりのやり方で力をつけていくしかないのも事実である。そうしないと、「正しい私を助けないあなたは間違っている」みたいな形で残念な状態になってしまう。

この本はそうならないように、「やりたいことをやって、人の役に立って、いまここを生きて、目の前のことをやりきれる人になろうとする」方法について、著者ならではの説得力ある形で述べられている。

ステージ高いなぁ、という読後感。

2015年01月15日

宮本節子『ソーシャルワーカーという仕事』

宮本 節子『ソーシャルワーカーという仕事』(筑摩書房・2013年)

ちくまプリマ―新書なので、高校生から大学生にかけてが読者の対象で、職業としてソーシャルワーカーになる可能性のある若者にその仕事の実態を経験を踏まえて書くというスタイルになっている。

実際に紹介されているのはなかなか激しく、道で酒を飲んで行き倒れになっているホームレスに声をかけた経験、知的障碍者の放火事件について本人は責任能力があったという裁判証言した経験、実父からレイプされていた中学生を施設に移すために当時の制度からみてやや危ない橋を渡ったという経験などが語られる。

ご本人がうつになった経験があることがちらりと触れられていたが、福祉事務所の保身みたいなことを苦々しく感じていたとあるように、職場の中でもずっとたたかってこられた方なのだと思う。

わかりやすく書かれているけれども、迫力がある。

2015年01月21日

かかわり方のまなび方

西村 佳哲『かかわり方のまなび方: ワークショップとファシリテーションの現場から』 (ちくま文庫・2014年)

ワークショップ・ファシリテーションの分野のいろいろな著名人へのインタビューなどを再構成しながら、筆者自身の「かかわり方」を学んだ旅の記録とでもいうべき内容になっている。

途中で、中野民夫さんとの対談でワークショップの歴史について触れたところがあって、「インデックスとして使って欲しい」という話があったが、この本全体もそういう感じにも使えるようになっている。

副題として、learning beingと表紙に書かれている。引き出し方みたいな関心から、あり方への関心への筆者の西村さん自身の移り変わりの記録がかかれている。さらっと読めそうなやわらかい文体ではあるけれど、書くのは大変だったのではないかとも思った。

ファシリテーションに興味がある人に勧める本として、南山でまとめられた『人間関係トレーニング』が紹介されることが多いと思うが、この本を勧めるのもありなのではないかとおもった。



 場を開く以上、そこには主催者のなんらかの意図や期待がある。それが全くない「場」はあり得ないだろう。
 けど、この期待の種類や質、あるいは持ち方によって、ファシリテーションはアジテーション(煽動)にもプレゼンテーションにもなる。そのバランス感覚の拠り所は、コミュニケーションを大切にする意志が具体的にあるかどうか。つまり、「ことと次第では、自分はこれまで立っていた位置から動くことや変わってしまうことも厭わない」という姿勢がファシリテーターにあるかどうかによると思う。
P107

過去のエントリー:フォーラムg

2015年01月31日

九大広報に出していただきました


九大広報 Vol.97 (2015年1月)

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