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2010年06月 アーカイブ

2010年06月02日

Matimulog:ヨーロッパの調停

ADR:第3回欧州調停会議: Matimulog


その中に、オスロ赤十字のストリート・メディエーションという取り組みも紹介されている。これは、若者にメディエーションスキルの訓練をすることで、日常生活での紛争、特に街中でのトラブルを調停できるようにして、暴力事件を予防しようというものだ。

とても、興味深い。

2010年06月03日

ビジネスロー・ジャーナル

2010.3月号(No.24)の目次|Business Law Journal - ビジネスロー・ジャーナル


[特集] その紛争解決手段は最適ですか? ADRを利用すべき場合、すべきでない場合 
「ADR」を概観する ~各機関の比較を中心に~

大澤恒夫 弁護士・桐蔭横浜大学法科大学院教授
紛争解決に役立つ条項の作り方

出井直樹 弁護士
調停人・仲裁人の立場から見たADRのポイント

花水征一 弁護士
法務担当者の経験談から学ぶADR活用法

・ 第三者のお墨付きを得た紛争解決の重要性

ベテラン法務担当者

・ Mediationの有用性を経験して ~米国での事例から~

鳥海 修 三井物産 法務部 企画法務室 室長
紛争解決の専門家が教えるADR活用法

・ 弁護士会が運営する紛争解決センター

山崎司平 弁護士

・ 日本知的財産仲裁センター

日野修男 日本知的財産仲裁センター長・弁護士・弁理士

・ 一般社団法人日本商事仲裁協会

西村俊之 仲裁部仲裁課長・調停部調停課長

・ 財団法人自動車製造物責任相談センター

小沢正道 常務理事・事務局長

2010年06月04日

腰抜け論と尻抜け論

2010-06-02 - 弁護士ラベンダー読書日記


個人的には、権利実現手続が尻抜けになっていることで、その手前の手続全体が正義を失ったものになっているということをあらためて感じました。

ADR腰抜け論という言葉があるらしいが、権利実現手続尻抜け論ということか。

わたしは、調停が生ぬるいという批判は、訴訟に敷居が高いことと、執行の実現性が乏しいことに対する批判がねじ曲がっている場合が多いのではないかと感じている。

2010年06月05日

愛媛和解支援センターの開設7周年シンポジウム

日程 平成22年6月27日(日)午後1時30分から午後4時20分
場所 松山市堀の内  愛媛県美術館(1階)講堂
講演 ADR新しい魅力  講師 稲葉一人 (中京大学法科大学院教授 元裁判官)
    調停運営と枠組み(仮題)→利用者にとっての民間調停 講師 入江秀晃
問合せ先 愛媛和解支援センター(TEL 089-915-8830 FAX 089-915-8831)

気合いを入れて話をしてこようと思っています。
行政機関、裁判所、弁護士の方々にもぜひ来ていただけるとうれしいなと。

2010年06月06日

ふらっと無料キャンペーン

無料キャンペーン 静岡県司法書士会調停“ふらっと”

期間限定の無料キャンペーン。申立手数料と期日手数料が無料。
どの程度申立が集まるか、また、応諾、解決につながるか。

これまでの実績では、利用者からの評価はとても高いようだ。

2010年06月07日

Prof. Riskin on YouTube

Leonard Riskin: Narrow v. Broad Problem Definition - Video

Riskin教授が有名なリスキングリッドの横軸の説明をしている。
例えば、ビジネスの契約についての話し合いの場合、「狭い課題(narrow issue)」とは、金銭面のこと、適用法律のことなど裁判所で起きる議論に限定、「広い課題(broad issue)」とは、ビジネス上の評判などインタレストを幅広く議論することだという事例を挙げている。

Riskin教授は、評価型と促進型(自主交渉援助型)の論争についての、代表的な論者である。

2010年06月08日

聞きまくり社会学

西原 和久 & 岡 敦 (2006) 『聞きまくり社会学--「現象学的社会学」って何?』, 新泉社(ist books).

現象学的社会学とは何かについて、社会学とは、現象学とは、現象学的社会学とは、というテーマで語られるディスカッション。

西原先生は、名古屋大学の教授。
理論社会学の学会活動の進展と、NPOでの実践活動を広めることを意図しておられる方。
そういう活動を戦略的に広めるために、かなりかみ砕いた話を書いているということのようだ。
聞き手はプロのライターで、同じNPO(東京社会学インスティチュート)に所属する方。
聞き手の岡氏も結構語っている。さすが50代男性。

シュッツは銀行家でもあったとか、フッサールは元々数学者として身を立てようとしていたひとだとか、そういうことだとちょっと原典も見てみたいなと思わせるような話が紹介されていて、そういう意味で誘う本だとおもう。

2010年06月09日

山口・大川論争

二弁全友会Webニュース2003/4/5

仲裁で裁判を受ける権利を奪うのか/山口 広(第二東京弁護士会所属)
http://www.zenyu.org/report/68/68-05.htm

 現在消費者トラブル解決のためとして設置されているADRらしき機構の悲惨な実情がまずある。我々に身近な証券会社や商品先物取引会社と投資家(これも消費者と我々は考えている。業者側はそうは認めないが)とのトラブルについて、法律は、業界団体があっせん委員会を設置すると定め、委員会が設置されているが、全く機能していない。業者と消費者との意見対立が尖鋭な事件では直ちに斡旋放棄。消費者側が柔軟な姿勢を見せると一気に説得にかかる。このため法制度上は設置され、委員も高裁の元裁判官クラスから弁護士までそこそこの人士がそろっているものの無益の組織になっている。
 製造物責任法の制度化に伴って新設されたメーカー側の業種別団体が設置した紛争処理の為のPLセンターも無益の存在と隋している。危陥商品をつかまされて被害を被る消費者は後を絶たないのであるが、その苦情をメーカー側の反論を押さえつつ解決したという例は聞いたことがない。紛争処理に当たるメンバーの質の問題ではない。メーカー側の資金で設立されているため、その意向や利益を無視できないのである。

「仲裁で裁判を受ける権利を奪うのか」か?/大川 宏
http://www.zenyu.org/report/68/68-06.htm


 さて、山口先生の原稿の「仲裁で裁判を受ける権利を奪うのか」という標題を読んで、四半世紀前の「交通事故裁定センター問題」を思い起こしました。弁護士会内のADR嫌いの底流はいまなお続いているのかと思います。
・・
 山口先生は、「消費者トラブルで公平な解決は空論といわなければならない」といっています。本当に空論でしょうか。仲裁センター発足後間もない時期に、湾岸戦争が始まると金が値上がりするということで金の先物取引をして、被害を受けた消費者が仲裁を申し立てたケースがあります。3件のうち2件の業者は手続に応じ、残りの1件は業者が訴訟を起こしました。K先生、M先生と私が合議体を構成し、消費者委員会のI先生が補助者になっています。結局、未払手数料の半額を消費者が支払うという和解が成立しています。他方、訴訟は、消費者問題に詳しいS先生に引き受けていただきました。後日だされた判決は、未払手数料の半額を支払えという判決でした。
・・
 山口先生は、国民生活センター、消費生活センターのことに触れられています。国民生活センター等が消費者の信頼を得ている機関であるということにはなんの異論もありません。・・国民生活センターや消費生活センターの相談を受けた消費者のなかの相当数は、裁判所にも行かない、弁護士のところにも行かずに行き場を失っているのが実情ではないでしょうか。

2010年06月10日

戦前において、調停と訴訟は同時に増減

ヘイリー教授が来日されているようだが、残念ながらセミナーに出席することはできない。

 戦後の観察者は、日本人が訴訟を避ける傾向があるという神話を形成する際に、新しい調停法は訴訟よりも非公式な解決を希望する社会の全般的な傾向の反映であると考える傾向があった。だが、実証的な証拠はこうした見方を否定している。調停法の制定にもかかわらず、訴訟の件数は1920年代から1930年代の初期を通じて著しく増加した。1934年に入ると提訴された民事訴訟の件数は急激に減少し始めるが、図5-1、表5-2および5-3が示すように、訴訟の減少と平行して、調停の件数もまた同様な減少を示している。 P121

ヘイリー J. O. (2002) 『権力なき権威 -法と日本のパラドックス-』, (財団法人判例調査会), 財団法人判例調査会.

戦前において、調停が訴訟の代替になったのではなく、市民への法的サービス拡大と縮小に連動し、増減したという指摘である。

2010年06月11日

仲裁とADR Vol.5

仲裁ADR法学会「仲裁とADR Vol.5」商事法務

ようやく出たようだ。

わたしは、3ページの短いオピニオンを投稿した。

興味深い座談会のやりとりが掲載されている。
山本和彦先生が、「日本ADR協会」という団体の設立準備中という話をしていた。私は、全然知らなかった。

座談会では、町村先生とNACS青山氏のやりとりが面白かった。
青山氏は国センADRを民業圧迫と思っているそうだ。

認証ADR機関11のアンケート結果が掲載されている。
年間予算ゼロ、50万円などといった衝撃的なデータも悪びれることなく掲載されている。

2010年06月13日

全青司・フォローアップ

手持ちのネタで消化試合をするつもりはないという意欲を持って、全部新作のプログラム構成で臨んだ。

メディエーショントレーニングに参加するもののマンネリ感が、よりエンターテイメント性の強い、刺激の強いトレーニングへの期待に変わってしまっては、メディエーションに関わるものが孤立するばかりだ。あいつらは単なる趣味でやっていると思われてしまうだけだ。
メディエーション運動に関わるものが、真にメディエイティブに振る舞っていれば、メディエーショントレーニングに参加していないものにも感化できたり、少なくとも味方を増やせるかもしれない。
それが問われていると思う。

とはいえ、教材の進め方などはやはり反省材料も多かった。
どのプログラムもそれぞれ極めて大事な問題を扱ったので、その扱い方を見直したいと思う。

プログラムは以下の通り。
 導入 自分の売りと苦手を考える
 質問の仕方を考える
 模擬事例検討会
 役割交換エクササイズ
 調停フィッシュボウル(当事者役はプロの役者さん)
 ビデオを使ったふりかえり
 全体ふりかえり

役者さんに出ていただくこともあって、事務局の負担がいつにも増して大きかったとおもう。
ありがとうございました。>事務局のご担当のみなさま

すでに活動実績の長い参加者も多かったが、講師側がそちらに気を取られすぎて、久しぶりの参加者とか、まだ活動が浅い参加者に配慮しきれていないということもないようにという点も気にしていたのだが、その辺も実際の参加者の反応を聞いて見たいと思う。
正直なところ、負荷をかけ過ぎてしまった、という懸念はある。
そのあたりは講師の未熟さだとおもう。

ご参加いただきましてありがとうございました。>参加者のみなさま

2010年06月15日

研究は楽しくやろう

山田 文(法学研究科・教授 )|女性研究者の生き方|京都大学女性研究者支援センター

議論の手掛かりをつかむまでは真っ暗闇を歩くようでした。逃げ出したいと思ったことも一度ならずあり、体調を崩して入院騒ぎということもありました

山田文先生をもってしても、そうだったのかと・・

2010年06月18日

愛媛の総会

6/27の愛媛和解支援センターの7周年シンポジウムは、申込が100人を超えているらしい・・
聴講に資料代として1000円必要なのだが、すごい・・

一方、6/25-26の早稲田総研の中級編の講座は、申込が5人であるらしい。
もうすこし来ていただけるとうれしいのだけれど。

2010年06月19日

事例研究の方法論:インシデント・プロセス法

インシデント・プロセスとは - 人材マネジメント用語 Weblio辞書

西村宣幸:インシデント・プロセス法

校内における特別支援教育に関する事例検討会の在り方─インシデント・プロセス法を活用した事例検討─(PDF)

広島県教育委員会:医療的ケアハンドブック(PDF)
福祉とか教育分野で方法が発達しているようだ。

2010年06月21日

ハーバードロースクールの問題解決ワークショップ(案件解決ワークショップ)

法社会学会関東支部の活動で、ダニエル・フット先生から、ハーバードロースクールの改革の話を聞いた。
ハーバードでは、後者の試みとして、Problem Solving Workshopという新しいプログラムが導入されたらしい。3週間ぶっ続けで、実務家が直面するような様々なシミュレーション事例を体験する。
教える方もかなり過酷なのではないかという感想が出ていた。

HLS:Problem Solving Workshop

2010年06月22日

日米ADRシンポジウム

8月末の九大のシンポにも、9月2日の東京のシンポにも出席予定です。

2010年06月23日

日本企業の調停使用例

わたしが、最近見た2つの文献では、いずれも別席調停を経験している。米国で、同席と別席の実際の割合はどの程度なのだろう・・?

調停では著名な調停人を起用した。彼はお互いの部屋を行ったり来たりして(shuttleするという)、3日目の夜には複雑で大きな訴訟の和解案をまとめ上げた。当方社内弁護士いわく、彼は有能な弁護士であるばかりでなく、有能なビジネスマンであり、また有能な心理学者であると。  調停人を使い、早いうちに和解する道を探るのがE-Discoveryの費用や陪審裁判の不確実性を考えれば一番なのではないかと思えてきた。P15 川上 陽一 (2009) "新生法務部誕生と米国での訴訟と調停の経験から", JCAジャーナル, 56(12), 8-15. ※川上氏は、豊田通商株式会社 法務部長で、ニューヨーク州弁護士。
実際の進行の面では、相手方とFace-to-Faceで対峙することなく、Mediatorを通じて当社側主張を述べ、また、相手方の意見・主張を聴取する形式なので、客観的な目を通した主張・意見が浮き彫りになり、和解範囲・着地点が見えてくることがあります。P37

鳥海 修 (2010) "Mediationの有用性を経験して ~米国の事例から~", Business Law Journal, 3(3), 37-38.
※鳥海氏は、三井物産株式会社 法務部 企画法務室 室長

2010年06月24日

2009年11月号の自由と正義

「隣接士業問題の現況と今後の方向性について」という特集。

結構、激しい記述が・・

特に、司法書士と行政書士の方は、内容を検討しておかれた方がよいようにおもいますです。

日弁連 - 自由と正義 2009年 Vol.60 No.11[11月号]

2010年06月25日

離婚調停の当事者のWeb日記

男性側が親権を取った例。
同席調停も一部で経験している。

「メルモ」marseの離婚日記バックナンバー

2010年06月26日

日本労使関係研究協会の研修

JIRRA 日本労使関係研究協会|個別労働紛争解決研修

菅野先生、山川先生などが講師。
受講しようかな・・

2010年06月28日

日記

6/25-26の早稲田総研のトレーニングでは、トレーニング期間中に初めて風邪を引くという経験をしてしまった。
栄養ドリンクと風邪薬を飲みつつ、朝10:00から18:00までひとりで講師をするのはとても大変だった。のどが痛く、夕方4時以降になると話をするのもだんだんつらくなっていった。
参加者が4人と少なかったが、すべて遠方からの熱心な参加者で、参加していただいた方に心配していただきつつ講師をするという、幸せなようなみっともないような経験をした。4人という少人数は初めての経験だったが、ワークの中の議論がすべて見えるので新鮮だった。機械的に時間を切らなくてもよいというメリットはあったとおもう。

翌27日の愛媛和解支援センターの市民公開講座でも、二人目の講演者の役だったので心配していたのだが、松山空港に着くと、不思議なことにだんだんと元気になってきた。
終わってから、元局アナのHさんに、今日はいつもより声に張りがあった、ボイストレーニングでもしたのかと言っていただく。
講演では、確かに、場の中で楽しんで話をするということは多少できたような気もする。が、「情景を描くように話す」ということがなかなかできないなぁと、改めて思った。
市民公開講座では、愛媛和解支援センターの利用を考えているという一般市民も何人かいたようで、当日その後申込をしていた人もいたようだ。
市民団体だが、動員もなく、100人くらいの座席がほぼ満席。
20分くらい会場と質疑応答をしたのだが、
・相手方が応諾しない場合はどうなるのか
・金銭債務で執行力をつけたいときはどうなるのか
・ある団体に苦情があり、将来志向で話し合いをしたいが、どういう場所に行けばいいのか
・調停人の資格制度はあるのか、将来できるのか
・最近の消費者にはごね得みたいな一部の傾向がでているように感じるがどう思っているか
など、かなり的確な質問が出た。

懇親会では、「日本行政」の連載のことが話題に出る。
最近は、あいさつ代わりに、あの連載を読んでいるが・・、と、言われることが増えた。

愛媛和解支援センターの活動に触れることは、学者として勉強になるという以上のものがある。
決して課題がない集まり、運動というわけではないが、誠実な情熱にあふれている。
しかも、現実的な安定感があり、「よいことやっているから説明が少なくていいというごまかしがない」ところもすごいところだとおもう。

2010年06月30日

仲裁とADR Vol.5へ投稿したもの

入江 秀晃 (2010). 調停人の資質と民間調停支援についての異論-専門性と素人性をめぐって-. 仲裁とADR, 5, 158-160. (PDF)

3000字程度の短いものです。

雑誌をアマゾンで買う場合は、こちら↓からどうぞ。

仲裁とADR〈Vol.5〉

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