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2008年11月 アーカイブ

2008年11月01日

アメリカでのニュース

Con Man Posing as a Mediator Convicted of Fraud and Theft

詐欺師の男が、調停を悪用。
弁護士資格を剥奪された者が、アリゾナに行って詐欺を働いたらしい。

2008年11月02日

対話型の調停における事実の扱い

「市民と法No.53」のADR特集はとてもおもしろかった。

わたしが事例研究を重視するようになったのは中村芳彦先生のアドバイスによる。
中村芳彦先生の論考(「ADRにおける事実認定と対話」)で指摘している内容は、現行の調停トレーニングプログラム批判として最も本質を突いていると思う。
対話重視のはずが、単に将来性重視への強引な”リフレイム”にすりかわるとしたら、浅薄のそしりを逃れられない。「事実をいかに語るか」が整理されていてとても考えさせられた。この考え方をどのようにトレーニング教材に落とし込むかについては、工夫が要りそうだが。

ところで、先日の岡山弁護士会の全国仲裁センター連絡協議会での報告では、自主交渉援助型調停でも事実を重視しながら対話するというプレゼンをされていた。
議論は少しずつだが成熟してきているのかもしれない。

過去のエントリー:市民と法 ADR特集

2008年11月03日

愛知青司協・メディエーショントレーニング

愛知県青年司法書士協議会(青司協、昭和会)主催の調停トレーニングの講師をさせていただきました。
(単独講師、2008/11/1-2の二日間、26名)

名古屋だけに濃いというか、個性的な参加者が多く、楽しかったです。

2008年11月04日

模造紙、B紙、大洋紙

wikipedia:模造紙

模造紙は、地方によって呼び方が違うらしい。

名古屋(東海地方)ではB紙という。
先日の名古屋でのトレーニングで、模造紙と言ってから、B紙と言い直したりしてみたが、自分の中で定着している言葉を言い換えるのはなかなか難しい。

新潟では大洋紙と呼び、九州では広用紙(ひろようし)と呼ぶようだ。

2008年11月05日

岡野雅行氏の世渡り力

岡野雅行(2008)『人生は勉強より「世渡り力」だ!』 (青春出版社、青春新書)

テルモの「痛くない注射針」や、携帯電話用の電池ケースなどを作った岡野雅行氏の語りおろしの本。
インタビューを元に構成し、本人が手を入れる前にあらかたできていたのではないかと思えるような、今どきの新書ではあるけれど、おもしろい人生を送ってきた人の話だからやはりおもしろかった。

取引先の大企業で無理を押しつけてきた担当者に、理不尽を返り討ちにするような話も出てくる。たとえば、約束になかったのに金型をよこせと言われて、真っ二つに切って金型を渡したという話とか。なめた奴がなめたことを言ってくることはよくあることだが、なめられっぱなしにしないということと、そんな相手に依存しないですむ実力と営業力をつけることが大切だと言っている。

2008年11月06日

オバマ大統領

連邦レベルでの、ADRについての政策が活発化する可能性があるかも。

[mediate.com]James Melamed: Obama’s Message - Mediation’s Political Triumph

*

コミュニティ調停プログラムが1000を超えるという記述がある。


2008年11月07日

法テラスの法情報リーフレット

法テラス:刊行物

法テラスがパンフレットを作っている。ADR機関にとっても、とても有用な情報源なのではないか。
たとえば、借家の紛争では、大家さんが家賃を受け取ってくれなかったら、供託すればいいなんて書いてある。
こういう情報は、法律家にとっては当たり前かもしれない。
しかし、普通の市民にとって、このような”教育”を受ける場所がない。

Woody Mostenが論文で、米国では、離婚訴訟について、詳細なブックレットを裁判所が作成したことで、本人訴訟が劇的に増えたと書いていた。日本は元々、本人訴訟が多いが、素人にとってわかりやすい情報が整理されているとは言えないだろう。

「法の支配」を言うのなら、法情報の供給にもっと真剣に取り組むべきだと思うし、こうした取組にブレーキをかけようという動きを監視しなければならないだろう。

2008年11月08日

広報誌「ほうてらす」

広報誌「ほうてらす」2008年秋号
ダニエル カールさん
聞き手 法テラス理事 篠塚 英子

ダニエル:
おっしゃるとおりアメリカは、法律の数も弁護士の数も多い。もめごとがあった時にはだいたい法律で定められてるケースが多いですので、裁判までいかなくても、弁護士が間に入って話し合うことによって、法律はこうだよ、裁判になったらこうなるぞってことを説明してくれれば、それで和解することができるわけなんですよ。そういう意味では弁護士さんは紛争を裁判によらずに未然に防ぐような役割もしているんですよ。
アメリカにはほかに、中立的な立場のメディエータ(仲介者)というか、弁護士ではないんだけど法律的な知識が十分ある人たちがいるんですよ。
私は東京で事務所を経営しているんですが、ある人とトラブルになってアメリカで訴えられそうになったことがありました。日本に住みながら訴えられるってことで、どうしようと思ったんですが、幸いにこの仲介者みたいな人が出てきて法律はこうだよって色々説明してくれたんだ。その人の意見にもし満足だったらそれで済むわけだ。でもそれじゃ不満だってことになれば、裁判起こすこともできるわけ。私の場合は相手もわかったっていうことで、結局和解になって裁判になんなかったんですね。そういう仲介者っていうんですか、ありがてぇなと思いました。

法テラス:
私たち法テラスも、設立のねらいはそういうところにありますね。困りごとがあったら全国どこでも気軽に相談でき、紛争予防になる。

いくつかの疑問。
・アメリカのメディエータは、「弁護士ではないんだけど法律的な知識が十分ある人たち」なのか?
・「仲介者みたいな人が出てきて法律はこうだよって色々説明してくれた」は非弁行為ではないの?
・法テラスの設立の狙いの「そういうところ」とはどこ?そして「そういうところの」役割を果たしている?

2008年11月09日

金融ADR立法へ

asahi.com(朝日新聞社):金融商品トラブル、易しく解決 金融庁が法整備方針 - ビジネス

金融庁 金融審議会 第一部会、第二部会合同会合

*

ボツネタ終了
なんとも残念。

2008年11月10日

大統領選挙でメディエーションの考え方が役に立ったという記事

メディエーション業界では、オバマ大統領を歓迎しているように見えるが、この記事もその例か。

What mediation can teach you for the campaign trail


1. share stories (not opinions)
2. look for similarities rather than differences
3. listen with a compassionate heart
4. remember that behind every accusation and stated fear is a plea for help
5. create/expand common ground
6. be respectful of other people's point of view
7. assist people in making new or different decisions only when they ask for it

以下、仮訳。

1 (意見でなく)ストーリーを共有する
2 違いでなく類似部分に注目する
3 優しい心で聴く
4 告発や口に出された恐怖の背後には助けを求めることが隠されていると頭に入れておく
5 共有基盤を創造/拡張する
6 他者の見方を尊重する
7 人が自ら望んだときだけ、新しい違った決定をする支援を行う

2008年11月11日

マーティンデールのADR機関データベース

http://dispute.martindale.com/

日本で検索すると、以下の事務所がヒット。

1. SKADDEN, ARPS, SLATE, MEAGHER & FLOM LLP Izumi Garden Tower, 21st Floor, 1-6-1 Roppongi, Minato-ku, Tokyo 106-6021, Japan
2. KOGA & PARTNERS 2nd Floor, Kamiyacho MT Bldg., 3-20 Toranomon 4-chome, Minato-ku, Tokyo 105-0001, Japan
3. MATSUO & KOSUGI ATTORNEYS AT LAW Fukoku Seimei Building 18F, 2-2-2 Uchisaiwai-cho, Chiyoda-ku, Tokyo 100-0011, Japan

2008年11月12日

幸福は表現的なものである

調停人の特性として、ある種の余裕のようなものがあるとよいのかなと感じることがある。
若い人が誠実に、汗をかきかきやっても案外成功するとおもうが(明治期の勧解は、学生上がりがいきなり担当させられていた場合が多かったらしい)、「徳望家」を得ようとしたという大正期以来の調停制度も理解できるところがある。

哲学者の三木清はこんなことを言っている。

機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現れる。歌わぬ詩人というものは真の詩人でない如く、単に内面的であるような幸福は真の幸福ではないであろう。幸福は表現的なものである。鳥の歌うが如くおのずから外に現れて他の人を幸福にするものが真の幸福である。
三木清(1954)『人生論ノート』(新潮文庫),P22 ※1941年に書かれたもの。

青空文庫:人生論ノート

自分が当事者ならば、幸福な人にぜひ調停をお願いしたいものだとおもう。

2008年11月13日

仲裁人協会・2008年基礎編一日目

この講座も三年目。教材作成委員会のメンバーみんなで作るプログラムという点と、わざわざ申し込んで下さる方の参加があるということで、他とは少し違う雰囲気。

今年は参加者の弁護士率高し。

調停人養成講座・基礎編

2008年11月14日

実践に役立つ知識を試験すること

cricket's eye:なにかおかしい。


社会福祉士に必要な知識とは何か。専門職の資格試験と考えれば、問われるのはそうした内容だろう。
そのことが考慮されず、学者の知っていることを確認させるような問題が多々見受けられた。

いくら高度な知識を問う問題を作れたとしても、実践に必要な知識をしっかり問う問題となっていないのなら、問題を作る側にその資格が無いとは言えないのだろうか。

社会福祉士試験制度の弊害についてのブログ記事だが、社会福祉士だけの問題でもないような。

2008年11月15日

調停の受付の心得

戦前の文献は、案外のびのびと書かれている。

裁判所は成る可く紛争を解決する主旨に於て八ヶましいこと、六ヶしいことを云はず、つまり四の五のと云はず事件を受附けるがよいのであろう。 P11
長島毅(1924)『小作調停法講話』清水書店

数字がなかなか、効いている。

2008年11月16日

A4のファイルボックスを購入


ヤマゼン:A4ファイル収納 カラーボックス

自宅に資料が増えてきて、ファイルボックスを二本購入した。
家具は増やしたくないのだが。

A4のファイルが3段入るので収納力はかなりある。

2008年11月17日

言論の自由の言葉づかい

日教組の”影響”と言論の自由について (内田樹の研究室)

「私も永遠の真理を知らず、あなたも知らない。だから、私たちはたぶんどちらも少しずつ間違っており、少しずつ正しい。だとすれば、私の間違いをあなたの正しさによって補正し、あなたの間違いを私の正しさによって補正してはどうだろうか」というのが「言論の自由」が要求するもっとも基本的な「ことばづかい」であると私は考えている。
誤解している人が多いが、「言論の自由」に基づいて私たちが要求できるのは「真理を語る権利」ではなく、「間違ったことを言っても罰されない権利」である。
その権利の請求の前件は「私は間違ったことを言っている可能性がある」という一項に黒々と同意署名することである。
だから、「私は正しく、おまえは間違っている」という前提から出発する人は「言論の自由」の名において語る権利を請求できないだろうと私は思う。

メディエーションとの文脈で考えてもおもしろい一節である。

まず、「間違ったことをいっても罰せられない権利」について。

メディエーションで大切なのは、スキルよりもスタンスだと思う。
ここで書かれている「言論の自由」を厳密に、限定的に実現する場がメディエーションであるとおもう。

だからこそ、「間違ったことを言っても罰されない権利」の<例外>を、メディエーションの規約で考えるのは大切だろう。「秘密は守られます」だけでなく、「原則として秘密は守られますが、暴力その他の特別な場合には、メディエーション機関から適切な機関に連絡する場合があります」とすべきだろう。
どのタイミングでどのようにいうかという問題は残るが。

次に、「私は正しく、おまえは間違っている」という考え方について。

メディエーショントレーニングの目標は、「私は正しく、おまえは間違っている」という構えから、自由になる方法を獲得することだ。特に、なんらかの資格を持っていると、「私は正しく、おまえは間違っている」という立場に立ちたくなる。トレーニングは、そのための武装解除手続と言っても良いかもしれない。しかし、逆に、メディエーショントレーニングを受けた経験そのものが、「私は正しく、おまえは間違っている」という立場に立たせる原因になる危険もある。

わたしが、法的知識とメディエーションスキルを素朴に接合すれば足りるというモデルに対して感じる違和感はこのあたりだ。
「わたしは、法律家であるから正しく、メディエーションスキルがあるからますます正しい」と考える<構え>は、完全にずれていると思う。

2008年11月18日

裁判官のブログ記事に書き込み

2008-11-07 - curiousjudgeのつぶやき:裁判所の和解勧告に対し、抗議の自殺

日本でも裁判官の和解技術についての教育は少しあるらしいが、実務では判決以上に数があるのだから、もう少し研究されても良いと思う。

2008年11月19日

西口判事の和解論

Nコートの西口元(はじめ)裁判官の和解技術に関する話を聞いた。

・対席和解(同席調停に相当)は、当事者参加型争点整理と集中証拠調べと併せて行うべきものという位置づけで考えている。
・対席和解は、経験上、十分機能している。当事者が嫌がっても、だめだったら交互面接和解(別席)に移行するからと言って、少しだけ対席(同席)で話をしてみてもらうが、そうすると、最後まで対席で話が続くことが多い。
・当事者が、「別席でなければ話せない」などという話は、大した話でないことが多い。陰口めいたことなどが出てくるが、相手に話せなくて裁判官に話せるということはあまりないはずである。
・和解案は2割位の幅を持たせて提示する。高裁では、和解案を提示する際には、合議に掛けてから。したがって、当事者は、裁判所の判断はその時点でわかる。
・当事者の一回の話は、15分位を考える。感情的になってはげしく話しても15分位やっていると疲れてくる。話したという実感も持てる。
・当事者は互いに相手の言葉をさえぎらないというルールは大切だ。
・裁判官にとって、対席和解は疲れるし緊張する。交互面接和解は情報操作ができるので楽である。対席和解では、資料をちゃんと読んでいないとばれてしまう。交互面接和解なら、資料をちゃんと読んでいなくても押し切れる。
・弁護士の立場からは、裁判官には、「根拠としての証拠」「どの学説を採っているか」などを聞くと良い。資料を読んでいてちゃんと考えているのか、ざっと読んで印象だけで話しているのかがすぐわかる。
・裁判官をやっていて10年目から15年目位のキャリアの頃が、一番傲慢になる。弁護士がバカに見えてくる頃だ。こういう裁判官をきちんと教育する意味で、弁護士の先生方には、ガツンとやっていただきたい。裁判官は、もっとキャリアを積むと再び、謙虚になる。
・裁判官は純粋培養なので、良い人はすごく良いが、悪い人は矯正されにくい。
・裁判所と民間ADRが協力するようなことがあってよい。例えば、事実認定や法律解釈を裁判所が協力して、話し合いを民間ADRで行うような可能性がある。自分は少し論文に書いた。しかし、現実に、裁判所ではまったく誰も考えていないようだ。

2008年11月20日

社会言語科学会

社会言語科学会::Home

ポライトネス理論が議論されているようだ。

2008年11月21日

政府広報

困ったときは「かいけつサポート」!:政府広報オンライン

専門性、プライバシー、互いの納得、手続や費用の事前説明、その他(時効の中断効等)という順序でメリットを説明している。

2008年11月22日

国センADR準備室

私のスタイル:国民生活センターADR準備室、枝窪歩夢さん - 毎日jp(毎日新聞)


なかなか連絡がつかない事業者にやっと電話がつながっても「事務所がガス爆発でなくなった」「担当者が脳梗塞(こうそく)で亡くなった」と、堂々とうそをつく対応に悩まされた。

という、相談員経験のある方が、ADR準備室を担当されているようだ。


2008年11月23日

財産開示制度

Matimulog: Bar:日弁連による財産開示制度利用アンケート


2008年11月24日

岡山弁護士会・メディエーション研修基礎編

2008年11月22日、23日の二日間、岡山弁護士会仲裁センターとしては二期生になる方への調停技法トレーニングを実施。(共同講師)

元裁判官の法科大学院教授も参加して下さり、懇親会などでも話を聞くことができた。
その方が着任した頃の調停は問題があったが、まず法的にしっかりとするようにという動きがあり、次に当事者の主体性を重視する動きが出た。近年の考え方は、メディエーショントレーニングの考え方は共通していると思うとおっしゃっていた。

また、企画を担当して下さっている方が、自治体職員に民法の講義をする際、グループワークの手法を取り入れてみたら好評だったという話をおしえてくださった。

2008年11月25日

交通事故の被害認定

交通事故被害者家族相談室
三重県津市の弁護士によるもの。

算定基準の文献紹介がある。

保険会社の示談基準と裁判所の算定基準の比較も興味深い。

2008年11月26日

個別労働紛争解決制度・統計

厚生労働省:平成19年度個別労働紛争解決制度施行状況

あっせん件数が年間7000件。

利用者の評価はどうなんだろう?

2008年11月27日

調停委員バッジ

調停委員バッジについて。

矢車菊の花言葉は、幸福、繊細。さらに多くの小花が集まるその形状から「協調」の意味が込められていると言われる。 東京民事調停協会連合会・東調連創立六十周年記念事業実行委員会(2008)『東調連六十年史』(ぎょうせい)

Yahooオークション:調停委員バッジ(オークションは終了しています)

2008年11月28日

JBワークショップ

中京大学の企画で、Mediator's Handbookの著者、Jenny Beerによるワークショップを実施。

Jennifer Beer

結構がんばって準備した甲斐があった。
一人の聴講者としてもとても満足できた内容だった。
午前中は、フィラデルフィアのコミュニティ調停の状況を率直に教えて下さり、午後は、トレーニングの方法で扱いづらいポイントの考え方を紹介して下さった。

例えば、「トレーナーはデモを前でやった方がいい。トレーナーも失敗するが、それがよい。参加者にとって気が楽になるからだ」という説明があった。
単にレトリックとしてこういうことをおっしゃっているのではなく、それがスタンスとして徹底している。
自分というリソースを当事者に対して開放するのが調停であり、それをトレーニングの場で行うのが調停トレーナーの役割なのだ。

準備(ロジ)では不行き届きがあったが(サラリーマンとしてのセンスがますます失われている・・)、参加者のリアクションも良かったし、満足している。ありがたかった。

2008年11月29日

JBワークショップをふりかえる

昨日の午後の企画のやり方も感心した。
トレーニング通りには必ずしも実施しないが、少しやってみて、その意図を説明する。
その活動の選び方も興味深かった。ネタとしてはいくつか用意して下さっていて、最終的には直前に決まった。蓄積が違う。

最後に、メディエーションには、いくつか前提が隠れているという話を扱った。
文化人類学の見方で見ればよいということだが、良い教え方がわからないと、率直におっしゃっていた。
メディエーションという手続もまた、神ならぬ人が作ったものだから、その枠組みとしての限界を持っている。そこに意識的であるということを教えたいと。

Jennyの流暢な日本語は、日本での滞在経験が長いためである。文化人類学としての研究対象を日本に選んでいる。米国の調停理論の確立に大きな貢献をした人物が、日本語や日本文化にも精通しているというのは偶然といえば偶然なのだろうが、余人を持って代え難い存在である。

日本の調停制度を改革するには、例えば、Jennyのような人を招いてプロジェクトを立てれば良いのにとおもう。

2008年11月30日

続 JBワークショップをふりかえる

コロラド在住の加藤大典さんに共同講師として実施していただいた。

Jennyと考え方が違うところがあるが、あえて統合せずに、違いが見えるようにして話をしていただいた。
準備段階では、どうやって話を組み合わせるかがなかなか見えなかったが、最終的には十分に伝わったのではないかと思う。

加藤さんは、調停者自身が自身の内面を扱う方法を知る努力をするのが大切で、そこからスタートすべきだと思っている。
わたしは、その努力は大切だと思うが、参加者にその準備ができていないときにそれを持ち出すのは乱暴なのでやりたくないと思っている。それから、その扱い方の範囲設定も難しいと思っている。

交渉を支える見方であれ、成長の機会としてのコミュニケーションの実験室としての見方であれ、調停の本質は当事者の内的な統合を支えようとする活動である。
そうであるなら、調停人自身が軸を持っているということが大切なのは確かだ。

ただ、へんちくりんな心理化やカルト化にならないようにすることには、細心の注意や節度が必要ではないかと思う。

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