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2015年07月 アーカイブ

2015年07月05日

二弁仲裁センター合宿@熱海

7/4 13:00-17:00で、「対話型調停技法を考える」と題して、半日もののワークショップ型トレーニングを実施させていただいた。

全然内容を知らずに先輩弁護士に言われるがまま参加したが、「新しい世界が広がった」という感想を言って下さった方がいた。普段は、当事者の話をゆっくり聴くというより、見立てたことをすぐに口にするタイプだったのだが、今回は試みに長めに待つ形で進めてみたら、同じグループの中の先輩から褒められたりして、まんざらでもない感じがしたということらしい。

他にも、弁護士会ADRの中でも対話型調停モデルにもう少し真剣に取り組んでもよいとおもうといった考えは何人かの方から聞くことができた。今は岡山くらいだけれど、もう少し真剣が動きが広がればとは思う。他の方向性の運動もあってもよいとおもうけれど。

わたしの考え方に抵抗感を覚えている方ももちろんそれなりにおられたとおもうが、ロールプレイには意外と楽しそうに皆で取り組んでいただけたので、そういう意味でもよかった。

参加者はベテランから若手まで様々。
仲裁センター合宿の緊張感を楽しめたと自分では思ったが、懇親会の席で上原裕之先生から、昔の合宿では、もっとキツい議論の応酬だった、ゆるくなっているというご指摘があった。

2015年07月12日

ADR月間

7/10は日本ADR協会のシンポジウム・実務情報交換会。テーマは、「ADRの手続実施者を対象とする研修の実状と課題」。私は、パネリストとして、トレーナーの立場からというコメント。団体としては、参加申込も多く、実施して良かったという評価のようだ。わざわざ足を運んで下さった方の評価はどうだろうかとおもうが。

7/11は、仲裁ADR法学会学術大会。個別報告は、廣田尚久先生、石崎雅人先生。パネルディスカッションは倒産ADRについて。

個別報告はおふたりともメディエーションについてであった。

倒産ADRについては、中小企業再生支援協議会によるスキームの話は知らなかったので、興味深かった。
中小機構:経営力の強化: 中小企業再生支援全国本部
一見専門的でビジネスライクな話に聞こえるけれども、自営業者経営者とその家族の命を守るためにとても重要な手続である。
専門家だけでなく、「常識」としてもある程度知っておくべき動きであるようにおもった。

2015年07月16日

本:井上達夫『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』

井上達夫『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』(2015年・毎日新聞出版)

井上達夫『リベラル・・』を読んだ。

毎日新聞の記者を相手に話した内容を本にまとめたもので、非常に読みやすい。
読みやすいだけでなく、突っ込んだ話もいろいろ書いてあって面白い。

むしろ保守的な読者が読めば、この本を面白く感じられるのではないか。
9条関係の議論に注目が集まるだろうけれど、慰安婦問題での「アジア女性基金」でなされたことはもっと肯定的に受けとめられるべきだといった主張などもある。ドイツの「反省」が意外と限定的だという指摘もしている。

日本は結局のところ、非白人、非クリスチャンの国家なのに、西洋主要国のグループに「入れてもらって」なんとかかんとか100年以上やってきている。そのときに頼りになるのは、西洋主要国の「正義」の感覚であり、考え方であって、ここをまじめに受けとめることこそ、日本がこれからも世界の中で、なんとかかんとかやっていくために必要な拠り所になるはずだ。その西洋的な正義の感覚、考え方こそが「リベラリズム」である。しかしながら、日本で党派的に「リベラル」とされている人々の思考停止ぶりは目を覆うばかりであり、そこを否定することなしに、日本でリベラリズムを位置づけることはできないだろう……といったところが、本書の基本的な立ち位置だとおもう。

学者だって使い道があるよと。

六本佳平先生の授業をきっかけにして、現実の弁護士が魅力的でないと失望したといった話や、ロールズがリベラリズムが及ぶ射程を狭く考えるようになってしまったことへの失望の話題も興味深かった。
ロールズの輸入代理店みたいな仕事はしたくなかったという話は、全くの本音だと思う。

この本についての、イスラム学の池内恵さんによる文章もおもしろい。

井上達夫『リベラルのことは嫌いでも・・・』を読んでしまった | 中東・イスラーム学の風姿花伝

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