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2008年04月 アーカイブ

2008年04月02日

新しい年度

1月に行った調査では、大量の情報を収集してきたが、少しずつ消化していかなければならない。

Bostonで、ADRをやっている弁護士のチャンピオンといわれた人が、David Hoffman氏。

米国弁護士会(ABA)の紛争解決セクションの議長も務めている。

協同法務(Collaborative Law)の実践をしているという意味でも興味深い方。
この協同法務というのは、法律家にとってはむしろ調停よりもビジネスチャンスが大きいかもしれない。

まだ日本ではあまり知られていないように思える。
アメリカで広がったのは、調停の実務家の法律家が中心であった点が大きいのだろう。

Hoffman氏の論文は、Webで公開もしている。

http://www.bostonlawcollaborative.com/people/attorneys/david-hoffman/publications-list.html

ボストンの事務所にはガンジーのポスターなんかも貼ってあった。

2008年04月05日

家事調停のマニュアル

さる方から家事調停のマニュアルをお借りして読む。

その本に、

「軽々しく家庭裁判所の内情を口外しないこと。複雑多岐な家庭裁判所の活動が単純化されて一般に伝わり、思わぬ誤解を受けることがないとは言えないからである。」

と書いてあった。

軽々しく口外してはいけないくらいだからブログに書くなんてもってのほかだろう。
だから、そのマニュアルのタイトルをここに書くのは控えることにする。

しかし、調停委員が、「軽々しく口外しない」だけで、誤解を受けぬことが広がる時代だとは思えない。
むしろ、積極的に、その価値を世の中にアピールすべきだろうと思う。
調停委員による相談会や模擬調停会などの形で、世の中に対してアピールをする動きもあるが、こうしたことはとても良いことだと思う。

民間ADRとの比較で見れば、裁判所での調停は贅沢(もしくは恵まれている)側面がある。
イコールフッティングにするべきと言って現状の裁判所でのサービスを切り捨てるべきではないと思うが、健全な競争がはぐくまれるためのあり方はもう少し議論されても良いように思う。
ADR法のスキームだけで、裁判所と民間ADRが競争できる環境ができたとはとても言えないからである。

2008年04月08日

読売社説がADRの推進を言っている

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080406-OYT1T00592.htm

読売新聞社説で、ADRの利便性と信頼性を高めよ、という社説が出ている。


 だが、訴訟になれば、時間も費用もかさむ。ADRを活用すれば、紛争の解決金が100万円未満の場合、手数料は数万円程度、2、3か月間の話し合いで済ませられるという。

 裁判所側は、少額訴訟や調停の場で、ケースによっては、ADRの利用を関係者に勧めてもいいのではないか。

 ADRの利用拡大には、十分な知識や能力を持つ専門家を確保し、信頼に足る機関に育てていくことが大事だ。複数の機関が共同運営し、財政的基盤を強化することも検討していいだろう。

裁判所が、少額訴訟から調停に勧めることがあっていいという指摘はその通りだと思う。
そこはもっとちゃんと研究すべきだと思う。
少なくともアメリカではこの部分が大きい。

裁判所の「調停」の場面で、ADRを勧めるイメージがピンと来ない。(裁判所の調停はADRではないのか?)
総合病院で市中の専門医を紹介するようなイメージなのだろうか。
この社説で言っているADRのイメージがよくわからない。

「複数の機関が共同運営し、財政的基盤を強化」というのもピンと来ない。士業団体を連携してワンストップでという話はときどき出てくるけれど、まともに動き出したという話はあまり聞かない。

この社説が言っているのが、ADR法認証の推進なのか、ADRの利用の推進なのかどっちなのかもわからない。

2008年04月09日

ADR仲裁法

山田文・山本和彦[2008]『ADR仲裁法』(日本評論社)

ADRの必読書がまた一つ。
論文集ではなく、網羅性を意図して作った「教科書」。


2008年04月10日

中企庁の下請問題向けADR:下請駆け込み寺

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/080324kakekomi.htm

http://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/

あんまり報道されていないので、状況がよくわかりませんが。

2008年04月11日

東大の相談窓口

東京大学「なんでも相談コーナー」開設
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/archive_j.html

本当に何でも相談に応じてくれるんだろうか?

2008年04月13日

子どもと若者のための認知行動療法ワークブック

ポール・スタラード著/下山晴彦監訳[2006]『子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ』(金剛出版)

東大・教育学部で臨床心理学を教えている下山教授の研究室が訳書を出した認知行動療法のワークブック。

非常にわかりやすい説明と、いくつかのワークがある。
セルフヘルプのワークブックとしても使えそうだし、ワークショップのネタにも使えそう。
単にワークの方法が書いてあるだけでなく、意図についても説明があるところが親切。

認知行動療法は、エリスの論理療法からスタートしている。
その意味でアサーティブトレーニングとも兄弟関係にあるともいえる。


下山晴彦研究室


こういうリンク集もある。

2008年04月16日

総務省のベンチャー支援マニュアル

はてなのトップページで知ったのだが、総務省がベンチャー支援のために作ったマニュアルがよくできているそうだ。

http://blog.livedoor.jp/lalha/archives/50215344.html

http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080307_3.html

ロジカルになることや、わかりやすく結果を出していくことは、社会にとって意味のあることをしたり、他者への寛容を持つ活動をする際にも必要であるし。

MECEやロジックツリーも悪くないのではないかと最近は思い始めている。

2008年04月17日

Moore "Mediation Process"翻訳

クリストファー・ムーア (著), レビン 小林久子 (翻訳) [2008]『調停のプロセス―紛争解決に向けた実践的戦略』(日本加除出版)

ついに出版されたようです。

2008年04月21日

早稲田総研・実践入門編

早稲田総研・調停トレーニング:4月18日(金)、4月19日(土)
4月18日、19日とトレーニングを実施しました。

参加者は、社会保険労務士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、カウンセラー、大学の先生など、いろいろな”先生”に参加していただきました。
裁判所の調停委員を兼ねている方も何人もおられたようです。

わざわざ調べて申し込んでくださっただけあって熱心な参加をいただいてありがたかったです。

社労士会では、裁断型の紛争解決のイメージで議論が進んでいると聞いていたのですが、案外好意的に受け取ってもらえたような感触を持ちました。

対話型調停に以前から取り組んでおられる方に手伝ってもらえたのもよかったです。お世話になりました。

2008年04月22日

法と交渉研究会

「法と交渉研究会」という、90年代の民事訴訟学者と法社会学者の丁々発止の議論。
http://homepage3.nifty.com/satosho/NEGO/index.htm

感心してちゃあいけないんだろうけれど、おもしろいです。

2008年04月25日

ECネットワークの紹介記事

ECネットワークは、ネット紛争の“遠山の金さん”

非常に好意的な記事。しかも、大事なポイントもついている。ビジネスモデルとか、人間系のサービスであることとか。
(つっこみどころはあるにしても)

2008年04月26日

社会学の名著30

竹内洋[2008]『社会学の名著30』(ちくま新書)

社会や集団にはこうした深い非合理的感情が付着しているが、神はそうした(われわれの深い感情が付着した)社会の象徴である。神が社会を作るのではなく、社会へのわれわれの感情の反映が神なのである。犯罪もこうした観点からとらえられる。犯罪処罰は犯罪を抑止することよりも、怒りなどの感情共同体を構築することで社会的連帯感情を喚起させる儀式として大きな意味がある。 P29 (ランドル・コリンズ『脱常識の社会学』の紹介として)

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