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2009年04月 アーカイブ

2009年04月01日

偶発性を計画する

キャリア理論で、Planned Happenstance Theory(計画された偶発性理論)というのがあるらしい。

出会いが転がっているのは、「そこ」じゃない。


言ってしまえば「アクティブに動いているといいことがある」「意気込んで行ったときほど外しが多い」という、皆さんの中にもなんとなく経験値として溜まっていそうなこの感覚を、きちんと理論化したクランボルツさん、偉大じゃないですか?

メディエーションにおいて、当事者の自己決定は、メディエーターにとって常に偶発的事項である。
とすれば、メディエーターは、その偶発的事項を誘発する計画的活動をなしていることに他ならない・・

KJ法の思想にも通じると思う。
果報は錬って待て(by本田宗一郎)ということか。

2009年04月02日

メディエーショントレーニングの売り言葉

メディエーショントレーニングの売り言葉に、「普段の相談業務にも必ず役に立ちます」というのがあるのだけれど、ちょっと抵抗感がある。
確かに、実際に、「普段の相談業務に役に立った」と言われることはあるし、それは良かったと思うけれど。

何に抵抗感があるかというと、「コミュニケーションスキル」なるものがあって、それを提供者側(講師側)は身につけていて、身につけていない受講生に教え込むことができる・・という考え方そのものについてだ。

わたし自身は、コミュニケーションスキルをマスターしたなんていう実感が全くない。
例えば、トレーニングプログラムの構成方法に関しては勉強をしたし、それなりのノウハウがたまったという実感はあるが、コミュニケーションそのものについては、正直なところ、むしろ苦手意識しかない。

メディエーションについても、場や流れの構成方法について、その仕組みを説明することはできる。
が、いかなる場合にもそれを使いこなせるかというと、また、別問題になる。
練習方法を説明し提供できるが、それだけだ。

コミュニケーションなんていうのは、上手な人が専門的に実施するというようなものではない。
下手でも避けて通れない。
下手な人でも、自分自身や他者に向き合う権利が同様に開かれていると考えるところに、メディエーショントレーニングの魅力があるのではないか・・と、わたしは考えている。

2009年04月03日

GBIの交渉トレーニング

2日間、42万円のハーバード交渉トレーニング。

http://www.gbijapan.com/pon2009/index.html

エグゼクティブ相手だったようだが、参加者の声を聞いてみたい。

2009年04月04日

生煮えのアイデア

芝さんが、静岡でのメディエーション勉強会を準備している。

わたしも、メディエーション勉強会について考えている。

月に1回位行うとしたらどんな感じで進めるのがよいだろうか。

想定として考えているのは、
・会費は無料か千円以下。
・時間は2、3時間程度。
・場所は東京か神奈川。

会場の確保、メンバーの人選、目的、進め方など。
考えるべきことは多い。

良心的な人が孤立しないで元気に持続力を持てるようになる場になればいいなと思っている。
そういうものが各地にあって、年に一度くらいは、お祭り的にどこかに集まるというようになればもっといいかな。
資格を超えてつきあうための触媒的な場づくりをしてみたい。

開かれた場にすると、口だけ動かすのが得意なひととか、短期的な視野で自分の商売に利用したいだけのひととかをも引きつけてしまうというのが一つのリスク。
もう一つのリスクは、自分たちだけが通じる言葉で話をする、閉じたサークルの「なれあい」になってしまうこと。

参加者に、話題提供を持ち回りで担当するくらいの主体性がないと、活動が持たないと思う。
かといって、敷居の高さを上げすぎて、士業団体内の議論みたいになってはつまらない。

愛媛和解支援センターや長崎メディエーション塾のような先輩を見習ってゆっくりやっていくのがよいのだろうなとおもうが。

2009年04月05日

企業向けの交渉トレーニング

年度も替わったので新しいことも少し。
企業向けの交渉トレーニングを少し増やしていこうと考えている。

メディエーショントレーニングという名称ではなかなか届かない相手に対しても交渉トレーニングとしてなら届けられるかもしれない。

早稲田総研で1日ものの交渉トレーニングを6月27日に行うことが決まった。
http://www.quonb.jp/service/negotiation/index.html
もうひとつ、7月に自治体で実施することも決まった。

メディエーションに熱心に取り組んでいる人と、共同講師の形で、仕事としていっしょにやっていける場をつくっていきたい。
そういう活動の品質を高められたら、市民向けの無料フォーラムなどを含めたアウトリーチ活動の効果も高められると思う。

仕事を請けるかどうかは、自分にとって勉強になりそうかどうかと、社会にとってインパクトを与えるものになりそうかどうかを基準に考えてきたが、それ自身には変わりがない。
もう少し対象を拡げようというだけ。

自腹切ってやる仕事・勉強ももちろん続ける。

2009年04月06日

企業内弁護士に関する調査報告書

大阪大学大学院法学研究科 法曹新職域グランドデザイン 講演会 研究会 報告書

最終報告書(PDF)

2009年04月07日

Wordpressインストール

新しいWebサイトを準備している。
WordPressを入れてみた。
Sakuraインターネットの場合は、Movable Typeだと年間1500円のコースで使えるが、WordPressは年間5000円のコースでしか使えない。

しかし、サイト管理はかなり簡単になりそうだ。

デザイン周りだけ外注しているので、公開はもうしばらくしてから。

2009年04月08日

mediate.comのインタビュー集

Take Advantage of Open Access to The Mediate.com Video Center - Over 100 Interviews!

mediate.comのインタビュー集の動画が公開されている。

Roger Fisher
Frank Sander
Carrie Menkel-Meadow
Larry Susskind
Joseph Stulberg
Albie Davis
Len Riskin(Leonard Riskin)
Bernie Mayer(Bernard Mayer)
Chris Moore
Joe Folger(Joseph P. Folger)
Linda Singer
David Hoffman
Randy Lowry
Peter Robinson
Nina Meierding

などなど。

メディエーション運動のコアにいる人たちの雰囲気が伝わるとおもう。

Albie Davisは、メディエーターの役割は、中立性とか秘密性という以前に、「そこにいることだ」と言っている。
http://www.mediate.com/mediaplayer/mediaplayer.cfm?snid=2000320

2009年04月09日

mediate.comのインタビュー続き

http://www.mediate.com/people/personprofile.cfm?auid=788

Joseph Stulbergのインタビューもおもしろい。

トレーニングの品質について話をしている。
「4時間や6時間では教えることはできない」と明言している。1973年からメディエーショントレーニングをしている人だけに、重みがある。

また、ロールプレイの使いすぎは問題だと言っている。例えば20時間中16時間ロールプレイなどというのはおかしいと。

トランスフォーマティブアプローチに対して
・イシュー(課題)を特定しないのはいかがなものかと疑問。
・実際には、USPSで成功しているトランスフォーマティブアプローチのメディエーションは、非常に具体的な話し合いを行っている。(「事実上イシューを限定している」のではないかと言外に言っているとおもう)
・プロブレムソルビング対トランスフォーマティブの構図の議論には関心がない。
・トランスフォーマティブアプローチのエンパワーメントとリコグニションについては、用語は違っても同様のことの重要性を教えている。

2009年04月10日

山田文先生の家事調停についての論文

山田文(2008)「離婚紛争と調整型ADR」(名古屋大学法政論集. v.223, 2008, p.367-385)

交渉促進型(faciliatative)には、積極型と消極型があるという話をしている。
一般的にメディエーショントレーニングは、「積極型」なのだが、トレーニングを知らない人は、「消極型」(調停人は積極的にはなにもせず、双方の主張を取り次ぐだけ)をイメージしている場合がある。
このあたりのイメージの齟齬については実演を見せたりするしかないが、さりとて実演すればしたでステレオタイプ化した誤解が拡がったりして難しい。

また、離婚後の面接交渉を考えた場合に、当事者が能動的に合意形成に組み込みを図るプロセスが有効で、交渉促進的調停は有意義と評価している。
と同時に、弱者が情報を十分に得て、真の自己決定をできる環境を作るために、調停人が積極的に役割を果たす必要性を論じている。

このあたりは、素朴な「メディエーションは対話促進で、当事者にアドバイスしない」とする役割像を超えている。

わたし自身は、山田先生の考え方に共感する。
しかし同時に、上記の言葉尻だけを捉えて、「弱者保護なら(必ず)情報を与えて良い」と考えるひととか、さらに曲解して「評価型と適当に混ぜればよい」などといいだすひとも出そうだと心配する。
こういう変な議論にならないようにどうしたらよいだろう?

一つの方向性は、積極的な役割を果たす場合に、調停人個人だけでなく、調停機関が役割分担をして、手続として安全に、かつ、当事者にとっても中立らしく見えるようにするのがよいのではないかとおもう。
例えば、典型的論点と規範は、調停開始前に事前に両当事者に説明してしまうとか、ブックレットで提供するといったやり方も考えられる。

現実的に有限な能力の中で、何をどう救済しようとするかは、機関としての価値判断が求められる。

Folgerがメディエーションは、イデオロギー的にフリー(中立)ではありえないと言っているが、このあたりも困難な場所だなぁとおもう。
http://www.mediate.com/mediaplayer/mediaplayer.cfm?snid=2000418

2009年04月11日

専門家像の転換をめぐる問題

ナラティブ。 (cricket's eye)

10年ほど前にナラティブ・アプローチが日本に紹介された時、一時的にブームのようになった。しかしそれは、波が引くように減退して行った。私はそれが専門家たちがナラティブ・アプローチを新たな心理療法の一つとしてとらえて飛びついたからだと考えている。ナラティブ・アプローチは、援助技術の一つとして位置づけることも可能では有るが、その土台には専門家としてのあり方を大きく転換させる根本的な思想がある。それゆえ、これを理解できなかった人たちは、あっというまにナラティブ・アプローチに関心を失い、ひどい者は誤解したまま自分の無知をさらすようなとんでもない批判を発表したりすることになった。・・ 日本で最初に体系的にナラティブ・アプローチを取り上げた「ナラティブ・セラピー」の訳者あとがきにおいて、野口先生はこれが単なる技術ではなく、専門家の在り方であるという視点を明記している。しかしながら、一番大切なこの部分を充分吟味しないままナラティブ・アプローチはブームの様相を示し、結果的に何も変わらないまま今に至る。(書店の書棚に見られる本も減りました)

「専門家像の転換」というのは、メディエーションを行おうという場面でいつも出てくる。

専門家が自己の能力の有限性を認め、自己の能力を資源として当事者に開放し、自己を当事者から守る鎧としては使わない・・という話だと思う。

どんな分野でも本当に一流な人は、欧米からの新しい用語で新たにごちゃごちゃ言われなくても、そういうことが理想だと知っているし、できる範囲で心がけているところがあるように思う。
そして、どんな分野でも二流な人にとっては、その鎧は自己アイデンティティそのものだから、そこを脱ぎ捨てる必要性を指摘されると、より頑なに拒否する。理解できても、理解したくないのである。

かくして、一流な人にとっては、なにをいまさらな話になるし、二流な人にとっては、ほら一流な人も重視していないよといって、これ幸いと鎧に閉じこもる。

専門家像の転換の話題には、上記のような構造的問題があるように思う。

2009年04月12日

早稲田総研実践入門編

早稲田総研で、メディエーショントレーニング二日間を行った。今回は3回目。

市ヶ尾小町さんにも手伝っていただいて。士業団体で頼まれる場合一日6時間のことが多いが、早稲田総研では一日7時間(合計14時間)行う。その分少し丁寧に進めることが出来る気がする。

公開講座としては新しく準備する実践中級編にも沢山申し込みをいただけるといいなとおもう。

今回は、社労士の方が多かった。また、司法書士の方にも、アナウンサーの方も参加いただいた。
また、東洋英和大学の名嘉憲夫さんも参加くださった。

名嘉憲夫(2002)『紛争解決のモードとは何か―協働的問題解決へむけて』(世界思想社)

イーゼルパッドテープルトップ(模造紙にふせんのりがついているもので、卓上に自立させられるタイプのもの)を使うことができて、参加者は興味津々だったようだ。

早稲田総研事務局では、ASKULから買っているそうだ。
楽天でも見つかる。

【楽天・オフィスリテール】3M ポスト・イット イーゼルパッド 20枚 テーブルトップタイプ 584×508mm  EASEL563

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Amazonでは今在庫がないようだ。

2009年04月13日

姿勢が良くなる靴

http://www.swissmasai.jp/

http://www.mbt-evernew.com/studio/oofuna.html

1ヶ月ほど前から履き始めたのだが、なかなか良い感じだ。
研修中の様子を写真に撮ってもらったのだが、姿勢が改善されていたように思う。

注意して見るとかなり奇妙な靴で、変人度がワンランクアップすることまちがいないが。
水道橋博士も履いているし・・

2009年04月14日

国民生活センターのADR

国民生活センター紛争解決委員会による新しいADR スタート(報道発表資料)_国民生活センター

年間100万件の消費生活相談と、6.5万件のあっせんに加えて、新しく「重要消費者紛争」について国センで実施する手続になる。年間100件程度を行いたいといううわさも聞くが、実際にはどうなるのだろう。

消費生活センターでの6.5万件のあっせんのやり方についての議論につながるのかどうかにも関心がある。

2008年にフロリダで調査したときには、行政機関での紛争解決手続で不調になった場合、行政機関で整理した情報が少額訴訟に引き継がれるという運用を行っている話を聞いた。
日本ではそういう発想は聞こえてこない気がするが、どうなのだろう?

17条決定後の、過払金請求

田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛) : 特定調停で、債権債務は存在しない旨の17条決定が確定した後の、過払金請求

消費者行政予算拡充のニュース

交付金と講演依頼-これからのネット取引を考える ECネットワーク

消費生活センターで研修予算が手当てされたという話らしい。
福田元首相の置き土産みたいなものなのかな。

現場で働いている人の待遇改善に使えないというのが不自由な感じ。

2009年04月15日

アンラーン

4/12のETV特集は鶴見俊輔が登場した。

ヘレンケラーと会ったとき、「ラドクリフ大学では沢山学んだ。しかしそのあとたくさんアンラーンしなければならなかった」という話をしていたという。

アンラーンという言葉はそのときはじめて聞いたということだが、「学びほぐすこと」だと考えると話していた。単に忘れるというわけではない。

アンラーンのための方法論は存在するのだろうか?

http://www.nhk.or.jp/etv21c/update/2009/0412.html

2009年04月16日

久しぶりのADR法認証機関:FPIC

(かいけつサポート)社団法人 家庭問題情報センター

http://www1.odn.ne.jp/fpic/

家事関係特化では初。
家裁調査官のOBが多数参加している団体と聞いたことがあるが、まだメンバーの方とはお会いしたことがない。
夫婦同席相談という活動もやっておられるようだ。

子どものある夫婦の離婚 テキスト・ブックあたりをみると、なんとなく紛争解決観が見えるところがある。
「(17)住まいを確保する」というのは当たり前だけれど、当事者本人でも後回しになったりしていたりする場合もあるのだろう。さらっとした整理に見えるが、豊富な解決経験がうかがえる。
一方、「心得」みたいなことを説くのに躊躇がないところあたりは少し引っかかる。
夫婦関係、親子関係みたいな場面では、わかっちゃいるけれどできないんだということばかりなのではないかというのが、「当事者としてのわたしの経験」だ。たとえ正しいことを言われても、どういう経緯でだれからどのように言われるかによって、受け取る側にとっての意味が非常に変わってくる。

まあ、同じ家裁の調査官と言っても、岩瀬純一氏と飯田邦男氏の本では、そのスタンスにおいて根本的なところで大きな違いがあるように思えるので、この機関でも最後はだれがやるかによって違ってくるとは思うが。

いずれにしても、単に認証だけとりましたという機関ではないはずなので、今後のどのように発展するかを勉強していきたいと関心を持っている。

2009年04月17日

仲裁人協会の研修部会

社団法人仲裁人協会(JAA)・研修部会の幹事を引き受けることになった。

調停トレーニングの企画などとともに、調停トレーニングプログラムの改善についても活動できればなと考えている。

2009年04月18日

政府インターネットテレビに東京司法書士会・すてっきが登場

(政府インターネットテレビ)2009/03/17 ADR裁判外紛争解決手続でトラブル解決!〜MY JAPAN

東京司法書士会が登場。

安藤センター長が、労働関係での慰謝料請求問題を解決した事例を紹介していた。
いじめられていた契約社員は慰謝料はもらえるけれど、次年度は契約を更新しない約束をして解決したと言っていた。切れてしまうけれど、その契約社員にとって名誉回復というか、区切りをつけられたところが、その方の満足につながったということだろう。
とはいえ、労働関係は難しい。

経由:芝さんのサイト

2009年04月19日

ジュリスト増刊:労働審判

菅野和夫編 日本弁護士会連合会編(2008)『労働審判-事例と運用実務 (ジュリスト増刊)』(有斐閣)

労働審判制度の実態を紹介している特集。非常に良い本だと思う。
菅野先生による概説、菅野先生が司会を務め、労働者側、使用者側の弁護士が労働審判実務について語る座談会、34の個別事例、労働者側と使用者側それぞれの立場による労働審判制度の活用マニュアル、様々な個別労働紛争解決制度についての資料集などがついている。

民事調停に比べても徹底的に裁断的な手続になっているようだ。
裁判官である労働審判官が主導し、民間人である労働審判員が一言も発しない場合さえあったという。(P162)

労働審判制度そのものに対して、総じて高評価が得られているようだが、「充分に検討がなされていないにもかかわらず、土曜出勤を命じる審判が出され」「それまで労働審判手続に好意的な考えを持っていた筆者の考えを一変させる」事例についても報告される(P130)など、バランスがよい書籍になっているとおもう。

すくなくとも今までのところ、解雇については使用者側に厳格だが、配転その他の人事権行使については使用者側の裁量が広く認められているという日本の労働裁判の伝統そのものには、労働審判のスキームではさほどインパクトを与えるということには、つながっていないようだ。

2009年04月20日

個別学習システムを大学に入れる

2009-04-08 - KogoLab Research & Review 向後千春「インストラクショナル・デザイン 学士課程教育構築の方法論になるか」『教育学術新聞』2009年4月1日号

このPSIという個別学習のシステムは、要するに公文式みたいなものなのかな。

教育問題の議論は、すぐに、試験方法についての議論になりやすい。
そして、試験の難しさが、質を担保するという発想から逃れられない場合が多いようにおもう。

しかし、本質的には、学習者にとっての学習過程が重要で、それを支えるシステムとしての教育の方法が重要だと思う。
大学だけではなく、専門家の継続研修にも合っている方法だろうし、もっと言えば、様々な手続を案内するための道具にも使えるかもしれない。

2009年04月21日

メディエーション・ラボ開始

少し前から準備していた、新しいWebサイトを公開します。

http://www.mediation-labo.jp/

このサイトを作るに当たって考えていたことは、以下の通り。

1.メディエーショントレーニングの品質向上

言い訳せずに品質向上に取り組む。
自分のトレーニングを向上するとともに、一緒にトレーニングをする仲間の品質も高められる機会をつくる。

2.複数トレーナーで行うトレーニング機会の確保

様々な組合せでトレーニングを実施していきたい。そして、そのプロセスで、様々な知見や経験を取り込んでいき、よりよいプログラムにつなげる。

3.メディエーショントレーニングの提供範囲を企業その他に拡げる

これまで口コミ中心、士業団体中心に広がってきたトレーニングの提供範囲を見直し、企業向けに拡げる。

当然ながら、研究者として実務研究は引き続き続けます。
また、メディエーション活動家として、これはと思う相手の支援も続けます。

といっているわたしのほうが、サーバイブできるかな?

2009年04月22日

FPICの調停手続

http://www1.odn.ne.jp/fpic/chotei_tetuduki_annai.htm
FPICは原則同席で手続を行うようだ。
申立てはそれぞれから3千円。期日手数料はそれぞれ1万円。文書作成費用は、不成立の場合と、写しの請求の場合にそれぞれ5千円。

相手方からも申立費用を要求するのはめずらしい。

家事の同席調停というのは、石山勝巳先生以来の伝統を生かすのだろうか。

過去のエントリー:久しぶりのADR法認証機関:FPIC

2009年04月23日

熊本大学・吉田勇先生のADRについての論文

吉田勇(2008)「日本社会におけるADRの可能性 : 「納得のいく解決」を求めて」熊本法学、113号、pp.199-252

大学紀要はPDF化されて一般公開される場合が増えているが、「熊大法学」もそのようだ。

吉田勇先生のADRについて、55頁の大部な論文。特に近年の国内での対話促進型調停、ないし、交渉促進型調停の研究や議論についてかなり詳細に紹介しておられる。

法的解決と非法的解決が未分化な「主観的未分化モデル」→意識的に法的解決と非法的解決を専門分化させそれぞれ別個に充たすことを求める「専門分化モデル」→ひとたび専門分化された法的解決と非法的解決が反省的に統合される「反省的統合モデル」
という三段階の発展を仮説として提唱している。(P226)
このモデル論について、もう少しお聞きしたい感じがした。

対話促進型調停が民間で拡がるとともに、裁判所における調停の運営がより対話促進的なものにすることが望まれているとも述べている。(P229)

わたし自身は、大正期の話や、『調停読本』の分析などは、もう少し角度の違うところからも議論したい気がしているが、全体としてはとても共感するところが多い論文だった。

ところで、吉田先生は、六本先生と一緒に『末弘厳太郎と日本の法社会学』という本を出しておられる。

六本佳平、吉田勇(2007)『末弘厳太郎と日本の法社会学』(東京大学出版会)

この本には、非常に闊達な末弘厳太郎の講義録が収録されている。

2009年04月24日

人やまちが元気になるファシリテーター入門講座

ちょんせいこ(2007)『人やまちが元気になるファシリテーター入門講座―17日で学ぶスキルとマインド』(解放出版社)

ファシリテーションスキル全般を紹介したもの。
特に、前提になる準備の仕方について詳しく書いてある。

ふかふかの固定された椅子があるホールのような会場が準備されていて、仕方がないので全員舞台に上ってもらって始めようと思ったら、その時点で何人も退席してしまった・・といった失敗談も書かれていて、とても興味深い。
もちろんアクティビティとしても使えそうなネタも豊富に紹介されている。

人権意識と反省的実践が核にあって、そのうえで、非常に具体的で親切なマニュアルになっている。
わたしも、いくつか使わせていただこうと思っている。

著者のサイト:Seiko's Diary

経由:クリッピングとメモ

2009年04月25日

技術士会の会報

(社)日本技術士会北海道支部 コンサルタンツ北海道 116号
テクニカルスクール合意形成の技法 (PDF)

2008年7月14日の活動記録。(PI-Forumとして実施したもの)

2009年04月26日

東京家裁でのロールプレイ研修

小林隆、林詩子、及川由佳(2008)「東京家庭裁判所における調停委員のためのロールプレイの実際」『ケース研究』297号、pp.101-114。

・平木典子先生の助言も得て行った。
・1回のロールプレイは10分。
・ふりかえりでの発言
 「調停委員2人を前にすると圧迫感を感じる」
 「まるで被告席に座らされているような・・」
・著者3人は、家裁調査官。

ロールプレイ事案の資料が添付されていたのだが、概要しか書かれていなかった。
秘密事項の設定なしにやったのかもしれない。

それにしても、いよいよ、家裁でも、本格的に取り組み始めたということだろうか。

2009年04月27日

パン屋のあるじ説

高野耕一(2008)「人訴移管後の家事調停」ケース研究296号、pp.3-53

「調停合意説」の根底にあるものは、「パン屋のあるじ」がパンを買いに来た「客」に対して、パンは自分で作るものだよと説諭するに等しいのではないだろうか。P42

対話型調停批判の論客で元裁判官の高野耕一氏によるもの。
この論文を書かれたのは84歳だという。

裁判所が持つ権威性に無自覚な調停委員では困るとおっしゃっている。公正な解決を目指さなければならないというのが、一番の眼目のようだ。

調停の場に話し合いなど求めておらず、「相手をこらしめたい」というニーズを持っていたり、「専門家による正当な評価を得たい」というニーズを持っていたりする当事者がいるのは当然のことだ。そこをどう考えるか。

この論文に、いろいろ言いたいことはあるが、それは、論文で書くべきだろうということで。

2009年04月28日

調停技法の小学校導入に向けたトライアルプロジェクト

http://quris.law.kyushu-u.ac.jp/~cms/pandp/index.html

九州大学・レビン小林久子先生らによる小学校向けプロジェクト。

どんな活動をされるのか、関心がある。
米国では、ピア・メディエーション・トレーニングはかなり広範に拡がったようだ。
昨年12月に来たJennifer Beerさんも、大学のクラスを教えていて、何人か(何十人か)に1人はいるとおっしゃっていた。

子どもに伝えられるメッセージがあるならば、大人の社会でも拡がる可能性があるだろう。

2009年04月29日

千葉の医療NPO

医療事故の和解へ相談所設立 千葉で開始、電話相次ぐ - 47NEWS(よんななニュース)

医療事故の和解へ相談所設立 千葉で開始、電話相次ぐ

 裁判ではなく、話し合いによる和解を目指す裁判外紛争解決(ADR)機関の「医療紛争相談センター」が6日、千葉市中央区で業務を始め、スタッフが電話での相談受け付けに追われた。弁護士や医師らでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)が設立した。

 千葉県内を中心とした首都圏から電話が鳴り続け、相談者は「手術後に家族が亡くなったのに、医師から何の説明もない」などと訴えていた。

 センターによると、2007年度に千葉県に寄せられた医療相談は約3000件で、うち医療事故に関するものは約240件。裁判に持ち込まれたのは25件という。

 同センターの岡田知也弁護士は「裁判所に行かず和解をしたい人は多いのに、医療紛争では専門的な受け皿がない。裁判を起こすほどお金がない人にも和解の機会を提供できる役割は大きい」と話した。

ちょっと前のニュースですが。

2009年04月30日

熊本市・PIマニュアルと事例集

PIマニュアル 市民協働のひろば / 熊本市ホームページ

ワークショップなどの場面で誠実なファシリテーションができるかということも大事だけれど、プロジェクト全体を通して、開かれた手続にしていくつもりがあるかどうかというのがもっと大事なはずで。

Q&A(PDF)あたりを見ると、自治体内での抵抗の強さが表れているようで興味深い。

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