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ジュリスト増刊:労働審判

菅野和夫編 日本弁護士会連合会編(2008)『労働審判-事例と運用実務 (ジュリスト増刊)』(有斐閣)

労働審判制度の実態を紹介している特集。非常に良い本だと思う。
菅野先生による概説、菅野先生が司会を務め、労働者側、使用者側の弁護士が労働審判実務について語る座談会、34の個別事例、労働者側と使用者側それぞれの立場による労働審判制度の活用マニュアル、様々な個別労働紛争解決制度についての資料集などがついている。

民事調停に比べても徹底的に裁断的な手続になっているようだ。
裁判官である労働審判官が主導し、民間人である労働審判員が一言も発しない場合さえあったという。(P162)

労働審判制度そのものに対して、総じて高評価が得られているようだが、「充分に検討がなされていないにもかかわらず、土曜出勤を命じる審判が出され」「それまで労働審判手続に好意的な考えを持っていた筆者の考えを一変させる」事例についても報告される(P130)など、バランスがよい書籍になっているとおもう。

すくなくとも今までのところ、解雇については使用者側に厳格だが、配転その他の人事権行使については使用者側の裁量が広く認められているという日本の労働裁判の伝統そのものには、労働審判のスキームではさほどインパクトを与えるということには、つながっていないようだ。

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2009年04月19日 10:31に投稿されたエントリーのページです。

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