夜間調停
昭和30年ごろに家裁で夜間調停をやっていたということを知った。
宇田川 潤四郎(1955.07)「家庭裁判所の夜間調停」ジュリスト(89号)
その後どうなったのか・・
家裁ではよくわからないが、夜間調停そのものは今も一部あるようだ。
東京簡易裁判所や、大阪高裁では、夜間調停を実施しているらしい。
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昭和30年ごろに家裁で夜間調停をやっていたということを知った。
宇田川 潤四郎(1955.07)「家庭裁判所の夜間調停」ジュリスト(89号)
その後どうなったのか・・
家裁ではよくわからないが、夜間調停そのものは今も一部あるようだ。
東京簡易裁判所や、大阪高裁では、夜間調停を実施しているらしい。
これは、動物園に行ったことがない人に、動物園というものを紹介するようなものだというたとえ話を思いついた。
現実問題として、動物園に連れて行かずに動物園を紹介しようとすれば、「さるがいて、ぞうがいて、きりんがいて・・」という話をするのか、あるいはリスを一匹連れてきて、こんなのがいますと言えばいいのか。
動物園そのものが、様々な制約がある中での自然界をモデル化しようという一つのアプローチだとすれば、常にそのモデル化の思想や方法が問われることになる。
したがって、その問いそのものは、正当なものであるけれども、モデルそのものも一つの現実であるとするならば、それを理解するにはそれなりの手続が必要であるはずだ。
つまり、動物園を理解したければ動物園に行かずに動物園に行った人の話を聞くよりも、動物園に行ってみてそれが何なのかを考えればよいのではないか。そのうえで、動物園ではなく、サファリパークを建築すべきと考えるか、ペットとしての動物とのつきあいだけにとどめるのがかえってよいと考えるか、家畜以外の動物に価値をみいださないのか、それぞれの立場で議論すればよいのではないかとおもう。
とはいえ、「よい動物園」を建設することに問題意識を持っているなら、「動物園とは何か」の説明を求められる場面があるはずで、「動物園に行ってください」以外の説明を誠実に尽くす義務があるだろう。
そこが難しい。
2008年10月24日、25日国際シンポジウムが予定されている。
わたしは愛媛に行っているので出席できない。残念。
規制改革会議 - 会議情報 - 第10回法務・資格TF (2008年8月20日)
規制改革会議でのADR法についての議論。
特に、ADR法上の弁護士との連携についての話題が出ている。
議事録を読むと、はげしい言葉が使われているけれど・・。
Articles on Japanese ADR which is available on the web.
"Alternative Dispute Resolution in Japan" by Rieko Nishikawa, 2000 (PDF)
German Law Journal - Comparative Dispute Management: Court-connected Mediation in Japan and Germany
東京地方裁判所委員会 2004年(平成16年)3月2日(火)(PDF) 委員発言
簡裁の混み方に驚愕した。国民のニーズから考えれば,裁判所が広報すればするほど,事件数は増え,かつ迅速性も求められるというジレンマに陥ることと思われる。簡裁に来る事件は,本当は裁判所よりADRなどによった方がいい事案もあると思うので,裁判所がADRの宣伝や紹介をし,また,裁判所が相談窓口で事案の振り分けをするようなことがうまくできないだろうかというようなことを考えている。
アメリカでは、「トライアルが消える」という議論もあるが、日本ではどうなるのだろう。
全銀協ニュース|全国銀行協会|苦情・紛争解決支援への取組み強化について(2008年9月24日)
全銀協ニュース|全国銀行協会|全銀協「あっせん委員会」の運用開始および「認定投資者保護団体」の認定取得について(2008年10月1日)
全銀協の「銀行とりひき相談所」では、これまで、あっせん以上は弁護士会紛争解決センターで処理することにしていたのを、自前で実施するように変更したということのようだ。
過去のエントリー:ADR機関のADR実施の少なさ
市民と法第53号 2008年10月01日◆特集 ADR法施行後の現状◆
Ⅰ 司法書士ADR・民間ADRの現状と課題
司法書士 正影 秀明
Ⅱ 神奈川県司法書士会調停センターの創設と将来的な課題
神奈川県司法書士会調停センター長 加藤 俊明
Ⅲ メディエーション実務と可能性
司法書士 芝 知美
Ⅳ 愛媛和解支援センターの歩み
愛媛和解支援センター代表・司法書士 松下 純一
Ⅴ 医療ADRの実践を通して
中京大学法科大学院教授 稲葉 一人
Ⅵ ADRにおける事実認定と対話
法政大学法科大学院教授・弁護士 中村 芳彦
読まねば。
調停やADRをなぜ研究しているか、また研修やなんかで話をしているのはどういうつもりか、と質問されることがある。
その質問にもいろいろな意図があるようなのだけれど、「確かに考え方はおもしろいところがあるかもしれないが、ビジネスとしてあるいは社会制度として定着する可能性について、本当にあなた自身が確信しているのか」というようなものがあるように思える。
その質問者の真意には、やってみたいけれど、もう少し背中を押して欲しいという気持ち(積極派)と、やる気はないけど本当においしいならもう少し考えてみてもよいよという気持ち(消極派)があるように思う。
これに対するわたしの答えは、「自分個人としてもおもしろいし、社会にとっても有用な考え方だと確信している。しかし、それがどのように定着するか、しないかについては完全な見通しを持っているわけではない。むしろ、手探りでいろいろやっている。すでにいろいろ誠実にやっておられる方、あるいはこれから取り組んでみたい人と連携しながら、少しずつできることを丁寧にやっていきたいと思っているし、現にそうやってある程度活動している。そのような状況であるから、無責任にだれかの背中を押すことはできないし、ましてや、やる気がない人を説得してやらせようというつもりもない。ご自身の取り組みを行うか、行わないかは、ご自身で考えていただきたい。そのうえで、何かやろうということになり、ご一緒できることがあれば、ぜひ声をかけていただきたい」というものだ。
まあ、こんなにすらすらと答えられないで、困った顔をしてつまってしまうこともある。
それはそれで、一つの何か真実を反映しているということなのだろう。
もちろん、すらすらと、正確に答えたとしても、「そんなことを聞きたくて質問したんじゃない」という顔をされてしまう。
質問者も残念そうな顔をしているのはわかるが、わたしも残念なのだ。
心地のよいインチキを言うわけにはいかないし、なによりこちらとしては同志を探しているので。
松本哉(2008)『貧乏人の逆襲!―タダで生きる方法』(筑摩書房)
高円寺、”素人の乱”の松本哉さんの本。
いろいろ暴れているが、留置所に入ったのは、法政大学在学中にオリックスの宮内会長が来たときに、壇上でペンキをまいて暴れたときだけらしい。このときは結局、有罪・執行猶予付きだったらしい。
この本を読んでデモに参加したいとは思わなかったが、高円寺には行ってみたいと思った。
対談相手はいつもの雨宮処凛ではなくて、鶴見俊輔とか高橋源一郎とかならもっとよかったんじゃないか。
過去のエントリー:雨宮処凛『生きさせろ!』
調停には、現地調停と呼ばれる活動があって、土地や建物の紛争などでは現地を当事者全員で見るというものがある。それを見たことはないが現在でも現実にもあると聞いている。
大正期の文献を見ていると、関東大震災後に行われた調停では、多くは”天幕張”の下で行われたという記述が出てくる。
別に現地調停に限らず、案外、屋外で調停をしてもよいのかもしれない。
アイデアキャンプ:セルフビルドと自由さと
を見ていると。
5分間のプレゼンを11個続けて55分開催するという手法。
講演と質疑という退屈な方法に変える方法にはいくつかのアプローチがある。
KJ法っぽいやり方も一つだが、ライトニング・トークはもう少し一つの考えをしっかり聞ける方法だとおもう。
IT分野でよく使われているが、他分野でも利用できるはず。
手書きのレジュメ一枚作っても良いし、ポスター発表の方式でも良い。
パワポを使ってもよいし、高橋メソッドでもよい。
この↓サイトが詳しい。
麦わら帽子の「記」 - * ネタを溜めて、まとめる
過去のエントリー:KJ法
早いもので今年で3年目です。
全7日間(42時間)のトレーニングのうち、3日間の基礎編が終了(10月11日、12日、13日)。
これまでの修了者から実践者が現れているし、その実践の教訓が研修にも反映できていて、良い流れができていると思っています。
今回は新潟の司法書士さんが作ったオリジナル案件で調停ロールプレイをしてもらった結果、「わたしも似たような相談を受けた経験があって、ついそのモードになってしまいました」などというコメントがあり、よかったかなと。新潟のIさん、Oさんありがとうございました。
楽しく実施させていただきました。
“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~
横浜の会社。
たぶん、知り合いの知り合いだろう・・よろしくお願いいたします。
ノーベル賞:平和賞にアハティサーリ氏 最高の和平仲介者 アチェ州、感謝の声 - 毎日jp(毎日新聞)
Martti Ahtisaari - Wikipedia, the free encyclopedia
Nobel Peace Prize goes to International Mediator(ADR Prof Blog)
フィンランド元大統領のノーベル平和賞受賞。
ノンプロフィットの組織を作って活動しておられたようだ。
ノーベル賞をきっかけに、自分たちの活動に資金が集まることを期待しているといった率直な発言をされている。
滝浦真人(2005)『日本の敬語論 - ポライトネス理論からの再検討』(大修館書店)
敬語を、「尊敬感情の発露」ではなく「関係認識の表現」という機能的見方で説明する立場の学者の系譜を紹介し、その上で、敬語は対象人物との間の「距離調節」の道具(のひとつ)であるというポライトネス理論の立場からの説明を加えている本。
敬語は、距離をとるための道具(ネガティブ・ポライトネスのストラテジーの一つ)であり、「ため語」は距離を詰めるための道具(ポジティブ・ポライトネスのストラテジーの一つ)である。
距離を詰めるためのストラテジーには、冗談を言うことや、一致を求めることもあり、「タメ語」はこれらと並列化される。
ファシリテーターの基本的な役割は、「言語」によってその「距離」を調節することであるとすれば、言語的(語用論的)アプローチによって、それを体系的に説明できる可能性があるのではないか、などと、考えながら読んでいた。
スキルのあるファシリテーターは、話し合いの開始時点では、当事者間の距離を置き、安全性を確認しながら、徐々に距離を詰めるだろう。また、話し合いに危険が及び始めてきたときには適切に距離を離すための介入を行うだろう。こうした活動は、スキルのある人たちにとっては、ごく日常的にできているだろうとおもう。
ファシリテーターやメディエーターの活動は、しばしば、芸術的なもので、科学的であると考えられないが、分析の道具立てとしておもしろいように思えた。
記述はストレートであるし、具体的な表現例も豊富なので読みやすいはずなのだが、それほど簡単な本ではない。
しかし、とても大切なことを扱っているように思える。
100万件以上の相談がある。
1%がメディエーションに向くとしても1万件の潜在案件があるということだ。
例えば、近隣間でいがみ合っているとか、DV関係でも一部は、話し合いが可能なものもあるだろう。
それから、警察を含めた行政型相談機関のネットワークが形成されているようだ。(下記リンク参照)
警察庁:関係機関・団体とのネットワークの構築状況(pdf)>
山梨県:県民相談相互支援ネットワーク
現場でやっていらっしゃる方は、どの組織でも管轄外になるような、扱いに困る案件もたくさん持っているに違いない。
案件が集まらないADR機関が、その一部でも解決できれば、互いによいのではないかと思う。
メディエーションにおける傾聴スキルと、カウンセリングの傾聴スキルは概ね重なっているが、重要なところで異なっている。
一番大きな違いは、メディエーションは原則として3人で話し合うのに対して、カウンセリングは2人で話すところだろう。グループプロセスを勉強した方がよいというのはそのためである。
メディエーターが当事者の感情を理解して確認するという作業ができるというだけでなく、両当事者間で、相互の感情理解が進むように援助する仕事が必要になる。
ところで、「お気持ちがわかります」という表現は、共感(Empathy)を表すものとは認めがたい。「お気持ちがわかります」という表現の前提には、「わたしの認識枠組みで、あなた(の感情)を理解できている」という達成的な意味が含まれているが、共感(Empathy)とは、「あなたの認識枠組みを理解したいし、その上で、あなたの感情も理解したい」という希望を持った態度を意味している。
あなたを理解していますというセリフはプロポーズにならないが、あなたを理解したいという言葉は愛の始まりになるかもしれない。
この、「かもしれない」というところが、ミソである。
以下のブログ記事への応答として。
カウンセリングマニュアル - 犯罪被害者の法哲学
「ADRの魅力を考える~当事者が満足するもめごと解決とは~」
http://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/event/20070303/data/20070303_shorthand.pdf
一年半前の、このイベントは残念ながら出席できなかったが、シンポジウムの内容がスクリプトで公開されている。
調停のスタイルを紹介する寸劇の様子も分かる。
とある研究会で、共同調停をやってみたが、好きになれないという方が多かった。
例えば、当事者が考える時間をとっているつもりなのに、相調停人が沈黙に耐えられずに口を挟んでしまうとか、思い通りに進められなかったからだという。
わたしは、共同調停モデルが良いと思っている。もちろん、どちらにも長所短所はあるが。
共同調停モデルが良い点としては、「反省する機会が豊富になる(目が増える)」、「経験を積める」ことにあるとおもう。
共同調停モデルがうまくいかないのは、調停プロセスについて、理念と手続の両面で合意できていない点が多いからではないかという気がする。
共同調停モデルでうまくいかない点を具体的に次に生かせればよいとおもうのだが、自分たち同士の話し合いではそこまで踏み込んで話ができないということかもしれない。
当事者には踏み込んだ話を求めて、調停人同士は踏み込んだ話ができないということがあるのなら、言っていることとやっていることが違うという話になるかもしれない。
不協和音そのものを対話のリソースにするというのが理想だとは思う。
理想通りにやることが難しいということと、理想が明確になっていないということは違うので、まずは何が理想かを考えて、話をすることかなと思う。
<「ユースアドバイザーの研修・養成プログラムの開発」に係る検討会>
(職名は平成20年3月1日時点,委員は五十音順)
座長:宮本みち子 放送大学教養学部教授
委員:
工藤 啓 特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長
小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構人材育成部門統括研究員
齊藤万比古 国立精神・神経センター国府台病院リハビリテーション部長
津富 宏 静岡県立大学国際関係学部准教授
ユースアドバイザーとは、ニートやひきこもりなどの若者を支援する活動を行う人のことらしい。
それにしてもかなり充実した資料になっている。
たとえば、インテーク方法や動機付け面接などのように、具体的な場面での手順が紹介されている。
面接者は自己の役割に謙虚でなければならない
面接者が偏見にとらわれるのと同じくらい問題となるのは,クライアントに対して過度に同情的で,あたかも万能的な救済者であるかのようにふるまう自己愛的な姿勢である。そのような「熱血」は面接者自身の自己満足であり,クライアントにとって真に役立つものでないということが,早晩,クライアントの知るところとなって,期待の分だけ大きな失望と不信感を与えて傷つけることを面接者は肝に銘じておかねばならない。救済者幻想なき情熱こそユースアドバイザーの必要条件である。
第2部|第4章|第2節 インテークと状況把握
井上治典他(1999)『現代調停の技法―司法の未来』(判例タイムズ社)
よくこれだけの人が集まったという感じがする本。
アマゾンの中古でバカ高くなっている。
読み返してみて、いくつかの事例の進行を丁寧に紹介している部分に興味が引かれた。
この本が出てから来年で10年目になる。
その間、日本のADRは進歩したのだろうか?
今回は25日について、午前の基調講演と、午後の事例報告の司会者(コーディネーター)を務めた。
2日目(26日)の進行もまかされた。
運営側だったので、公平に評価することはできない。
少なくとも主観的にはとてもおもしろい内容だったし、盛況だった。
もともと内々のイベントにするはずが、140人以上の参加者があり、翌日の愛媛新聞にも写真付きで大きく取りあげてもらった。
個人的には25日の午後の事例報告の内容が興味深かった。調停当事者の方もフロアから発言して下さった。
また、全国各地から気合いの入った人が集まっていた。26日は相互交流の機会づくりを心がけて話し合いの場を設定したつもりだ。様子を見に来た人たちは面食らったに違いない。
基調講演の内容に興味を持って下さった方もいたのでホッとした。
家族も連れて行って、愛媛の皆さんとの一体感が深まったのが、自分としては何より良かった。
*
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20081026/news20081026333.html
民間調停の周知図る 和解支援センター報告会裁判でなく第三者が当事者の話し合いを促して民事紛争を解決する民間調停(ADR)の周知に向けた「愛媛和解支援センター開設5周年報告会」(同センター主催)が25日、松山市湊町7丁目の市総合コミュニティセンターであり、県内外から約140人が参加してADRへの理解を深めた。
県内のADR経験者ら5人が工事請負代金請求や土地境界のトラブル、男女交際のもつれによる慰謝料などの調停事例を紹介。住宅リフォーム工事の下請け業者が、期日を過ぎても元請け業者から工事代金が支払われないため工事を中止して同センターに調停を申し入れた事例で、調停者は「マンションでの仮住まいを強いられた施主や早く代金を回収したい下請け業者の気持ちをくみ、迅速な調停を目指した結果、最初の調停から15日間、3回の調停で和解できた」と成果を語った。
2005-12-26 - 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」:「弁護士会から家裁調停委員に推薦されたのに家裁から拒否された話」
弁護士にとって家裁調停委員になり、実際の調停を実施するのが非常に名誉という前提でこの記事が書かれているが、それはどの程度妥当することなのだろうか。
報酬が充分でもないのであまりやりたがらないという話も一方で聞くが。
調停トレーニングでよく使用する。愛媛で忘れてきてしまった。送って下さることになったが、この際予備を買うことにした。
時間になったとき、”チーン”という音が鳴ると、たいていは話をやめて下さる。
このような音で仕切るというのも失礼な話なのだけど、声をかけたりするより、実際効果がある気がする。
飛行機に持ち込むときには、カバンから出してX線を通すべきである。
そうしないと、カバンのなかにいかにも怪しそうに映ってしまう。
アマゾンでも売っている。
過去のエントリー:トレーニングに持っていくと便利なもの
参加させていただいた。
テーマは、「トラブルを克服する社会づくりを目指して ~対話促進に法律的整理を加えた岡山モデルの提案~」。