メディエーションにおける傾聴スキルと、カウンセリングの傾聴スキルは概ね重なっているが、重要なところで異なっている。
一番大きな違いは、メディエーションは原則として3人で話し合うのに対して、カウンセリングは2人で話すところだろう。グループプロセスを勉強した方がよいというのはそのためである。
メディエーターが当事者の感情を理解して確認するという作業ができるというだけでなく、両当事者間で、相互の感情理解が進むように援助する仕事が必要になる。
ところで、「お気持ちがわかります」という表現は、共感(Empathy)を表すものとは認めがたい。「お気持ちがわかります」という表現の前提には、「わたしの認識枠組みで、あなた(の感情)を理解できている」という達成的な意味が含まれているが、共感(Empathy)とは、「あなたの認識枠組みを理解したいし、その上で、あなたの感情も理解したい」という希望を持った態度を意味している。
あなたを理解していますというセリフはプロポーズにならないが、あなたを理解したいという言葉は愛の始まりになるかもしれない。
この、「かもしれない」というところが、ミソである。
以下のブログ記事への応答として。
カウンセリングマニュアル - 犯罪被害者の法哲学