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ADRは遅さが売り

昨日に続き、静岡県司法書士会の話。

静岡県司法書士会の”ふらっと”のマスコットキャラクター、Win-Winくんのぬいぐるみをいただいた。

もうすぐ6歳の次男大喜び。ということは、さておき。
このキャラクターはかたつむりが元になっているが、かたつむりという「遅さ」が売りになっているものをマスコットにしたというのはもしかしたら画期的かもしれない。

ADRの長所として、「早い、安い、うまい(満足度が高い)」などと言われることが多いが、実態はあまりさだかではない。
日本の場合、裁判所の調停が「安い」ので、士業団体のADRはどうしても「高く」見える。
期日を詰めて入れられるから早いという意味では、ある程度件数のある弁護士会ADRなどではそのとおりだ。
しかし、業界団体のADR手続なんかでは、開店休業が続いていることが少なくないから、申し立てて本当に「早く」期日を入れてもらえるかというと、それもかなり疑問だ。
むしろ団体から示談金の提示が「早く」出てきたりして・・それはそれで「早い」解決かもしれないが。

「早さ」と言ったときに、何日、あるいは何ヶ月で解決できるかという「早さ」の問題の他に、調停期日そのものを何時間位かけるかという意味の「早さ」の問題がある。

根本的な話として、紛争を抱えている当事者が、機械的な処理で「早く」答えを出して欲しいと思っているかどうかを考えなければならない。
二度と会いたくもない相手とであれば、客観的事実だけを提出して、自動的に答えが出てくる仕組みになればよい。保険会社がなにもかもやってくれる交通事故の示談あっせんはこれに近い。

しかし、いろいろ言いたいことがある、ごく普通の紛争では、むしろしっかり話し合いたいと思うのが普通だろう。相手の言い分など聞きたくないかもしれないが、自分の言い分は思う存分話したい、あるいは、相手を問い詰めたいとおもうのは自然な感情だろう。

うちは3分診療です、と、宣伝する医者がいないのと同様に、うちは流れ作業で紛争を処理しますと言って、お客さんが納得するとはあまり思えない。

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2009年02月12日 10:40に投稿されたエントリーのページです。

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