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2008年08月 アーカイブ

2008年08月01日

なかなか前進できないが

研修屋のおっちゃん化していたが、やっと少し次の展開が見えてきた。

トレーニングと手続設計と実務(事例)の三者を一体的に研究したいと思っている。
臨床心理で言うサイエンティストプラクティショナーモデル的な役割が必要ではないかと考えている。
(そこでも、トレーニング自身はとても重要である。しかし、それだけで止まっていてはいけない。)

ここに来て、ようやくトレーニング以外の研究ができる目処が少しずつでてきている。
チャンスをうまく生かして、なんとか意味のある研究にまとめたい。

2008年08月02日

ADR研究の古典

ADRの文献は総じて英語のものの方が面白いが、日本語で書かれた古い文献も案外面白い。

1970年代のものでは、佐々木吉男(1974)『増補 民事調停の研究』(法律文化社)小山昇(1977)『民事調停法』(有斐閣)の二冊は非常に面白い。というか、面白いという言葉が畏れ多いほど、先生という存在が偉かったという威厳を感じさせるものだ。
佐々木先生のものは、批判的な実証研究であり、小山先生のものは教科書的である。

小山昇教授の論文集(小山昇(1991)『小山昇著作集第七巻 民事調停・和解の研究』(信山社))では、古代アテネのdiaitaと呼ばれる調停類似の制度や、フランスの調停法の歴史なども書かれている。

 ひとくちでいえば、戦前の調停制度の機能は上意下達の現象において見られたといってよいであろう。戦後、民主主義という言葉が氾濫した。民主的な教育が民主的に行われ、民主的に収集された情報が民主的に提供された。民主的であることは紛争処理における上意下達とは相容れない。いきおい、調停者は自分の人格と識見によって調停をせざるを得なくなった。しかしながら、染み着いた伝統的な倫理観(たとえば家族的構成社会の社会倫理)は一朝一夕には変らない。変えなければいけないと自信喪失した者が調停をすれば、いわゆる「マアマア調停」となる。変えることができない者が調停をすれば、上意に変わり自意を下達しようとする「説教調停」となる。調停の機能は、調停者の多様化に伴って、種々雑多なものになっていったということができよう。 P39

人は非を悟ったとき譲るものであるから、調停委員は当事者自身が自分の言ったことのなかに是と非を弁別するよう仕向けることが大切である。これが調停委員の活動のうちのもっとも重要なポイントで、かかる能力を有する調停委員が得られるかどうかによって、調停制度の発展または衰微が決まるといっても過言ではない。調停委員は、自分の価値観、自分の処世訓、自分の倫理、自分の人生観、自分の社会観などを当事者に押しつけてはならないし、そもそもそういうものを披瀝することすら余計なことである。 P57

2008年08月03日

星槎大学教授 碓氷 尊 氏

星槎大学教授 碓氷 尊 氏

http://homepage2.nifty.com/mikus/lectures.htm
実践的交渉学入門
交渉とメディエーション実践講座
コンフリクト・マネジメント論

http://homepage2.nifty.com/mikus/sub2aConflictmanagemt.pdf

2008年08月04日

不可知論

日本で、同席調停に初めて取り組んだのは、当時家裁調査官であった石山勝巳教授だったと思われる。
石山勝巳(1994)『対話による家庭紛争の克服 -家裁でのケースワークの実践-』(近代文藝社)
には、1960年代の終わり頃から70年代前半に、雑誌『ケース研究』などを通じて論争を起こしたことを紹介している。

石山教授は、60年代終わりくらいから調査官の多くが「精神分析・カウンセリング等の」心理的援助技術に関心を向けだしたが、自分は「異なる方向を志向した」と書いている(P21)。

この本に、小山昇教授とのやり取りが出てくる。

ある日私が小山教授に「家事調停では何故当事者の話し合いと合意が必要なんですか」と質問した。私はその時、ケースワークの個人の尊厳、自己決定の原則が出てくるのではと予想していたが、教授は即座に「それは不可知論だ。相手のことをわかっていると思うと話し合わない。わかっていないと思うから話し合うのだ」と言われた。全く、眼を開かれる思いであった。 P55

多くの立場の人々がそれぞれの角度から不可知論的謙虚さでもって事件にアプローチすることによってはじめて、「民主的」と言えるのだ、小山教授が言っている。

2008年08月05日

NPOのファンドレイジング支援

特定非営利活動法人チャリティ・プラットフォーム

村上世彰氏が理事。(代表ではない)
設立したばかりのようだが、昨年の寄付金が5億円・・
山内直人教授やら、元マイクロソフトの成毛眞氏らが評議。

United Wayみたいに、寄付金を集め、配分する資金面でのハブみたいなのを目指しているのかな。

2008年08月06日

石山勝巳の合同面接

前々回に引き続き。

石山勝巳(1994)『対話による家庭紛争の克服 -家裁でのケースワークの実践-』(近代文藝社)

石山先生のこの本もとても面白い。

1957年に調査官研修所が創設され、一期生として参加したという話が冒頭に出てくる。
なんでも、一期生というのは、手探りでいろいろ自分で考えざるを得ないので、こういう真のフロンティアが出てくるのかなとおもう。

ダウンタウンが吉本のお笑い学校の一期生であることに似ている(似てないか)。

同席に持っていく前に、申立人にだけ30分先に来てもらい、同席での話し合いに先立ってオリエンテーションを行い、少し事件についても聞くという流れを採用している。
同席が始まると、申立人からだけ話を少し聞いたという点を相手方にわびて(説明して)から話し合いを始める。
そして、同席での話し合いが終わると、今度は申立人を先に帰し、相手方と30分くらい話をするという構成を基本にしているそうだ。帰る時間をずらすことで、不測の事態に備える意味もこめている。(P240)
このやり方でなければならないとか、常に絶対に良いというつもりは決してないが、かなり考え抜かれた構成だと思う。

また、対席の向きについても、当事者同士が最初から正対するように促し、調査官に話しかけようとしたらなるべく相手におっしゃってくださいと促すのだという方針も書かれていた。
これも、最初から正対させるのが良いとは限らないと思うのだが、ひとつのやり方であることは確かだし、なによりこういうことの大切さをきちんと意識して記述しているということ自身が重要だと思う。

共感したのは、前にも書いたけれど、心理療法的アプローチとむしろ反対であるという点を強調しているところだ。心理療法的アプローチでは、当事者の中に欠陥を見つけようとしてしまう。
石山先生は、「行動療法的」とか「森田療法的」などと言って、問題を外在化させて直接的に関係に働き掛けている。その中核には、当事者がどうしていくのがよいのかについての、不可知論的謙虚さがあるのだろう。

「ケースを通じて、わたし自身で手探りで考え出した方法」(P190)とあるように、メディエーション技法の輸入ではないはずだが、考え方においても方法論においてもかなりの程度共通している。
60年代以来、これだけのものができていながら、必ずしもその良さが、家裁を含めて日本のADR実務に十分に反映されていないように思える。

早すぎたのかなぁ。

2008年08月07日

Harvard大Bordoneによる交渉ワークショップ

上智大学法科大学院 | 文部科学省専門職大学院等教育推進プログラム | セミナー

Harvardの交渉ワークショップに参加させていただくことになった。
前回(2005年)のDVDも見せていただく。

当たり前だが、さすがに洗練されたトレーニングだなぁと感心しながら見ている。

フレームがきっちりしているのと、そのフレームを理解するための事例の紹介と、体験型の活動の組合せの方法、演習後の締め方など、どれをとってもなかなかこうは行かないなぁと思いながら見ていた。

内容的には、「7つの要素」を中心に、Getting to Yesに忠実な解説なのだが、自分の頭の中で起きる声の処理の仕方など、内省的なスキルについての説明が意外に丁寧だと思った。

2008年08月10日

Harvard交渉ワークショップ2日目

Bordone,Darwinのコンビでの交渉ワークショップ、3日のうち2日終わった。

点数化されたロールプレイで、パレート最適を目指すといった古典的なものも含まれているが、感情への対処などの扱いが充実している印象。

法律家がなぜ感情を学ばなければいけないかというデータもいろいろ準備している。

昨日体験した、「役割交換ロールプレイ」(実際の困難な場面を演じてみるというもの)について、以前、心理学系のワークショップで経験したものに似ていたということで、ある程度知ってはいたがそれでも実際に体験してみてこの方法のパワーを感じることができた。

セラピーにならないように注意しつつ、感情の扱い方・教え方が研究されている。

2008年08月11日

Harvard交渉ワークショップ3日目終了

Harvard交渉ワークショップで扱ったのは以下の項目。

・「7つの要素」を使った交渉準備の考え方の紹介(復習)
・価値創造と分配の緊張
・感情理解と主張の緊張
・当事者と代理人の緊張

ロールプレイでは、それぞれ事情が異なる3者交渉、代理人と当事者の4者交渉も行った。
秘密事項の設定がA4で3ページくらいが標準で、少し長い感じがしたが、ロースクールで行う場合なら別に問題にならないようだ。

ワークショップで経験したことをふりかえってジャーナル(日誌)を書くようにというアサインメントもあった。わたしはワークショップ後のジャーナルは個人的には以前から書いていたが、ハーバードでは詳しいガイドラインが準備されている。

Bordoneは、2007年に優れた教え方をするということで、ハーバードロースクールの学内で受賞している。既存の学術研究の成果も紹介するし、良い交渉のロールモデルを示すというインタラクティブなやり取りも常に行うことができる。

2008年08月12日

ケースマネジメントについて

司法書士関川治子のBlog~ADRな日々: ケースマネージャートレーニング

新潟の司法書士会でADRに取り組んでいる関川さんが、ケースマネジメントが難しいと言っている。

特に応諾要請が大変だという話だと思う。
わたしは、スキルが足りないという側面も確かにあるかもしれないが、組織としての準備が足りないという面が大きい気がしている。

例えば、「申立人候補者から電話があったとき、聞き出すべきことは何で、伝えるべきことは何か」等を含んだマニュアルを組織内で整備していくことが大切だと思う。

アメリカでは、文字どおりスターターキットが売っていたりするが、日本ではまだない。
(同じサイトに、有用な様式集も紹介されている。)

どうやったら応諾を取り付けられるかということを考えたくなる気持ちはわかるが、「相手方が調停に出てこない自由」は尊重すべきである。
むしろ申立人との話し合いで、強制力をもたないということをきちんと説明しながら、応諾要請のプロセスそのものを当事者と一緒に作り上げていくくらいの気持ちで取り組むのが大切だとおもう。

組織内で十分に準備をした方がよいというのは、そのことによって、自分たちが何はできて何はできないのかを明確化できるからである。
自分たちの限界をきちんと認識すれば、そこからスタートすることでかえって親切な対応が可能になるのではないかとおもう。

2008年08月13日

寮内調停

アメリカでも調停トレーニングを受けて調停をやりたい人がたくさんいるのに、調停のケースが十分にないという問題があるようだ。

HarvardのDarwin先生は、だから、想像力を働かせていろいろな紛争の現場に入っていく考え方が大切だとおっしゃっていた。Harvardでは、寮の中のもめごとを解決するための調停手続があるそうだ。

わたしも中学生のころに寮に入っていたが、たしかにもめごとには事欠かなかった。

2008年08月14日

紛争システムデザイン

Bordone先生は、スキルベースのトレーニングの他に、システムデザインの講義も行っているらしい。

システムデザインに関するシンポジウムの様子を動画配信している。

Dispute Systems Design Symposium 2008

Menkel-Meadow、トランスフォーマティブのLisa Bingham、Mnookinやら、そうそうたる顔ぶれ。

Lisa Binghamの略歴を見ていると、韓国最高裁の民事訴訟改革のタスクフォースのメンバーになっているようだ。

2008年08月15日

金トラ・座長メモ(2008年6月24日)

「金融分野における裁判外の苦情・紛争解決支援制度(金融ADR)の整備にかかる今後の課題について」(座長メモ)の公表について:金融庁

金融庁の金融トラブル連絡調整協議会のこれまで8年の取り組みをまとめた座長メモ。

2008年08月16日

When Talk Works

Deborah M. Kolb(1994, 1997 Reprint)"When Talk Works: Profiles of Mediators", Jossey-Bass Inc

副題にあるように、メディエーター12人の人物紹介をした本。
フィールドワークの成果をまとめたものとしての見本になりそう。

分野を築いた人物として、コミュニティ調停のAlbie M. Davisと、ビジネス調停を代表してEndispute Inc.の設立者であるEric Greenが登場している。
いろいろな意味で対照的な記述が出てくる。
分野を築いた人物のもう一人は、Larry Sasskind。(実物よりも、ずいぶんハンサムに似顔絵が描かれている)

Albie M. Davisがサンフランシスココミュニティボードについて、「個人主義への寛容が十分でない」(P247)と批判的に見ているところが興味深かった。

「アメリカでの調停はこうなっている」なんて簡単に一言でいうのは難しいということが、この本を見ればよくわかるとおもう。
様々な動機を背景にした、様々な人々が、様々な資源を使いながら、活動をしている。
一種の緊張関係が存在することは当然である。
しかも緊張関係を持って活動している者達が、同じような理論を参照したり、学術的な議論を戦わせたりしていることが、この分野に活力を与えている。

1994年は、トランスフォーマティブ調停の"The Promise of Mediation"と、リスキングリッドの論文が出版された年でもある。

2008年08月17日

自分でしますの人

長崎で行政書士をされているよしよしえさんが、最近、行政書士に代行を頼まずに自分で申請しようとする人が増えていると書いておられた。これ

「自分でします」の人が増えているという背景には、長い歴史的なスパンで見たら、識字率を含めた教育水準の向上ということもあるのだろうが、役所の窓口も、素人にはそれなりに親切にしなければならないという意識の変化も(ないわけではないかもしれないかもしれないくらいの)あるのではないかと思う。

「自分でします」の人が増えると、単純な代行申請や代書の仕事は厳しくなるが、「自分でします」の人のためのガイドなど、少し違う種類の仕事が新たに出てくるかもしれない。

大きな目で見れば、プロが、詳しい知識を持ち、親切にわかりやすく知識を提供する競争に取り組むということは、世の中にとってはいいことだと思う。しかし、素人の領域とプロの領域の線引きが固まるまでの間は、摩擦や混乱はさけられないだろう。
もっとも、その混乱は、才覚のある人にとってはチャンスであるはずだが。

2008年08月19日

逆接の民主主義

大澤真幸(2008)『逆接の民主主義 ――格闘する思想』角川書店・角川Oneテーマ21

討議と投票を主たる手段とする民主主義は、「偶有性(contingency)が認識の水準では自覚されているが行動の水準では否認されている」と言い、ここに現行の民主主義の欺瞞性があると言う。

わかりやすく言えば、「わかっちゃいるけどやめられない」のが現行の民主主義だと言うのだ。

かといって、古代アテネのように「くじ引き」を中心的手段とすることも難しいとすればどのような方法があるか。

大澤真幸は<媒介的第三者>が決め手になるという。

 当事者は、媒介者に、己の事情、己の意見をわかりやすく説明し、伝えなくてはならない。媒介者は、その現前そのものによって、当事者にとっては、問う者として立ち現れるだろう。いや、実際にも、媒介者は、当事者に問わざるをえない。「それは、どういうこと? どうしてそう考えるの?」と。紛争当事者は、この意思決定のシステムの中に組み込まれることによって、先行的投射そのものを、ゼロから反復せざるをえなくなるのだ。
 このシステムによって、紛争当事者の間に合意が成り立つだろう。紛争当事者たちは、委員会の決定(選択)を引き受けるだろう。
 なぜか? 彼らは、それぞれ、媒介者との関係を通じて、それまで当然(必然)と信じていた規範的前提を--ほとんど「事実」のように不動のものと見なしていた前提を--、偶有的なものへの転じてしまっているからである。彼らは、自分の上に君臨していた第三者の審級が、言ってみれば詐欺師で、その超越的な場所を占めるに相応しくない偶有的なものであることを、ごく普通の常識人である媒介者を説得する過程で、逆にかえって、実感してしまうからである。
 (中略)
 だから、水平的な他者達の間の「合理的」な討議(だけ)ではなく、垂直的な他者(媒介者)との関係を組み入れることによって、民主主義は、真にその名に相応しいものとして再生するだろう。すなわち、それは、真に多様性を保証しうる政体として機能し始めるに違いない。(pp150-151)

正確に言うと、大澤真幸のこの構想では、各当事者に二人の媒介者とさらに別に決定を下す委員会を設置する、かなり重い手続がイメージされている。しかし、当事者が媒介者に自らの主張を語り直す過程を持つことで、その依拠している規範の相対化を可能にし、当事者が自分自身の将来のわからなさを再度引き受ける契機につなげられる点が核心だと言っているのだと思う。これは、ほとんど現代調停の原理そのものを述べているように思える。そして、この原理で構成されるアソシエーションを重層的に重ねることで、社会全体を構想する発想であるようだ。

文体が難しいのと、暴論のそしりを承知で社会状況にいろいろ言っているのが気になるが、上記の引用部分の考え方は参考になりそうだと思った。

2008年08月21日

ポーカーフェースか、正直か

調停において、ポーカーフェースを決め込んで、どちらにも中立というスタンスに徹するべきか、ある程度自分の考えを言ったり、指示をだしたりしてもよいと考えるべきかという問題がある。

メディエーショントレーニングでは、ポーカーフェースで中立の役割を演じる方法や必要性をある程度教えるのだが、自分の考えを言ったり、指示をだしたりしてもよいかどうかについては明確な形でのガイドラインが記載されていない場合が多い。
もちろん、不公正な合意がなされそうな場合には、調停を打ち切ることを含めて「指示的」になるべきであるとされているが、問題はそこまで行かない程度の場合である。

わたしは状況次第であると思うし、「調停人としての正しい振る舞い」には一定以上の幅があると思っている。
大切なのは、「中立性」と「良く情報を得た決定」のバランスをいかにとるかということであり、そのようなジレンマ状況を調停人として正面から悩む姿勢であると思っている。

中立に話し合いの進行を助ける役割を演じられなければ、単にパターナリスティックな一方の代理人になってしまうか、独自の価値観に基づいた説教調停に陥ってしまう。
とはいえ、調停人の活動が、あまりに表層的な仲介に終始していれば、当事者が中身の議論をする妨げになるかもしれない。調停人が自己一致して話をすることは基本的に良い影響を与えるだろう。しかし、それは、調停人のエゴが制御されずに流出したというものではなく、当事者への問題解決のためのリソースとして提供される場合に限って許されるべきものだと思う。

結局どっちなんだという雑ぱくな質問をする前に、自分が当事者ならどう感じるかを考えるべきだろう。

2008年08月22日

体重計を買ってみた

先日外で測ったら、ちょっと体重が増えていたので、体重計を買ってみた。

家庭用ヘルスメーター『タニタ ヘルスメーターRAINBOW THA-528(SW)』

2008年08月23日

徒歩主義で行こう

有馬道子(2001)『パースの思想―記号論と認知言語学』岩波書店

パースが大切にしていた学問的態度として、徒歩主義(pedestrianism)という言葉が紹介されている。(P2)

パースという人物はつくづく興味深い。

アメリカ司法制度に絶大な影響を与えた、オリバー・ウェンデル・ホームズとも同じテーブルを囲んで会合をしていたらしい。
(この会合は、「形而上学クラブ」と呼ばれ、プラグマティズム哲学を生んだものである。鶴見俊輔(1986)『アメリカ哲学』(講談社学術文庫)に、わかりやすく、おもしろく書かれている。)

2008年08月24日

現実の針混入事件


SANEI INTERNATIONAL GROUP OFFICIAL SITE リコール

コートに針が混入し回収 アパレルの三陽商会

「サルダリーニ/Saldarini」ストールへの針混入について | お詫び


2008年08月25日

事業承継マニュアル

ファミリービジネスの継承の方法論について、この分野もニーズがあるけれど、サービスが追いついていないとおもう。
税法に関する知識、登記に関する知識、紛争解決手続に関する知識、経営に関する知識、家族・親族のいさかいを処理するための知見など様々なものが、実際には必要だと思う。

役所でもマニュアルを作っている。

http://www.jcbshp.com/achieve/guideline_01.pdf

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei20/download/shoukei.pdf

このマニュアルにも出てくるが、創業者が頑固者で、形式的には息子に社長を継がせているけれど、実権は握り続けているという話はよくあるだろう。
しかし、「そのパターンだな」とわかったとしても、誰がその猫に鈴を付けるかという問題が残る。

メディエーショントレーニングの方法論を用いて、事業承継を考えるプログラムを作っても面白いかもしれない。

2008年08月26日

検索エンジンCuil

Google出身者らが“世界最大”のサーチエンジン「Cuil」公開

新検索エンジン「Cuil」が始動--グーグルの対抗馬となるか?:マーケティング - CNET Japan

たまにはこういう話題も。

Googleの対抗馬ができるというのはよいことだと思う。
わたしが個人的にひっかかっているのは、Googleの検索結果が個人向けに変わってしまうところだ。
「Web全体で検索」という条件にしても、日本語のページが上位にランクされるようになっている。
それが便利なこともあるけれど、調査などをしているときに、元のページランク通りに評価された検索結果が見たいと思うことがあるので。
ブラウザを変えると検索結果が変わったりするが、「学習度」は自由に設定できるようにできればよいのにとおもう。

2008年08月27日

Difficult Conversations

ダグラス ストーン、 シーラ ヒーン、ブルース パットン、松本剛史(訳)(1999)『言いにくいことをうまく伝える会話術』(草思社) Difficult Conversations

ハーバード大交渉ワークショップで紹介されていた本。
アマゾンの中古で買ってみた。

フィッシャーとユーリはいずれも著者ではないが、PONで作られたもの。
・何があったかをめぐる会話
・感情をめぐる会話
・アイデンティティをめぐる会話
の扱い方を紹介している。

Getting to Yes(ハーバード流交渉術)、Getting Past No(ハーバード流“NO”と言わせない交渉術)の後に来て、Beyond Reason(新ハーバード流交渉術)より前の本という位置づけ。

並べてみると、ハーバードもだんだん内省的になっているところがよくわかる。

著者達は、Triad Consulting Groupというコンサルティング会社を運営しているようだ。

2008年08月28日

Beyond Intractability

Convening Processes

コロラド大学の紛争解決学の情報提供サイトだが、いつのまにかさらにずいぶん充実している。

リンク先は、調停への召集についての記事である。
一般的には、プロセスに対する理解と安心感を持ってもらうのが大切だという。
多数当事者の場合には、参加する当事者の特定が問題になることなども紹介している。

Convening Processes / Audioでは、インタビューでのラリー・サスカインドやピーター・コールマン音声も聞ける。
パワーポイントもあるし、なんだか至れり尽くせり。


2008年08月29日

身につけたい能力は交渉力

身につけたい、能力・スキルランキング - goo ランキング

一位は「交渉力」!

コンフリクトマネジメントとかメディエーションなんてカタカナ使わずに、交渉力養成講座とかにしたらもっと人気が出るのかな? →これ

とはいえ、ハーバードやコロンビア大学で発展させている「交渉学」は、意外と日本では理解されないし、広がらないのはどうしてなのか・・。

交渉は、汚い手でも使って勝たなければ無意味だという考え方もあり、そういう感情を刺激するアプローチもある。例えば、↓とか。
悪魔の対話術 ~ビジネスで「したたか」に成功する~|ダイヤモンド・オンライン
(タイトルに言うほど、書かれていることは「悪魔的」でないような気もするが・・)

2008年08月30日

武田家滅亡の責任は信玄にあり

北見昌朗(2006)『武田家滅亡に学ぶ事業承継』(幻冬舎)

アマゾンの書評が60もついていて、しかもどれも評価が高く、興味が引かれて読んだ。

著者は、名古屋で中小企業のコンサルティングをされている方。tingin.jp

武田信玄の側近の山県昌景が、企業研修の講師という設定になっている。そこに、参加者の社長と息子が質問し、山県昌景が答えていくという設定になっている。

テーマは事業承継で、信玄が勝頼にうまく跡を継がせられなかったという視点を中心に、様々な史実を織り交ぜながら、面白く話が進んでいく。

また、現代の事業承継に関わる失敗例も、当事者の告白というスタイルで紹介されている。

歴史の話と現代の話を行ったり来たりするところとか、情感あふれるストーリーの後には教訓として学べる点を5点位にまとめて見せるとか、エンターテイメント性あふれる研修のライブ感が伝わってくる。
カタカナばかりの輸入研修にはない土着感あふれる内容。

非常に楽しめたし、感心した。
と同時に、わたしには真似できないなぁという印象も強く持った。

たとえて言うと、商店街の中で愛されている定食屋さんのおいしい魚フライ料理を食べた気分。
いい意味で、おっさんくさい世界というか。

アマゾンの書評が多い理由は、これのようだ。

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