Deborah M. Kolb(1994, 1997 Reprint)"When Talk Works: Profiles of Mediators", Jossey-Bass Inc
副題にあるように、メディエーター12人の人物紹介をした本。
フィールドワークの成果をまとめたものとしての見本になりそう。
分野を築いた人物として、コミュニティ調停のAlbie M. Davisと、ビジネス調停を代表してEndispute Inc.の設立者であるEric Greenが登場している。
いろいろな意味で対照的な記述が出てくる。
分野を築いた人物のもう一人は、Larry Sasskind。(実物よりも、ずいぶんハンサムに似顔絵が描かれている)
Albie M. Davisがサンフランシスココミュニティボードについて、「個人主義への寛容が十分でない」(P247)と批判的に見ているところが興味深かった。
「アメリカでの調停はこうなっている」なんて簡単に一言でいうのは難しいということが、この本を見ればよくわかるとおもう。
様々な動機を背景にした、様々な人々が、様々な資源を使いながら、活動をしている。
一種の緊張関係が存在することは当然である。
しかも緊張関係を持って活動している者達が、同じような理論を参照したり、学術的な議論を戦わせたりしていることが、この分野に活力を与えている。
1994年は、トランスフォーマティブ調停の"The Promise of Mediation"と、リスキングリッドの論文が出版された年でもある。