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不可知論

日本で、同席調停に初めて取り組んだのは、当時家裁調査官であった石山勝巳教授だったと思われる。
石山勝巳(1994)『対話による家庭紛争の克服 -家裁でのケースワークの実践-』(近代文藝社)
には、1960年代の終わり頃から70年代前半に、雑誌『ケース研究』などを通じて論争を起こしたことを紹介している。

石山教授は、60年代終わりくらいから調査官の多くが「精神分析・カウンセリング等の」心理的援助技術に関心を向けだしたが、自分は「異なる方向を志向した」と書いている(P21)。

この本に、小山昇教授とのやり取りが出てくる。

ある日私が小山教授に「家事調停では何故当事者の話し合いと合意が必要なんですか」と質問した。私はその時、ケースワークの個人の尊厳、自己決定の原則が出てくるのではと予想していたが、教授は即座に「それは不可知論だ。相手のことをわかっていると思うと話し合わない。わかっていないと思うから話し合うのだ」と言われた。全く、眼を開かれる思いであった。 P55

多くの立場の人々がそれぞれの角度から不可知論的謙虚さでもって事件にアプローチすることによってはじめて、「民主的」と言えるのだ、小山教授が言っている。

コメント (2)

石山先生の「対話による家庭紛争の克服」を読みました。
調停が話合いによる解決の場であるとすれば、先生の言われる「合同面接法」が当然の進めかたと思います。
現状の調停は、どんな方法で進んでいるのでしょうか?
書籍等からしか分からないのですが・・・
「別席調停」が中心でしょうか、「同席調停」といっても、将に当事者双方を同席させているだけで、当事者の会話がないように書籍からは読み取れます。
石山先生の「対話」による調停が、広く採用されることを希望しています。

ヱ:

星様、コメントをありがとうございます。

家裁の調停委員のアンケートでは、原則型が同席だと考える人は2%に過ぎないようです。

http://hirie.sakura.ne.jp/2009/10/post_742.html

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2008年08月04日 05:48に投稿されたエントリーのページです。

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