サービス産業ADRと金融ADRについての報告。
サービス産業ADRについては、無事プロジェクトとしては続いているようだ。よかった。
金融ADRについて、来年施行の法律について分析していただいた。
これまでちゃんと勉強していなかったので、良く頭に入った。
金融ADRについては、片面的な拘束力がある「特別調停案」が出せるというスキームになっているという点などが話し合われた。
大岡裁き的な性質を持つともいう「特別調停案」がどういう形で使われるようになるのか。
中村先生は、「特別調停案」を出すということが、実体規範性を強調するのか、手続規範性のなかでの活用を追求するのかによって、そのADR機関の性質が変わるだろうとおっしゃっていた。
中村先生は、いつものとおり、①個社の相談、②ADRの相談、③調停の連携が大事で、特に、①と②の規律が大事という立場で話されていた。わたしもこれが大事だと思う。
ただ、①、②を大切にするというのは、業界の<態度>の問題である。銀行その他の金融機関は、ちょっとやそっとで心を入れ替えるようなタマではないという印象がある。
「特別調停案」が消費者寄りなら、金融機関は片っ端から、訴訟を提起して、調停を無効にするのではないかという懸念がある。その場合に、ADR機関が何ができるのか、そこが見えなかった。今回見送られた「自主規制機関化」、あるいは、行政処分そのものとの連携の設計が必要だろう。
紛争や問題そのものは山ほどあるはずだが、金融行政は伝統的に問題を顕在化させない方向でやってきた。
大蔵省から金融庁が独立して、護送船団からの脱却という方向に舵が切られているとはいうが、まだまだやるべきことは多いだろう。
ところで、業界団体ADRの設計では、担い手を誰にするかがいつも問題になる。
話が通じ、公正性を追求でき、バランス感覚もあり、コストがあまりかからず、誠実で、粘り強く・・と、とても高い能力と意欲を持った人が欲しいということになる。
士業ADRが業界ADRの人材供給源になるという可能性も現実的にもあり得る話だとおもう。
このあたりは大事なのに、まだまだ充分に検討されていない。
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仲裁人協会・調停人養成講座中級編の実施延期が決まった。
申し込み人数が集まらず、開催が見送られた。
わたしにとっては、このような開催見送りは、初体験。
日弁連の会議室を使ったトレーニングで、独特な良さがある研修会だっただけに残念。
もう少し参加ニーズを謙虚に聴き取っていく姿勢が必要だということだろうと思う。
少ないとはいえ、申し込んで下さった方には非常に迷惑をかけたので、お詫びしなければならない。