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民間調停における忌避について

当事者が担当する裁判官がはずれてほしいと申し出る手続を「忌避」という。(民事訴訟法24条)
調停においても、当事者が、その調停人を避けて欲しい(その調停人でないひとに調停をして欲しい)と言う手続を「忌避」と呼んでいる。

おどろおどろしい語感だが。

先日書いた、仲裁人協会の調停の実務上の諸問題研究会で少し忌避について調べてみた。

裁判所の民事調停では、忌避手続が存在しないのが通説になっている。
(ただし、有力な反対説がある。)

民間調停(民間型ADR機関の和解あっせん等の手続)では、多くの場合に忌避手続が設けられている。
こういう意味では、司法調停に比べて、民間調停のほうが、当事者の主体性が反映された手続と言えば言える。

しかし、そもそも、「忌避」などという法律用語そのままが規則に書き込まれているだけで、その手続が法律家でない当事者の利用を前提に用意されていると言えるのか、と言った観点で見直すと、現実的にはどうもお粗末な状況のようだ。

当事者が安易に調停人の変更を申し出られるようでは、調停手続が思うように進まないということも一方で確かである。
だが、当事者が納得する手続とか、当事者の自主性を重んじる手続と言いながら、機関側にとってあまりうれしくない手続については、わかりにくい規則としてのみこっそり規定されているにすぎないような状況では、竜頭蛇尾というか、羊頭狗肉というか、そういうものと言われても仕方がない。

実務上の諸問題研究会では、このように、なるべく具体的な問題に即して、理念と手続の実際の両面を考えていきたいと思っている。

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2009年09月02日 08:36に投稿されたエントリーのページです。

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