Nコートの西口元(はじめ)裁判官の和解技術に関する話を聞いた。
・対席和解(同席調停に相当)は、当事者参加型争点整理と集中証拠調べと併せて行うべきものという位置づけで考えている。
・対席和解は、経験上、十分機能している。当事者が嫌がっても、だめだったら交互面接和解(別席)に移行するからと言って、少しだけ対席(同席)で話をしてみてもらうが、そうすると、最後まで対席で話が続くことが多い。
・当事者が、「別席でなければ話せない」などという話は、大した話でないことが多い。陰口めいたことなどが出てくるが、相手に話せなくて裁判官に話せるということはあまりないはずである。
・和解案は2割位の幅を持たせて提示する。高裁では、和解案を提示する際には、合議に掛けてから。したがって、当事者は、裁判所の判断はその時点でわかる。
・当事者の一回の話は、15分位を考える。感情的になってはげしく話しても15分位やっていると疲れてくる。話したという実感も持てる。
・当事者は互いに相手の言葉をさえぎらないというルールは大切だ。
・裁判官にとって、対席和解は疲れるし緊張する。交互面接和解は情報操作ができるので楽である。対席和解では、資料をちゃんと読んでいないとばれてしまう。交互面接和解なら、資料をちゃんと読んでいなくても押し切れる。
・弁護士の立場からは、裁判官には、「根拠としての証拠」「どの学説を採っているか」などを聞くと良い。資料を読んでいてちゃんと考えているのか、ざっと読んで印象だけで話しているのかがすぐわかる。
・裁判官をやっていて10年目から15年目位のキャリアの頃が、一番傲慢になる。弁護士がバカに見えてくる頃だ。こういう裁判官をきちんと教育する意味で、弁護士の先生方には、ガツンとやっていただきたい。裁判官は、もっとキャリアを積むと再び、謙虚になる。
・裁判官は純粋培養なので、良い人はすごく良いが、悪い人は矯正されにくい。
・裁判所と民間ADRが協力するようなことがあってよい。例えば、事実認定や法律解釈を裁判所が協力して、話し合いを民間ADRで行うような可能性がある。自分は少し論文に書いた。しかし、現実に、裁判所ではまったく誰も考えていないようだ。
コメント (2)
・当事者が、「別席でなければ話せない」などという話は、大した話でないことが多い。陰口めいたことなどが出てくるが、相手に話せなくて裁判官に話せるということはあまりないはずである。
当事者に「別席では大した話を聴かせてもらえないと思うから、同席でやりましょう」とは言えませんが(笑)。
審判官と調停人は実感をいるはず。なのにいつまでも別席に拘るのはどういうことなのでしょう。
できる限り探ってみようと思います。
投稿者: 市ヶ尾小町 | 2008年11月20日 14:10
日時: 2008年11月20日 14:10
西口判事の話では、裁判官は「対席和解では、資料をちゃんと読んでいないとばれてしまう」とおっしゃっていましたが、調停委員とは少し意識がちがうんじゃないかなと思いました。
他には、15分ずつという話など、なかなか実感のある数字で、興味深かったです。
投稿者: ヱ | 2008年11月21日 15:18
日時: 2008年11月21日 15:18