広報誌「ほうてらす」2008年秋号
ダニエル カールさん
聞き手 法テラス理事 篠塚 英子ダニエル:
おっしゃるとおりアメリカは、法律の数も弁護士の数も多い。もめごとがあった時にはだいたい法律で定められてるケースが多いですので、裁判までいかなくても、弁護士が間に入って話し合うことによって、法律はこうだよ、裁判になったらこうなるぞってことを説明してくれれば、それで和解することができるわけなんですよ。そういう意味では弁護士さんは紛争を裁判によらずに未然に防ぐような役割もしているんですよ。
アメリカにはほかに、中立的な立場のメディエータ(仲介者)というか、弁護士ではないんだけど法律的な知識が十分ある人たちがいるんですよ。
私は東京で事務所を経営しているんですが、ある人とトラブルになってアメリカで訴えられそうになったことがありました。日本に住みながら訴えられるってことで、どうしようと思ったんですが、幸いにこの仲介者みたいな人が出てきて法律はこうだよって色々説明してくれたんだ。その人の意見にもし満足だったらそれで済むわけだ。でもそれじゃ不満だってことになれば、裁判起こすこともできるわけ。私の場合は相手もわかったっていうことで、結局和解になって裁判になんなかったんですね。そういう仲介者っていうんですか、ありがてぇなと思いました。法テラス:
私たち法テラスも、設立のねらいはそういうところにありますね。困りごとがあったら全国どこでも気軽に相談でき、紛争予防になる。
いくつかの疑問。
・アメリカのメディエータは、「弁護士ではないんだけど法律的な知識が十分ある人たち」なのか?
・「仲介者みたいな人が出てきて法律はこうだよって色々説明してくれた」は非弁行為ではないの?
・法テラスの設立の狙いの「そういうところ」とはどこ?そして「そういうところの」役割を果たしている?