マイアミ入り
ABA Dispute Resolutionセクションの年次カンファレンスに出席するため、マイアミ入り。
« 2014年03月 | メイン | 2014年05月 »
ABA Dispute Resolutionセクションの年次カンファレンスに出席するため、マイアミ入り。
デンマークとノルウェイの調停についての研究。
合意文書において、裁判結果とは異なる内容が含まれた場合に、「創造的である」として計測したところ、半分以上の調停合意は創造的であったという。
事件内容で見ると、離婚や労働などで「創造的である」という傾向が見られ、傷害では「創造的でない」という結果が見られた。
Creativity in Court-Connected Mediation: Myth or Reality?
Solfrid Mykland (Bergen University), Lin Adrian (University of Copenhagen)
ノルウェイは、歴史的に長い調停制度の歴史があるが、最近改めて新しい制度として設置されたようだ。昔あった制度からの沿革についての話はなかったのだが、歴史的な手続の存在については意識されていたという話はうかがった。
プログラムがiPhone/iPad用のアプリで提供されている。
自分用のスケジュールを組み立てられるし、レジュメまで添付されていて、なかなか便利。
iTunes の App Store で配信中の iPhone、iPod touch、iPad 用 ABA DR Spring 2014
Parenting coodinatorの連想から派生したEldercaring coodinatorなる仕事ができているのだそうだ。
Parenting coodinatorの役割について、「親の面倒を見るベビーシッターのようなもの」と冗談めかして言っていた人がいた。(フロアの発言)
Parenting coodinatorと調停人とのいちばん大きな違いはタイムフレームで、通常2年程度の期間を担当するという。
New Options for Elders And Their Families: Resolution for High Conflict Cases
Linda Fieldstone, Sue Bronson
植民地時代のアメリカにおける仲裁の歴史。
Margo Todd教授(University of Pennsylvania、歴史学)は、仲裁人はピースメーカーの役割を果たしたという。
Carli Conklin准教授(University of Missouri School of Law)は、クエーカーにおける仲裁の歴史を研究。
ABA ADR Section Task Force on Legal Education, ADR & Problem-Solving
Mediationコンペティションだけでも5つもあるようだ。
- ICC International Commercial Mediation Competition
- INADR International Law School Mediation Tournament
- The Jeffry S. Abrams National Mediator Competition (University of Houston Law Center)
- ABA Representation in Mediation Competition
- The International Competiton for Mediation Advocacy
Negotiation Competiton
- ABA Negotiation Competition
- National Sports Law Negotiation Competition (Thomas Jefferson School of Law)
- National Basketball Negotiation Competition (Fordham University School of Law)
- The Negotiation Challenge
- Nelson Mandela International Negotiation Competition
- Southwestern Entertainment Law Negotiation Competition (Southwestern Law School)
- Robert R. Merhige, Jr. National Environmental Negotiation Competiton (University of Richmond School of Law)
クリニカルエデュケーションに力を入れているそうだ。
日系の教員もいる。
UC Hastings | Center for Negotiation and Dispute Resolution
スタンフォード大学とともに、オンライン紛争解決についてのカンファレンス・ODR2014を主催。
ODR 2014 | The 13th Annual Online Dispute Resolution Conference
調停と行動科学に関するプレゼンで紹介されていたTEDトークの動画。
となりもキュウリならよいが、となりがぶどうなのにキュウリを与えられると怒り出す様子が示されている。
ABAのカンファレンスで、「今読んでいる本(What I'm reading)」という題されたセッションがあった。
パネリストが、本一冊を持ってきて順番に10分程度ずつ話していくというもの。
ゆるい・・
が、その人の知的生活としての現役性が問われているという、まったく反対の方向からの評価も可能かもしれない。
Andrew Schneider教授が、"Join the club: How Peer Pressure Can Transform the World"を勧めていた。クール革命という邦題で訳されているようだ。
2月にNova Southeastern Universityでオブザーバ参加させていただいた3日間の紛争管理/グループプロセスのワークショップ。
Tグループとの共通性もあり、Tグループ由来の資料も活用されていたが、違いも多いグループアプローチ手法のワークショップであった。
The A.K. Rice Institute | for the study of social systems
Graduate School of Humanities and Social Sciences | Nova Southeastern University
自由と正義2014年2月号です。
KSUの交渉をテーマにしたカンファレンスがあり、「日本における交渉と紛争解決」という題でプレゼンをした。
日本語でも話したことがないテーマだったのでこなれていなかったとおもうが、聞いてもらえたので、まあよしとしたい。
元岡山大学教授で現在関西学院大学教授の守屋明先生が、わたしの著書の書評をしてくださった。
(さる大先生からPDFで原稿をメールしていただいて拝読した。)
守屋先生のような偉い先生に好意的に評価していただいて大変にありがたい。
わが国における民間調停の停滞という状況を、司法調停が優位してきた歴史の帰結であるとみなすだけでは将来の展望は開けない。また、日本人は公権力への依存傾向が強く、私人間紛争についても公権力の介入を求めがちであるという法文化を記述したとしても、それは私的自治の理念の強化・現実化を諦める理由にはならない。歴史的・文化的諸制約を前提としつつ、その中で今、何が可能であるのかを具体的・実践的に探索しようとする著者の視点は、今後のわが国の紛争解決システムの可能性を展望する上で重要であると思われる。 * 欧米との歴史的・文化的相違を強調するよりも、共通する問題性を解決するための調停の理念と手法を開拓する試みの方が、理論的にも、また実務的にも、やや行き詰まりを感じさせるわが国のADR論に対するインパクトを与えるであろう。 * 本書はADRをめぐる今日的かつ論争的な問題点に対して、改革運動としてのADRという観点から実践的な議論を展開しており、今後のわが国における民間調停のあり方を考える上での必読文献である。守屋明「書評 『現代調停論』」法社会学第80号(2014)328-333
交渉カンファレンスでは、Georgia State UniversityのCharity Scott教授と、Tim Hedeen教授による、インプロビゼーションのワークショップも開催。
体を動かして楽しめるのは万国共通。
輪になって1人1語ずつ話して文を作るというゲームでは、意味が分からなくなるのではとドキドキする。
Cherise Hairston氏(Dayton Mediation Center)によるトランスフォーマティブアプローチの説明。
原則立脚型交渉等の個人主義に基づく第一世代の交渉観との対比で、関係主義に基づく第二世代の交渉観を持つものとして解説されていた。
同じDaytonにある、Institute for the Study of Conflict Transformationの運営にも関わっておられるようだ。
JoAnne Donner, Tim Hedeen "Preparing for Effective Negotiation: Insights from Mediators"
調停手続への理解の乏しさ、手続への準備の不十分さなどを、調停人へのサーベイ調査で明らかにしている。
Serwaa Brewoo, Mustapha Abdallah(Kofi Annan International Peacekeeping Training Centre, Ghana, Africa)
"Exploring Indigenous Mechanisms for Peace Negotiations in West Africa"
ガーナ人であるふたりによる、地域の紛争解決メカニズムと、西洋的な紛争解決メカニズムの対比についての報告。
個人的には、プレゼン後に少し話をしたときに話題に出た地域固有(indigenous)と伝統的(traditional)は違うのではないかという話が興味深かった。
実際のアフリカにおける紛争解決事例を使った、2週間の紛争解決/調停トレーニングプログラムを行っているのだそうだ。
KAIPTC - Training: an innovitive approach to training in peacekeeping
英語の短い表現を聞いたあと、音をまねるように話す練習をするアプリ。
自分の声を録音して聞き比べられるようになっている。
発音・イントネーション等を改善する必要も感じており、400円という、まあ安い値段でもあると考えて購入してみた。
発音上のコツのようなことも日本語でチョコチョコと書いてくれてあり、なかなか親切なつくりになっている。
ネイティブの発音を聞く、自分の発音を録音する、聞き比べるという3段階でどんどん次に進んでいくという感じになっており、学習しやすい。
また、課題が達成されたらカレンダーに登録される機能も最初から設定されており、継続するための工夫もある。
表現はかなり初歩的(中2くらい?)で、ちょっと自分がやっているということを紹介するのはどうかという見栄を張りたい気持ちもあったのだが、わたしの英語がしょぼいのは事実だし。
おすすめ。
Year of Japanで、日本の小学校における数学教育についての報告があった。
日本の数学教育の成功の秘密を分析するというスタンスで、日本人として聞いているとすこし気恥ずかしい感じ。
日本ではカリキュラムのモデルそのものは多様性が乏しいけれど、具体的な授業の研究の裾野が広いので改善の方向性が安定しているのに対し、アメリカではモデルばかり増え現場での取り組みの蓄積が足りないということをおっしゃっていた。
たとえば、「授業研究」として、生徒が授業の中でどのように考え、理解していくかのプロセスを教員同士が真剣に話し合っている様子がビデオで紹介された。
確かにわたしが自分の子どもの授業参観なんかで感じた、わたしの経験した範囲の小学校の先生方のほとんどが誠実に真剣に準備しているという実感とも合致している。
フロアからは、日本の数学教育が成り立つのは、「日本のお母さん」がいるからじゃないか、といった指摘もあった。
アドラー心理学が今後日本でもっと広く受けいられるようになるのかな。
「嫌われる勇気」を持てば、幸せになれる~対人関係に悩まない生き方~:日経ビジネスオンライン
嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え | ダイヤモンド・オンライン
福岡アドラー心理学研究会には、わたしの妻が参加しています。
ちょっと風邪気味だったようで頭痛がしていて、日曜日の午後はずっと寝ていた。おかげで今は回復した。
せっかくのイースターで、ホームパーティーに誘っていただいていたのだが、残念ながらキャンセル。
午前中には、寮の同室の面々と、マーティン・ルーサー・キングに関する博物館に行ってきた。
Martin Luther King Jr National Historic Site (U.S. National Park Service)
この中で、キング牧師が高校生向け講演したものがハンドアウトとして持って帰ってよかったので一部もらってきたのだが、興味深かった。
自分の人生の青写真を作るときに、自分自身の尊厳や、価値、そしてsomebodinessの中にある深い信念に基づくものであれということを言っている。
somebodinessという言葉をこう受け取ってよいのかはよくわからないが、誰もが持っている価値みたいなことか。「ひとかどの人物」のなかにあるものというのがそのニュアンスに近いかもしれない。
その上で、神が与えた仕事として、歴史の中で特別な瞬間だというように仕事を開始しなさいと言っている。
そして、たとえば掃き掃除をする仕事なら、ベートーベンが作曲するくらいに心を込めてやりなさいと。
どんな仕事でも心を込めて誠心誠意せよという仕事観は、意外と、日本社会にある禅的なそれに近いのかもしれないが、最初のところの、somebodinessの中にある信念の発見に努力せよというメッセージがとても大事だなとおもった。
息子たちをほったらかしにしている不良親としてですが。
The Seattle Times | Martin Luther King Jr.| What Is Your Life's Blueprint?
館内で見たミニムービーでエンディングに使われていたのは"We shall overcome"。
Pete Seeger - We shall overcome - YouTube
Tグループと呼ばれる人間関係トレーニングの案内です。
呼んでいただければスタッフとして、呼ばれなければ一般参加者として参加させていただこうかと考えているところです。
わたし自身は、この場は、自分の感情や思考の癖みたいなことを見直す機会として貴重なものだと考えています。
Tグループに関しては南山大学での活動が有名で、このHILの活動も南山とスタッフがある程度オーバーラップしていますが、独立したものです。
人間関係トレーニングを含めて人間の感情を取り扱う研修は、洗脳やカルトにも通じるところがあるため、信頼できる団体で研修を受けることが極めて重要だと考えます。
Sally Kohn: Let’s try emotional correctness | Talk Video | TED.com
感情的正しさ(emotional correctness)の重要性を訴えるTEDトーク。
プレゼンターのSally Kohnさんはレズビアンとしてテレビ番組で発言をしている方だが、リベラルよりもむしろ超保守のような人物に「感情的正しさ」を感じることがあるという。
政治的正しさ(political correctness)からはずれていたとしても、感情的正しさを持つことは可能。政治的におかしな主張と見られるものの背景には、多くの場合実感として何か困った実体験がある場合があり、その体験への共感は可能である、とする主張。
またMiles Mediation Centerでオブザベーションをさせていただいた。
今日も朝から4件の調停が入っている。
代表のJohn Milesさん自身が、いつでも来てくれと言って下さる。
前回いただいた本はKindle版でも発売されているようだ。
Amazon.co.jp: A New Day In Court 電子書籍: John K. Miles Jr.: Kindleストア
調停の主な利用動機は、①お金、②恐怖、③怒り、④正義の4つあるという分析をしている。
また、自分たちの調停センターでのサーベイデータを使った分析もしている。
クエーカー(Quaker)の活動で、クリアネスコミッティー(Clearness Commitee)と呼ばれるものがあるらしい。Susan Raines先生の講義で教えていただく。
5,6人の小グループで、メンバーが出した自分の問題を、他のメンバーが質問していき、その質問を提出した人がより深い洞察を得るというもののようだ。
わたしは「忘れられた日本人」に描かれた寄合を思い起こした。
ファシリテーションが目標としているミーティングの原型という感じもする。
The Clearness Committee | Center for Courage & Renewal
妻が買っていたので帰国後読もうかと思っていたが、やはり読みたくなってKindleで買って読んだ。
対話形式になっていて読みやすいが、薄めて書いているわけではなくてよい本だとおもう。
特によいと思ったのはやはりタイトルにある嫌われる勇気が必要だというメッセージで、わざと嫌われる必要はないけれど、他人に認められないとだめだと思わずに、自分の価値判断に従うべきというところ。
他者貢献という目的を重視するが、どのように他者貢献しているかについては自己の主観的評価のみに耳をすませるべきだと言っている。
日本におけるアドラー心理学は、育児方法論の文脈で女性を中心に広がっていると思うが、この本は男性にわかりやすいのではないかとおもう。
開かれた質問その他の技術的な側面には触れずに、考え方、あり方のみに焦点を当てている。
「いま、ここ」に生きることが大事という話も強調されていた。
自分は能力があって、人々は仲間であるという世界に生きるためには、他者貢献できるように自分を鍛え、準備することも「いま、ここ」に生きることなんだろう。
凡人であるわたしたちは、「いま、ここ」に生き続けることが厳しすぎるから、そこから逃れる言い訳をさがしてしまう。
そういうごく普通の人にとって、混乱してしまったときに、自分の軸を取り戻す手がかりが必要になる。それは普通の人の哲学と呼ぶことができるだろう。この本はまさにそれを書いている。
授業で話題になったのだが、リーガルサービスのアンバンドリングはカリフォルニアで進んでいるそうだ。
非弁問題などともからむし、情報化社会ともからむ、面白い研究テーマだと思う。
Michigan Bar Association | Unbundling of Legal Services: Selected Resources - pdf4article1742.pdf
Foote先生、Colin Jones先生、Giorgio Colombo先生などが執筆。
Michigan State International Law Review | Michigan State University College of Law
Volume 22, Issue 3 (2013)
As among ourselves we are probably in agreement that Japan is a “normal” country when it comes to law, and that mystical cultural explanations and stereotypes are likely to be both misguided and annoying. Colin Jones, P711
修復的司法:低迷 兵庫は5年で2件、大阪はNPO解散 - 毎日新聞
福祉施設化する刑務所の問題を考えても、日本社会の中での修復的司法の必要性はあるように私は感じますが。