西村 佳哲『かかわり方のまなび方: ワークショップとファシリテーションの現場から』 (ちくま文庫・2014年)
ワークショップ・ファシリテーションの分野のいろいろな著名人へのインタビューなどを再構成しながら、筆者自身の「かかわり方」を学んだ旅の記録とでもいうべき内容になっている。
途中で、中野民夫さんとの対談でワークショップの歴史について触れたところがあって、「インデックスとして使って欲しい」という話があったが、この本全体もそういう感じにも使えるようになっている。
副題として、learning beingと表紙に書かれている。引き出し方みたいな関心から、あり方への関心への筆者の西村さん自身の移り変わりの記録がかかれている。さらっと読めそうなやわらかい文体ではあるけれど、書くのは大変だったのではないかとも思った。
ファシリテーションに興味がある人に勧める本として、南山でまとめられた『人間関係トレーニング』が紹介されることが多いと思うが、この本を勧めるのもありなのではないかとおもった。
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場を開く以上、そこには主催者のなんらかの意図や期待がある。それが全くない「場」はあり得ないだろう。
けど、この期待の種類や質、あるいは持ち方によって、ファシリテーションはアジテーション(煽動)にもプレゼンテーションにもなる。そのバランス感覚の拠り所は、コミュニケーションを大切にする意志が具体的にあるかどうか。つまり、「ことと次第では、自分はこれまで立っていた位置から動くことや変わってしまうことも厭わない」という姿勢がファシリテーターにあるかどうかによると思う。
P107
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