法務系ライトニングトーク
企業法務マンサバイバル : 第2回法務系ライトニングトークイベント反省文
こういう活動を福岡でもできると面白いかも・・
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企業法務マンサバイバル : 第2回法務系ライトニングトークイベント反省文
こういう活動を福岡でもできると面白いかも・・
橘高真佐美「日本における国際家事調停モデルの検討 : ハーグ条約の実施に向けて」自由と正義63巻5号(2012年)111-119頁
イギリスのリユナイト(Reunite)の協力を得ている。
リユナイトのモデルは、2日間で1期日3時間×3回期日の調停手続を実施(同席)。
日本の一般的な調停は抽象的な合意が多いが、国際家事調停では具体的な条項を作成しておくことが有用だろうという指摘。
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村山眞維「離婚問題当事者のための自治体相談ネットワーク」法律論叢82巻2号(2010年)375-407頁
明治大学の村山先生のご研究。
196の窓口を訪問。ほとんどは調査を歓迎しない。
113の窓口に依頼した配布調査票は938通。
回答があり回収できたものはわずか49票。
日本社会における実証研究の難しさを思い知らされる・・
中村努 他 認定NPO法人ワンデーポート編『ギャンブル依存との向き合い方』(明石書店・2012年)
ギャンブル依存当事者で、認定NPO法人ワンデーポートを立ち上げた中村努さん、精神保健福祉士で相談室を開業されている高澤和彦さん、司法書士の稲村厚さんの3人で作られた本。
アルコール依存症向けの当事者支援スキームを援用しながら実践していく中で、特に発達障碍のある方に対して、従来のアプローチが機能していないことに気づき、対応を修正していったという活動の学びの記録という風にも読めるもの。
当事者の手記も、中村努さんの章とは別に2つが掲載されている。
問題の所在はかなりはっきりと明示されているし、解決への手がかりも示されているが、ここで見つけられたものが展開され、世の中における知恵として定着するまでの道のりを考えると、気が遠くなりそうにも思える。
しかし、ここに示された希望を大切にしたいなと、おもった。
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最初は、「発達障害であるかないか」の判断にとらわれていましたが、少しずつ「発達特性を考慮に入れた支援の個別化」という考え方ができるようになったと思います。そして現時点では、発達障害の見方や支援の仕方を参考にしながら、発達障害か依存症かということにはあまりこだわらず、「生活課題とそれに対応する支援に想像力を働かせる」という形に相談のやり方は変化してきました。(中略)
私たちの実践はまだまだ小さな実践です。手間もかかり、多くの方々に理解してもらうには、時間も、さらなる工夫も必要だと思います。ただ、マニュアルとシステム頼りの支援は、確実に限界に来ているように思うのです。たとえば、精神保健福祉の分野では、自殺対策のひとつの柱として「うつ病」対策が行われてきましたが、こういう症状がいくつあれば「うつ病」というような、マニュアルに基づいた診断(操作的診断)によって、「病気」の治療というシステムに乗せるだけでは、残念ながら思ったような効果は上がっていないように感じられます。
ギャンブルの問題も同じなのではないでしょうか。問題がいくつあれば「ギャンブル依存症」というようなマニュアルによって見立て、プログラムに合わせていくシステムでは、人の生活を取り戻すことはできません。「人」をどのように理解し、「生活」にどのように寄り添うかという視点での支援が必要な時代になってきているのではないかと感じています。
PP219-220(高澤和彦)
浅井健 (2012) "全国初の弁護士会との協働による調停センターの設立について", 月報司法書士, (484), 106-110.
弁護士会の常議員会内では、「弁護士会にも紛争解決センターがあるので、取り扱う紛争が重なる司法書士会が調停センターを設置する必要性がない、それに協力する必要もない」という意見もあったそうで・・(P107)
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そこを引用するな、と、叱られそうですが・・
内藤 忍他『職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査―予防・解決に向けた労使の取組み―』(労働政策研究・研修機構・2012年)
資料シリーズNo.100「職場のいじめ・嫌がらせの解決・防止に向けた労使の取組み―労使ヒアリング調査結果―」:研究成果/JILPT
労働者の約1割がパワハラやいじめを実感。
職場での見聞きは約1~3割。
ハラスメントの行為者は、上司だけでなく、同僚、部下、取引先や顧客など多様。
雇用形態の異なる労働者間のハラスメント。 例:派遣社員と正社員。
積水ハウスとグンゼは実名で、他の多くの会社は匿名で取り組みを紹介。
福岡地裁・夏休み裁判所親子見学会に、長男を誘って行ってきた。
親子クイズ、模擬裁判、裁判官に質問、法服を着ての撮影会という順の企画があり。
模擬裁判は、裁判員制度が該当する刑事事件で、20歳の女性が放火事件を起こしたというものだった。
被告人側は有罪かどうかを争っておらず、執行猶予を求めるという主張をしているものだった。
小学校5,6年生が様々な役に割り振られる。一応希望を聞かれるが、人数が合わないとくじ引きで役を設定される。
台本が用意されており、基本的には該当部分を読めば良いというだけで進行するが、最後の評議だけは参加者に話し合わせ、多数決を執って決めさせるという形になっていた。
くじ引きの怖さと、準備された書面を朗読するだけで手続が進行してしまうという怖ろしさが良く伝わっていたと思う。
高校時代の友人と付き合うようになって被告人の生活が乱れて・・という事情と、今後も友人とは付き合うという被告人の証言があって、実刑にしたほうがよいのではないかという判断に傾くようにも考慮されていたようだが、子供たちが出した結論では、執行猶予判決となっていた。
被告人の更正のためには、むしろ調停の一種である量刑サークルのような手続が求められているようにも思えたが、もちろんそういう言及はない。
よくわかる!裁判員制度Q&A(第5版)(2011年9月発行)という冊子をいただいたのだが、これも非常に充実している。司法予算の中で、裁判員裁判の広報にだけアンバランスにつぎ込まれているように感じるが、ひがみか。
長男は意外と楽しんでいた。裁判官はもっと冷徹無比な感じかと思っていたが、「意外と明るかった」という感想を言っていた。
日弁連パンフレット「今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?」
PDF
NPO法人 FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク
Vi-Project(ビー・プロジェクト)子どものための面会・交流サポートプロジェクト
二宮先生の論文で紹介されていた。
二宮周平「当事者支援の家族紛争解決モデルの模索--ドイツ,オーストラリア,韓国の動向から」ケ-ス研究2011巻1号(2011年)5-34頁
この論文では、特にドイツについての支援の仕組みが詳しく紹介され、興味深かった。たとえば、不履行の場合に、再度調停に付すスキームが運用されているという。オーストラリア、韓国の事例も紹介した上で、日本の家事調停に足りないものを具体的に指摘しておられる。
村山正治=中田行重『新しい事例検討法 PCAGIP入門 パーソン・センタード・アプローチの視点から』(創元社・2012年)
パーソン・センタード・アプローチ・グループ+インシデント・プロセス→PCAGIP(ピカジップ)
と呼ぶもののようだ。
つい最近出た本だが、熱心に読んでいる。
著者の村山正治先生は、グループアプローチの臨床心理学者(の大御所)。
ぜひ、体験したいなと思っている。
宮本真巳『援助技法としてのプロセスレコード 自己一致からエンパワメントへ』(精神看護出版・2003年)
『その後の不自由』でも紹介されていた宮本眞巳先生の本。事例検討というか、実践を吟味し、学習につなげるための方法論として、プロセスレコードを核に据えた方法論を紹介。実際行ったスーパーバイズ事例が詳しく紹介されている。
「えらい人からのありがたい話はもうたくさん」という声が、当事者運動や援助職の関係者の間に拡がっているようにおもうが、良い理論ほど実践的なものはない(byクルト・レヴィン)わけで。
看護師への教育のための本だが、「支援を学ぶもの」一般に役立つと思う。
受容と共感の強調から出発するのでなく、支援者の自己一致から出発するところがミソ。