児玉真美『私は私らしい障害児の親でいい』(ぶどう社・1999年)
重症重複障害の娘さんを持つ方の、いわば「親としての当事者」を考える本。
ヨーロッパの福祉政策を学ぶツアーに参加した話を基調にしながら、学としての福祉への違和感や、体験された様々な葛藤について書かれている。
特に生々しかったのは、著者の実母・実父とのやりとりである。
著者は京都大学文学部出身の方で、大学の常勤ポストを得ていたのだが、娘さんの介護との両立に苦しみ、両親の助けを求める。ところが、ともに元小学校の先生である実母・実父からは、確かに助けを受けつつも、むしろ追い詰められていく。このあたりのやりとりは圧巻で、障害者についての本というカテゴリーに留まらない、日本の家族に通底するある種の普遍的な問題を考えさせるものになっているように思った。
著者のブログ:
Ashley事件から生命倫理を考える - Yahoo!ブログ