小川直也氏のブログ
プロレスラーの小川直也さんが、大学院(筑波大)に4月から通い始めたようだ。
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プロレスラーの小川直也さんが、大学院(筑波大)に4月から通い始めたようだ。
日本法社会学会の大会のために東大・本郷に来ている。
棚瀬孝雄先生のオーラルヒストリーを聞く。
約10年単位くらいで、自らの研究史をふりかえり、「どんなことを考えてとりくんでいたか」を話すというもので、極めて率直な語り口だった。
学部中に司法試験に受かって(1966年)、卒業時には川島武宜の助手に採用される。ハーバードの社会学で博士をとり、京大で助教授、教授になられる。華麗な経歴で、膨大な業績である。
しかし、主観的には、悶々とされていた時期も長かったそうで、聞いてみなければわからないなとおもう。
わたしにとって印象深かった言葉をいくつか。
修業時代の10年間の集大成として1977年に「紛争と役割過程」(法学論叢)を書き上げるまでは、「暗いトンネルをとぼとぼと歩いている感じ」。
棚瀬先生が、法社会学を志した当初、自分は確かに社会によって作られているが、社会を作りかえることに自分はどう関われるかという関心-左翼的な関心-があった。
1980年代に個人(近代的個人)のゆらぎというパラダイム転換を学び、自分の研究を見直し。若い大学院生から学んだ。研究の資産は10年は持つが・・
『本人訴訟の審理構造』は本当に力を入れた仕事。アメリカから学んだものは、自分の手で自分の紛争を解決するという当事者主義。これがドイツとフランスから学んだ職権主義の「埃だらけ」の日本の訴訟を見直す契機になる。
法社会学のレゾンデートルとしての近代化。近代化は未完のプロジェクト。近代は、普遍的法と私人の合意以外による決定を排除。川島武宜が攻撃した家父長的な権威主義はその例。
法社会学の研究には、観察と洞察が不可欠。
弁護士をやってみて分かったこと:
当事者から見て「高い」と思われているが、日本の弁護士費用は安すぎる。棚ぼたの仕事は少なく、実際にはほとんど手作り。その結果、弁護士が手抜きする。
弁護士はうそをつく。当事者は弁護士に共謀的な態度を求める(うそを求める)。断ると解任される。裁判所は弁護士のうそに寛大。
フロアから、「なぜそんなに元気なんですか」と質問。
ADRニーズがあるという指摘。
法的トラブル 解決へ被災者に多様な支援を(読売新聞) - goo ニュース法的トラブル 解決へ被災者に多様な支援を
読売新聞2011年5月9日(月)01:10「津波で流された家や漁船の借金が返せない」「震災直後に会社を解雇された」。被災地の人から連日、深刻な法律相談が持ち込まれてくる。
各地の避難所などで親身になって相談に応じているのは、地元の弁護士会や全国各地から応援に駆けつけた弁護士たちだ。
被災者にとって、法的な悩み事は大きな負担となる。納得のいく解決策が見つかるよう、法律家による支援を充実させたい。
日本弁護士連合会は、先月末から今月1日までの3日間、宮城県内の避難所95か所で無料法律相談を行った。11都府県から延べ305人の弁護士が参加した。
相談は1000件に上った。住宅ローンや所有不動産、遺産相続などに関するものが多かった。
福島県内の避難所でも弁護士が相談にのっている。原発事故の影響から「風評被害で農産物が売れない」といった相談もあった。
補償の問題では、今後、訴訟も起きるだろう。土地の利用計画や産業再生など、復興の動きから生じる裁判も予想される。
その場合、当事者は最寄りの裁判所へ出向かなければならない。だが、被災地の多くは裁判所まで遠く、弁護士の数も少ない「司法過疎地域」だ。
阪神大震災のときは「震災センター」が神戸地裁に新設され、裁判官や民事調停委員らが配置された。相談と民事調停はそれぞれ2000件を超えたが、約3年間でほぼ解決し終えた。
こうした震災関連の問題を集中的に扱う“拠点”があれば便利だろう。最高裁は裁判官の増員を検討中だ。実情に見合う人員と解決の場を確保してもらいたい。
裁判費用をどう捻出するかも大きな問題だ。被災者の中には家も家財も流され、着の身着のまま避難所へ逃れた人も多い。
日本司法支援センター(法テラス)には、経済的に困っている人の裁判費用を立て替える民事法律扶助制度がある。資産や収入が扶助を受ける条件に合うか、審査があるが、弾力的運用が必要だ。
できれば、裁判になる前に法的紛争を解決したい。仙台弁護士会は、それを支援する機関として「裁判外紛争解決手続き」(ADR)のセンターを発足させた。
ADRは弁護士や専門家が仲介者を務め、法的紛争を話し合いで解決する制度だ。他の被災地でも検討してみてはどうか。
紛争が長引けば、復興の妨げにもなる。早期解決に向け、法律家が力を合わせる時である。
法社会学会大会は今年も興味深かった。
一番興味を持ったセッションは、弘前大の飯考行先生のコーディネートで行われた「司法過疎地の法的ニーズと弁護士の新しい職域」というものだった。
パネラーは、松本三加弁護士(福島県・浜通り法律事務所)、冨田さとこ弁護士(法テラス沖縄)、小佐井良太准教授(愛媛大)、池永知樹弁護士。
コメンテータ は、櫻井光政弁護士(桜丘法律事務所)。
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のあたりとも重なる。
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いばって稼げた時代へのノスタルジーがない、新しい時代を開拓するタイプの弁護士のみなさんで、率直にすばらしいとおもった。
仙台弁護士会 » 震災ADR(裁判外紛争解決手続き)開設のお知らせ
費用は成立手数料のみで、申立手数料、期日手数料が無料。
法社会学会大会での緊急特別企画として、東日本大震災の支援をめぐる議論があった。
広渡清吾先生(東京大学教授)から、日本学術会議の活動報告があり、原発政策の選択肢を科学者・研究者の知恵を集めて国民に示す役割を果たそうとしているという。
また、原発の危険性についての著作もある長谷川公一先生(東北大学教授)から、被災地の状況報告と原発政策の課題についてのスピーチがあった。
わたしが最も興味を持ったのは、弁護士会での震災後の法律相談の活動の責任者的立場も務められ、法律相談の内容の分析を進めつつある津久井進弁護士の報告だった。
今回の震災後は弁護士は待ちの姿勢でなく、積極的に声かけをする出かける姿勢を持っているということを言っておられた。弁護士すべてがそうなっているというわけではなく、こういう活動に関わっている方々の姿勢が変わってきているということだろう。
弁護士の働き方が変わってきているのをここでも感じた。
松本秀文:「現実はひとつではない」と現実の中で呟く20世紀を代表する詩人エズラ・パウンドは、「Make it new(刷新せよ)」と語っていた。彼にとって、詩とは言葉によって現実を突き破る方法であった。私もそれに同意する。詩を書くということは、私たちが互いに「現実」と呼び合うことで確保される安全な場所から勇気を出して飛び出すことである。
本来、言葉と現実との関係性は複雑で多層的なものである。それが「客観的現実」によって単純化されることは、私たちの「生」が単純化されることを意味する。私はそれを否定しないが、肯定もしない。詩は、個人それぞれの「主観的現実」の多様性を徹底的に保証し、擁護するものである。2011年5月14日(土)西日本新聞朝刊11面
先週末、子どもの通う公立の小学校に、「おやじの会」なるものがあり、会合に参加してきた。
「できるときに、できるひとが、できるかぎりで」やるという、ゆるい方針を掲げ、運動会などの行事での駐輪場整理や、地域の祭りでの焼きそば店、わたがし店という企画運営を行うという。
600人に満たないような学校だが、その約1割の規模の父親の参加があり、なかなか盛況だった。
校長先生も出て下さる。
『実践ADR』が出版された。
民事法研究会:内容紹介
芝さんのブログ1 2
小澤さんのブログ
推薦文というか、アジテーション文というか、を、書かせていただいた。
芝さんのリーダーシップ、名波さん、増田さん、池谷さんのフォロワーシップ、中里さんのエディターシップがうまく組み合わさってできた、とても良い本だと思う。
実務方法自身は見直していくとは思うけれど、現時点で、うまくいく手応えの方法を明らかにしているということの意味は大きい。
読むべし。
録画しておいた、NHK スタンフォード白熱教室、第3回「最悪の家族旅行」を見た。
ビジネス開発のための、ブレインストーミングの方法論を体験型で教えている。
ティナ・シーリグTina Seelig先生。
学生の、演技する気満々のプレゼンもおもしろい。
越智啓太, 渡邉和美, 藤田政博 (編) 『法と心理学の事典』(朝倉書店)
2項目だけ執筆させていただいた本。
「ADR」と「民事的交渉」。
高い・・けど、672頁の厚さのある意欲的な事典ということで・・
田嶌 誠一 (2009) 現実に介入しつつ心に関わる : 多面的援助アプローチと臨床の知恵, 東京, 金剛出版 .
著者は、臨床心理士の実務家で、現在は九州大学大学院人間環境学研究院教授。
児童養護施設で、1対1のカウンセリングだけでなく、組織としての暴力排除に取り組む実践を行った経験などを踏まえて、カウンセラーの役割像の転換を提言している。
グッと来る話が多い。
人はしばしば「自分が見たいものしか見ない」。自戒もこめて言えば、専門家であればなおさらそう。P38
志は高く、腰は低く。P39
節度ある押しつけがましさ(thoughtful pushiness) P54
逃げ場をつくりつつ、関わり続ける P55
健全なあきらめ(letting it go) P55
かたくなさが道を開き、しなやかさが発展させる。P65
「契約」と「縁」。 P131
勉強すればするほどダメになる。 P133
東京弁護士会LIBRA2011年4月号「座談会 日米法律事情比較」
矢吹 公敏 会員 × デーブ・スペクター氏 × 八代 英輝 会員