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2010年08月 アーカイブ

2010年08月02日

千葉司法書士会・中級編

7/31-8/1の二日間、千葉司法書士会で、中級編トレーニングを実施してきた。
4月に基礎編をやったので3か月ほど空いたのだが、単位会で中級編までやれるのは比較的珍しい。

課題の特定、選択肢の開発、合意文書作成などの調停の後半のスキルなので、現実的にはかなり大事なところだとおもうのだが。応諾要請に加えて、「ADR機関選択理由」という新しいワークもやってみた。

千葉会で苦労しているという話も聞いた。苦労を悲壮感につなげず、危機感を楽しむような感じになるといいなと思う。
千葉会は試行してから手続規則を作っているが、このパターンは、組織内の信頼関係が十分醸成されていない段階で試行せざるを得ないので、その過程で疲れてしまうリスクがある。一方、現実の手続を進めることがないまま、他会の規則だけを見て規則だけを作ってしまうと、いざ実施しようとしたときに自分たちが作った規則が足かせになっていることに始めて気づくという流れになっているようにおもう。
いずれにしても、現実の紛争を扱いはじめて、軌道に乗るまでの期間というのは、離陸の時期だから、いちばん大変だと思う。

わたしは、そこのところをやろうとしている人たちをとても尊敬している。少しでもお役に立てたらと思っている。

(追記)
「千葉会は試行してから手続規則を作っている」というのは、事実と異なっているという指摘をうけました。
「手続規則を作ってから、試行し、さらに規則を見直している」というのが実態ということです。

ちょっと記載がラフすぎ、関係者のかたに不快な印象を与えたかもしれません。
申し訳ないと思っています。
削除が必要と思われた方はご連絡をいただければと思います。

2010年08月04日

湯浅誠:接点を見つけるように心がけ

Business Media 誠:35.8歳の時間・湯浅誠:批判されても、批判されても……貧困ビジネスに立ち向かう理由 (3/6)

 支援活動の難しさは、相手との“接点”を見つけること。わたしは大学院に通っていましたが、そこでは相手を論駁(ろんばく)することが大切だと教わりました。議論して、相手を言い負かせた人が“偉い”といった感じ。もちろん議論の力はものすごく鍛えられるのですが、一般社会でそれをやっても仲間は増えません。違いを見つけるよりも、同じことを見つけることが大切。例えば、さまざまな運動体がお互いにいがみあったりしていますが、少し離れたころから見ると、ほとんど違いが分からない。それなのに、なぜかお互いの違いを際立たせている。つまり接点を見つけようとしないと、四分五裂(しぶんごれつ:秩序をなくしてバラバラになること)して、かえって力を失ってしまうのではないでしょうか。

 なので、わたしは意識的に違いを見つけようとせず、できるだけ接点を見つけるように心がけています。

2010年08月06日

日本行政8月号

入江, 秀晃 (2010) "民間調停に軸を持たせる 「3つの壁」と「9つの課題」 (新しいADR論 5)", 月刊日本行政, 453, 18-23.

2010年08月07日

1万2千円弱の小型レーザープリンタ

沖データ B2200n 超小型A4モノクロページプリンタ20PPM1200×600dpiネットワーク標準 B2200N

を、買ってしまった。
大学研究室用で。

生協で2万円くらいだったが、アマゾンでは1万2千円弱。
トナーは4950円だから、ほとんど半分はトナー代ということのようだ。

かなり小さいのでそこがいい。安くなってますね。
白黒片面だが、印刷の品質は良いと思う。

2010年08月09日

オーストラリアの調停人認定システム

NADRAC: National Mediator Accreditation System

2008年1月1日より運用。

2.
The purpose of a mediation process is to maximise participants’ decision making.
調停手続の目的は、両当事者の意思決定を最大化すること。

10.
The mediator has no advisory or determinative role in regard to the content of the matter
being mediated or its outcome. The mediator can advise upon and determine the mediation
process that is used.
調停人は、調停中の事項(コンテント)や結果に関して、助言や決定の役割にはない。調停人は、利用されている調停手続(プロセス)について助言と決定ができる。

http://www.wadra.law.ecu.edu.au/pdf/Final%20%20Practice%20Standards_200907.pdf

2010年08月10日

岡山弁護士会で、キャラクター募集中

岡山弁護士会-公式キャラクター募集

愛知県弁護士会キャラクター:聞之助(きくのすけ)に、続けということかな。

2010年08月12日

日弁連の機関誌に寄稿

入江, 秀晃 (2010) "コスト面から見たADR利用推進のために求められる政策", 自由と正義, 61(8), 78-86.

掲載号が送られてきた。

PDF版がいる方はご連絡ください。

メールフォーム

2010年08月17日

トレーニングの失敗経験

トレーナーとして、小さな失敗は無数にしているが、致命的なものはなるべくないように努力している。

今から考えても失敗だったなぁという経験がある。
2006年ごろの会社を辞めてしばらくのころのことだが、消費生活相談員向けの研修会の企画の手伝いをしていて、一部講師を引き受けることになった。
当時は、わたし自身は、ファシリテーション手法に関心が強かったので、それを試したいという気持ちが出てしまって、結果的にはまったくうまくいかなかった。
他の講座との調整もしていたのだが、それもうまくいかず、いろいろ後手後手にまわっていて、自分の担当部分をうまく作り込む余裕がなかったということもあった。
ふたを開けると、他の講座の先生方は、自分の持ちネタの披露で、それなりに満足度を得ていたのに対し、私が担当したところは、非常に評判が悪かった。

細かい反省もさることながら、準備したワークの内容が、参加者の経験、関心と十分に噛み合っていなかった点が致命的だったと思っている。
メディエーション的に、参加者の関心と、提供者側の枠組みをうまくすりあわせられると、参加者にとっても提供者にとっても気持ちが良いが、諸条件が整わないとなかなかそのようにならない。
いまとなっては、条件が、悪いなら悪いなりにその講座を組み立てるノウハウというか方法論というのは確かにあるように思える。

ひとつは、あまり無理をしすぎない・・条件が合わなすぎるときは受けない勇気を持つ・・ことだとおもう。が、断ってばかりいると成長できないし、そこは難しい。

完璧は狙わず、目標を何レベルか、予め設定しておくというのも大事だと思う。比喩的にいえば、ノーヒットノーランを目指さず、「試合を作る」ピッチングを目指すという感じか。
①参加者の関心に引きつけて、自分が説明する部分をわかりやすく準備しておくこと・・伝達面の工夫
②参加型のイベントを作って、参加者が能動的に動き、考えられるように準備しておくこと・・対応面の工夫
の両方が必要なのだが、その時の失敗は、②ばかり考えていて、①の準備が足りなすぎた点にあった。

2010年08月23日

何か祈るような気持ちです

ADR検討会の議事録を読み返している。

しみじみする発言に出会うことも。

ADR検討会(第38回) 議事録


○綿引万里子委員(東京地方裁判所判事) この2年半の議論を聞いていて、日本にはまだ裁判外の紛争処理というものが全く根付いていない中で法案をつくろうとしたところで、私たちは非常に苦労をしたのではないかと思うのです。これから、何を広報する、何を教育するといったときにも、まだ裁判外の紛争処理というものが、正直なところ、日本にはおよそ根付いていないのだと思うのです。
 なので、今度、初めて認証ADRという形で裁判外の紛争処理というものを法的に認知した。そして、認証制度というものを入れたということで、認証制度を運用される法務省が、これをどれだけ適正に運用してくださるかというのは一つすごく大きなところだと思うので、そこのところは、これが変な規制にはつながらず、かつ、健全なADRの育成につながるように上手に運用していただくというのが今後のために、現実的な意味では非常に大切なことではないかというふうに思うというのが第1点です。
 あと、先ほど座長の方から国会での審議の御紹介あり、三木委員も言われたのですけれども、私も、紛争の解決というのは絶対ペイする仕事ではないと思います。経済的にみてもうかる仕事では決してない。やはり、そこのところを認識して、この制度が動き出さないと、とんでもないことになるというのは間違いないだろうというふうに思っています。
 ですから、ADRというものを、これから何とか日本国における紛争処理の中で位置付けていこうというときに、これが下手なビジネスになっていってしまったら、これはとんでもないことになるんだということはみんなが心しなければいけないのではないかと考えております。紛争処理によって儲けようということでは、決して裁判外の紛争処理というのが健全には成長していかないだろう。
 それでは、儲からないものをどういうふうにやっていけばよいのかというところになると、先ほど三木委員が言われたようなことも一つの政策的な考え方なんだろうと思いますが、やはりADRに携わる方にそういう認識と見識を持って取り組んでいっていただくようにお願いするよりほかないかなという思いです。決してペイする仕事ではないけれども、それが裁判とは別の紛争処理機能を果たすとすれば、儲からなくてもよい解決をという基本理念があって、そういうADRが健全に育っていってくれればと、これは何か祈るような気持ちですと申し上げるよりほかないと思います。
 非常に抽象的なことを申し上げました。
(強調:引用者)

2010年08月26日

久しぶりの認証機関:三重県社労士会

三重県社会保険労務士会・社労士会労働紛争解決センター三重

2010年08月27日

古い世論調査のデータが公開されている

調停に関する世論調査(1975年(昭和50年)1月)

Q1 裁判所には,一般の裁判所とは別に,話し合いでもめごとを解決する「調停」という制度があることをご存知ですか。
(82.1) 知っている
(17.9) 知らない

SQ4 裁判所の調停について,あなたの感想をうかがいますが……。(N=83)
(ア) 調停によって得られた解決に満足していますか 。
(27.7) 満足している
(31.3) まあ満足している
(39.8) 不満である
(1.2) 不明
家事調停及び少年審判に関する世論調査(1958年(昭和33年)6月)
Q16 ところで裁判所にもいろいろあるのですが,あなたは家庭裁判所というものをお聞きになったことがありますか。
(80) ある
(20) ない

Q23 あなたは,家庭裁判所へ行くのは,何となくいやですか,別にそういうことはありませんか。
(43) 何となくいやだ
(47) そういうことはない
(10) 不明

Q33 調停が成立して,金銭を支払うことが決まった場合,先方へ直接支払わないで,一旦家庭裁判所へ預け,家庭裁判所から先方へ支払うという制度があることをご存じですか。
(18) 知っている
(31) 知らない

Q41 あなたは調査官がいた方がよいと思いましたか,そうは思いませんでしたか。
(39) いた方がよい
(2) そうは思わない
(1) 不明

2010年08月30日

日行連9月号

入江, 秀晃 (2010) "自分に向き合うこと ~ADR活動の前提として~ (新しいADR論 6)", 月刊日本行政, 454, 15-20.

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