トレーナーとして、小さな失敗は無数にしているが、致命的なものはなるべくないように努力している。
今から考えても失敗だったなぁという経験がある。
2006年ごろの会社を辞めてしばらくのころのことだが、消費生活相談員向けの研修会の企画の手伝いをしていて、一部講師を引き受けることになった。
当時は、わたし自身は、ファシリテーション手法に関心が強かったので、それを試したいという気持ちが出てしまって、結果的にはまったくうまくいかなかった。
他の講座との調整もしていたのだが、それもうまくいかず、いろいろ後手後手にまわっていて、自分の担当部分をうまく作り込む余裕がなかったということもあった。
ふたを開けると、他の講座の先生方は、自分の持ちネタの披露で、それなりに満足度を得ていたのに対し、私が担当したところは、非常に評判が悪かった。
細かい反省もさることながら、準備したワークの内容が、参加者の経験、関心と十分に噛み合っていなかった点が致命的だったと思っている。
メディエーション的に、参加者の関心と、提供者側の枠組みをうまくすりあわせられると、参加者にとっても提供者にとっても気持ちが良いが、諸条件が整わないとなかなかそのようにならない。
いまとなっては、条件が、悪いなら悪いなりにその講座を組み立てるノウハウというか方法論というのは確かにあるように思える。
ひとつは、あまり無理をしすぎない・・条件が合わなすぎるときは受けない勇気を持つ・・ことだとおもう。が、断ってばかりいると成長できないし、そこは難しい。
完璧は狙わず、目標を何レベルか、予め設定しておくというのも大事だと思う。比喩的にいえば、ノーヒットノーランを目指さず、「試合を作る」ピッチングを目指すという感じか。
①参加者の関心に引きつけて、自分が説明する部分をわかりやすく準備しておくこと・・伝達面の工夫
②参加型のイベントを作って、参加者が能動的に動き、考えられるように準備しておくこと・・対応面の工夫
の両方が必要なのだが、その時の失敗は、②ばかり考えていて、①の準備が足りなすぎた点にあった。