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2012年07月 アーカイブ

2012年07月08日

日本ADR協会シンポと仲裁ADR法学会

7/6 JADRAシンポジウム@商事法務

第一部では、電話応対研修。講師は、角脇さつき先生@プロフェッショナルアカデミー
第二部の打合せのため少ししか聴けなかったけれど、迫力満点で盛り上がっていた模様。
角脇さんは、以前、もしもし検定指導者級研修でお目にかかっていた方で、いろいろ縁がある。

第二部は、司会者だった。
FPIC大阪、FINMAC、齊藤友嘉弁護士、原田杏子さんのお話しだったが、それぞれ奥行きのある話で、わたし自身大変興味深かった。
FPICは、家裁OBが中心だが、同席調停の実践をされている。数は少ないと謙遜されるが、大阪だけで年間10件近くコンスタントに実績を挙げておられる。スピーカーの千田氏は、家裁の書記官など、裁判所の職員として長いキャリアのある方。
FINMACは、以前からの金融ADRの優等生であった証券ADRの発展系だが、さすがにしっかりした方のそつないプレゼンだった。齊藤弁護士は、一弁がつくった都市型公設弁護士事務所の所長を務められていた方で、現実の相談事例、受任した事例を紹介いただいた。かけ込み寺としての事例だけに、なかなかハードで、民間ADRの利用者としても現れるようなタイプの方の事例を紹介くださった。ビジネスモデルが成り立たない中で、しかし、赤字は出してはならないという矛盾した要請の中での事務所の運営という話は、ADRの経営にも通じる話でもある。原田杏子さんは、臨床心理の背景を持ち、法律相談研究で博士論文を完成された方で、非常にわかりやすいプレゼンをしてくださった。ある先生が、原田さんは超優秀だと絶賛されていた。
プレゼン資料は公開されているので、ご覧いただければ。

7/7 第8回仲裁ADR法学会@東京大学

仲裁ADR法学会では、東大の太田勝造先生が法科大学院での交渉・ADR教育について紹介。
シンポジウムとしては、「民事調停の機能強化」がテーマ。

質疑応答でわたしは4つ質問したが2つしか取り上げてもらえなかった。やっぱり3つまでにしたほうがいいのかもしれない。

東京簡裁では、土日期日はないが、夜間は水曜日に行われている(ただし活用は少ない)ということらしい。
標準的手続は1時間、例外的に2時間。

東京地裁22部の部総括の植垣判事のプレゼンもとても興味深いものだった。
現地調停を積極的に行うように運営しておられるという話を、事例を交えて紹介いただいた。

活動の実態についてもっと正しく知ってもらいたいというおもいを持っておられるということが良く伝わる。

その後の、調停委員としての経験も長く、日本調停協会連合会でも要職を務められた安藤武久弁護士のお話し、裁判官としてのキャリアもある京都大学笠井正俊教授のお話しもあったが、それぞれ同席対話促進型調停手続への強い共感を持っておられる内容だったように感じた。

2012年07月10日

パンストックとさいこんたん

九大箱崎近辺で、食べ物に関して感動したのは、パン屋さん。

パンストック pain stock - 箱崎/パン [食べログ]

試食ができるのだが、試食しているともっともっとと買いたくなって、気がつくと自宅用のパンだけで千円以上買っていたりする危険な場所である。夕方に行くと売り切れているので昼ごろに行くのが良い。

☆菜根譚☆福岡市の宅配弁当・会議用弁当|福岡市近郊無料配達

最近、お昼はここの弁当を買っている。フリーダイヤルに電話をすると研究室まで持ってきてくれる。

箱崎の電話番号は、0120-477-014。

「ななか」という種類のお弁当は300円。キャンパス内に売りに来ている業者よりも、あぶらっぽくないのが、ありがたい。

2012年07月11日

労働紛争解決ファイル

野田進『労働紛争解決ファイル~実践から理論へ~』(労働開発研究会・2011年)

著者の野田進先生にいただいた。

野田先生は、労働委員会と労働局で実務家及び実務家を束ねる委員会の委員長としてのご経験が長い。
その文脈で、調停技法についても関心を持たれて、この本でも草野芳郎、廣田尚久、レビン小林久子各先生の著作についてもそれぞれ1節を設けて紹介・検討がある。

中国・韓国・台湾・フランス・イギリスの事情の紹介もあるが、日本以外はすべて同席手続であるという話がわたしには衝撃的であった。(234頁)

労働審判について、「審判の調停化」と「調停の審判化」の両方の側面が見られ、どちらの意味でも問題であるという指摘にも大変共感した。(288頁)
労働に限らず、日本のADRにかなり広く見られる病理ではないかと思う。

2012年07月13日

本:私は私らしい障害児の親でいい

児玉真美『私は私らしい障害児の親でいい』(ぶどう社・1999年)

重症重複障害の娘さんを持つ方の、いわば「親としての当事者」を考える本。
ヨーロッパの福祉政策を学ぶツアーに参加した話を基調にしながら、学としての福祉への違和感や、体験された様々な葛藤について書かれている。
特に生々しかったのは、著者の実母・実父とのやりとりである。
著者は京都大学文学部出身の方で、大学の常勤ポストを得ていたのだが、娘さんの介護との両立に苦しみ、両親の助けを求める。ところが、ともに元小学校の先生である実母・実父からは、確かに助けを受けつつも、むしろ追い詰められていく。このあたりのやりとりは圧巻で、障害者についての本というカテゴリーに留まらない、日本の家族に通底するある種の普遍的な問題を考えさせるものになっているように思った。

著者のブログ:
Ashley事件から生命倫理を考える - Yahoo!ブログ

2012年07月14日

弁護士申立の回避を検討しているADR

件数が増えすぎてきたので、「弁護士申立事件を受けつけない。または、弁護士申立回数を制限する」ということを検討しているADR団体があるのだそうだ。

弁護士を依頼しない国民は淘汰されて当然: 花水木法律事務所

2012年07月19日

養育費受給率の低さ

SYNODOS JOURNAL : 離別父親の実態と養育費施策のありかた 大石亜希子

2012年07月24日

歴史的社会学

2012-07-23 - 社会学徒の研究(?)日誌:社会学と歴史学 (文献メモ)

*
2012-06-23: リフレクシヴ・ソシオロジー (文献メモ)

2012-05-03: インタビュー調査の方法 (文献メモ)

2012年07月26日

運動論のクックブック

高松里『セルフヘルプ・グループとサポート・グループ実施ガイド―始め方・続け方・終わり方』(金剛出版, 新装版,2009年)

最近、九大の教員が書いた本を意識的に読むように心がけている。

調停の本質が裁判か合意かという議論よりも、調停は支援であると考える方向もあるのでは、という示唆を、ある先生からしていただいた。あなたはかなり徹底的な調停支援説をとっているのではないかとも。

この本は、非常に具体的・実践的な、サポートグループの作り方を書いた本。
運動論のクックブックという趣きの本。

ご自身の経験から、グループを作るときにはその出口(終わり方)も定めておいた方がよいという話が紹介されている。
グループの活動は、「言いっ放し」がむしろ原則型だともいう。

著者のベースにはエンカウンターグループの活動があるようだ。

2012年07月27日

セルフヘルプグループの経験が教える援助の方法

上岡陽江=大嶋栄子『その後の不自由--「嵐」のあとを生きる人たち』(医学書院・2010年)

この本もまたかなり強烈なもの。

一方の著者は、ドラッグからの立ち直りを支援している当事者団体であるダルク女性ハウスの代表の上岡陽江さん。
もう一方は、札幌のNPO法人リカバリー代表の大嶋栄子さん。

話は明快で、豊富な図解さえあるのだが、軽々しくは扱い得ない内容。

当事者にとっての相談の現実についての分析など、ドラッグ問題に関わらずかなり普遍化できそうな話が含まれているように思えた。相談すると、「恥をかく」、「支配される」、しかし「解決してくれない」。「自分が崩れてしまう」という声まで出てきたという。(P77)

援助者は巻き込まれてはいけない、巻き込まれずに共感せよなどという指針ではなく、巻き込まれるのは恥ずかしいことではないというところから出発せよという。(P206)

教えられることが非常に多い。

当事者側が求めている支援と専門家側が提供するつもりになっている支援とが相当離れてしまっている。だからこそ、当事者団体の活躍の余地があるのだけれど、専門家側が変化していくことも不可避であるはずだ。しかし、また、そこを研究とか教育とかすることが期待されている学者の役割を考えると、大きすぎて途方に暮れる感じもする。

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