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2017年08月 アーカイブ

2017年08月16日

哲学対話セミナー(NSDセミナー)

8/14-15の2日間の、松川絵里さんの進行によるNSD(ネオ・ソクラティック・ダイアローグ)セミナー(@岡山)参加してきた。

参加者6人限定で、朝10:30-16:30から両日というスケジュールだったが、二日目はやや延長戦ありで。
内容について細かく話すことはできないが、そのやや苦い経験を含めて、すばらしい体験だった。
はじめてのNSDセミナーが、松川さんの進行での経験となって、とてもよかったとおもう。

共同による真理の探究として、哲学対話を進めていく。

抽象度のある一般的な問いを立て、その上で、時間をかけて具体的な例を選び、吟味し、描写し、再び一般的な問いに対する答えを探す。

私自身が行っている対話による紛争解決の考え方、実践との共通点も非常に多く見つけることができた。また、こうした進行のためには、ラボラトリートレーニングで大事にされている方法や構造についての知見も役に立ちそうだと思えた。
例の記述というナラティブを大切にするという意味で社会構成主義的だとも思ったし、自分の実体験を例に挙げるという意味で、つまり、体験に根ざした言葉に限定して思考しようとするラディカリズムを感じた。

なかなかディープだったのだけれど、さしあたりは、この程度の記録にて。

facebook: 哲学者の対話レッスン

2017年08月20日

第8回 対話調停カフェ


第8回 対話調停カフェ


日時: 2017年9月9日 14:00 - 17:00
場所: 九州大学文系合同講義棟 207教室 (箱崎キャンパス)

例を使って考える - ガマンって何?

対話型調停では、それぞれの当事者が互いに要求し合っている状況で、どちらの言い分がもっともらしいかと考えるのでく、背景の事情を語り合うように促すべきと考えます。
ある言い分の背景には、何か具体的なできごとがあったのか、何か思いこんでいたのかという言い分を確かめるのです。
今回は、哲学対話(ネオ・ソクラティック・ダイアローグ)の方法論を参考に、「例を使って考える」という話し合い方を試したいと思います。

予定している話題は、「ガマンって何?」をです。(話題は変えるかもしれません。)

メールでお申し込みください。(hideaki@hirie.sakura.ne.jp)

2017年08月28日

里親制度の家族社会学

園井ゆり(2013)『里親制度の家族社会学: 養育家族の可能性』 (MINERVA社会学叢書)

社会学の研究書なのだが、大変興味深い。

里親にインタビューをしているので、里親側からの視点で問題が語られる。

児童相談所としては、実親の意思を尊重せざるを得ないが、「生木をひきはがすように」して里親から離される(P183)ケースがあり、そうまでして引き取った実親は1週間で育児を放棄する。その後また里親宅に戻るが、しばらくするとまた実親が引き取りたいと言ってくる。そしてまた実親に引き渡し、実親が1ヶ月で児童虐待。

その後、その子は、児童養護施設に送られる。実親が言った言葉は、「この子が幸せになるのは許さない」「この子が幸せになるのは、・・さんとこで幸せに生きていくのは絶対許さない」。

2017年08月29日

ガワンデ『死すべき定め』

ガワンデ アトゥール(原井宏明 訳)『死すべき定め : 死にゆく人に何ができるか』(みすず書房・2016年)

重たい内容だった。が、決して、単に沈ませる本ではない。

家族の生死を考えさせずにはおれない本である。

と、同時に、自分の研究面でもヒントになりそうだと思ったところも多かった。

医療倫理学者であるエゼキエル・エマニュエルとリンダ・エマニュエルが書いた、外科医と患者の関係性のあり方が紹介されていた。彼らは、インフォームド・コンセントを超える関係性として、解釈的(interpretive)と対話的(deliberative)を挙げている。医師側の態度は、お任せしなさい(パターナリズム)か、自分で決めなさい(自律)の両極端になりがちだが、人(患者)は、もっと違う関係を望んでいる。「人は情報と決定権(コントロール)をほしがるが、助言(ガイダンス)も欲しい」(P199)のである。患者にとっては、助言というより、むしろ意味づけが欲しいという意味で、だからこそ患者に対して、「私は心配しています」とガワンデが言っている(P205)。

ビル・トーマスの実験(W. Thomas, A Life Worth Living (Vanderwyk and Burnham, 1996))、ウィルソン(K. B. Wilson)の「介護付き生活センター」(Assisted Living)についての取り組みについても勉強になった。

著者のサイト(英語):
Being Mortal | Atul Gawande

訳者のサイト:
原井宏明の情報公開
ガワンデ著「死すべき定め」その2

Being Mortal | FRONTLINE | PBS

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