菅野和夫先生による労働審判制度についてのセミナーが社研であったので出席してきた。
菅野先生は、現在、中央労働委員会に在籍しておられるのだそうだ。
労働審判制度は非常にうまく機能しているようだ。
利用者から見て、労働者側の調停人なのか、雇用者側の調停人なのか最後までわからなかった(それほど公平に進められていたということのようだ)というエピソードも紹介されていた。
年間二千件を目処に制度設計されたが、すでに3500件を超えているという。
事例を多く調べていると、「労働法学者の精緻な議論をあざわらうかのような、公然とした労働法無視の現実」に直面することになったという話も紹介されていた。
この制度がうまく行きすぎていて、解雇事件等で判例が形成されなくなってきているという懸念も紹介されていた。
もうひとつの課題として、企業内の紛争処理については、司法型はもちろん行政型も受け皿になっておらず、企業内の相談窓口はほとんど機能していないという議論もされていた。
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