福岡県司法書士会ADRセンターは、2019年(平成31年)3月31日まで、申立時の事務手数料3000円だけで手続ができるという利用促進策を取っておられる。その成果もあって、昨年度は39件の申込、今年度に入って24件の申込があるという。今年度応諾ありで手続実施に至ったのは7件で、継続中の1件を除き6件とも合意成立しているそうだ。
いろいろな民間の調停センターを訪問しているが、やはり稼働しているところは、大変ではあるけれども、やるべきことが見えており、議論も噛み合う。稼働しているといえないところでは、観念的な議論ばかりになる傾向があるように思う。
2つの事例が話し合われた。内容は書けないが、同席手続であったり、休日期日開催であったりと、当事者にメリットのある形で手続がなされている。
ADR法施行から10年経って、部外者から見れば、ちまちまとしか成果が出ていないようにしか見えないだろうが、裁判件数の減少、民事調停件数の激減などの外部環境も総合的に見て、一定の成果を出しているということに、プラスの評価が与えられても良いのではないかと思っている。
法律専門職の中でもADRに関心を持つ人の数は減っているが、ADR法成立前後のときのような勘違いしているタイプの方々がいなくなっている状況は、健全であるとも言える。
日本社会でもADRを使う余地があるということが、地に足のついた形で、少しずつ認識が拡がりつつある面もあると思う。