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要するに

 ……要するに、――聖者たちの言葉を借りるならば、――私はなるべく「恩寵とともに」ある状態で生きて行きたいのである。(中略)
 ……自分の生活の或る時期では「恩寵とともに」あり、別な時期では「恩寵を失った」ように感じるというのは本当ではないだろうか。「恩寵とともに」ある幸福な状態では、どんなことでも直ぐに片づいて、何か自分が大きな波に乗っている気がするのに、その反対の状態では、靴の紐を結ぶのにも一苦労なのである。尤も、恩寵の状態にあるとないとに拘らず、私たちの生活の大きな部分が靴の紐の結んだりすることの技術を習得するのに過ごされることに変わりはない。しかし生活することにも技術があって、恩寵を求めるのにも技術があるとさえ言える。そしてそういう技術を習得することもできる。 21-22頁

アン・モロウ・リンドバーグ著 吉田健一訳『海からの贈り物』新潮文庫

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2014年11月11日 09:00に投稿されたエントリーのページです。

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