R.N.ベラー (著), 池田 昭 (翻訳) (1996)『徳川時代の宗教』 (岩波文庫)
タルコット・パーソンズを指導教官として、日本を対象に研究した博士論文がもとになった本。
原書で出版されたのは、1957年。
たいへんに、おもしろい。
おもしろいと言っているだけでなくて、関連文献を含めて勉強すべきなんだと思うが、それはさておき、おもしろい。
「お家のために尽くす」というような心性その他の日本人の内的構造を扱っている。
瀬木比呂志(2010)『民事訴訟実務入門』(判例タイムズ社)に、「ごく普通の民事訴訟においては、当事者の求釈明と裁判官の示唆があれば大体必要な証拠は提出されるのが日本の民事訴訟の一つの特質であり、そのこと自体はよい慣行であると言えよう。」(P10)と、書かれている。
必要な証拠が提出されない類型の紛争の典型として、“お家を守るためとあらば、訴訟でうそをつくのもいたしかたがない”というものがある、ということと併せて考えると、日本人の心性の研究というのも、“法学”にも必要なのかもしれないともおもう。