ヘイリー教授が来日されているようだが、残念ながらセミナーに出席することはできない。
戦後の観察者は、日本人が訴訟を避ける傾向があるという神話を形成する際に、新しい調停法は訴訟よりも非公式な解決を希望する社会の全般的な傾向の反映であると考える傾向があった。だが、実証的な証拠はこうした見方を否定している。調停法の制定にもかかわらず、訴訟の件数は1920年代から1930年代の初期を通じて著しく増加した。1934年に入ると提訴された民事訴訟の件数は急激に減少し始めるが、図5-1、表5-2および5-3が示すように、訴訟の減少と平行して、調停の件数もまた同様な減少を示している。 P121ヘイリー J. O. (2002) 『権力なき権威 -法と日本のパラドックス-』, (財団法人判例調査会), 財団法人判例調査会.
戦前において、調停が訴訟の代替になったのではなく、市民への法的サービス拡大と縮小に連動し、増減したという指摘である。