アジア法学会でアジアのADRについてのシンポジウムがあった。
太田勝造先生が、基調講演で、小島武司先生の正義のプラネタリーシステムに対抗して、交渉を中心にするプラネタリーシステムを提案していた。
ADRは「取引コスト」を削減する、効率化推進者としての位置づけを話しておられたが、ADRが本当に効率的かということは検証が必要だろうと思う。特に、日本で件数が極端に少ないADR機関が事件処理をするときに、効率的でない可能性が高いのではないか。
いくつかの報告があったのだが、わたしが関心を持ったのは、中国の人民調停という制度だった。
全国津々浦々にあって、調停人が500万人位いて、年間実施件数が500万件位あるらしい。(推計値は、人によりデータが違うらしいが、いずれにしても非常に大きな数字)
裁判所の外側での手続であるそうなのだが、1950年代頃から続いているという話だった。
いままで中国のADRについてはあまり関心を持っていなかったのだが。
その人民調停について、統一的な法制化作業も進んでいるらしい。
法アクセス学会大会の冒頭で、小島武司先生が、韓国と中国のADRの進展が非常に急速であるということをおっしゃっていたのだが、この人民調停の改革もそのひとつなのかなと思いながら聞いていた。