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カウンセリングと調停技法

全青司のトレーニングで、臨床心理士の方が参加してくださった。
その方と、調停トレーニングは、カウンセリング技法と重なっているところもあるが、本質的に異なっているし、その違いを重視したいという話をした。

わたしが重要だと思う属性としては、
・治療的でないということ(調停は問題解決的、ないし成長支援的)
・2者間でなく3者間であるということ
・セッション数が少ないということ
・公正さの価値を重視すること
・問題のある人をソフトに排除するカウンセリングの負の側面への反対
といったところかなとおもう。

わたしは、カウンセラーにも様々なアプローチがあるが、日本で典型的な来談者中心療法よりも、認知行動療法やグループアプローチのほうが、調停技法と親和性が高いのではないかと感じている。
しかし、むしろ大事なのは、そういったカウンセリング技法の援用というよりも、調停では当事者を治療しないという目標設定の問題だとおもう。治療が必要な当事者には治療を勧め、下手に調停内で治療もどきをしないという節度が大切だ。そう考えると、カウンセラーとの協同のあり方として、技法を紹介してもらう以上に、適切なアセスメントの方法を共有することが大切になるだろう。

カウンセリング技法を中途半端に輸入することより、当事者の問題解決及び成長に役立つ話し合いの仕方はどのようなものであるかを考え、コミュニケーション技法の学習対象をむしろ限定化することのほうが大切なのではないか。

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2009年10月15日 11:00に投稿されたエントリーのページです。

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