« 常に動いている状況の中で、生きたヴァリエーションを持った答を生み出し続ける関係 | メイン | イラストで見る世界の法廷 »

少額訴訟と和解

大阪簡易裁判所簡易裁判所活性化研究会編(2006)『大阪簡易裁判所少額訴訟集中係における少額組訟手続に関する実践的研究報告』判例タイムズ

少額訴訟の審理時間データが載っている。
1998年(平成10年)~2005年(平成17年)のデータでは以下の通り。
(N=2395)

30分以内 51.9%
1時間以内 20.3%
1時間30分以内 15.6%
2時間以内 8.6%
3時間以内 3.0%
3時間を超える 0.7%

「ところで、訴額の上限が拡張され、少額訴訟手続の間口が広がったことにともない、紛争内容が複雑困難化し、多種多様な争点が主張され、感情的対立が先鋭化している事案や、独自の見解に固執して譲らない当事者の事案が散見されるようになり、主張の整理や当事者の説得に以前にも増して時間を要し、それが、平成17年においては、平成15年、16年に比較して、1時間以上の審理時間を要した事件の割合が増加している原因と思われる。(P157)」

米国の少額訴訟には、少額の調停手続が隣接している場合があるが、日本の少額訴訟では裁判所内の司法委員が和解手続を担当していて、外の調停機関に出すということはない。
しかし、上記のように時間のかかる事案が増えている現状では、和解ないし調停手続との組み合わせを強化した方がよいようにおもえる。

ひとつには、和解を進める司法委員に対しても、調停技法トレーニングの機会をきちんと提供した方がよいのではないか。
また、1日にこだわらない調停との組み合わせを手続的に整備するべきではないか。
と考えるが、どうだろうか。

あと、気になっているのが・・
相手方に弁護士が受任するとほぼすべて通常訴訟に移行するという話(P30)。
少額の執行で、「差押債権がなかったり差押債権があってもごく僅かで功を奏していないものが72.7%に及んでいる。(P112)」という話。

過去のエントリー:少額訴訟の実態研究

About

2009年07月01日 08:32に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「常に動いている状況の中で、生きたヴァリエーションを持った答を生み出し続ける関係」です。

次の投稿は「イラストで見る世界の法廷」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type