三森ゆりか(2002)『論理的に考える力を引き出す―親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング』(一声社)
交渉教育研究会で教えていただいた本。
論理的な思考や、表現、コミュニケーションの育成のための教育を実践しておられる三森ゆりか氏によるもの。
いろいろ練習問題がその方法とともに載っているので、実際にやってみることができるところがよいと思う。
事実と意見を区別する練習や、立場を明らかにして理由を2つ挙げますと言ってから話をする練習など、非常に基本的なことだけれど、日本人で教育されていない人は多いはずである内容が扱われている。
一方、アマゾンの書評でも書かれていたが、日本語において主語を明確にして話すことが論理的かと言われると違う気がする。また、5W2Hなどを明らかにしてはっきりくっきり話をしようというメッセージは、そのように話さないものに対して詰問してもかまわないという誤った学習をしてしまうリスクがある様に感じた。(これは筆者の意図とは異なるだろう)
論理的であろうとすることは、外在的に論理的であるとされることだけを扱うのではなくて、論理の形が明確でないものにきちんと向き合おうとするところにこそあると思うからだ。