濱野亮(2008)「司法アクセスにおける相談機関利用行動 -イングランドの現状を参考にして-」『民事司法の法理と政策 小島武司先生古稀祝賀記念論文集(下)』商事法務、148-182頁。
とても面白い論文。
ミステリーショッパー(mystery shopper)と呼ばれる”仕込みの”相談者が、当該機関の精通分野外の法律問題を相談し、相談機関の対応を調査したもの。
驚くべき結果が明らかになった。相談機関が自ら助言したケースのうち、六六%について、他機関を道案内しなかった判断は正当化できないと評価された。 (略) そもそも、知識が不足しているのであり、かつ、そのことを自覚せず、謙虚さも欠き、クライアントの利益を損ねているのである。この点は、ソリシタと非営利相談機関のボランティア相談員との間には大きな差はなかった。 P169不適切な助言のパターンとしては、1)安易なあきらめ、2)具体的助言を欠いた一般的情報提供、3)法的な支えのない空疎な助言、4)不正確な法情報、があるという。
善意で働いている人を試すようないやらしい調査研究手法ではあるけれど、善意があるからこそ間違った癖が固着しているところもあるだろう。
ADRを考える上では必読だと思った。
Richard Moorhead and Avrom Sherr, "An Anatomy of Access: Evaluating Entry, Initial Advice and Signposting using Model Clients" (Legal Service Research Centre, 2002)
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Legal Services Research Centre