アイン・ランド, 藤森 かよこ (訳)[2004] 『水源―The Fountainhead』(ビジネス社)
を読み終わった。
アメリカの代表的大衆作家のひとりと言われるアイン・ランド(Ayn Rand)の1943年の作品。
2段組で1000ページ以上もあり、定価がきっかり5000円というとんでもない小説なのだが、娯楽作品としても十分に面白く、読ませる。
ハワード・ロークという建築家が主人公で、これは、フランク・ロイド・ライトがモデルになっていると言われているらしいのだが、実話に基づいているという種類のものではなくて、モチーフにされたものだろう。
わたしが読んでみようと思ったのは、こちらを読んだため。
言われているように、東海テレビ制作の「真珠夫人」や「金色夜叉」のノリに近い、これでもかという人物描写と事件の連続なのだが、冷笑的に楽しむべきものではもちろんない。
世の中のスケールが小さくなってしまって、こんな大げさな問題設定はアナクロにも見えるし、ここで言われている健全な自己中心主義が、石原慎太郎的なマチズモにすり替えられてきた歴史のことも考えると素直に読めない部分も感じるのだが、にもかかわらず、人生の目標を「他人の評価を得ること」に明け渡してしまうと、そこには虚ろなものしか残らなくなるというメッセージは、いま、とてもとても有効で大切なのではないかとおもう。
それにしても、この本、日本で売れるかなぁ・・