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オープンダイアローグ

斎藤環 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院、2015年)

統合失調症にも「効く」という、ミーティング、あるいは話し合いについて書かれている。

精神科医・心理療法士・ナースらの専門家が、当事者と家族等との関係者と、できるだけ当事者の家で、早い段階でミーティングが持たれる。そして、ミーティングは間隔を置かずに繰り返される。
投薬を含めて、その対処方針について、そのミーティングの中で話されたうえ(ナラティブセラピーのリフレクティングの影響を受けた実践という解説がなされていた)、当事者や家族を交えたミーティングの中で話し合って決められていく。

こういうやり方が投薬なしですませられる場合を圧倒的に増やし、投薬があったとしても最小限に限定される。しかも、予後も良好だという。

非常に興味深い話だった。

斎藤環氏の紹介に加えて、原著論文の翻訳が掲載されている。用語解説などもあり親切な作り。

fully embodied person について、スカイプなどではなく実際に目の前にいて話をすることが重要という訳注が加えられていた。その通りだと思うが、fully embodied person というのは、実際に肉体的に目の前にいても、それほど自動的に実現できるものではない。愛の可能性に開かれたものとして「存在」できるかどうかということを言っているのだと思う。

ドキュメンタリー映画『開かれた対話』(YouTube)

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2016年02月14日 09:00に投稿されたエントリーのページです。

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