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現地に赴き紛争解決を

毎日新聞の社説。

社説:大震災と司法 現地に赴き紛争解決を - 毎日jp(毎日新聞)

社説:大震災と司法 現地に赴き紛争解決を

 東日本大震災に伴う紛争や法手続きの相談が被災地の弁護士会や日本弁護士連合会(日弁連)に殺到し、数千件規模に上っている。

 「津波で家を流された。残っているローンを払い続けねばならないのか」「地震で落ちた屋根瓦が隣の家の車を壊してしまった」など、相談内容は多岐にわたる。家や車、土地などの財産、また雇用や相続など被災地での法的ニーズが今後さらに増えるのは間違いない。

 心配事やトラブルを抱えたままでは、復興もままならないだろう。弁護士会や裁判所の力量が問われる。

 特に被害が大きい岩手、宮城、福島の各弁護士会は、電話相談だけでなく、避難所を回って直接、被災者と面会しての相談も始めた。他の都府県の弁護士会にも応援を要請し、対応している。

 福島第1原発の事故を抱える福島県は、やはり原発がらみの補償問題などの相談が寄せられている。

 被災者からの相談をどう具体的な問題解決に導くのか。訴訟を含め法的解決にはさまざまな方法があるが、今は非常時だ。迅速さと、利用のしやすさがカギとなるだろう。

 日弁連は、被災地に入ってADR(裁判外紛争処理手続き)の仕組みを積極的に活用する方針だ。

 家の貸し借りや土地の境界など身の回りのトラブルの解決で、訴訟を望まない人は多い。現在、全国の弁護士会の過半数は「紛争解決センター」を運営している。ベテラン弁護士や学識経験者らが仲裁人になり、当事者の間で紛争解決を図る。

 裁判所を通さないため、手軽で解決も早い。ぜひ、積極的に活用してもらいたい。

 それでも、民事調停や訴訟など裁判所での解決も欠かせない。水産業や製造業など産業自体が大きな打撃を受け、倒産や労働紛争が増えるのは必至とみられているからだ。

 裁判所も真価が問われる場面である。「必要があれば来てください」という待ちの姿勢ではなく、被災地に出て対応してほしい。

 もともと仙台市周辺以外の被災地は、弁護士や裁判官が少ない司法過疎地域だ。裁判官が常駐しない地裁支部や簡裁もある。裁判所にも被災者はいるだろう。全国から裁判官や書記官を集め、被災地で巡回型の調停の場を設けたらどうか。

 労働事件については、06年にスタートした労働審判制度が便利だ。労働紛争の解決に一般人の審判員2人と裁判官1人の計3人が当たる。訴訟より早く法的拘束力もあるため利用件数が増加している。

 地裁支部での実施は全国で2カ所だけだが、新たに被災地の地裁支部でも実施を検討すべきだ。

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2011年04月25日 09:20に投稿されたエントリーのページです。

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