石飛道子(2010)『龍樹―あるように見えても「空」という (構築された仏教思想)』(佼成出版社)
非常に読みやすく書かれた本だが、わたしにとっては難解だった。
ブッダは、「言い争ってはならない」という結論だけをとりだして、弟子に教えた。龍樹は、そのブッダの議論を、整合性のある論理として構築したが、それが龍樹の主書の中論に他ならないという。
龍樹には、他を理論で圧する冷たい理論家という側面と、慈悲深い実践家という側面があり、その二面性を理解することが重要であるとする。
後者の、実践家ということが、具体的にはもうひとつよくわからなかったのだが、なんとなく印象としては、社会構成主義的な解釈のようにも感じた。
もうちょっとちゃんと理解できればよいと思うのだが。