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命を継ぐもの

芝知美さんに、お父様の芝豊さんの遺稿集「命を継ぐもの」をいただいて読んでいる。

弁護士と司法書士のドル箱になる以前から債務整理分野に取り組んでこられたことで有名な人物だが、文章を読むと、いろいろ新たな発見があった。

司法書士が本人訴訟支援のスタンスを保つというかけ声は、少し上滑りだという自己批判とともに、レビン小林先生の本のなかに、本当の意味で本人訴訟支援をしていく方法の手がかりがあるということを書いておられる。このあたりは、なるほどというか、やっぱりという感じがする。ナアナアで和を強調するタイプよりも、むしろ、闘うことの価値と方法を知っている人の方が、メディエーションへの理解を正しく持ちやすいのかもしれない。

もうひとつ面白かったのが、書評コーナーの、本の選択の仕方である。
痴漢で逮捕された後の植草教授をはじめとして、世間的には「敗北者」として見られている人の言い分の中にも、真実の可能性を信じて耳を傾ける態度がある。決して、鵜呑みにしているわけでもないが、すくなくとも世間と自分自身を一体化させて、その人物を裁くということがない。

印象的なフレーズに、「文章が書けないのは、法律家としては致命的である」というものもあった。
そういえば、『執務現場から Vol.42』に、文章の書き方の講習会の様子が再録されていて、面白かった。

闘う文章を書く能力を身につけることが大事なのだと思う。
予備校の答案練習的な文章ではなく。

コメント (2)

しば:

父の本につき、コメントをいただきありがとうございました。

私がメディエーションの勉強を本格的にやり始めたきっかけは、父のところに誘いが来ていた大澤弁護士の
勉強会でした。
入江さんご指摘の通り、どの分野でも先駆的なひらめきと感受性をもっている方には、一見相反するようにも見えるメディエーションの理念の核のようなものを、トレーニング等行わなくても、すぐに本当の意味で理解してもらえると思います。

書籍散歩は父が毎回熱を込めて書いていた連載で、
全く違う分野の書物を一つのタイトルにまとめることが
大変で自分しか出来ないと言っていました。

我が父ながら「センス」のいい人でした。

コメントいただき嬉しいです。
ありがとうございました。

ヱ:

コメントありがとうございます。

末尾の芝さんの、「父は許せる人であった」というのもいい文章だなとおもいました。

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2010年07月24日 09:40に投稿されたエントリーのページです。

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