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調停トレーニングについて考えていること

わたしは、調停トレーニングについて
1.調停トレーニングは、現在のところ、未完成である。
2.しかし、多くの人にとって、受講する意義は大きいと思われる。
3.ただし、調停トレーニングを受講する以外にも、調停(メディエーション)を理解するためにできることはある。

という認識を持っている。

1.について。
米国等で発展してきたものを紹介されている段階である。日本では、2000年頃から本格的なトレーニングが始まっているが、まだまだその蓄積は浅い。日本における調停等の紛争解決の実践からの教訓が十分に反映されていると言えるほどのものではない。

2.について。
とはいえ、実際にトレーニングに参加された方の多くの感想は、想像していたよりもはるかに体系的で、有用性が実感できるというものである。これは、裁判所の調停委員や、弁護士会の和解あっせん候補者として活躍されている方の感想でもある。また、普通のサラリーマンであっても、社内の日常的な仕事に生かせるスキルが学べたという感想を持って下さる人も多い。日常生活のスキルとしてもおもしろいものがある。

3.について。
ただ、トレーニング受講は、時間もかかるし、お金もかかる。日本中どこでも実施されているというわけではないから、きっかけがないと踏み切れないだろう。
また、調停トレーニングだけが、調停を学ぶ方法ではない。レビン小林久子先生の書籍をはじめ、日本語で学べる本もいくつかある。論文レベルではもっと多い。

わたしは、調停については、スキルと制度の両面が重要であるが、一番大事なのはその理念、そして理念に基づく運動だとおもっている。
そして、理念は、最終的には、その人の言っていることではなく、その人の実際の行動からしか伝わらない。

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2009年08月17日 15:29に投稿されたエントリーのページです。

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