一昨日、利谷先生が、1955年体制ができあがっていくということに川島武宜は自覚的だったのではないかという話をされていた。
利谷先生は、そうはっきりおっしゃったわけではないが、「現在は体制の再構築中のはずなのだけれど、学問の側で、どうも決め手に欠けている」と感じておられるようだというところが、印象に残っている。
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ところで、『末弘厳太郎と日本の法社会学』を読み直してみた。
六本佳平、吉田勇(2007)『末弘厳太郎と日本の法社会学』(東京大学出版会)
戦後に行った末弘厳太郎の4回講義の速記録が収録されている。
興味を引いたのは、「法現象の社会学」と「社会学的法律学(社会科学を使った法学)」の対比という議論で、末弘自身もパウンドの立場である後者に近い立場を保ったのではないかと六本先生が分析している。
講義で、末弘が「最低限身につけておけ」と言っている内容は、わたしから見れば十分に高度すぎるのだが、その膨大な知見からすれば確かにエッセンスだけを伝えようとしている感じがする。
まず最初に、「法社会学の性質及び方法」という問題を考えなければならぬ。私は元から、実は学問の性質及び方法論というのは、相当学問してから後で気がつくことで、入口で方法論に興味を持つことは、自分の学問の進歩を妨げるという考えを持っておるので、長年やって来てようやく自分を顧みて、方法だとかいうようなことをこれからお話しするのでありますが、だんだんにやってみようという方に、初めから方法ということを気になさることをお勧めする気は、毫もないのであります。 P104(末弘厳太郎第四講)
"Stay hungry, stay foolish"で、めげずにやっていくのが大事なんだな、と思う。
元気を出していこう。